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車の安全に関する技術は年々進化しており、各自動車メーカーが衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全技術のレベルアップを図っています。政府が衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を搭載した車に「サポカー」の愛称をつけ普及を啓発していることもあり、近年では何らかの先進安全技術を採用する車種がほとんどですが、本格FRスポーツカーであるBRZはどのような安全性能を有しているのでしょうか。
ここでは、スバル「BRZ」の安全性能について紹介します。
この記事のPOINT
- BRZには先進安全技術が採用されていない
- BRZは「サポカー」ではない
- サイドエアバッグ・カーテンエアバッグを標準装備
BRZの安全性能の特徴
今では法律でシートベルトの着用が義務付けられ、運転席・助手席のエアバッグの搭載は当たり前となっていますが、シートベルトやエアバッグの搭載がなかった時代もありました。このことからもわかるように、車の安全性能は時代を経るごとに大きく進化しています。
現在では、シートベルトやエアバッグなどの衝突安全性から、車両や歩行者を検知して衝突の危険があれば自動でブレーキ制御を行う衝突被害軽減ブレーキなど、事故の危険を予測して危険を減らす予防安全性が車の安全性能の中心的存在になりつつあるといえるでしょう。
「サポカー」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、「サポカー」は「安全運転サポート車」の略で、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を搭載した車に政府がつけた愛称です。「サポカー」の普及を政府が啓発していることもあり、近年では先進安全技術を搭載した車が随分と普及してきました。
ここ数年間で発売された新型車には、何らかの先進安全技術が搭載されるようになったといっても過言ではないでしょう。
先進安全技術は各自動車メーカーが競い合って開発している分野でもあり、次々と新しい技術が登場しています。先進安全技術の代表ともいえる衝突被害軽減ブレーキに関しては、かつては検知対象が車両のみであったのに対し、現在では歩行者の検知が可能なものが主流になり、さらには夜間の歩行者や二輪車、自転車の検知機能を搭載しているものも登場するなど、かなりの進化が見られます。
また高速道路や自動車専用道路においてシステムが加減速をアシストすることに加え、ステアリング操作も支援することでドライバーの運転負荷を軽減して安全運転に貢献する技術や、駐車時にシステムが駐車位置を認識してペダル操作・ステアリング操作をサポートする機能など、高度な運転支援技術を採用した車種も多く見られるようになりました。
そういった先進安全技術が搭載されているのが当然ともいえる時代になりましたが、サーキット走行も可能な本格FRスポーツカーであるBRZには先進安全技術は採用されていません。BRZの兄弟車であるトヨタ「86」も同様です。
先進安全技術を搭載しない車はほかにも存在しますが、一部のグレードで省かれているケースがほとんどであり、乗用車に関してはまったく先進安全技術を搭載しない車種はまれであるといえます。
スバルには、さまざまな最新の技術を駆使した独自の運転支援システム「アイサイト」が存在します。スポーツ走行が前提になっているモデルには装着しにくいのは理解できますが、BRZには競技用のグレードやカスタマイズすることが前提になっているグレードが存在するので、そういったグレードには「アイサイト」を採用せず、一般的な利用が想定されているほかのグレードには搭載するなどの工夫が欲しいといえるのではないでしょうか。
公道を走る以上、今どきの車であれば最低でも衝突被害軽減ブレーキは欲しい、というのが正直なところでしょう。
BRZの安全技術
BRZには衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術は搭載されていませんが、それ以外の部分でさまざまな安全性を高める工夫が見られます。
3ゾーンマネジメント
BRZはスポーツカーに求められる軽量高剛性なボディと、乗員を守るための衝突安全性を両立させるために「3ゾーンマネジメント」という考え方を採用し、フロント部、リア部、そしてキャビン部それぞれに求められる特性を実現したボディ構造となっているのが特徴です。
キャビン部はキャビン周りをかごのように取り囲む環状構造とし、さらに高張力鋼板を多用することによって乗員を守る高強度のキャビンとしたことに加え、ボディの上部の軽量化を実現。フロント部、リア部もそれぞれの剛性バランスを最適に保つことによってハンドリングの応答性を高め、期待されるスポーツ性能を極めています。
VDC（ビークルダイナミクスコントロール）
走行状態をセンサーで監視し、必要に応じてブレーキ圧やエンジン出力を自動制御することによってコーナリングの横滑りを軽減する機能です。BRZではスイッチ操作によって走行シーンに合わせた4つのモードの選択が可能です。
エマージェンシーストップシグナル
走行中に急ブレーキを踏むと、ブレーキランプの点灯に加えてハザードランプが高速で点滅し、後続車に急ブレーキを伝えて注意を促す機能です。
エアバッグシステム
BRZには、運転席・助手席のエアバッグに加えて前席乗員の胸部と頭部を保護するサイドエアバッグ、そして前後席の側方からの衝撃保護のためのカーテンエアバッグが標準装備されています。
なお、競技用グレードの「RA Racing」にはロールケージが装着されているので、サイドエアバッグとカーテンエアバッグは機能しないため注意してください。
車選びの際には安全性能をしっかりと確認しよう
車の安全性能は車種によって大きな差があるため、車選びの際にはしっかりと確認することが大切です。BRZは衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術が搭載されていないため、その点を理解しておく必要があるといえるでしょう。
※記事の内容は2020年12月時点の情報で執筆しています。
よくある質問
Q1：BRZには先進安全技術は全車に標準装備されているの？
A：いいえ、スバルには運転支援技術「アイサイト」がありますが、BRZには採用されておらず、どのグレードにも先進安全技術は搭載されていません。
Q2：BRZにはどんな安全装備があるの？
A：走行状態をセンサーで監視し、必要に応じてブレーキ制御やエンジン出力制御を行うことでコーナリング時などの横滑りを軽減する「VDC（ビークルダイナミクスコントロール）」や急ブレーキを後続車に知らせて注意喚起する「エマージェンシーストップシグナル」、前席の乗員の胸部と頭部を保護するサイドエアバッグ、前後席の側方からの衝撃から乗員を守るカーテンエアバッグが搭載されています。
Q3：BRZで採用されている「3ゾーンマネジメント」って？
A：スポーツカーでは走行性能を高めるため軽量で高剛性なボディであることが求められますが、乗員を守るための衝突安全性も必要です。「3ゾーンマネジメント」はこの2つの条件を両立させるため、キャビン周り、フロント部、リア部それぞれに求められる役割に応じた剛性バランスや構造を取り入れるという考え方です。
Q4：BRZはどの「サポカー」に該当するの？
A：BRZは、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を搭載していないため、どのグレードも「サポカー」には該当しません。
