ラリーで勝つことに焦点をあてて開発された、本格的なスポーツカーといえるトヨタ「GRヤリス」。これまでシビアなスポーツカーでは先進安全技術があまり搭載されない傾向がありましたが、2020年9月に発売されたGRヤリスには先進安全技術が搭載されているのか、気になるところではないでしょうか。
ここでは、GRヤリスの安全性能について解説します。
この記事のPOINT
- GRヤリスは先進安全技術を標準装備するグレードはない
- 先進安全技術のパッケージオプション「予防安全パッケージ」の設定がある
- 競技向けのグレード「RC」「RC”Light Package”」は「予防安全パッケージ」の追加は不可
GRヤリスの安全性能の特徴
GRヤリスはゼロベースから鍛え上げられた高剛性ボディ、スポーツ4WDプラットフォームやスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」、新開発のハイパワーエンジンなどを採用し、「ラリーで勝ち抜くこと」を念頭に開発されたシビアなスポーツカーであり、一般的な車とは立ち位置が異なるモデルです。
パワーを抑えた扱いやすいエンジンを採用し比較的気軽にスポーツ走行が楽しめるグレードも用意されてはいますが、「モータースポーツ用の車を市販化する」といった発想のもとに存在するモデルため、今時の乗用車には欠かせないといえる先進安全技術、トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」は標準装備ではありません。
ただし、パッケージオプションとして「Toyota Safety Sense」を含む「予防安全パッケージ」が用意されています。なお、競技向けグレードといえる「RC」「RC”Light Package”」では「予防安全パッケージ」の設定もないため、グレード選びの際にはその点に注意する必要があります。
GRヤリスの「予防安全パッケージ」
ここでは、GRヤリスの「予防安全パッケージ」に含まれるおもな先進安全技術について見ていきましょう。
プリクラッシュセーフティ
車や歩行者などを検知し、事故の危険を予測すると自動でブレーキを制御することによって衝突の回避または衝突被害の軽減をサポートする機能で、GRヤリスでは昼夜の車両と歩行者、昼間の自転車運転者の検知が可能です。
なお、検知対象が車両の場合は約10km/h以上、歩行者もしくは自転車運転者の場合は約10~80km/hの速度域で作動します。
また、GRヤリスでは直進時だけではなく、交差点での衝突の回避や衝突被害軽減もサポートします。さらに、「RS」には、低速走行時に自車の直前にいる車両や歩行者、自転車運転者を検知している状態で必要以上に強くアクセルが踏み込まれた場合に駆動力の抑制もしくは弱いブレーキを作動させる「低速時加速抑制機能」も追加されます。
レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付き)
システムが先行車を認識し、適切な車間距離を保ちつつ追従走行することでドライバーの負担を軽減してくれる機能です。
レーントレーシングアシスト
車線中央付近の走行を維持するために、ステアリング操作の一部を支援する機能です。車線が見えにくい場合は、先行車を追従して車線内走行を維持するようにサポートします。
また、白線だけでなくアスファルトや縁石といった道路境界を認識し、道路から逸脱する危険があると判断した場合にもステアリング操作をアシストします。
オートマチックハイビーム
システムが必要に応じてハイビームとロービームを切り替える機能です。切り替え忘れをなくしたり、ハイビームの使用頻度を上げて歩行者の早期発見に貢献したりするメリットがあります。
ロードサインアシスト
システムが道路標識を認識しマルチインフォメーションディスプレイに映し出すことで見落としを防ぎ、標識に従って運転ができるようにサポートする機能です。
GRヤリスでは最高速度、はみ出し通行禁止、車両進入禁止、一時停止の4種類の標識を認識します。
ブラインドスポットモニター
ドライバーの死角になる後側方エリアに存在する車両や、隣車線後方最大約60mまでシステムが監視します。監視エリアに車両を検知すると、ドアミラーのLEDインジケーターを点灯させてドライバーに接近車両の存在を知らせます。
その状態でインジケーターが点灯している側のウィンカーを作動させると、インジケーターを点滅させて危険を知らせ、車線変更時の後方確認をサポートします。
クリアランスソナー&バックソナー(「RZ」「RZ“High performance”」のみ)
車庫入れ時などに進行方向にある壁などの障害物を検知し、車両との距離に応じてブザー音を変化させて障害物の接近を知らせる機能です。
リヤクロストラフィックアラート(「RZ」「RZ“High performance”」のみ)
駐車場からバックして出庫する際に、後方左右から接近する車両を検知して警告する機能です。
パーキングサポートブレーキ(前後方静止物/後方接近車両)(「RS」のみ)
「クリアランスソナー&バックソナー」に障害物との接近を回避するようサポートする機能を追加したのが「パーキングサポートブレーキ」です。
進行方向に障害物を検知しているときは発進時にエンジン出力を抑制して飛び出しを抑制します。さらに障害物との距離が縮まった場合はブレーキを作動させます。また、バック出庫の際に衝突の危険が発生した場合にブレーキを作動させ、接近車両との衝突の回避・衝突被害軽減をアシストします。
このほか、先行車の発進をドライバーに知らせてくれる機能や、エアバッグが作動するとブレーキと制動灯を自動制御して減速し、二次衝突による衝突被害軽減に貢献する「セカンダリーコリジョンブレーキ」があります。
GRヤリスはオプションの追加がおすすめ
先進安全技術は搭載していて当たり前になりつつある今、GRヤリスは先進安全技術を標準装備するグレードがなく、さらに一部グレードではオプションも追加できないという数少ないモデルといえます。今の時代の車には先進安全技術は欠かせないといえるので、GRヤリスを手に入れる際にはオプションの「予防安全パッケージ」の追加を積極的に検討するべきといえるのではないでしょうか。
よくある質問
Q1:GRヤリスには先進安全技術が標準装備なの?
A:いいえ、GRヤリスは衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を標準装備するグレードはありません。
Q2:オプションで追加できる先進安全技術はあるの?
A:はい、あります。「RC」「RC”Light Package”」を除くグレードには、パッケージオプションの「予防安全パッケージ」の追加が可能です。
Q3:「予防安全パッケージ」にはどのような機能が含まれるの?
A:昼夜の車両と歩行者、昼間の自転車運転者の検知が可能で、直進時だけではなく交差点での衝突の回避、衝突被害の軽減もサポートしてくれる「プリクラッシュセーフティ」、車線中央付近の走行の維持や、車線から逸脱しないようにステアリング操作の一部を支援する「レーントレーシングアシスト」、車線変更時の後方の安全確認をサポートしてくれる「ブラインドスポットモニター」など、多彩な機能が含まれます。
※この記事は2022年9月時点の情報で制作しています