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新型【トヨタ アルファード/ヴェルファイア】開発者が語る「ヴェルファイアが上でアルファードが下ということではない」

【新型トヨタアルファード/ヴェルファイア】開発者インタビュー後編「ヴェルファイアが上でアルファードが下ということではない」
【新型トヨタアルファード/ヴェルファイア】開発者インタビュー後編「ヴェルファイアが上でアルファードが下ということではない」

その細やかな観察眼では業界一、二を争うモータージャーナリストの島崎七生人さんが、話題のニューモデルの気になるポイントについて、深く、細かくインタビューする連載企画。第59回は前回に続き「トヨタアルファード/ヴェルファイア」です。明確な差別化が行われたとする2台の「差」や、特にアルファードで注力したという後席の居住性などについて、今回もトヨタ自動車株式会 CV Company CV製品企画 ZH2主査の菅間 隆博(すがま・たかひろ)さんと、トヨタ車体株式会社 製品企画室 ZH 主担当員の水本 大路(みずもと・おうじ)さんにお話を伺いました。

前編「アルファードが売れた理由、ヴェルファイアが消えなかった理由」から続きます

グレードによって差はあるが、基本は全部一緒

グレードによって差はあるが、基本は全部一緒

島崎:ヴェルファイアはブレースが追加されていたりと、お金のかかりかたが違いそうですね?

菅間さん:まあアルファードとの差というとハードウェアでいうとフロントのブレスだけです。価格差はタイヤが19インチであることが大きくて、あとはメッキの加飾の使っている量が少し多いこと。ヴェルファイアが上でアルファードが下ということではありません。

島崎:ボディ骨格とか構造用接着剤も高剛性タイプと高減衰タイプを使い分けていたりとか……。

菅間さん:そういったところは全部一緒です。

島崎:使われているウインドゥガラスなども?

菅間さん:グレードによって差はありますが、基本は全部一緒です。

水本さん:エクスクルーシブラウンジはフロントドアとスライドドアも合わせガラスで、三角窓もアコースティックガラスです。

旧型はメッキ加飾などできらびやか、新型では仕立てや質感を重視

旧型はメッキ加飾などできらびやか、新型では仕立てや質感を重視

ヴェルファイアだけに設定されたサンセットブラウンの内装

菅間さん:見えないですが、トリムの中の、音の進入経路の穴の塞ぎ方も実際はグレードによりちょっと違います。

島崎:煙を通して経路をチェックされたのだとか。

菅間さん:煙が出てくるイコールそこが経路なので、音はそこから伝わってくる。ただし穴を塞げば塞ぐほどドアが閉まりにくくなりますから、そことのバランスを見ながらやっています。

島崎:詰め物をするとドアが閉まりにくくなるというのは、僕も自分のクルマでオーディオ環境を整えようと詰め物をしたりして実感したことがあります。煙までは起こしませんでしたが。そういえば、室内の仕上げも新型はさらにポン!とレベルアップしましたね。見えているところの話ですが、助手席前のグローブボックスのフタの部分も表面にソフトな素材が貼り込んであったり、とか。

旧型はメッキ加飾などできらびやか、新型では仕立てや質感を重視


ヴェルファイアのエクスクルーシブラウンジ

菅間さん:レクサスやランドクルーザーでやっていますが、わかりやすい豪華さというか、従来型はどちらかというとメッキ加飾などできらびやかでした。今は上質さがトレンドで、新型では仕立てや質感を重視しました。なのでブロンズ色のステッチを入れたり革の表皮を巻いてソフトにして、触感もよく時代に合った見た目の質感もいいものにしました。

島崎:ソフトフィールのインテリアは音も吸収してくれて、静粛性にも寄与しますしね。それからセンターディスプレイの操作ロジックも最高のわかりやすさですね。とにかくホームボタンを押せば、LDA(=レーンディパーチャーアラート)やPDA(=プロアクティブドライビングアシスト)の機能のオン/オフも即座にできる。60分の試乗枠でも積極的に触る気になりました。

菅間さん:ありがとうございます。

アルファードで一番注力したのは後席の乗り心地と振動をなくすこと

アルファードで一番注力したのは後席の乗り心地と振動をなくすこと

アルファードのエクスクルーシブラウンジ

島崎:きょうの試乗会は1人で参加していたので、実は後席には座っていないですし、ショーファーで乗るには100年早い身分なのですが……。

菅間さん:あ、そうでしたか。また広報車をお借りになって是非ご体感ください。やはりアルファードでいえば、後席の乗り心地と振動をなくすということは、もう僕らの一番注力した部分でしたので。

