名車「トヨタ2000GT」の正統な後継者が、かつてトヨタ3000GTと呼ばれたスープラでしょう。バブル景気後期の1993年に登場した旧型モデルは当時国産車最高峰と呼ばれたエンジンを搭載しました。そして、2019年に登場した現行モデルはBMWとの共同開発によって誕生した2ドアクーペ。前後の重量バランスまでこだわった後輪駆動のスポーツカーです。今回は中古車のスープラなら、どのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「スープラ」は現行型のRZ
- 軽快な走りを楽しみたいのであれば、2Lターボエンジンを搭載したSZ-R
中古車のスープラ、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら「現行モデルのRZ」を600万円以下で買う!
現在、スープラの中古車は約140台流通しています。そのうち、2019年に登場した現行モデルが約70台、そして1993年に登場した旧型が約34台と、半数近くが現行モデルとなっています。旧型モデルといっても販売開始は約28年前ですから、もはやクラシックカーの域に近づいています。現行型スープラの中古車の平均価格は約640万円。価格帯は約412万円~約1180万円と新車時価格を超えるクルマも流通しています。こういったクルマはエアロパーツなどアフターパーツを装着したカスタマイズ済み中古車もしくは限定販売された特別仕様車です。
一方、旧型スープラの中古車の平均価格は約533万円、価格帯は約309万円~約1080万円です。80年〜90年代の国産スポーツカーは世界的に人気となっていて、年式の古い旧型でも現行モデルと変わらない価格帯となっています。旧型スープラに特別な感情をもっていなければ、走行性能や安全性能が向上している現行モデルを狙うのが正解です。
もし、自分がスープラの中古車を購入するのであれば、現行モデルで圧倒的な流通台数を誇る3.0RZです。現在中古車の価格帯は約541万円〜約1180万円。チューニングカーや特別仕様車を除けば約838万円です。スープラRZの新車時価格が約730万円ですから、標準モデルはプレミアム価格にはなっていません。その一方で、500万円台の中古車が約16台も流通していますので、これがイチオシです。
現行型スープラにはRZのほかに2Lターボエンジンを搭載したSZ-R、SZの2グレードを設定しています。以前、スープラに試乗したときに最も印象が良かったのがSZ-Rでした。軽量な2Lエンジンを搭載し、軽快な走りを味わえました。このSZ-Rの中古車は約6台しか流通していませんが、価格帯は約490万円〜約583万円となっています。500万円以下でSZ-Rの中古車が手に入るのはバリュー感抜群です。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のスープラ
もっと予算があるという人には、2019年24台、2020年27台で限定販売されたマットストームグレーメタリックのRZがおすすめです。現在中古車市場には、2台流通していて、価格帯は約870万円〜1000万円となっています。お買い得とは言いづらいですが、今のところ日本国内にたったの51台しか存在しないスペシャルなモデルだと思えば、お買い得に感じてきます。
スープラのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
80系と呼ばれる2代目トヨタスープラは1993年から2002年まで販売されました。2代目スープラはスポーツカーのもつ、操る楽しさを実感できる「パフォーマンス」と、安全・環境への対応、そして快適性である「優しさ」を極限まで高めた新しいスポーツカー像を提案する-THE SPORTS OF TOYOTA-となっています。
2代目スープラのボディは基本構造を徹底的に磨き上げ、新設計の4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用しました。外観デザインは、張りつめた筋肉と骨格を思わせるダイナミックな低重心スタイルを採用。前後のダウンフォースを確保し、高い安定性と優れた空気性能を両立しています。
搭載するエンジンは最高出力280psを発生する3L直列6気筒ツインターボエンジンと最高出力225psを発生する3L直列6気筒自然吸気エンジンの2種類。グレードは自然吸気エンジンを搭載するSZ、ターボエンジンを搭載するRZとGZの3種類。そしてSZとGZにはルーフが脱着できるエアロトップ仕様を設定しています。
1994年に一部改良を行い、ターボ車に17インチタイヤとブレーキシステムをオプション設定。さらに、自然吸気エンジン搭載車にビルシュタイン製サスペンションやトルセンLSD、前後異サイズタイヤを標準装備したSZ-Rを追加しました。そして1995年の一部改良では、装備を簡素化したターボモデルのRZ-Sを設定。さらに、RZにレカロ製シートを標準装備し、RZとSZ-Rに大型リアスポイラーを標準装備としました。
1996年にマイナーチェンジを行い、内外装の変更を行いました。同時にSZ-Rのマニュアルミッションを6速に変更。全車にABS、デュアルエアバッグを標準装備し安全性を向上させています。
1997年に一部改良を行い、ターボエンジンをVVT-I化し、最大トルクを向上させています。さらに、RZとSZ-Rに電子制御ショックアブソーバーシステム“REAS”を採用しています。1999年にはエントリーグレードのSZの後輪タイヤに245/45ZR16を装着しました。そして2002年7月に生産終了となりました。
