初代デビュー時から、マツダのかかげる「zoom-zoom」コンセプトを基に開発されたアテンザはスポーティーなイメージを3代目まで継承しています。2012年に登場した3代目アテンザは先代CX-5に続くフルスカイアクティブ第二弾としてデビュー。特に国内初搭載となったクリーンディーゼルエンジン車に注目が集まりました。安全性能や快適装備を踏まえると、今、中古車として購入するなら3代目でしょう。約10年間販売されていたため中古車は数多く流通。今回は中古車のアテンザならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のマツダ「アテンザ」は2018年5月以降のXD PROACTIVE
- デビュー以降、先進安全装備やパワーユニットの改良が加えられているのでモデル時期をチェック
中古車アテンザ、おすすめモデルはずばりこれ。自分なら2018年6月以降のXD PROACTIVEを220万円以内で買う!
アテンザはもちろん、近年のマツダ車は登場後、毎年のように細かい改良や変更が行われています。もちろん、年々改良が加えられることは良いことなのですが、一方で新車を購入した直後に改良型が出たユーザーの中には「改良されることを知っていれば……」と残念な思いをした方もいるでしょう。
ゆえに中古車を選ぶ際には自分が求める性能や装備が加わったタイミングのモデルを選ぶことが重要になります。
当然、予算との兼ね合いになってきますが、購入したら長い間、愛車として日々使用することを考えると、なるべく今時のクルマに求められる性能を有しているかどうかを優先して選ぶべきでしょう。
そんなことを考えた場合、おすすめしたいのが2018年6月に大幅改良が施されたディーゼルエンジン搭載のXD PROACTIVE。
大幅改良によりエンジンフィールが格段に洗練されトルクも高まったディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」は現行のマツダ6と同じ新しい世代のものです。ガソリン価格が高値で推移している昨今、燃料代が抑えられるメリットもあります。
また、この大幅改良で先進運転支援装備も進化。衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者対応となり、車間距離を自動制御できるレーダークルーズコントロール(ACC)も全車速対応に。またオートホールド機能を標準装備、360°ビュー・モニターを一部グレードにオプション設定するなど、現行車種にひけを取らない装備が追加されています。
ただ、ネックは中古車価格が安い車両でも200万円を超えること。そのため、同じディーゼルエンジンを搭載したベースグレードのXDのほうがいいのでは、と思いがちですが、実はXDだとACCとレーンキープアシスト、360°ビュー・モニターなどの先進運転支援装備がオプションでも装着できないという大きなデメリットがあります。
XD PROACTIVEの流通台数も決して多くはありません。それでも今アテンザの中古車を買うのであればイチオシはこれだと断言します。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のアテンザ
イチオシモデルとして紹介したXD PROACTIVE以外にも、アテンザはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。リーズナブルな車両も出回っていますが、その大半は前期モデル。走行距離が5万km以下で高年式のモデルはそこまで多くはありません。マツダはデビュー後、細かい改良を頻繁に加えることが特徴ですので、値段の安さだけを見て中古車を買うのではなく、パワーユニットや安全装備など重視するポイントを踏まえた上で探しましょう。
アテンザのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
2002年5月20日、初代アテンザが登場。日米欧市場で販売していたカペラの後継モデルとなるミディアムクラスの新型車として開発されました。
デビュー時は2L直4と2.3L直4エンジンを搭載する4ドアセダンと5ドアのスポーツを用意。6月24日よりステーションワゴンの販売を開始しました。
2005年6月23日にマイナーチェンジを実施。
エクステリア&インテリアデザインを変更し電子制御5速ATを全車に設定しています。
2005年8月より2.3L直噴ターボエンジンを搭載するマツダスピードアテンザの販売を開始。
2008年1月29日にはフルモデルチェンジで2代目が登場。
スポーティーなイメージはそのままに質感を高めるキープコンセプトで開発された2代目はボディも4ドアセダン、5ドアスポーツ、ステーションワゴンの3タイプを踏襲。パワーユニットは2L直4と2.5L直4エンジンを用意しました。
2008年12月17日には特別仕様車「2.0 Style edition(スタイルエディション)」を設定。
2010年1月26日にはマイナーチェンジを実施。
パワーステアリング、サスペンションの特性を改良することで高速走行時の直進安定性を向上。フロントマスクやリアコンビランプなどエクステリアのデザインを変更しています。
2012年11月20日、3代目アテンザが登場しました。
「魂動」デザインによる伸びやかでスタイリッシュなエクステリアを身にまといデビューした3代目は、2L&2.5Lガソリンエンジンに加え、2.2Lクリーンディーゼルエンジンをラインナップ。
初代、2代目に設けられていた5ドアHBは廃止され、セダンとステーションワゴンの2タイプとなりました。
