三菱のクロカン系SUV「パジェロ」。1980年代から1990年代までの名車を振り返りながら、パジェロの中古車をお探しの方へ、おすすめモデルと選び方のポイントをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の三菱「パジェロ」は「ファイナルエディション」
- なぜ、パジェロは名車だったのか?初代から販売終了までの歴史を振り返る
中古車パジェロ、おすすめモデルはズバリこれ。「ファイナルエディション」
三菱「パジェロ」は、1982年に初代がデビュー、その後フルモデルチェンジを3回実施、4代目が2019年8月まで販売されました。パジェロの中古車を、日常の足として探しているなら、最終世代となった4代目から選ぶことをおすすめします。4代目は2006年にフルモデルチェンジされており、比較的新しいモデルで、経年劣化や故障リスクが低く、安心して乗ることができるでしょう。
その中で、1モデル、おすすめをピックアップするなら「ファイナルエディション」。クルマは改良が重ねられ、熟成されていくものです。最終モデルが一番いいと言われるのは、パジェロに限ったことではありません。ファイナルエディションは一世を風靡した初代からの歴史を背負った、有終の美を飾るべく設定された特別仕様車。筆者は熱心なパジェロファンではありませんが、敬意を表しイチオシモデルとさせていただきました。
ファイナルエディションは、直列4気筒3.2Lクリーンディーゼルターボを搭載、最高出力は190PS、最大トルクは45kgmを発生、トランスミッションは5速ATが組み合わせられています。「エクシード」グレードをベースに、ルーフレールやクロームメッキのスペアタイヤカバーなどでエクステリアを飾り、前席にパワーシートを備えた本革シートを採用するなど内装も豪華にされた特別仕様車です(エンジンやトランスミッションなどのパワートレイン、足回りは手は加えられていません)。
ファイナルエディションの中古車価格帯は、580万円前後となっています(2021年6月29日時点)。
なお、カタログモデルの選び方のポイントについては、本記事中盤「パジェロならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
★ほかにも!魅力的な中古車パジェロ
この項では、パジェロ誕生から販売終了までの歴史を振り返りながら、世代別の中古車価格をまとめてお伝えします。
パジェロの歴史
初代(1982〜1991年)
▼1982年 発売
三菱のトラック「フォルテ」の4WD車のフレームをベースに、日常生活の足としても使えるようなオフロード車として開発された。当時は、まだ「SUV」という言葉がなく、オフロードタイプの四輪駆動車の一般呼称が「ジープ」と車名が代名詞のように使われていた。デビュー当時は、4ナンバーの貨物車登録のみのラインナップだった。
▼1983年 5ナンバーの乗用タイプ「メタルトップ」を追加
1983年にパジェロは「パリ=ダカール・ラリー」、通称パリダカに初参戦、市販車無改造クラスでデビューウィンを飾り、世間からの注目を集め、パリダカ=パジェロとワンセットで表現されるまでの人気となった。
▼85型パジェロ
1986年から始まったバブル景気の追い風を受け、パジェロの人気は沸騰する。本革シートや車載TV(当時としてはかなりのぜいたく装備)などを採用した豪華なグレード「スーパーロイヤルエクシード」が1990年に登場した。
▼1990年 スーパーロイヤルエクシード
▼1997年 パリダカでパジェロが総合優勝。ドライバーは篠塚建次郎氏。ラリードライバーのレジェンドになった。
2代目(1991〜1999年)
バブル真っ只中に開発され、バブル崩壊の1年前、1991年に2代目へフルモデルチェンジされた。爆発的人気を誇った初代の血を引き継いだ正常進化版として慎重に開発が進められた。
ボディタイプは、ロングホイールベースの4ドア、ショートホイールベースの3ドア、3ドアのオープントップ版「Jトップ」の3種類がラインナップ。
時代は「RVブーム」といわれ、ライバルにトヨタ ランドクルーザー、ハイラックスサーフ、日産 テラノなどの人気モデルがしのぎを削っていた。なお、2代目デビューのころもまだ「SUV」という言葉は使われておらず、レクリエーショナル・ビークル(休暇や楽しみのための車)の頭文字「RV」が使われていた。
その中でも、パジェロはブームをけん引。初代に引き続き2代目も大ヒットを記録した。
3代目(1999〜2006年)
バブル崩壊後、長く続く不況にあえぐ中、3代目へフルモデルチェンジ。オフロード志向の強かった初代、2代目とは変わり、ラグジュアリー路線へ転向された。
▼2002年9月 マイナーチェンジ
エクステリアデザインを変更。ヘッドライトやフロントグリル、バンパー、リアコンビネーションランプなど変更箇所は多数。インテリアも上質さを向上させた。3代目へのフルモデルチェンジ時に、ラグジュアリー路線に転向されたが、マイナーチェンジでもさらにその路線は強くなった。
▼2005年11月 2度目のマイナーチェンジ
エクステリアデザインに大きな変更はなく、フロントのウィンカーレンズがクリアからアンバーになり、リアコンビネーションランプの各灯火の配列入れ替えなどの小変更にとどまる。大きな変更は、エンジンがV6・3.8Lへ載せ替えされたこと。内外装の小変更なら、マイナーチェンジとは呼ばれず一部改良などの表現となるが、エンジンが変わったため、車両型式も変更となり(国交省への届け出が必要な変更)マイナーチェンジと表現される。ただ、この後期型へのマイナーチェンジの約1年後にフルモデルチェンジされたため、稀少なモデルとなってしまった。
3代目パジェロは、不景気のあおりとRVブームからミニバンブームへのシフト、「若者の車離れ」といわれる風潮の始まりなどさまざまな要因を受けたことと、ラグジュアリー路線への転向が裏目に出て初代・2代目のような人気を獲得することができなかった。
4代目(2006〜2019年)