2019年5月。3代目となる現行型スープラが約17年ぶりに復活しました。現行型スープラは、TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」初となるグローバルモデルとなり、GRスープラという名称となりました。GRスープラは、BMW社との包括提携による初の商品であり、マグナ・シュタイヤー社グラーツ工場(オーストリア)で生産され、日本に輸入されているモデルです。「ホイールベース」「トレッド」「重心高」の3つの基本要素にこだわり、ピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング性能を実現しました。
外観デザインは、直6FRロングノーズ・ショートキャビンシルエットが特徴で、TOYOTAスポーツのフラッグシップモデルにふさわしいスポーツスタイルを提案しています。空気抵抗低減に寄与するダブルバブルルーフの採用や、ヘッドランプの位置を車両内側に寄せることでフェンダーのボリュームを豊かに見せ、凝縮したボディデザインとする手法など、2000GT、先代スープラなどからTOYOTAスポーツヘリテージを継承しています。
搭載するエンジンは、最高出力340psを発生する3L直列6気筒ターボを筆頭に、258ps、197psと2つの仕様がある2L直列4気筒ターボエンジンの合計3タイプとなっています。組み合わされるトランスミッションは8速ATのみです。
現行型スープラは高い走行性能だけでなく、安全性能やコネクティッドサービスも魅力。運転支援システムとしては、昼間の歩行者に加え自転車の運転者を検知し、衝突回避支援または被害低減を図る「プリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)」をはじめ、前方車両の追従走行を支援する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」などを全車に標準装備。
また、車載通信機DCMを全車標準搭載し、スープラ専用のコネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」を提供しています。グレードは3L直6エンジンを搭載したRZ。2Lの高出力バージョンのSZ-R。そしてエントリーグレードのSZの3グレードです。
2020年4月に3L直列6気筒ターボエンジンのエキゾーストマニホールドの構造変更や新ピストンの採用による圧縮比の変更などを行い、最高出力が387psまで向上しています。さらに、フロント部にブレースを追加しボディ剛性の強化を図るとともに、それに合わせてサスペンションを再チューニングすることでコーナリング中の安定性を高めています。
こちらもおすすめ!スープラの中古車をタイプ別に選ぶなら
●トヨタのスポーツカー哲学を味わいたいならば「現行モデル3.0RZ」 中古市場の相場約541万円〜約1180万円
現行型スープラで最も流通台数が多いのが、3Lエンジンを搭載したRZです。このモデルはトヨタ2000GT直系の後継車で、トヨタのスポーツカーに対する考え方を味わうことができます。流通台数が増えてきたこともあり、中古車相場も落ち着きを見せて、500万円台から購入できるようになっています。中古車市場に流通しているクルマは走行距離が少なく、ほぼ新車と言えるコンディションが多くなっています。
● 軽快な乗り味を味わいたいならば「現行モデル2.0SZ-R」 中古市場の相場約490万円〜約583万円
現行型スープラに試乗して、個人的に最も気に入った乗り味だったのが、2.0SZ-Rです。3Lエンジンに比べて、2Lエンジンが軽量のため、フロントノーズの入りも良く、乗り心地そして安定感も高かったからです。中古車の流通台数は少ないですが、価格がRZと比べるとリーズナブルなのも魅力です。
●スペシャルモデルを手に入れたいなら「限定51台のRZマットストームグレーメタリック」 中古市場の相場約870万~約1000万円
先程、「ほかにもある魅力的なグレード」で取り上げたRZマットストームグレーメタリックならば、格別なオーナーシップが味わえます。中古車の価格は約870万円からとプレミアム価格ですが、限定51台のスペシャルモデルであることを考えると、高くはないかもしれません。2019年、2020年の2年間は限定生産されましたが、今後どうなるかは発表がありません。市場があるうちに決めないと次はいつ手に入るかわからない逸品です。
中古車のスープラならではのチェックポイントはココ
修復歴はどこを修理しているかをチェック
スポーツカーの中古車に多く存在するのが、修復歴有りのクルマです。修復歴有り=大きな事故を起こしたクルマというわけではありません。決められた部位を交換すると修復歴有りとなってしまいます。修復歴有りの中古車で気を付けなければならないのは、駆動系まで修理が及んでいるときです。したがってどんな部位を修復しているのかをチェックして、駆動系に及んでなければ、そしてあなたがクルマにある程度詳しいのであれば、候補の一台に加えてもいいでしょう。
ドレスアップ車の場合は純正部品があるかどうか
自動車メーカーのディーラーは改造に対して、非常にシビアです。大径のアルミホイールを装着していたり、ローダウンサスペンションなどのカスタマイズをしていたりするクルマはメンテナンスなどの入庫を断られることもあります。もし純正部品以外のアルミホイールなどが装着されている場合は、一応純正品があるかどうか確認したほうがいいでしょう。
走りにこだわるスープラだからこそ、履いているタイヤに注目!