島崎:そういう訳できょうは“運転手”に徹していたので制止状態で座っただけで大変申し訳なかったのですが、その分、運転手の立場で言うと、とにかく運転しやすいクルマですね。1850mmってこんなにコンパクトだったかな?と思えるような、クルマとの一体感が味わえる、まるでセダンを運転しているような取り回しのよさや、ステアリングを切ってクルマが曲がってくれるときの自然さはいいですね。

水本さん:ドライビングポジションも、ミニバンですが今回はステアリングホイールを約5度立てて、乗用車に近い感覚で乗っていただけるようにしました。一体感を味わっていただけるのは、そういうところの改善も効いているはずで、SUVに近いね、ひとまわり小さいクルマのようだねといったお声をいただいています。

菅間さん:運転席まわりのパッケージングは前席を25mm後ろに下げていますが、あそこを調整すると今度はこちらの調整が必要で……と大変でしたが徹底的にこだわって、ここだけで1年くらいかけてやっていたほどでした。

島崎:いや、そういうことの成果は従来型と乗り較べたら、違いは大きくてスグにわかるはずです。よくスーパーの駐車場などで奥様が運転しているのを見かけますが、新型であれば、さらに運転しやすいと感じるでしょうね。

水本さん:はい。

島崎:そういった取り回しのしやすさがあって、大画面の操作のわかりやすさ、それと何より走行中の安定感、安心感……やるなぁと思わざるを得ません。

菅間さん、水本さん:ありがとうございます。

島崎:ちなみにレクサスのあのクルマとは血が繋がっていると考えていいのでしょうか?

菅間さん:LMですね。プラットフォームは基本一緒です。ただLMは全長は5mを超えていて全幅も含めてサイズはあちらのほうが大きいです。狙っている味付けもブランドの違いの中でやっています。

上から電動で降りてくることにこだわった後席パワーサンシェード

上から電動で降りてくることにこだわった後席パワーサンシェード

島崎:装備ですが、スライドドアガラスとリヤクォーターガラスの上から後席パワーサンシェードは、アルファードのカタログで“日本ならではの所作を表現”などと書かれてありますが、上から下に降りてくるのはあるようで無かった、ですか?

菅間さん:日本初とか世界初とか書いていないですけど、すごく昔のマツダ・ボンゴフレンディがやっていました。カタログで“トヨタ初”と書いてあるのはそういう訳です。新幹線や飛行機のサンシェードのように、景色も見えるし遮光もできていいなと。それと電動にしたのもこだわったところです。スイッチは運転席とオーバーヘッドコンソールで右2枚、左2枚、さらに窓の近くにもそれぞれあります。使い勝手を考えました。

島崎:構造的にも上の巻き上げる部分とか、設計が大変そうですが。

菅間さん:それは今回、スーパーロングオーバーヘッドコンソールを設定し、とくにサードシート部分のサイドにあったエアダクトなどを中央に寄せられたことで、結果として巻き上げる部分のスペースを上側に作ることができました。

島崎:スライドドア側も?

水本さん:普通は下のドアトリム側に巻いていくのですが、スライドドアの上側に巻くので、できるだけコンパクトに設計しました。オプションのサイドバイザーを付けたときにもその中に収まるようにもしてあります。

島崎:なるほど、カタログには“閉じきる直前はゆっくりと動かす、障子を閉める時のマナーを参考ににした日本ならではの所作を制御によって表現しています”とありますが、旅館の仲居さんのようなということですね。いやはやと申しましょうか、やはりもっとジックリと時間をかけて試乗して、いろいろな装備をことごとく確かめなければいけませんね。

上から電動で降りてくることにこだわった後席パワーサンシェード

ノア/ヴォクシーに続いて採用されたユニバーサルステップはアルヴェルでは運転席側にも設定可能。両側で66,000円とリーズナブルなお値段

水本さん:ぜひ後席にも乗っていただいて、シートアレンジも試してください。

菅間さん:シートアレンジも書ききれないくらい満載なので。

島崎:はい。機会を作って、今度は身分不相応ながら運転手付きで試乗に臨みたいと思います。いろいろなお話をどうもありがとうございました。

(写真:島崎七生人)

※記事の内容は2023年8月時点の情報で制作しています。

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