近年の新型車の多くは、衝突被害軽減ブレーキなどの事故を回避したり衝突被害を軽減したりしてくれる機能に加え、駐車支援などの運転支援技術を積極的に導入しています。そうした先進安全技術の充実度は車によって大きく異なるため、車を選ぶ際には自身が欲しい機能が採用されているかどうかを確認する必要があります。
ここでは、トヨタ「カローラクロス」の安全性能についてご紹介します。
この記事のPOINT
- 2023年10月の改良で「Toyota Safety Sense」の機能を拡大
- 「Z」のハイブリッド車、「S」には高度運転支援機能「トヨタ チームメイト:アドバンスト パーク」の追加が可能
- ガソリン車のみに設定のある廉価グレード「G“X”」は「サポカー」、そのほかのグレードは「サポカーSワイド」に相当
カローラクロスの安全性能の特徴
2021年9月にカローラシリーズ初のSUVとして誕生したカローラクロスは、単眼カメラとミリ波レーダーの2種類のセンサーを組み合わせた信頼性の高い検知システムを搭載する最新鋭のトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備しています。
また、2023年10月の一部改良では、衝突被害軽減ブレーキの作動シーンを拡大、さらに危険に近付きすぎないようにサポートする機能が追加されるなど、「Toyota Safety Sense」がアップデートされました。さらに、最新鋭の高度駐車支援システムを採用するなど、安全性能を引き上げています。
なお、カローラクロスの「G」「S」「Z」はガソリン車、ハイブリッド車ともに「サポカーSワイド」に相当しますが、ガソリン車のみに設定がある「G”X”」は、「サポカー」相当なので注意が必要です。
カローラクロスの先進安全技術
ここからは、カローラクロスに搭載されるおもな先進安全技術にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
プリクラッシュセーフティ
ミリ波レーダーと単眼カメラが前方の車両や歩行者(昼夜)、自転車運転者(昼夜)、自動二輪車(昼のみ)を検知し、衝突の危険がある場合はドライバーに警告します。
警告を受けドライバーがブレーキを踏むと、システムがブレーキアシストして制動力を向上させ、危険回避を図ります。ブレーキ操作がない場合はプリクラッシュブレーキを作動させ、減速もしくは停止することで衝突事故の回避や衝突被害の軽減をサポートする機能です。
2023年10月に行われた一部改良では、交差点右左折時に対向方向から直進してくる車、または横断してくる歩行者や自転車運転者を検知し、衝突のおそれがあればプリクラッシュブレーキを作動させる機能が追加されました。
さらに、交差点に進入する際の出会い頭の事故防止をサポートする機能、ドライバーの回避操舵をきっかけに操舵支援を行う「緊急時操舵支援機能」、低速走行時に自車の直前にいる歩行者や自転車運転者、車両を検知して加速を抑制する機能も搭載され、これまでよりも多くのシーンで衝突の回避・被害軽減をサポートします。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
システムが高速道路で先行車を検知し、車速に応じた適切な車間距離を維持しながら追従走行を支援してドライバーの運転負荷軽減に貢献するシステムです。全車速追従機能がついているため、先行車が停止すると自車も停止し、再発進時はドライバー操作で発進後追従走行を再開します。
また、レーダークルーズコントロールの作動中にウィンカーを作動させると、予備加速や予備減速を行いスムーズな追い越しや車線変更をサポートする機能や、前方のカーブを検知すると必要に応じて速度を抑制して安全に走行できるようサポートする機能なども搭載しています。
レーントレーシングアシスト
車線中央付近の走行を維持するために、必要なステアリング操作の一部をアシストします。
また、車線からはみ出す危険がある場合は警告するとともにステアリング操作を支援し、回避操作を促します。なお、白線のほか、縁石やアスファルトなども境界として認識可能です。車線が検知しにくい状況の場合、先行車を追従してステアリングアシストを行います。
さらに、シーンに合わせてトレース位置を変化させる制御も追加されました。路外にある建築物との距離が近いなど、システムが必要と判断した場合は車線中央付近を外れ回避する方向へトレース位置をオフセットし、安全に走行できるようにサポートします。
ロードサインアシスト
カメラで道路標識を検知し、マルチインフォメーションディスプレイに表示して標識見落とし防止をサポートする機能です。
カローラクロスでは赤信号の検知も可能であり、赤信号を検知しているのに交差点に進入しようとした場合は警告を発してドライバーに注意喚起します。
オートマチックハイビーム
