ダイハツでは、先進安全運転支援装置を「スマートアシストⅢ」と名付けています。ステレオカメラとソナーセンサーで歩行者や車両、周囲の障害物などの情報を検知してドライバーに警告したり、自動ブレーキを作動させます。
センターピラーをドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」と広い車内空間で人気のダイハツタントも、このスマートアシストⅢを搭載したものがラインナップされています。ですが、全グレードに標準装備というわけではありません。
タントではL、XがスマートアシストⅢ未搭載、タントカスタムではXが未搭載です。ただし、いずれも同じ装備内容でスマートアシストIIIを追加したグレードがあります。L “SA Ⅲ”、など末尾に“SA Ⅲ”が付いたものがそれです。
ライバル車のホンダN-BOXやスズキスペーシアは先進安全運転支援装置の全車標準装備を謳っていますが、この2台は「非装着車」を選ぶことも可能です。「いらない!」という意思を持たないと「非装着」を選べない分だけ、N-BOXとスペーシアの方が一歩踏み込んでいる気もしますが、結果的にはあまり変わらない気もします。「標準装備!」と言いたいホンダ&スズキと、「安い!」と言わせたいダイハツの考え方の違いなのかもしれません。
そんなタントのスマートアシストⅢ搭載車はN-BOXやスペーシアと同じく最も先進安全機能が充実した分類の「サポカーS ワイド」に適合しています。
さっそくタントに搭載されているスマートアシストⅢの機能を見ていきましょう。
タントに搭載されている先進安全機能「スマートアシストⅢ」
衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)
自車の前方の歩行者や車両を検知し、衝突の危険を察知するとまずは警告を発し、その後段階を踏んで自動ブレーキを作動させるシステムです。車両だけでなく歩行者にも対応しています。
歩行者の場合は自車の前方約30m以内、車両の場合は約60m以内の範囲で検知します。
ステレオカメラが衝突の危険のある歩行者や車両を検知すると、まずはブザー音とメーター内表示でドライバーに警告を発します。これが衝突安全警報です。
衝突安全警報は対車両で約4~約100km/hで走行時、対歩行者で約4~約50km/hで走行時に作動します。
衝突の危険性がさらに高まると、自動的に弱いブレーキをかけます(事前ブレーキ)。事前ブレーキが作動している状態でドライバーがブレーキ操作をするとブレーキアシストが作動してブレーキの制動力を高め、衝突を回避するように努めます(被害軽減ブレーキアシスト)。
事前ブレーキが自車の速度が約4~約80km/h、対歩行者で約4~約50km/hで作動、 被害軽減ブレーキアシストは対車両で約30~約80km/h、対歩行者で約30~約50km/hで走行時に作動します。
それでも衝突回避が不可能だとシステムが判断した場合には強いブレーキを作動し減速、衝突回避や衝突被害の軽減を図ります(緊急ブレーキ)。
作動条件は被害軽減ブレーキアシストと同じです。
自動ブレーキは先進安全機能の要となるシステムで心強い装備ですが、絶対にぶつからないというわけではなく過信は禁物です。あくまでも補助と考えて安全運転を行なってください。
車線逸脱警報機能
高速道路で起きやすい車線のはみ出しを防ぐ機能です。ステレオカメラが車線を検知し、車線からはみ出そうになるとメーター内表示と警告音でドライバーに警告を発し注意喚起します。
約60km/h以上で走行時に作動します。
誤発進抑制制御機能(前方、後方)
高齢者の死亡事故の原因として特に多いアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる急発進、急加速を防ぐ機能です。
前方では約4m以内の障害物をステレオカメラが検知している状態、後方の場合は約2~3m以内の障害物をソナーセンサーが検知している状態でアクセルペダルを強く踏み込むとエンジン出力を抑制し急発進を防ぎます。
約10km/h以下での徐行時に作動するようになっています。エンジン出力の抑制で急発進、急加速を防ぐシステムで自動ブレーキではありません。
オートハイビーム
近年では主に警察が、夜間での走行時には基本的に視認性の良いハイビームを使用するように推奨しています。ですがハイビームをつけたままだと対向車や先行車がいた際には相手を眩惑させてしまう可能性があり、必要に応じてロービームと切り替える必要があります。
オートハイビームは対向車などのヘッドランプの明るさを検知し、自動でハイビームとロービームを切り替えてくれる機能です。
切り替え忘れを防ぐとともに、手動切り替えの手間をなくして安全運転に貢献します。速度約25km/h以上で走行時に作動します。
先行車発進お知らせ機能
ブレーキペダルを踏んで停止している際に、前方約10m以内の先行車が約3m以上進んでも自車が発進しない場合にメーター非表示と警告音でドライバーに知らせるシステムです。
渋滞時や信号待ちでもうっかりミスを防ぎます。
以上5つがスマートアシストⅢの機能です。歩行者も検知する自動ブレーキ、誤発進抑制機能も後方に対応と十分な内容になっていますね。
では、タントに搭載されているスマートアシストⅢ以外の安全装備も見てみましょう。
タントの「スマートアシストⅢ」以外の安全装備にはどんなものがある?
ヒルホールドシステム
急な上り坂での発進をサポートする機能。ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み変え時に約2秒間ブレーキを作動させて、坂道での車両の後退を防ぎます。
エマージェンシーストップシグナル
約60km/h以上で走行中に急ブレーキを踏んだ場合、ハザードランプを高速で点滅させて後続車に急ブレーキを知らせ、追突を防ぐ機能です。
エアバッグ
今や欠かせない基本的な安全装備ですね。運転席と助手席に標準装備されています。
コーナーセンサー(スマートアシストⅢ搭載車に標準装備)
リヤの左右に1個ずつ用意されたコーナーセンサーが運転席の死角になりやすい後方の障害物をブザー音で知らせてくれるシステムです。
約10km/h以下での徐行時に作動するので、バックでの駐車時や縦列駐車で役に立ちますね。
ブザー音は障害物との距離で変化します。車両と障害物との距離が約60~45㎝の場合にはピッピッ、約45~約30㎝になるとピピピ、それ以下になるとピー、というように音の変化で危険性を判断できます。
「スマートアシストⅢ」を搭載したタントはみんなが安心して乗れる充実の安全装備が揃っている
タントのスマートアシストⅢ搭載車は安全性能に問題はないでしょう。
N-BOXのようにアダプティブクルーズコントロールやステアリング操作の伴ったシステム、標識認識機能などは搭載されていませんが必要十分な先進安全機能は搭載されています。
家族みんなが安心して乗れるクルマであるためには、スマートアシストⅢを搭載したタントを選びたいところですね。
※記事の内容は2018年11月時点の情報で執筆しています。