ラグジュアリー路線に転向し、商業的に成功とはいえなかった3代目の反省を活かしてか、初代・2代目の要素を取り戻し、当時のファンに再び振り向いてもらえるようにフルモデルチェンジされた。ボディタイプは、パジェロ伝統のショートボディ(5人乗り)とロングボディ(3列シート7人乗り)が設定された。
▼2007年2月 パリダカでパジェロ7連覇の偉業を達成。特別仕様車「ラリーレプリカ」発売される。
「チーム・レプソル三菱ラリーアート」のカラーリングを施し、パリダカを制覇した「パジェロ エボリューション」を彷彿とさせるエクステリアを再現した。
▼2014年 マイナーチェンジ
フロントグリル、バンパーの形状変更を実施、インテリアの質感向上や静粛性向上などの改良が図られた。
2019年8月 国内向けパジェロの生産終了。1982年から37年続いた歴史に幕を下ろした。
中古車価格を比較<世代別>中古車パジェロ
●初代(1982〜1991年)中古車市場価格帯70万〜199万円、平均価格帯148万円
初代パジェロは、もはやネオ・クラシックカーに分類されるようになってきました。初代パジェロを買う人はほとんどマニア。状態の良い中古車は中古車市場に流れることなく、専門ショップなどを通じて高値で取引きされることも多いようです。
●2代目(1981〜1999年)中古車市場価格帯39万〜350万円、平均価格帯135万円
ちょうどいい古さ加減で初代の面影を色濃く残した2代目は、根強い人気があります。このため、中古車市場価格もちょっと強気な印象です。
●3代目(1999〜2006年)中古車市場価格帯19万〜173万円、平均価格帯71万円
新車販売が不振となってしまった3代目。三菱ファンからはフルモデルチェンジで失望の声もあったといいます。このためか、中古車相場価格は、4世代のうち最も安い世代となってしまっています。
●4代目(2006〜2019年)中古車市場価格帯59万〜586万円、平均価格帯203万円
初代、2代目を彷彿とさせる要素を盛り込んだ4代目は、三菱ファンからは一定の支持がありましたが、商業的には成功とはいえず。中古車相場価格は、ライバルのSUVと比較すると安めの傾向です。
パジェロならではのチェックポイント
本記事冒頭でおすすめした、4代目パジェロの選び方のポイントは、ボディタイプのみと考えて差し支えないでしょう。4代目パジェロは、全長が4,385mmと短い5人乗りのショートボディと、全長が4,900mmと長い3列シート7人乗りのロングボディに分かれます。
エンジンは、2006年のフルモデルチェンジ当初は、V6・3.8Lガソリンのみでしたが、2008年に直列4気筒3.2Lディーゼルターボエンジンが追加されます。年式でエンジンタイプが異なりますが、パジェロはエンジンタイプを軸に探していくようなモデルではないため、まずはボディタイプをどちらにするか決めてから、予算と照らし合わせて年式を絞り込み、エンジンタイプがどれになるのかを確認する、といった流れで候補車を挙げていくと良いでしょう。
比べて検討!パジェロのライバル車種
トヨタ「ランドクルーザー プラド」
パジェロの生産終了後、国産クロカン系SUVは、ランドクルーザーシリーズだけになってしまいました。プラドは人気モデルで中古車相場価格も高めです。
2021年6月28日時点の中古車価格帯は44万〜688万円、平均価格は約357万円、流通台数は1,920台ほどとなっています。
中古車パジェロはここで探せ!
では、中古車パジェロをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定書」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定書を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両検査証明書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その証明書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車で最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店が付いている中古車は多くあります。
2021年6月28日時点、グーネットでは、パジェロの掲載件数は345件、価格帯は30万~589万円、平均価格は約171万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月28日時点、カーセンサーでは、パジェロの掲載件数は310件、価格帯は60万~586万円、平均価格は約203万円となっています。
パジェロに惚れたなら、ほかの車種に惑わされず買うのが幸せになれるかも
パジェロは歴史があり、三菱らしさが光るSUV。正統派オフロード4WDの乗り味をしっかりと残しています。三菱らしいエンジン音、ストロークの長いサスペンションなどのパジェロ独特の乗り味は、今や主流となった都会派SUVでは味わうことができないものです。
パジェロに惚れたなら、迷わず買ったほうが幸せになれるでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のパジェロ、どれを買うべき?
A:日常の足として乗るのなら、なるべく新しい年式のものから選びましょう。2006年式以降の4代目で、保証がしっかりとついたものを探すことをおすすめします。
Q2:中古車パジェロを買うときに気を付けたいポイントは?
A:前項Q1でお答えしたとおり、4代目で年式が新しく保証がしっかりとついた車でしたら特に気をつけたいポイントはありませんが、そうではない場合は故障リスクを覚悟して買うことになります。初代、2代目はマニア向けの領域に入っています。
Q3:中古車パジェロはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車パジェロに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月28日時点のものです。