トヨタ「GRヤリス」は走行性能を極めた本格的なスポーツカーであるため、内装のデザインやポケッテリアの充実度などが一般的な車とは異なります。そのため手に入れてから使いにくさを感じることのないよう、車選びの際にはよく確認しておくべきといえます。
ここでは、GRヤリスの内装について詳しくご紹介します。
この記事のPOINT
- 機能性を重視したストイックな室内空間
- 「RZ“High performance”」ではプレミアムスポーツシートを標準装備
- 「RC“Light Package”」を除くグレードには6:4分割可倒式のリアシートを採用
GRヤリスの室内空間の特徴
GRヤリスは、ヤリスとは異なる専用プラットフォームやパワーユニットを搭載し、「WRCで勝つためのマシン」として開発された、シビアに走行性能を突き詰めた本格的なスポーツカーです。
そのためヤリスとはパッケージングも異なり、ヤリスが5ドアハッチバックスタイルの5人乗りであるのに対し、GRヤリスは後席のドアをなくした3ドアハッチバックで、「RC“Light Package”」を除くグレードは4人乗りです。なお、モータースポーツ向けの「RC」をさらに軽量化した「RC“Light Package”」では、リアシートが省かれており2人乗りとなっています。
ベースとなったヤリスのように「低燃費で快適、さらに安全・安心」といった毎日の生活に役立つコンパクトカーとしてではなく、走りを極めるための設計になっているため、室内空間も広く快適であることより走りに適した仕様であることを優先しているという特徴があります。
GRヤリスの内装
ここからは、GRヤリスの内装について見ていきましょう。GRヤリスは日常的な使い勝手の良さにも配慮した「RS」、モータースポーツ向けでカスタマイズすることが前提となっている「RC」、快適さと走りを両立させた「RZ」の3つにグレードが大別されます。
さらに「RS」「RC」は軽量化を図った「Light Package」、「RZ」には限界性能を高めたハイパフォーマンスモデルといえる「High performance」の設定がありますが、インテリアデザインはほぼ共通しています。
コックピット
出典:トヨタ「GRヤリス」EXTERIOR & INTERIOR
走ることに集中できるように余分なものを省き、機能性を追求したコックピットとなっています。ステアリングホイールは握ったときにスポーツ走行に適した姿勢を取りやすいグリップ形を採用するともに、本革巻きとすることでフィット感を高めスポーティーな操舵感を実現します。
なお、「RS」「RS“Light Package”」と上級グレード「RZ」「RZ“High performance”」には、インパネ中央部にオーディオ機能やスマートフォン連携機能を搭載したディスプレイオーディオを標準装備しています。
スマートフォンアプリを使用して音楽の再生や、ハンズフリー通話やメッセージの送信などができるほか、ディーラーオプションのナビキットを装着すればディスプレイオーディオで車載ナビを使用することも可能です。
競技用車両のベースとなるグレード「RC」「RC“Light Package”」では、快適装備はほとんど省かれており、ディスプレイオーディオも搭載されていません。
出典:トヨタ「GRヤリス」
中央に高精細の4.2インチカラーTFT液晶を使用したマルチインフォメーションディスプレイを配置したスポーツメーターは、レッドポインターを採用し、アグレッシブな雰囲気を演出します。
マルチインフォメーションディスプレイには各種ウォーニングのほか、上級グレードの「RZ」「RZ“High performance”」では前後輪トルク配分やターボ過給圧の表示も可能です。
出典:トヨタ「GRヤリス」EXTERIOR & INTERIOR
ペダル類はスポーツモデル定番のアルミペダルを採用しています。レーシーな雰囲気を表現することに加え、アルミペダルは軽量で高剛性なので車両の軽量化にも貢献するメリットがあります。
シート
「RC“Light Package”」「RZ“High performance”」を除くグレードでは、スポーツ走行時でも安心して運転できるサポート性能を確保したファブリック素材のスポーツシートが標準装備されます。
