車選びは車種を絞り込んだからといって終わりではありません。車種にはいくつかのグレードがあります。車種によってはグレードごとに装備内容が大きく異なることもありますし、見た目や性能などが大きく変わることもありますので、自分に合った車を手に入れるためには事前にグレードの特徴をつかんでおくことが大切です。
ここではトヨタのFRライトウェイトスポーツカー「86」のグレード別の装備内容についてご紹介します。
トヨタ「86」のグレード構成
86のパワートレインは2.0L水平対向4気筒ガソリンエンジンのみです。グレードは「G」「GT」「GT“Limited”」「GT“Limited・Black Package”」の4つに加えて、トヨタのワークス参戦やモータースポーツ活動を担うTOYOTA GAZOO Racingが手掛ける「GR」「GR SPORT」がラインナップされています。
ここからは86のグレード別の装備内容をご紹介しましょう。
徹底して無駄を省いた「G」グレード
「G」出典:トヨタ「86」価格・グレード
基本グレードの「G」グレードでは足回りは16インチのセンターオーナメント付きアルミホイールに15インチフロントベンチレーテッドディスクブレーキ、リヤは15インチリヤディスクブレーキが装備されます。MT車にはトルセンLEDが装備されていますがAT車では省かれています。
エクステリアではリヤスポイラーやマフラーカッターが省かれ、シンプルなルックスです。ヘッドランプはオートレベリング機能付きのLEDヘッドランプ、リヤコンビネーションランプもLEDが採用されていますがフロント・リヤともにフォグランプは搭載されていません。
インテリアはファブリックシート、インパネなどにも余分な加飾は一切ない非常にシンプルな仕上がりです。
エアコンはマニュアル式、スマートエントリー&スタートシステムではなくワイヤレスロックリモートコントロール式が採用されています。
快適機能がプラスされる「GT」グレード
「GT」出典:トヨタ「86」価格・グレード
「GT」グレードではアルミホイールが17インチになり、ブレーキも16インチフロントベンチレーテッドディスクブレーキ、15インチリヤベンチレーテッドディスクブレーキへとグレードアップします。トルセンLEDもMT車・AT車ともに標準装備です。
エクステリアにはマフラーカッターが追加され86の後ろ姿を引き締めます。またエンジンアンダーカバー&プロテクターも装備され空力性能も向上。フロントのLEDフォグランプも装備されました。
シートは上級タイプのファブリックシートになり随所にカーボン加飾が施されるなど86の持つスポーツ性能を表現したインテリアになっています。
エアコンは左右独立温度コントロール機能の付いたフルオートエアコンになり、スマートエントリー&スタートシステムや8スピーカー+2chパワーアンプ、盗難防止のオートアラームなどの機能が追加され快適機能やセキュリティが充実します。
高速道路などにおいてアクセル操作なしで定速走行を行うクルーズコントロールも装備されました。
リヤスポイラーが標準装備になる「GT“Limited”」グレード
「GT“Limited”」出典:トヨタ「86」価格・グレード
このグレードでは「GT」グレードの内容にプラスしてスポーツブレーキパッドやリヤスポイラー、リヤフォグランプが装備されます。フロア下とタンク下にはフロアアンダーカバーも装備されるので、空力性能の向上が期待できます。
インテリアにはリュクスな雰囲気を86にもたらす本革やアルカンターラを使用。運転席と助手席にはヒートシーターが装備され、寒い季節でも快適なドライブを楽しめるように配慮されています。
ブレンボ製のブレーキが特徴の「GT“Limited・Black Package”」グレード
「GT“Limited・Black Package”」出典:トヨタ「86」価格・グレード
「GT“Limited・Black Package”」グレードではブレンボ製の17インチ対向4ポットフロントベンチレーテッドディスクブレーキ、リヤにも17インチ対向2ポットリヤベンチレーテッドディスクブレーキが装備されるのが最大の特徴でしょう。ホイールもブレンボ専用17インチアルミホイールとなります。
そのほかの装備内容はほぼ「GT“Limited”」グレードの内容に準じますが、リヤスポイラーや電動格納式ドアミラーにブラック塗装が施される点が異なります。
スポーツモデルのエントリーグレード「GR SPORT」グレード
「GR SPORT」出典:トヨタ「86」価格・グレード
ブレーキは「GT“Limited・Black Package”」グレードと同じものが採用され、ホイールは専用のセンターオーナメント付きのブラック塗装の17インチアルミホイールになります。しなやかで切れが良いダンピングが持ち味のSACHSアブソーバーが採用されるなど、足回りは通常モデルよりも強化されている印象です。
またリヤサスペンションメンバーブレースを追加し、リヤサスペンションの剛性をアップしてサスペンションの挙動をスムーズにしてタイヤのグリップ力を最大限に発揮するように工夫されています。
エクステリアでは専用のグレーメタリック塗装が施されたフロント・リヤスポイラー、フロントバンパーサイドフィン、サイドステップやフェンダーガーニッシュが装備され、通常グレードとは一線を画しています。もちろんフードサイレンサーやマフラーカッターは標準装備です。
そのほかのおもな装備は「GT」グレードに準じますが、インパネなどにグランリュクスが使用されスポーティさと上質さを感じさせる内装になっています。
本格的スポーツグレードの「GR」グレード
「GR」出典:トヨタ「86」価格・グレード
「GR」グレードではミシュラン製のタイヤが採用され、グレーメタリックの専用デザインの17インチアルミホイールが装備されます。
足回りでは約10mmのローダウンを実現する専用チューニングサスペンション(SACHSアブソーバー+ローダウンスプリング)を装備。
コーナリング時に左右駆動輪に適切なトルク配分を行う専用トルセンLSDに専用大型ベンチレーテッドディスクブレーキ(フローティング<フロントのみ>ドリルドディスク)+モノブロック対向フロント6ポット・リヤ2ポットベンチレーテッドディスクブレーキが採用されています。
専用のレッド塗装とGRロゴ付きなのでホイールの間から鮮やかなレッドが見え隠れし、スポーティさを際立たせます。
専用剛性アップパーツはGR SPORTで採用されたリヤサスペンションメンバーブレースに加えてフロントステアリングラックブレースが追加されました。
エクステリアでは専用フロントスポイラーがアンダーリップ付きになり、インテリアではアルカンターラを使用した専用のレカロシートが装備されます。
スポーツ性能を突き詰めたい方にはたまらないグレードといえるでしょう。
使用目的に合わせて自分に合った86を選ぼう
数あるトヨタ車の中でも異彩を放つFRライトウェイトスポーツカーの86ですが、グレードによって車の使用目的がはっきりと分かれているといってもいいでしょう。
車に詳しく、自分の思い通りに思いっきりカスタマイズしたい方はシンプルな最低限の装備の「G」グレード、86ならではの走りも楽しみながら日常生活でも使用したい方は快適装備が付く「GT」グレード、8+の走りをラグジュアリーな内装で楽しみたいのなら「GT“Limited・Black Package”」グレード、シビアにサーキットでも通用する走りを極めるのであれば「GR」グレード、といった具合です。
スポーツカーとしての機能と普段使いのための装備のバランスやコストパフォーマンスの良さから考えると「GT」グレードが一般的なおすすめグレードになるかと思いますが、一般的なセダンやSUVなどとは異なる個性を持っているのがこの86です。
この車を選ぶ方はその86の個性に惹かれていることがほとんどなのではないでしょうか。86のグレードを選ぶ際にはその86の持っている個性に加えて自分がどんな風に86を使用したいのかをはっきりさせておくことが重要になってくるでしょう。
※記事の内容は2019年7月時点の情報で執筆しています。