自動でハイビームとロービームを切り替えることで手動切替えの手間を減らすほか、切替え忘れをなくして安全運転をサポートする機能です。
ドライバー異常時対応システム
レーントレーシングアシストの作動中、ドライバーの無操作状態が継続していると判断した場合は音や表示でドライバーに操作を促します。同時にハザード、ホーンで周囲に注意喚起しつつ減速、停止しドアロックを自動解除。さらに緊急時にオペレーターの支援が受けられるコネクティッド機能のひとつ「ヘルプネット®」に自動で接続し、早期のドライバーの救護、救命をサポートしてくれます。
プロアクティブドライビングアシスト
歩行者の飛び出しや横断など、走行中に発生しうるリスクをシステムが先読みして運転操作を支援し、安全運転に貢献する機能です。割込みを検知した際に車間距離が短くなりすぎないように減速支援する機能や、カーブを検知した際に必要に応じて減速する機能、歩行者や自転車運転者等に対して危険が生じないように操舵支援や減速支援をする機能などがあります。
パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)(G“X”を除くグレードに標準装備)
コンビニエンスストアのガラスや壁などの障害物を認識している場合、エンジンやハイブリッドシステムの出力を制御して急発進を抑制するようにサポート。それでも障害物との距離がさらに縮まった場合にはブレーキ制御も行い、衝突の回避や衝突被害軽減を支援します。
このほか、先行車の発進や信号の切り替わりを検知してドライバーに知られる機能が全車標準装備です。
オプションで追加できる先進安全技術
カローラクロスには、先進安全技術のオプションも多数用意されています。
トヨタ チームメイト:アドバンスト パーク+パーキングサポートブレーキ(周囲静止物)(Zのハイブリッド車、Sにメーカーオプション)
駐車時にシステムがステアリングとペダル操作を支援し、スムーズに駐車できるようにサポートしてくれる高度運転支援機能です。カローラクロスではバック駐車のほか、前向き駐車、バック出庫、縦列駐車にも対応しています。
また、カメラやソナーで周囲を監視し、障害物と接触する危険があればブレーキ制御を行う機能も搭載しているので、駐車が苦手な方でも安心です。
ブラインドスポットモニター+安心降車アシスト(G“X”を除くグレードにメーカーオプション)
「ブラインドスポットモニター」は、隣接する車線後方から接近する車両を検知し、ドライバーに注意喚起することで車線変更時の危険を知らせる機能です。
ブラインドスポットモニターの機能を活用したのが「安心降車アシスト」で、後方から接近する自転車を含む車両を検知して開放時のドアや降車した乗員と接触する可能性がある場合はドアミラーのインジケーターで危険を知らせるほか、危険がある状態でドアを開けようとした場合はドアミラーのインジケーターに加え、メーター表示でも注意喚起します。
また、「S」「Z」には、ディスプレイオーディオに車両を真上から見下ろしたような映像を映し出して安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」もオプション設定されています。
カローラクロスは先進安全技術の充実度がグレードによって異なる
カローラクロスは多くの先進安全技術を採用していますが、標準装備される機能がグレードによって異なることに加え、オプションで追加できる機能に差があります。
どの程度の安全性能を求めるのかをよく考え、自身が欲しい機能があるのはどのグレードか、オプションは追加可能なのかをしっかりと見極める必要があるといえるでしょう。
よくある質問
Q1:カローラクロスに搭載される先進安全技術にはどのようなものがあるの?
A:交差点での衝突回避支援にも対応した「プリクラッシュセーフティ」、車速に応じた車間距離を維持しながら停止まで先行車に追従する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」、車線中央付近の走行を維持するようにステアリング操作の一部を支援する「レーントレーシングアシスト」、走行中に生じるリスクを先読みしてステアリングやブレーキ制御を行う「プロアクティブドライビングアシスト」などの多彩な機能が搭載されています。
Q2:カローラクロスはどの「サポカー」に該当するの?
A:「Toyota Safety Sense」と「パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)」を搭載する「G」「S」「Z」はガソリン車、ハイブリッド車ともに「サポカーSワイド」の認定を受けています。ガソリン車のみに設定のある廉価グレード「G“X”」は「パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)」非搭載のため、「サポカー」の認定にとどまります。
※この記事は2024年1月時点の情報で制作しています