走行距離が延びてくれば、消耗品であるタイヤを交換します。中古車として販売されているスープラに装着されているタイヤを見て、高額なスポーツタイヤが装着されていれば、前オーナーが大切に乗っていたことが想像できます。一方銘柄がバラバラだったり、ノンブランドの安いタイヤが装着されているようなクルマはコンディションに?がつきます。
スープラの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
数少ない大排気量エンジンを搭載したFRスポーツ「日産フェアレディZ」
スープラの最大のライバルとしてピックアップしたのは、日産フェアレディZです。現行モデルは2008年に登場しました。パワフルなエンジンを搭載した2シーターのクーペで駆動方式がFR(後輪駆動)と似ている部分が多くなっています。スープラがターボエンジンを搭載しているのに対して、フェアレディZは3.7L V型6気筒自然吸気エンジンです。次期型は3Lツインターボエンジンを搭載予定なので、最後の大排気量自然吸気エンジンを搭載したモデルとなるかもしれません。
日本が誇るスーパースポーツカー「日産GT-R」
続いて、スープラのライバルとしてピックアップしたのは日産GT-Rです。2007年に登場し、すでに14年が経過したロングセラーのスポーツカーですが、2022年モデルはすでに完売となっていて生産終了のカウントダウンが始まっています。最高出力600ps(NISMO)を発生する3.8L V型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、4WDで駆動させる日本が誇るスーパースポーツカーです。長いモデルライフの中で進化し、2016年に発表された2017年モデルは外観デザインが変更されただけでなく、ストリートでの乗り心地や操縦性を重視した仕様へと変更されています。
国産車では数少ないエレガントなスタイルの2+2クーペ「レクサスRC」
国産車では絶滅危惧種となっている2+2クーペのレクサスRCは2014年に登場しました。コンパクトセダンのレクサスISをベースにフロントシートに乗る2人のための贅沢な空間を演出するのがレクサスLCです。エレガントさが際立つボディには2Lターボ、2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステム、そして3.5L V6エンジンが搭載されています。さらに、ハイパフォーマンスモデルとしてLC Fを設定。最高出力481psを発生する5L V8エンジンを搭載し、街乗りからサーキット走行までこなすモデルとなっています。
中古車のスープラを賢く探すのなら
では、中古車のスープラをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのスープラの掲載件数は140件、価格帯は88万円~1180万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月31日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のスープラ掲載台数は143件、価格帯は139.8万円~1500万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月31日時点の情報です。
スープラの旧型はプレミアム価格となっているので、狙い目は適正価格の現行型
旧型スープラをはじめ、80年〜90年代の国産スポーツカーは世界中で人気となっており、中古車相場が高騰しています。したがって非常に手が出しづらい状況です。特別な想いがないのであれば、適正価格となってきた現行型スープラを狙うのが良いでしょう。最上級グレードのRZの流通台数が多く、中古車相場は580万円から。2Lターボエンジンを搭載しているSZ-Rならば400万円台でも手に入ります。
よくある質問
Q1:中古車のスープラ、どれを買うべき?
A:旧型はプレミアム価格となっているので、走行性能や安全性能を考慮すれば、中古車相場が適正化した現行モデルが正解。流通台数が多いRZが探しやすいですが、価格にこだわるならば2Lエンジン搭載車がおすすめです。
Q2:中古車のスープラ買うときに気を付けたいポイントは?
A:現行モデルはまだ新しいので、あまり気にするポイントはないですが、年式の進んでいる旧型モデルは、メンテナンスや使い方によってコンディションの個体差は大きくなっています。したがって修復歴やこれまでのメンテナンス履歴がわかるクルマを選んだほうがいいでしょう。
Q3:中古車のスープラはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のスープラに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。