ブレーキは車の安全のために欠かせないパーツですが、その中の部品のひとつに「ブレーキパッド」があります。車検の際にはブレーキパッドの交換をすすめられることがありますが、それはなぜでしょうか。もし交換しないとどんなことが起こるのでしょうか。
車検におけるブレーキの審査基準をはじめ、ブレーキパッドの役割や消耗したものを使い続けた場合の危険性、交換の時期や料金の目安についてご紹介します。
車検時のブレーキパッドの審査基準は?交換は必要?
車検でブレーキパッドの交換をすすめられたら、整備士に言われたとおりに交換したほうがいいのでしょうか。車検における審査基準や交換をすすめられる理由についてご紹介します。
ブレーキパッドの測定方法と審査基準
実は、車検ではブレーキパッドそのものの検査項目はありません。ブレーキパッドはブレーキをかけるたびに摩耗していく消耗品ですが「厚さ○mmになったら交換が必要」というような規定はないのです。
検査場での検査では「ブレーキが利くかどうか」を確認するだけなので、ブレーキパッドの減り具合を検査することはありません。ですので、車検に合格することだけを考えるのであれば、ブレーキが利きさえすれば、ブレーキパッドを交換する必要はないということになります。
車検の見積もりでブレーキパッドの交換をすすめられる理由
それではなぜ、車検のタイミングでブレーキパッドの交換をすすめられるかというと、車検の時期を目安に交換することにより、ブレーキパッドの交換忘れを防ぐことができるからです。
車検ではブレーキが利くかどうかを確認するだけです。車検に取ったからといって、次の車検時までブレーキの性能が保証されるわけではありません。車の安全を考えたら、ブレーキパッドは早めに交換しておいたほうがよいでしょう。
検査場によっては、安全性という観点から、整備記録簿をチェックした段階で合格と判断されないケースもあります。
ブレーキパッドをそのまま使い続けたらどうなる?
ブレーキが利きさえすれば、ブレーキパッドを交換しなくても車検に通る可能性はあります。しかし、交換せずに使い続けてかなり摩耗が進んでしまったら、事故につながる可能性がありたいへん危険です。
そこで、ブレーキパッドの役割とブレーキのしくみを基に、摩耗の進んだブレーキパッドを使い続けた場合に起こりうるリスクをご紹介します。
ブレーキパッドの役割とブレーキのしくみ
ブレーキは、おもにディスクローターとブレーキキャリパー、ブレーキパッドという3つの部品で構成されています。ディスクローターはタイヤのホイールと同調して回るディスク型の部品で、ブレーキキャリパーは油圧でディスクローターにブレーキパッドを押し当てる役割を持つ部品、ブレーキパッドはブレーキキャリパーからの圧力でディスクローターを挟み込み、その摩擦で回転を止める部品です。
運転席でブレーキペダルを踏むことによって、ブレーキフルードと呼ばれるオイルを通してブレーキキャリパーへ力が伝わり、その圧によってブレーキパッドがディスクローターに強く押し当てられます。そのとき、ディスクとパッドが強く摩擦することにより、車の運動エネルギーが摩擦熱に変換されて、車を減速・停止させるのです。
このように、ブレーキパッドがディスクローターと摩擦することによりブレーキが働くので、ブレーキを使えば使うほどブレーキパッドはすり減っていくことになります。
ブレーキパッドが摩耗したまま車に乗り続けるリスク
ブレーキを継続的に使うとブレーキパッドは少しずつすり減っていきますが、そのまま交換せずにブレーキパッドを使い続けていくとどのようなリスクがあるでしょうか。
●ディスクローターが傷付く
ブレーキパッドの摩擦材部分がすり減ってしまうと、本来はディスクローターにふれるはずのない金属部分が露出してしまい、ディスクローターが傷付いてしまいます。損傷がひどい場合には交換が必要になります。
●ブレーキフルードが劣化する
ブレーキの摩擦熱によってブレーキキャリパーに熱が伝わると、ブレーキフルードが沸騰しやすくなり、劣化が早まってしまいます。
●ブレーキが利かなくなる
