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「トヨタカローラ クロス」これからの時代の「ど真ん中商品」(岡崎五朗レポート)

「トヨタカローラ クロス」これからの時代の「ど真ん中商品」(岡崎五朗レポート)
「トヨタカローラ クロス」これからの時代の「ど真ん中商品」(岡崎五朗レポート)

全世界で5,000万台を販売したトヨタのカローラシリーズに、待望のSUVモデル「カローラ クロス」が追加されました。C-HRやヤリスクロスなど身内も含めたライバルがひしめくコンパクトSUVで、カローラ クロスの存在意義とは何なのか。岡崎五朗さんがレポートします。

もはやSUVは流行商品ではなくなった

もはやSUVは流行商品ではなくなった

カローラはトヨタ、いや世界を代表するベストセラーカーだ。1966年からの累計販売台数は5,000万台!とくに性能が高いわけでもスタイリッシュなわけでもないけれど、使いやすさや経済性、信頼性にとことんこだわったクルマ作りは世界中で愛され続けている。クルマ好きはピンとこないかもしれないが、日常の足としてクルマを使っている人々にとって、カローラほど「ちょうどいい」クルマはないことを、5,000万台という数字ははっきりと物語っている。

そんなカローラに、ついにSUVが加わった。これが意味するのは、SUVはもはや流行商品ではなくなったということ。普通の人が普通に買う普通の商品として定着したからこそ、トヨタはSUVにカローラの名を冠してきたということだ。

小さすぎず大きすぎず、取り回しは上々

小さすぎず大きすぎず、取り回しは上々

そんななかカローラ クロスはどんな価値を提供してくれるクルマなのか。SUVはいまや星の数ほどあるが、カローラを名乗る以上、必須ポイントになるのが「ど真ん中商品」であることだ。そこで重要になるのがボディサイズだが、全長4,490mm×全幅1,825mm×全高1,620mmというスペックはコンパクトSUVのグローバルスタンダード(カローラ クロスは世界中で販売される)。街中を含めた日常の使い勝手にも配慮した「小さすぎず大きすぎず」という表現がぴたりと当てはまるサイズだ。狭い駐車場を利用するときなど、日本では全幅を意識させられるケースも出てくるだろうが、高めのアイポイントと死角の少ない視界作り、最小回転半径5.2mという優れた小回り性などによって、取り回し性は上々だ。

小さすぎず大きすぎず、取り回しは上々2

デザインもカローラらしい仕上がりだ。カッコよさのために視界の広さを潔く諦めたC-HRとは対照的に、運転席からの斜め後方視界や後席の開放感はすこぶる高い。際立つスポーティーさや個性は感じられないが、しかしこれが「カローラらしさ」なのだ。

広い荷室、キラリと光るユーティリティ

広い荷室、キラリと光るユーティリティ3

広い荷室、キラリと光るユーティリティ

広い荷室、キラリと光るユーティリティ2

とはいえ、どの部分を切り出しても「普通」では愛される商品にはなれない。「カローラである以上、全体的にバランスのとれた商品であることが求められますが、どこかにキラリと光る部分を盛り込むことも重要です」というのが開発者の弁。ではキラリと光る部分はどこなのかというと、ユーティリティである。487Lという荷室容量はクラストップレベル。後席もゆったりしている。4人乗車で旅行するとか、キャンプ道具をたくさん積み込んでフィールドに出かけるといった使い方をしたとき、この広さはC-HRやヤリスクロスにはない価値を提供してくれる。

ハイブリッドを選ぶ価値

ハイブリッドを選ぶ価値

パワートレインは1.8Lガソリンと1.8Lハイブリッド。ガソリン車のコストパフォーマンスの高さと軽快な走りも魅力だが、人気はハイブリッドだ。電気モーターにアシストされた加速フィールはなかなか気持ちいいし、それでいて燃費は実用で20km/Lに届く。ガソリンとハイブリッドの価格差は35万円。もとを取るにはそれなりの距離を走る必要があるが、強力なモーターアシストによる加速性能と、昨今のガソリン価格高騰を考えれば、ハイブリッドを選ぶ価値は大いにある。

ハンドリングはとことん素直。乗り心地もいい。動力性能を含め尖った部分はどこにもないが、運転に自信のない人でも気楽に、思い通りに走らせることができ、同乗者も安心していられる・・・そんな仕上がりだ。

購入者は20代、30代が中心

購入者は20代、30代が中心

セダン、ステーションワゴン、ハッチバックと比べ、カローラ クロスの購入者には20代や30代の若い人が多いという。これまでカローラには関心のなかった新しい顧客を迎えることで、カローラシリーズの人気はより盤石になった。カローラ クロスはこれからの時代の「ど真ん中商品」になりそうだ。

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※記事の内容は2021年11月時点の情報で制作しています。

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