かつて一世を風靡したステーションワゴン。ミニバンやSUVに押されて日本車では数が少なくなってしまったが、そのなかでレオーネ、レガシィの伝統を受け継ぐレヴォーグだけは特別な存在だ。スポーツカー並みの走りと、下手なSUVに勝る居住性・積載性で、いまだにファンの多いクルマなのである。
いまや貴重なステーションワゴンのスポーツモデル
スバルは四輪駆動のステーションワゴンのパイオニアです。その速さと使い勝手の良さで90年代に一世を風靡したレガシィはまさにスバルを代表するモデルでした。しかしモデルチェンジを重ねるたびに、大きな販売台数を誇る北米市場の影響でボディはどんどん大きくなり、さらにSUVモデルのアウトバック人気もあって、ステーションワゴンモデルはラインナップから外れてしまいます。
そんな中で日本でのスポーティなステーションワゴンの復活を望む声に応えるため、国内専用モデルとして2014年4月に登場したのがスバルレヴォーグなのです。レヴォーグは荷物がたくさん積めて、しかも安心で楽しいクルマを具現化したスポーツツアラーです。
2種類のターボエンジンを用意、2.0Lはハイオク仕様!
レヴォーグに搭載されているエンジンはレギュラーガソリン仕様ながら、最高出力170ps、最大トルク250Nmを発生する1.6L水平対向4気筒DOHC直噴ターボ。そして最高出力300ps、最大トルク400Nmを発生するハイオク仕様の2L水平対向4気筒DOHC直噴ターボの2種類です。
トランスミッションは両エンジンともにリニアトロニックと呼ばれるCVTが組み合わされ、駆動方式は4WDのみとなっています。JC08モード燃費は13.2〜16.0km/Lで、パワフルなターボエンジンとは思えないほどの優れた燃費性能を実現しています。
話題のアイサイトは最新版にアップグレード!
安全装備は先進の運転支援システムアイサイトver.3を標準装備。加えて2015年4月の一部改良で、当時スバル国内初採用となるアドバンスドセーフティパッケージを展開。これは後側方を警戒するスバルリアビークルディテクション、サイドビューモニター、ハイビームアシスト、アイサイトアシストモニターの4つの機能をセットで装備するもので、前方だけでなく車両周囲の全方位の安全性を向上させています。
さらに2017年7月の大幅改良では全車速域でアクセル・ブレーキ・ステアリングの操作をサポートするアイサイトの新機能「アイサイト・ツーリングアシスト」を搭載。ロングツーリングの際の快適性や安心感を大幅に高めると同時に、後退時自動ブレーキシステムやステアリング連動ヘッドランプなどの先進安全装備を追加することで、全方位のにわたる安全性の確保に努めています。
この2017年7月の大幅改良では安全性能の向上だけでなく、サスペンションと電動パワーステアリングの改良によって、乗り心地や操縦安定性、ハンドルのフィーリングを高めています。そしてボディの各所に振動騒音対策を施すことで走行時の静粛性も向上。加えて、1.6Lターボエンジンの制御を最適化し、実用燃費を向上させました。
外観はフロントグリルやフロントバンパー、LEDヘッドライトのデザインを刷新するとともに、フロントフォグランプにLEDを採用したことで精悍さが加わりました。インテリアではインパネやセンターパネルなど各種パネルの質感を向上させるとともに、ナビゲーションのディスプレイを8インチにも対応させることで、より多くの情報を表示できるようになりました。グレードは1.6Lが4グレード。2Lは2グレードの合計6グレードが用意されています。
やる気満々のスタイルと走りは、スバルらしさ横溢!
今回試乗したのは車両本体価格405万円のトップグレード、2.0STIスポーツアイサイトです。1.6L車にも設定されているSTIスポーツはスバルのモータースポーツ部門を統括しているスバルテクニカインターナショナル(STI)とのコラボレーションによって走行性能と質感を高めたモデルで、2016年5月に登場しました。
外観は専用設計のフロントバンパーやグリルを装着。専用チューニングを施し、操縦安定性と乗り心地を両立させたサスペンションには専用の18インチアルミホイールが組み合わされます。ボンネットの大きな空気取り入れ口といい、まさにスバルのスポーツワゴンらしいやる気満々(?)のルックスです。
インテリアはSTIスポーツのテーマカラーである「ボルドー」でコーディネイト。レッドステッチやピアノブラックのパネルと組み合わすことで、大人のスポーティを演出してくれます。
登場した当時のSTIスポーツはスポーティさを強調し、昔のスバルのハイパワー車を彷彿とさせる硬い乗り心地でした。ドライバーの操作に素早く反応してくれるのですが、後席の乗り心地はややガマンを強いられる感じがありました。しかし、今回の改良後のモデルはパスタのアルデンテのように、しなやかな乗り味の中に硬さがある絶妙な乗り味へと変更されています。
意外や快適な室内と抜群の積載能力
ボディ補強の効果で静粛性も高まっていて、この手のクルマとしては車内の会話も苦になりません。300psを発生する2Lターボエンジンはパワフルそのもの。街乗りではエンジンのパフォーマンスを切り替えるSIドライブは穏やかな出力特性となる「インテリジェントモード(I)」で十分。ワインディングなどではアクセル操作にダイレクトに反応するS♯に切り替えるとスポーツツアラーに相応しい走りが堪能できます。
レヴォーグの特徴は高い走行性能だけではありません。アイサイトver.3やアイサイトツーリングアシストという新機能を追加したことで優れた安全性能を実現していることです。新機能のアイサイトツーリングアシストをONにすると、走行時にクルマが左右のどちらかの白線に近づくと車両を中央に自然に戻してくれます。アイサイト使用して、高速道路で追従走行を行うと、カーブでのステアリング操作をはじめ、運転の主要な操作を自動でアシストしてくれるので、本当に疲れづらく、どこまでも運転できる気がしてきます。
そして忘れてはいけないのが、このクルマの積載能力。ホイールハウスの出っ張りが抑えられ、左右いっぱいまで荷物を載せられるカーゴルームは、さすが長年ステーションワゴンを作ってきたメーカーのクルマです。走りを重視しつつも家族や趣味も大事にしたい方には最適な選択ではないでしょうか?
■レヴォーグ価格表
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格(東京) |
---|---|---|---|
1.6GT アイサイト | 4WD | 16 | 282万9600円 |
1.6GT アイサイト Sスタイル | 292万6800円 | ||
1.6GT-S アイサイト | 307万8000円 | ||
1.6STIスポーツ アイサイト | 356万4000円 | ||
2.0GT-S アイサイト | 13.2 | 361万8000円 | |
2.0STIスポーツ アイサイト | 405万円 |
家族も荷物も積めるスポーツカー
レヴォーグは自分が運転を楽しみたいとき、そしてラクして移動したいときなどドライバーの選択によってどちらを選んでも楽しく移動できるクルマに仕上がっています。まさにスポーツカーの運転する楽しさとステーションワゴンの積載性を両立したスポーツツアラーに相応しいモデルです。
※記事の内容は2018年2月時点の情報で執筆しています。