ディスクローターの損傷やブレーキフルードの劣化など、周辺の部品に負担がかかることにより、結果的にブレーキの故障につながります。ドライバーはもちろん、周囲の人命を脅かす事故につながりかねず、たいへん危険といえます。
費用の心配なく定期的にブレーキパッド交換ができる方法はこちら
ブレーキパッドの交換時期の目安
一般的に新品のブレーキパッドの厚みは10mmほどありますが、厚みが2~4mmくらいになったら交換したほうがいいでしょう。ただし、構造上、ブレーキパッドの厚さを外側から確認するのは難しいので、走行距離が交換のタイミングのひとつの目安になります。
ブレーキの使用頻度など運転の仕方にもよりますが、一般的に走行距離10,000kmごとに1mm減るといわれています。ただし、ブレーキパッドはすり減ってくると熱を持ちやすくなり摩耗が早くなるので、普通車なら30,000~40,000km、軽自動車なら40,000~50,000kmくらいでの交換が望ましいといえるでしょう。
ブレーキパッドの残量を確認する方法
ブレーキパッドの残量をチェックするには、走行距離を目安にする以外にも、次のような方法があります。
分解して目視で確認する
一番確実な方法としては、ホイールを外して目視で確認することです。ただし、車の整備に関する技術と経験がある方以外は、お店などに依頼したほうがいいでしょう。
●ブレーキパッドの残量を目視する手順
- ジャッキを使って車を浮かせる
- クロスレンチで、ボルトやナットをすべて取り外す
- ホイールをハブから抜き取る
- ブレーキキャリパーの点検窓から、ブレーキパッドの厚みを確認する
ホイールによっては、つけたままでも点検窓が見える場合もあります。
パッドウェアインジケーターを利用する
ブレーキパッドには交換時期を知らせてくれる「バッドウェアインジケーター」という機能がついています。機械式と電子式の2種類があり、それぞれ次のようなしくみになっています。
機械式では、ブレーキパッドの中に金属片が入っており、その部分まで摩耗が進むと、ディスクローターとすれ合って「キーキー」という音が発生します。国産車ではこの機械式が主流となっています。
一方の電子式は、ブレーキパッドに電線が取り付けられており、摩耗が進むとこれが切断されて、インストルメントパネルの警告灯が点灯します。国産の高級車や輸入車に多い方式です。
ブレーキフルードの残量から推測する
ブレーキフルードが入っているリザーバータンクには、「MIN」と「MAX」(または「LOWER」と「UPPER」)のラインがついており、液面がそのあいだにあれば問題はありません。しかし、液面はブレーキパッドの摩耗に応じて下がってくるので、MIN(またはLOWER)のライン近くまで下がっている場合は、ブレーキパッドの交換が必要と考えられます。
ただし、これはブレーキパッドとブレーキフルードを同時に交換した場合のみ使える方法です。ブレーキパッドの交換後にブレーキフルードが補充してあると、液面の高さが変わってしまうため確認はできません。
大手事業者に整備を依頼できる方法はこちら
レーキパッドの交換にかかる費用
ブレーキパッドは定期的に残量をチェックして、早めに交換をするに越したことはありませんが、交換の際にかかる費用はいくらくらいになるでしょうか。費用を安くする方法もご紹介します。
交換費用の目安
ブレーキパッド本体の価格は、軽自動車、普通車などの車種により異なります。左右両輪で1セット、フロント用とリア用がありますが、目安としてはそれぞれ、軽自動車なら1セット7,000円ほど、普通車で1セット8,000円ほどです。ブレーキが大きい高級車やスポーツカー、ミニバンは1セット15,000円以上になることもあります。
工賃も車種によって異なり、軽自動車で1セット6,000円ほど、普通車で1セット8,000円ほどですが、高級車やスポーツカーはさらに高額になると考えていいでしょう。
交換費用は車種だけでなく業者によっても異なるので、事前に見積もりをとるのがおすすめです。
交換費用を少しでも安くする方法は?
