C-HRは2016年に世界戦略車として登場したトヨタのコンパクトSUVです。トヨタの新しい車作りの概念、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用して開発されたC-HRは、「わが意の走り」をコンセプトにそれまでのトヨタ車の概念を覆すようなしっかりした走りを手に入れ、トヨタの大人気車種となりました。
ハイブリッドモデルの優れた燃費性能や、これまでのトヨタ車とは一線を画すダイヤモンドをモチーフとした個性的でスタイリッシュなルックスも人気の理由でしょう。
エクステリアのデザイン性の高さに注目されがちなC-HRですが、実際にクルマを使用していく上では内装や居住性も大切です。使い勝手のよさを決める座席周りの収納や荷室の積載能力なども気になるところ。
これはC-HRの内装の質感や居住性、そして収納力などをチェックしていきましょう。
C-HRの内装の質感をチェック!
C-HRの内装・シート・インパネ
内装はグレードによってカラーの違いがあります。標準グレードのS/S-Tグレードではブラック一色のすっきりした内装になっています。シートもブラックのファブリック素材、インパネ周りもブラックに統一され、シンプルでスタイリッシュなイメージを与えるものに。
上位グレードのG/G-Tグレードの内装カラーは落ち着いたリコリスブラウンです。シートはブラックのファブリックとリコリスブラウンの本革を使用したコンビシート。さらにファブリック部分にはキルティング加工が施され、高級感のある仕上がりに。
インパネにもリコリスブラウンが効果的に使用され、上質さと柔らかさを演出。センタークラスターなどの加飾部はピアノブラックになり、 S/S-Tグレードのスッキリしたイメージとは対照的に上級グレードにふさわしいラグジュアリーさを感じさせる内装となっています。
また、G/G-Tグレードにはカップホルダー部やドアトリムにブルーのLED室内イルミネーションが装備され、夜間の車内空間を幻想的な雰囲気に演出します。
C-HRの座席周りの収納力は?
座席周りの収納は実際にクルマを使用するにあたってこだわりたい部分。まずは前席周りの収納からチェックしていきましょう。
センターロアトレイ
センタークラスターの下部に小さな収納スペースが用意されています。幅、奥行きともにそれほど大きくないので、スマートフォンなどを収納する場所としておすすめです。
ボックス付きコンソールボックス
運転席と助手席の間のアームレストに収納ボックスが装備されています。 前席周りではここがメインの収納スペースになるでしょう。ある程度の深さがあるので、ポーチやメガネなどを収納できます。
カップホルダー
カップホルダーはセンターコンソール部分に2個装備されています。 このカップホルダーには中敷きが用意されており、収納するドリンクの高さに応じて深さを変更できるようになっています。
G/G-Tグレードではこの部分にLEDイルミネーションがセットされています。
グローブボックス(助手席)
助手席前のグローブボックスは平均的な大きさのもの。ティッシュボックスは収納できないサイズです。
車検証や自賠責保険証入れとしての使用が定番ですね。開口部が広いので出し入れがしやすいようになっています。照明付きなので収納物を探しやすいのもいいですね。
フロントドアポケット(運転席、助手席)
左右のフロントドアの下部に小物を収納できるポケットとドリンクホルダーが用意されています。ポケット部分のサイズはそれほど大きくなく、観光ガイドなどは入らない大きさです。
ハンドクリームやハンドタオルなどの小さなものしか収納できません。
アームレストポケット(運転席、助手席)
左右のフロントドアのアームレストに小さなポケットが装備されています。ガムやリップクリームなど小物の収納に良さそうです。
前席周りの収納はこれだけです。ちょっと寂しい気がしますね。トヨタはもともとこういった小さな収納などがあまり充実していない傾向はありますが、このC-HRではそれが顕著に出ている印象です。
特に運転席周りにもう少し収納が欲しいところです
プリウスなどに装備されているオーバーヘッドコンソールやカードホルダーなどがあってもいいのではないか、とも思うのですが……。
では、続いて後席周りの収納を見ていきましょう。
リアドアボトルホルダー ・ドアポケット
リアドアの左右に独立型の500mlのペットボトルが収納できるボトルホルダーと小物を入れるポケットが装備されています。後席にもドリンクホルダーがきちんと装備されているのは評価できますね。
シートバックポケット(G/G-Tのみ)
上位グレードのG/GTには運転席、助手席の両方にシートバックポケットが装備されています。C-HRではフロントポケットも小さく、地図や観光ガイドが収納できるスペースがないので重宝しますね。できれば全グレードに標準装備してほしい装備です。
全体的に座席周りの収納は少ない印象です。軽自動車までとはいかなくてももう少しこまごまとした収納スペースがあればより便利、というところですね。
C-HRのラゲッジルームは使い勝手良し!
では次にラゲッジルームに注目してみましょう。
C-HRのラゲッジルームの容量はリアシート使用時で318L。 エクステリアの形状がクーペのようなデザインのため、ラゲッジルームの容量が心配になりますがしっかりとした空間を確保しています。
C-HRのラゲッジルームは、2WD車でも4WD車でも、ハイブリッド車でもターボガソリン車でも寸法、容量共に同じとなっています。これは特筆すべき点ですね。
ハイブリッド車や4WD車は、ラゲッジルームの大きさが2WD車やガソリン車より狭くなることがほとんどです。ラゲッジルームの容量を気にすることなく駆動方式やハイブリッド車が選べるのは画期的ですね。
床下収納も全車に用意されています。アウトドアグッズやレジャーで使用した汚れものなどを収納できて便利です。
またC-HRのラゲッジルームには買い物フックやデッキフックも装備。さらにデッキトリム部分にも収納が用意されています。
荷物が多い場合はリアシートを倒すと広大な収納スペースが出現。C-HRのリアシートは6:4分割可倒式になっているので、助手席側の後席だけを倒して長い荷物などをすることも可能です。
ラゲッジルームに関しては収納力、使い勝手ともに合格点といえるでしょう。これはSUVであることが考慮されているのかもしれませんね。
C-HRのラゲッジルームは優秀!座席周りの収納と後部座席の居住性が惜しいポイントか?
C-HRの室内空間は室内長1,800㎜、室内幅1,455㎜、室内高1,210㎜。取り立てて広いわけではありませんがコンパクトSUVとしては平均的な広さでしょう。
天井にはフロントパーソナルランプを中心にダイヤモンド型のくぼみが設けられ、開放感を演出する工夫もされています。
ただC-HRは車体の後部に行くに連れてルーフは低くなるクーペのようなスタイルになっているので、成人男性では後席の頭上が狭く感じてしまうようです。また後席に座った時に顔の横部分に窓がないので、閉塞感を感じる、という声も。
後席にリクライニング機能やスライド機能が付いていない点も、ライバルのホンダヴェゼルなどに引けを取ってしまうポイントなのではないでしょうか。
しかしC-HRの前席は開放感もあり、頭上スペースも確保されているため前席の居住性は問題ありません。やはりクーペのようなパッケージングが後席に影響を及ぼしているのでしょう。
2人乗りのクーペと考えれば居住性は問題ありませんが、常に後席を使用するファミリーユースの場合は少し居住性に不安が残るかもしれません。
ですがC-HRは2017年SUV新車販売台数第1位となっています。それを考えると、燃費性能や走行性能、デザインなど、居住性の不安を補って余りある魅力があることも事実です。
ラゲッジルームの広さや使い勝手は申し分なし。消費者が何を優先するかによってC-HRの評価は変わってくるでしょう。
※記事の内容は2018年11月時点の情報で執筆しています。