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日本市場へのレクサスブランド導入から12年、そのレクサスを支えるSUVモデル3兄弟の末っ子、レクサスNXが初となるマイナーチェンジを受けた。好評だった走りとプレミアム感漂う内外装のデザインはさらにブラッシュアップされ、身内のライバル・トヨターハリアーとの差別化はより進んだようだ。
レクサスの半分はSUVで出来ています
日本自動車販売協会連合会が発表した新車登録台数によるとレクサスの2017年10月の登録台数は3904台。そのうち最も多かったのがレクサスNXの1113台。これにRXの765台、LXの126台を足すと、実にレクサスの新車登録台数のうち約51%はSUVなのです。中でもコンパクトサイズのNXとミドルサイズのRXがレクサスブランドの屋台骨を支えていると言っても言いすぎではないでしょう。
2005年から日本に導入されたトヨタのプレミアムブランド、レクサス。そのコアモデルとなっているSUVのレクサスNX。「プレミアムアーバンスポーツギア」をコンセプトに都会を機敏に駆け抜ける高い走行性能とSUVらしい力強さを兼ね備えたモデルとして2014年7月に登場しました。
プレミアムSUVらしい内外装デザイン
「スポーツギア」を感じさせる外観デザインはレクサスのデザインアイコンとなっているスピンドルグリルを起点に、人が乗るキャビンスペースの前後を大胆に絞り込んだ菱形のボディと力強く張り出したホイールフレアの融合が特徴です。これによってタイヤの存在を強調し、SUVとしての力強さを表現しています。
インテリアはセンタークラスターのフレームに金属調のパーツを使用し、スポーツ性を強調したデザインとなっています。このあたりはプレミアムSUVらしい雰囲気を醸し出すことに成功しています。
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ダウンサイジングターボとハイブリッドの2本立て
エンジンはNX200tに当時レクサス初の2L直列4気筒直噴ターボを搭載したことがニュースでした。またNX300hには2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムを搭載し、こちらはJC08モード21.0km/LというSUVとしては優れた燃費性能を実現しています。両モデルともに装備やエクステリアデザインの異なるIパッケージ、Fスポーツ、バージョンLという4つの仕様を用意。駆動方式は全車にFFと4WDが設定されています。
2017年9月のマイナーチェンジでさらに進化
レクサスNXは登場から3年が経過した2017年9月に初のマイナーチェンジを行いました。改良のテーマは「大胆なデザインの進化と走りのさらなる熟成」。内外装のデザインを進化させるとともにスポーティな走りの更なる熟成、そして安全運転支援装備の強化が行われました。
まず、デザインの進化ですが、外観はフロントバンパーをより鋭く低重心な造形とするとともに、スピンドルグリルにRXやLXと共通性をもつレイヤー状のデザインを採用。三眼式のLEDヘッドライトは超小型LEDランプユニットを採用し、シャープで、スポーティな表情としました。リアは新意匠のコンビネーションランプを採用し、流れるように点灯するLEDシーケンシャルターンシグナルランプを採用し先進性をアピールしています。豪華仕様のバージョンLには電着塗装によるブロンズカラーの個性的な18インチアルミホイールも設定されました。
イマドキな流行り装備を追加
インテリアはナビのディスプレイを10.3インチに拡大したことに加えて、タッチパッドを大型化した新型リモートタッチを採用し、ナビゲーションやオーディオの操作性を向上。パワーバックドアに両手がふさがっている状態でもリアバンパー下に足を出し入れするだけで、開閉可能なハンズフリーパワーバックドアを採用するなど、最近のプレミアムSUVの流行を取り入れています。
好評だったスポーティな走りはさらに熟成され、サスペンションの改良により車体の傾きやハンドル操作に対しての応答性を向上させています。さらに一部グレードにはきめ細かいサスペンションの制御を行う新型AVSを採用し、操縦安定性と乗り心地の高い次元での両立を図りました。
さすがに抜かりない安全装備
昨今注目を集める安全運転支援装備もプレミアムSUVにふさわしい内容です。「歩行者検知機能付き衝突回避支援ブレーキ」をはじめ、車線逸脱予防の「レーンディパーチャーアラート」、先行車との車間距離を一定に保ちながら追従走行可能な「レーダークルーズコントロール」、そして「アダプティブハイビームシステム」の4つの機能がセットになった予防安全パッケージ「レクサスセーフティシステムプラス」を全車に標準装備しています。なお今回のマイナーチェンジを機に、これまでNX200tだったダウンサイジングターボエンジンのグレード名称はNX300へと変更されています。
最大の進化は静粛性の向上
初のマイナーチェンジを行ったレクサスNXの走りは実際どうなのでしょう。 今回試乗したグレードはNX300hバージョンLです。ソニッククォーツと呼ばれる金属感のあるボディカラー、実際に見るとなかなかカッコイイです。NXの筋肉質なボディをコントラストによってうまく強調しています。また、今回採用されたブラウン塗装アルミホイールによって上質さと重厚感が演出され、プレミアム感に磨きがかかった印象です。
試乗して実感したのが静粛性の向上です。後で登場したRXが相当静かなクルマだっただけに、乗り比べるとNXは少しうるさいと感じていました。今回、走行性能を向上させるためサスペンションの最適化を行うと同時に、遮音材を効果的に配置したことでプレミアムカーに相応しい静かな車内を実現したといえるでしょう。
乗り味はモデルによって異なりますが、バージョンLは全体的にソフトな乗り心地ながら最後にはしっかり感がある、まさにアルデンテのパスタのような絶妙な仕上がりとなっています。
■レクサスNX価格表(2018年2月現在)
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格(東京) |
---|---|---|---|
NX300 | FF | 13 | 440万円 |
4WD | 12.4 | 466万円 | |
NX300 Iパッケージ | FF | 13 | 458万円 |
4WD | 12.4 | 484万円 | |
NX300 Fスポーツ | FF | 13 | 506万円 |
4WD | 12.4 | 532万円 | |
NX300 バージョンL | FF | 13 | 506万円 |
4WD | 12.4 | 532万円 | |
NX300h | FF | 21 | 504万円 |
4WD | 19.8 | 530万円 | |
NX300h Iパッケージ | FF | 21 | 522万円 |
4WD | 19.8 | 548万円 | |
NX300h Fスポーツ | FF | 570万円 | |
4WD | 596万円 | ||
NX300h バージョンL | FF | 570万円 | |
4WD | 596万円 |
身内のライバル、ハリアーとは明確に異なる方向性
実はレクサスNXの最大のライバルは身内のトヨタブランドのSUV人気モデル・ハリアーではないでしょうか。ハリアーがSUVらしい力強い走りを目指しているのに対して、レクサスNXはプレミアムブランドらしい上質な走りを狙っています。レクサスブランドが導入されて12年が経過し、ようやくレクサスの乗り味というのが確立されたのではないでしょうか。マイナーチェンジしたレクサスNXはそのレクサスの乗り味を実感させてくれました。ハリアーとの価格差は100万円近くありますが、質感の高いインテリアそして走行性能を考えると決して高くないと思います。
※記事の内容は2018年3月時点の情報で執筆しています。