ブレーキパッドの交換は、一般的にディーラーよりもカー用品店や修理工場に依頼したほうが安くなります。
ただし、カー用品店などでは社外品を使用して交換だけをするのに対して、ディーラーでは純正部品を使用して、ブレーキ周りのメンテナンスもしてくれます。安心感を求める方はディーラーを利用するのがいいかもしれません。
また、車検や12ヵ月点検の際にブレーキパッドの交換をしてもらうことで、工賃が安くなることもあります。点検の際、車体をリフトアップしてタイヤを取り外したときに、併せてブレーキパッドの交換もしてもらえるからです。
また、交換はフロントとリアを別々に行うよりも、4ヵ所同時に行うほうが工賃が安くなることが多いです。
ブレーキパッドの消耗を抑える運転とは
ブレーキパッドは車の安全にとって大切な部品ですが、交換するとそれなりの費用がかかってしまいます。できれば長持ちさせたいところですが、そのためにはどんな運転を心掛ければよいでしょうか。いくつかポイントをご紹介します。
急ブレーキをかけない
先ほどふれたとおり、ブレーキパッドはブレーキペダルを踏む度に少しずつすり減っていくものです。そのためブレーキを踏む動作が多くなったり、急ブレーキをかけたりすると摩耗が早く進んでしまいます。
車間距離をあけて適度なスピードで運転すれば、エンジンブレーキで間に合うことが多いので、無駄にブレーキを踏んだり、急ブレーキをかけたりすることが少なくなります。
乱暴な運転をしない
必要以上に車間距離を詰めたり、急な加速を繰り返したりといった乱暴な運転は、交通マナーという点からも好ましいものではありません。こうした運転をするとどうしても、急ブレーキもブレーキ動作自体も頻繁になってしまうので、ブレーキパッドが摩耗するスピードが速くなってしまいます。
マナーを守った安全運転が、ブレーキパッドにとっても優しい運転といえるでしょう。
下り坂や山道ではエンジンブレーキを利用する
下り坂や山道では平らな道よりも加速しやすく、ブレーキを踏む回数が増えてしまいます。このような場合には、早めに低いギアにシフトすれば、エンジンブレーキが働いて勾配による加速を抑えられます。
フットブレーキにばかり頼らず、エンジンブレーキを上手に使うといいでしょう。
車検やブレーキパッドの交換費用を抑える方法
ブレーキパッドは重要な部品なので定期的なチェックと交換が必要になりますが、それにはまとまった費用がかかります。しかし、費用を心配せずにメンテナンスをしっかり行いながら車に乗る方法があります。
その方法とは、「おトクにマイカー 定額カルモくん」を利用することです。なぜ、定額カルモくんを使うと出費を気にせずブレーキパッドの交換などができるのか、ご紹介します。
定額カルモくんでブレーキパッドの交換費用を抑えられる理由
定額カルモくんは、毎月定額の料金を支払うことで車に乗れる、車のサブスクリプションサービスです。
定額の料金には、車検の際に必要になる法定費用が含まれていますが、さらにオプションのメンテナンスプランをつけることで、車検費用や普段のメンテナンス費用まで月額料金にまとめられます。
ブレーキパッドの交換にかかる部品代や工賃も対象になるので、別途費用を用意する必要がありません。
全国30,000店舗以上の大手事業者が定額で利用できる
メンテナンスプランに加入すれば、車検やメンテナンスの際に全国30,000店以上の大手事業者が利用可能になります。もちろんブレーキパッドの交換も、自宅の近くにある信頼できる業者に任せることができて安心です。
このほかにも、定額カルモくんには次のようなメリットがあります。もし車検費用が高いと感じたなら、定額カルモくんへの乗換えを検討してはいかがでしょうか。
〈そのほかの定額カルモくんの特徴〉
- メンテナンス費用込みで月々10,000円台から利用できる
- 1~11年のあいだから1年単位で契約期間が選べる
- 7年以上の契約の場合、走行距離制限がない
- 7年以上の契約の場合、車をもらえるオプションが利用可能*
- マイカーコンシェルジュに契約前から無料で相談が可能
*月額500円かかります
車の安全のため、ブレーキパッドは定期的な交換を
車検ではブレーキパッドの残量に関する規定はありませんが、摩耗の進んだブレーキパッドを使い続けてしまうと大きな事故につながりかねません。定期的な残量のチェックと交換を心掛けましょう。ブレーキパッドなどの交換やメンテナンスにかかる費用、車検費用が気になる方は、カーリースの利用を検討してはいかがでしょうか。
カーリースを検討するなら、業界最安水準でサービスが充実している定額カルモくんがおすすめです。定額カルモくんの相談窓口、マイカーコンシェルジュへはこちらからつながります。契約する・しないにかかわらず何度でも無料で相談できるのでお気軽にどうぞ。
よくある質問
Q1:ブレーキパッドは車検時に交換したほうがいい?
A:車検ではブレーキが利くかどうかを検査しますが、ブレーキパッドの厚みは調べません。つまり交換しなくても、ブレーキが利けば車検には通ります。しかし、車の安全上重要な部品なので、車検のタイミングで交換しておくのがおすすめです。
Q2:ブレーキパッドの交換費用はどのくらい?
A:部品は1セットの目安として、軽自動車なら7,000円ほど、普通車なら8,000円ほどです。工賃は軽自動車なら6,000円ほど、普通車なら8,000円ほどとなりますが、スポーツカーや高級車はさらに高額になります。
Q3:ブレーキパッドを交換しないとどうなる?
A:ブレーキパッドはブレーキを踏む度にすり減っていきます。すり減ったブレーキパッドを交換せずにそのまま使い続けると、最悪の場合ブレーキが働かなくなりたいへん危険です。人命に関わる事故につながる可能性もあります。
※この記事は2022年1月時点の情報で制作しています