衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時急発進抑制装置などの先進安全技術は、今の車には欠かせない装備のひとつといえます。しかし先進安全技術は車種によって充実度に大きな差があるため、車選びの際にはその車にどんな先進安全技術が搭載されているのかを確認しておくことが重要です。
ここでは、ダイハツ「アルティス」の安全性能について紹介します。
この記事のPOINT
- アルティスは先進安全技術を標準装備
- アルティスには「スマートアシスト」ではなく「Toyota Safety Sense」が搭載されている
- アルティスは「サポカーSワイド」の認定を受けている
アルティスの安全性能の特徴
2017年7月に登場したダイハツのフラッグシップモデルといえる上級セダン「アルティス」は、トヨタ「カムリ」のOEM供給モデルです。そのため、搭載される先進安全技術はダイハツの「スマートアシスト」ではなく、トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」であることが大きな特徴といえるでしょう。
アルティスの「Toyota Safety Sense」はミリ波レーダーと単眼カメラを併用する検知システムを採用しています。2021年2月の一部改良では衝突被害軽減ブレーキに夜間の歩行者や昼間の自転車運転者の検知機能を追加するなど、さらに安全性能を向上しているのも特筆すべきポイントでしょう。
アルティスに搭載される「Toyota Safety Sense」に含まれる先進安全技術
ここからは、アルティスの「Toyota Safety Sense」に搭載される先進安全技術について、見ていきましょう。
プリクラッシュセーフティ
先進安全技術の要といえるのが衝突被害軽減ブレーキで、「Toyota Safety Sense」では「プリクラッシュセーフティ」と名付けられています。
ミリ波レーダーと単眼カメラの2種類のセンサーで自車の前方にいる車両や歩行者などを検知し、段階を踏んで自動ブレーキを作動させることによって衝突事故を回避したり、衝突被害の軽減をサポートしたりする機能です。
夜間の歩行者や自転車運転者の検知も可能
アルティスの「プリクラッシュセーフティ」は2017年7月の登場時から搭載されていましたが、2021年2月の一部改良時には車両と昼間の歩行者に加え、夜間の歩行者や昼間の自転車運転者の検知、交差点での右左折時の対歩行者検知機能が追加され、より安全性を向上させています。
車両に対しては自車の速度が約10km/h~、歩行者や自転車運転者に対しては約10~80km/hの速度域で作動します。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
システムが先行車を認識し、適切な車間距離を保ちながら追従走行を支援することでドライバーの運転負荷を減らし安全運転に貢献する運転支援機能です。アルティスのレーダークルーズコントロールは全車速追従機能付きのため、停止まで追従し、ドライバー操作による再発進後は追従走行を再開してくれます。停止と発進を頻繁に繰り返す渋滞時のストレスも大幅に軽減してくれるでしょう。
カーブ速度抑制機能
レーダークルーズコントロール作動中、カーブの入り口で速度抑制が必要とシステムが判断した場合には、ステアリングの切り始めで速度を抑制するカーブ速度抑制機能が作動して、安全なコーナリングができるようにサポートします。システムの作動中はカラーヘッドアップディスプレイ、マルチインフォメーションディスプレイでドライバーに作動を知らせます。
レーントレーシングアシスト
システムが車線を認識して、車線中央付近の走行を維持するようにステアリング操作の一部を支援する機能です。車両が車線からはみ出す危険がある場合には警告を発してドライバーに注意喚起するとともに、ステアリング操作を支援して車線内走行を維持するようにサポートします。
黄線・白線のほか、アスファルトや縁石なども境界として認識可能です。また、渋滞時などで車線が見えない場合も先行車を追従してステアリング操作の支援を行います。
ドライバー異常時対応システム
2020年2月の一部改良時には、ドライバー異常時対応システムが追加されました。これはレーントレーシングアシスト作動時にドライバーの無操作状態が一定時間以上続くと異常と認識し、ハザートランプの点滅やホーンによって周囲に異常を知らせることに加え、自車線内で減速・停車することによって事故の回避や被害軽減を図る機能です。
停車後には、ドアロックも解除されます。
オートマチックハイビーム