軽量化したガラスやガーニッシュを採用し、さらにリアシートレス、塗装レスなどによって徹底した軽量化が図られた「RC“Light Package”」では、フロントシートも軽量タイプになります。さらにシート表皮はファブリックではなく、身体が滑りにくいスエードが使用されています。
限界性能を高めたハイパフォーマンスモデルの「RZ“High performance”」では、プレミアムスポーツシートが装着されます。
スポーツ走行時に発生する横Gに対して身体をしっかりとサポートするよう、サイドサポートの形状や硬度を最適化し、安定性を高めることで正確なステアリング操作を可能にすることに加え、GRヤリスとの一体感を生み出すことにも貢献します。
シート表皮は合成皮革とスエードのコンビネーションで、機能性を高めるとともに上質なプレミアム感を演出しているのもポイントです。
GRヤリスのポケッテリア
近年の一般的な車、特にファミリー層がターゲットになる軽スーパーハイトワゴンやミニバンには、利便性を高めるさまざまなポケッテリアが用意されています。後席で食事などに利用できるテーブルや、傘を立てた状態で収納できるホルダーなどのユニークなものを採用する車種もあります。
GRヤリスのベースとなっているヤリスでも、買い物アシストシートや助手席シートアンダートレイ、フロントコンソールボックスなどこまごまとしたポケッテリアを採用していますが、GRヤリスはスポーツモデルであるためポケッテリアは必要最小限のもののみにしぼられています。
なお、GRヤリスに用意されているポケッテリアは、チケットホルダー・バニティミラー付きのサンバイザー、助手席グローブボックス、フロントカップホルダー2個、フロントドアポケット&ボトルホルダーのみです。
GRヤリスの荷室&シートアレンジ
GRヤリスでは、定員の4人が乗車した状態であっても174Lの荷室容量を確保しています。
リアシートをすべて倒せば、グランドタイヤ4本に加え工具箱やヘルメットなども積載できます。9.5インチのゴルフバッグであれば2個、さらにいっしょにスポーツバッグを積み込める余裕もあります。
またGRヤリスでは、6:4分割可倒式のリアシートを採用(「RC“Light Package”」を除く)しています。そのため、スポーツモデルであってもリアシートをすべて倒して荷室を拡大するほかにも、シートの片側のみを倒すアレンジも可能です。
シートの片側を倒した状態なら、102Lの大型のスーツケースと80L前後の中型のスーツケースを2個積載することもできます。
スポーツモデルならではのストイックな室内空間のGRヤリス
GRヤリスのような走りを追求したモデルの場合、使い勝手や快適さという部分では一般的な車に後れを取る部分もあるかもしれません。しかしそれを補って余りある魅力があることも事実です。
ただ、一般的に車は長く使用するものなので、家族などほかの方を乗せる予定がある場合は同乗者となる方の意見も取り入れ、無理なく使用できるかどうかよく確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
Q1:GRヤリスの室内空間は?
A:GRヤリスはスポーツモデルということもあり、機能性を重視したストイックな室内空間となっています。なお、ベースとなるコンパクトカーのヤリスは5ドアハッチバックで乗車定員5人ですが、GRヤリスは3ドアで、2~4人乗りとなっており、パッケージングも異なります。
Q2:GRヤリスの内装はグレードによって差がある?
A: GRヤリスの内装はグレードによる差はほとんどなく、一部グレードでシートが異なる程度です。徹底して軽量化した「RC“Light Package”」はスエードの軽量フロントシート、ハイパフォーマンスモデルの「RZ“High performance”」ではホールド性を高めたプレミアムスポーツシートが装着されますが、それ以外のグレードはファブリックのスポーツシートが標準仕様となります。
Q3:GRヤリスはシートアレンジできる?
A:「RC“Light Package”」を除くグレードで6:4分割可倒式のリアシートを採用しているため、リアシートをすべて倒すほか、片側のみを倒すアレンジも可能です。なお、リアシートをすべて倒すとグランドタイヤ4本とヘルメット、工具類などが積み込めるスペースを確保できます。
※この記事は2022年9月時点の情報で制作しています