2013年11月1日には低速走行時の衝突被害をブレーキの自動制御で軽減する「SCBS(スマートシティブレーキサポート)」を標準装備。また、2.5Lエンジン搭載機種のJC08モード燃費を16.0km/Lへと向上する一部改良を行いました。
2014年11月20日にはLEDアレイ方式グレアフリー(防眩)ハイビームを備えた新世代ヘッドライトシステム「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」を搭載するなど、先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」の機能性向上を図る大幅改良を実施。併せて新構造の前後ダンパー、フロントロアアームのブッシュ形状最適化などにより走行性能も高め、エクステリア&インテリアデザインも変更しました。
2016年8月25日にはディーゼルエンジンの改良や「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」の視認性向上、エクステリアデザインの一部改良などを実施。
また先進安全装備も近赤外線レーザーセンサーだった検知デバイスをフォワード・センシング・カメラに変更することで検知対象を車両のみから、歩行者にまで拡大しています。
2017年8月3日に、全機種にマツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を標準装備とすることを発表。
2018年5月24日にはフロントグリルやインテリアデザインを変更する大幅改良を実施。
併せて先進安全装備でも夜間における歩行者認識精度の向上を図るなどの改良が行われています。
2019年7月4日には、アテンザからマツダ6へと車名を変更することが発表されました。
これはマツダブランドを鮮明化することが目的で、アクセラやデミオも同様に車名変更が行われています。
マツダ6に車名を変更すると同時に2.5Lターボエンジンが追加され安心感のある走りを実現する「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC+)」が全グレードに標準設定となっています。
こちらもおすすめ!タイプ別にアテンザの中古車を選ぶなら
●MTならではの楽しさを味わいたいなら「XD」 中古市場の相場40万〜200万円
アテンザにはマツダ自慢のディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」が搭載されています。
ひと昔前までのディーゼルエンジンといえば、うるさいしパワーもないという印象がありましたがこのエンジンは大違い。アイドリング時や加速時に発生するカラカラ音は非常に小さく、ディーゼルエンジンはやかましいという印象も持つ人が運転するとその違いに驚嘆するレベルです。
またレッドゾーンまでパワフルに回り力強い走りを見せることも特徴。筆者はデビュー時、鹿児島でディーゼルエンジン搭載車に試乗しましたが、ガソリン車より峠道を走るのが気持ちよかったことをよく覚えています。
しかも、ディーゼルエンジン搭載車はMTを選択できるのも魅力。いまだに少なからずいるクルマを自ら操りたい人にとって、アテンザの中でも比較的リーズナブルに購入できるXDはおすすめのグレードです。
●ガソリン車が欲しいなら装備充実でお得な「25S Lパッケージ」 中古市場の相場90万〜270万円
アテンザのパワーユニットで選ぶとき、大きく分けるとガソリンかディーゼルとなります。そのうちガソリンは2Lと2.5Lを選択できるのですが、当然、車両価格は2.5Lのほうが高くなります。
しかし、新車で購入する場合、2Lエンジン搭載車と2.5Lエンジン搭載車の車両本体価格を比較した場合、500ccの排気量の違いや装備を考えると2Lは相対的に割高。
また中古相場も20S PROACTIVEは110万〜250万円となるため、あえて2Lエンジン搭載車を選ぶ理由はなくなります。
そういう意味でガソリン車を選ぶ場合は25S Lパッケージがおすすめ。特に、安全装備が充実した2015年以降のモデルを選ぶのがベストです。
●今はなき5ドアHBを求めるなら「2代目アテンザスポーツ」 中古市場の相場20万〜110万円
初代、2代目に設定されていた5ドアHBのスポーツ。3代目では廃止されましたが、開口部が大きくリアシートがコンパクトに収納できることでラゲッジの床がフラットになるなどセダンより実用的なラゲッジルームを有していました。
当然ワゴンほどの積載能力はありませんが、それでもリアにハッチゲートが備わっているのはなにかと使い勝手が良いものです。
正直、今2代目アテンザを購入する理由は少ないのですが、5ドアHBのスポーツが欲しいなら話は別。タマ数も多くはないですが(2代目としては)高年式で走行距離が5万〜7万kmと比較的条件が良い車両も見受けられます。
中古車のアテンザならではのチェックポイントはココ
一部改良、大幅改良時期を要チェック
先程も述べたように、アテンザはデビュー後に一部改良や大幅改良が行われています。
特に先進安全装備の改良や機能追加が頻繁に行われているため、実際に欲しい機能が装着されているかについて知るには中古車のモデルと改良された時期の確認が必要です。
ちなみに現在のクルマに必要とされる安全装備を求めるのなら、少なくとも検知デバイスをフォワード・センシング・カメラに変更することで検知対象を車両のみから、歩行者にまで拡大した2016年8月以降の中古車を探す必要があります。
レーダークルーズコントロールやレーンキープアシストは20S、XDには装着不可
後期型のアテンザは先進安全装備が充実しています。ただし、一部機能が装着できないグレードがあることに注意が必要。
長距離ドライブで運転の負担が大幅に軽減するレーダークルーズコントロールやレーンキープアシストは、20S、XDではオプションでも装着することができません。