ハイビームとロービームを自動で切り替えることによってドライバーの手間を減らし、安全運転に貢献する機能です。また、ハイビームでの走行頻度が高まることで歩行者の早期発見に貢献するほか、切替え忘れを防ぐメリットもあります。
ロードサインアシスト
走行中に単眼カメラが道路標識を認識し、最適なタイミングでディスプレイに表示することでドライバーの標識見落としを防止し、法規に沿った運転の実施をサポートしてくれる機能です。
このほか、「Toyota Safety Sense」のシステムを利用した付帯機能として、停止中に先行車が約4m以上進んでも自車が発進しない場合に警告を発して出遅れを防止する「先行車発進告知機能」も搭載されています。
「Toyota Safety Sense」以外の先進安全技術
アルティスには、「Toyota Safety Sense」以外にも複数の先進安全技術が標準装備されています。
インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]
クリアランスソナーが壁などの静止物を検知し、音と表示でドライバーに静止物との接近を知らせます。進行方向に静止物を検知している場合、発進時にハイブリッドシステムの出力を抑制して飛び出しを防止するようサポートすることに加え、静止物との距離が縮まると自動ブレーキを作動させて、衝突事故の回避や被害軽減に貢献します。
ブラインドスポットモニター
ドライバーが気付きにくい後側方からの接近車両などを検知し、ドアミラーインジケーターを点灯させてドライバーに接近車両の存在を知らせるシステムです。その状態でドライバーが接近車両のいる側のウィンカーを作動させた場合、ドアミラーインジケーターを点滅させて注意喚起することで、安全な車線変更をアシストします。
リヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]
「ブラインドスポットモニター」のシステムを利用した機能で、駐車時などに自車の後方左右から接近する車両を検知して、ドアミラーインジケーターの点灯とブザーによってドライバーに注意喚起します。衝突の危険がある場合はブレーキ制御も入る優れものです。
パノラミックビューモニター
車両を真上から見下ろしたような映像など、さまざまなアングルからの車両の映像をディスプレイオーディオに映し出して、周囲の安全確認をサポートする機能です。駐車場や交差点、見通しの悪い狭い路地から広い場所に出る際など、さまざまなシーンで役立つでしょう。
多数の先進安全技術を搭載し、「安心・安全」なカーライフを実現するアルティス
アルティスは最新鋭の先進安全技術を多数採用し、経済産業省や国土交通省が普及を推進する先進安全技術を搭載した車「セーフティ・サポートカー(通称サポカー)」の中でも最上級の分類で、誰もが安心して車を運転できるひとつの目安といえる「サポカーSワイド」の認定を受けています。
先進安全技術は心強い存在ですが、衝突被害軽減ブレーキなどが作動するような状態を生み出さないよう安全運転を心がけて、楽しいカーライフを送りましょう。
よくある質問
Q1:アルティスには先進安全技術は標準装備されているの?
A:はい、アルティスには先進安全技術が標準装備されています。アルティスはダイハツのフラッグシップモデルですが、トヨタ「カムリ」のOEM車両のため、ダイハツの予防安全技術「スマートアシスト」ではなく、トヨタの「Toyota Safety Sense」が採用されています。
Q2:アルティスに搭載される先進安全技術にはどんなものがあるの?
A:車両と昼夜の歩行者に加え、昼間の自転車運転者の検知が可能な「プリクラッシュセーフティ」、適切な車間距離を維持しながら先行車に追従走行することでドライバーの負担を減らす「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」、車線中央付近の走行を維持するようにサポートする「レーントレーシングアシスト」など、多数の先進安全技術が搭載されています。
Q3:2021年2月の一部改良で追加された「ドライバー異常時対応システム」ってどんなもの?
A:レーントレーシングアシストの作動中、一定時間ドライバーの操作がないとシステムが判断した場合にハザードやホーンで周囲に異常を知らせ、自車線内で減速・停止して事故の回避や被害軽減を図る機能です。
Q4:アルティスはどの「サポカー」に該当するの?
A:アルティスは「サポカー」の中でも最も上位の分類である「サポカーSワイド」の認定を受けています。
※記事の内容は2021年4月時点の情報で執筆しています。