これらの装備を求めるなら、ガソリン車であれば20S PROACTIVE以上のグレード、ディーゼル車であればXD PROACTIVE以上のグレードを探す必要があります。
アテンザの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
FR&走るハイブリッドモデルが欲しいなら「日産現行型スカイライン」
13代目となる現行型スカイラインが登場したのは2013年。3.5LV6エンジン+モーターを搭載したハイブリッド仕様とメルセデス・ベンツ製の2L直4ターボエンジン搭載車を用意。2019年のマイナーチェンジで2Lエンジンが廃止。3LV6ターボエンジンへと変更になりました。
駆動方式やパワーユニットの違いこそあれ、国産ラグジュアリーセダンとしてスカイラインがアテンザのライバルであるのは間違いありません。アテンザ同様、走行性能を重視したセダンですが軽快な走りを求めるなら2Lエンジン、グランドツーリング性能重視ならハイブリッドの選択がおすすめです。
スカイラインは新車価格が435万円のため、1クラス上のセダンかと思われますが中古車は別。実は、プロパイロット2.0が搭載されていない2019年7月以前のモデルは入手しやすい価格で販売されているのです。
現在の中古車相場は90万〜390万円。プロパイロット2.0が搭載されていなくても先進安全装備が充実しているだけでなく快適装備も満載の現行型スカイラインは中古市場において強力なライバルです。
水平対向エンジンと伝統の4WDがもたらす動力性能重視なら「スバルWRX S4」
スバル自慢の水平対向エンジンと4WDシステムが備わるWRX S4。すでに生産が終了し在庫対応となっており次期モデルの登場をファンは期待している状態です。
ラグジュアリー志向というよりは動力性能重視のイメージが強いWRX S4ですが、特に2Lターボエンジン搭載車の走行性能は抜群!走る楽しさを味わうのなら、アテンザよりWRX S4のほうが向いているといえるでしょう。
現在の中古車相場は人気モデルのため130万〜510万円と高値がついています。動力性能はもちろん先進安全装備のアイサイトが備わっていることも人気の理由といえるでしょう。
ただ、ラグジュアリーを求めるならアテンザに劣ります。走りをとるかラグジュアリーな雰囲気を求めるかで選びましょう。
輸入車のプレミアム感を求めるなら「BMW旧型(F30)320d」
アテンザのディーゼルエンジン搭載車とライバルになるのが旧型(F30)のBMW 320d。
泣く子も黙る、とは大げさな表現ですがBMWのブランドイメージはアテンザと比べるとかなり高いものがあり、そこが大きな利点となります。しかも中古相場は100万〜330万円と比較的リーズナブル。ブランドイメージや輸入車が持つプレミアム感を求めるならおすすめできる1台です。
ただ、走行性能は個人的にはアテンザのほうが上だという印象を持ちます。特にエンジンフィールはSKYACTIVE-Dが気持ちよく吹け上がるのに比べ、BMW製のエンジンは伸びがイマイチ…。スポーティーなのは間違いなくアテンザです。
また、故障した際、320dはユニット交換になるパーツが多く修理費用が高くなるのもデメリット。それでもブランドイメージが高い320dとアテンザは比較対象として悩む人が多いかもしれません。
中古車のアテンザを賢く探すなら
では、中古車アテンザをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証をつけることができます。
カーセンサーnetの3代目アテンザの掲載件数は335件、価格帯は40万~350万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月22日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証がつく「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車の3代目アテンザ掲載台数は322件、価格帯は40万~310万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月22日時点の情報です。
安さを重視するより先進安全装備の有無で車両を選びたい
2012年にデビューしたアテンザの中古車は比較的買いやすい相場になっています。しかし、リーズナブルな中古車は安全装備が劣る前期型が多くを占めています。数あるアテンザの中古車を買うのであれば、安さを重視するよりも安全装備が充実し、パワーユニットの改良も行われた2018年5月以降のモデルがおすすめでしょう。
しかし、高年式のアテンザは中古市場でタマ数も少なく、しかも価格は高いのが現実。ただ、アテンザはデビュー以来、何度も改良が加えられ安全装備も改良されてきていますので、欲しい装備を割り切ることができれば前期モデルを安く買うことも決して間違いではありません。
よくある質問
Q1:中古車のアテンザ、どれを買うべき?
A:おすすめは安全装備が充実した2018年5月以降のXD PROACTIVE。ガソリン車より価格は高くなりますがクリーンディーゼルエンジン搭載車がおすすめです。
Q2:中古車のアテンザを買うときに気を付けたいポイントは?
A: デビュー以来、何度も改良が加えられ、安全装備やパワーユニットの改良が行われているため欲しい装備があるかないか、モデルの見極めが必要です。
Q3:中古車のアテンザはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のアテンザに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。