ビート以来のホンダ軽オープンカーとして登場したS660。搭載するエンジンはNシリーズの流用ですが、ミッドシップレイアウトのシャシーなど専用パーツで構成されているモデルです。2015年に登場し、約7年で幕を閉じることがすでに発表されています。EV、FCV路線に舵を切ったホンダからは二度とS660のようなクルマは登場しないでしょう。今回は中古車のS660なら、どのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のホンダ「S660」は様々なボディカラーを選べるα
- 少しでも安く高品質のS660を手に入れるならCVT車
中古車S660、おすすめモデルはズバリこれ。自分ならボディカラーが選べるαを狙う
現在、ホンダS660の中古車は約340台流通しています。生産終了がアナウンスされる前の2021年3月時点では、約600台の中古車が流通していました。その後2022年3月での生産終了、そして今年4月の社長会見でEV、FCV路線に舵を切ることなどが発表されると、S660の中古車の流通台数はわずか1ヵ月で100台を切るところまで減少。それに伴い中古車相場は高騰しました。
現在流通台数は約340台まで戻っていますが、2021年5月時点でS660の平均価格は約178万円だったものが、7月上旬には約278万円まで上昇。そこをピークに現在は約258万円まで下がったものの平均価格は5月に比べて約80万円も値上がりしています。直近の価格帯は約149万〜約570万円と非常に幅広くなっています。
S660の中古車は6速MT車が約200台、CVT車が約140台とMT車の方が多くなっています。価格帯は6速MT車が約149万〜約570万円。CVT車は約165万〜約430万円。グレード構成はαとβの2グレード。そしてカスタムカーのモデューロXの合計3タイプです。αとβの最大の差は設定されているボディカラーの人気による差です。中古車相場ではαとβ自体では差がなく、グレードではαが圧倒的に多いので、自分の好きなボディカラーを選べるαを狙いたいところです。
スポーツカーは一般的にMT車のほうが高くなる傾向があり、実際にS660の中古車も6速MT車のほうが高くなっています。そこで、高騰しているS660の中古車を手に入れたいのであれば、思い切ってCVT車を狙うことです。高い運動性能を誇るミッドシップオープンカーがCVT車ならば100万円台で30台も流通しています。この個性的なクルマが200万円以下で楽しめるのであれば、CVTでも満足度は高いです。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のS660
もっと予算があるという人には、S660 モデューロXをオススメします。モデューロXはホンダの純正アクセサリーブランドであるホンダアクセスが手がけたカスタマイズカー。空力性能を高めたエアロパーツをはじめ、専用チューンを施したサスペンション、軽量化を図ったアルミホイール、質感を向上させたインテリアなど、スペシャルチューンが施されています。
現在、モデューロXの中古車は約25台流通していて、価格帯は約240万〜約538万円。新車時価格が300万円のクルマなので、まだ300万円台で手に入る今がチャンスです。
S660のモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
軽2シーターオープンカーのホンダS660は2015年3月に発表され、4月より販売開始されました。S660は「Heart Beat Sport」をキーワードに見て楽しい、乗って楽しい、あらゆる場面でいつでもワクワクする、心が昂ぶる本格スポーツカーを追求しています。高剛性と軽量化を両立した専用開発ボディは、風や空を感じ、非日常的な運転環境を味わえるオープンエアな空間であると同時に、コンパクトで包まれ感があり、人とクルマの一体感をもたらす快適なドライビング空間を演出しています。
さらに、スポーツカーの醍醐味である、曲がる楽しさを最大限に体感できるよう、高い旋回性能にこだわり、ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトを採用。低重心と理想的な前後重量配分である45:55を実現しました。「走る楽しさを、誰でも気軽に味わえるようにしたい」という想いから、搭載する660cc直列3気筒ターボエンジンは、低回転域から力強く、高いアクセルレスポンスを可能とする専用のターボチャージャーを搭載。トランスミッションには、軽自動車として初となる、新開発の6速マニュアルトランスミッションの採用に加え、スポーツモードを備えた7速パドルシフト付CVT(無段変速オートマチックトランスミッション)も設定。スポーツカーらしいドライビングと日常での扱いやすさを実現しています。
さらに、軽自動車としては初となる電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」を採用。車体の動きに応じたコントロールにブレーキ制御を活用することで、コーナリング時に狙ったラインをトレースしやすく、少ないステアリング操作でスムーズな車両挙動を実現しています。
安全装備は、「運転席i-SRSエアバッグシステム」「助手席用i-SRSエアバッグシステム」に加え、側面衝突時の衝撃を吸収する「i-サイドエアバッグシステム」を標準装備。事故の未然防止を目指すアクティブセーフティは、「VSA(車両挙動安定化制御システム)」や「ヒルスタートアシスト機能」に加え、急ブレーキ時に後続車へ注意を促す「エマージェンシーストップシグナル」を全タイプに標準装備しています。グレード構成は価格順にα、βの2グレードとなっています。
2020年1月にS660はマイナーチェンジを行いました。「デザインの深化」をコンセプトに、ボディカラー同色のフロントピラー、新デザインのアルミホイール採用や、国内初となる新色アクティブグリーン・パールを追加するなど、デザインに一層の磨きをかけました。インテリアにおいては、シート表皮アクセントの変更などに合わせ、シートヒーター追加により快適性を向上させています。
こちらもおすすめ!S660の中古車をタイプ別に選ぶなら
●とにかくコスパ重視なら「CVT車」中古市場の相場約165万~約430万円
S660をとにかく安く手に入れたい!という人は、CVT車を狙うと良いでしょう。相場が高騰したS660ですが、200万円以下の中古車が約30台も流通しています。しかし、価格が落ち着きつつあると言っても、こうしたクルマがいつまでもあるとは限りませんので、決断は早いほうが良いでしょう。
● ボディカラーにこだわるならば「上級グレードのα」 中古市場の相場約165万~約368万円
S660の中古車はグレードによる価格差はほとんど見られません。元々S660はエントリーグレードで、ボディカラーの設定が少ないβと、上級グレードでボディカラーの設定が豊富なαの2グレードしかありません。したがってボディカラーにこだわるのであれば必然的にαとなります。αはS660の中古車の中で約250台と最も多いグレードなので、探しやすいというメリットもあります。
●より高い走行性能を求めるならば「モデューロX」 中古市場の相場約240万〜約538万円
さきほど、「ほかにもある魅力的なグレード」で取り上げたS660 モデューロXはスペシャルなパーツが装着されたカスタマイズカーです。チューンの施されたエアロとサスペンションにより路面追従性が向上。その楽しい走りは他のモデルでは表現できないレベルとなっています。元々300万円という新車時価格のモデューロX。今後はさらなる高騰も予想されます。まだ新車時価格と変わらないレベルで中古車が手に入る今が買い時でしょう。
中古車のS660ならではのチェックポイントはココ
S660のコンディションはメンテナンス具合をチェック
S660は、スポーツカーのためどのような走行を行い、メンテナンスをしているかでコンディションは差が付きます。エンジンをはじめとしたオイル類をはじめ、ラジエーター液などのメンテナンスの頻度でコンディションが大きく変わります。また、高性能タイヤを装着していますので、減り方にも注意したほうが良いでしょう。S660はターボエンジンを搭載しているため、エンジンオイルの管理は一般的なクルマよりシビアに行う必要があります。オイルフィラーキャップを開けたり、エンジンオイルの色や量をしっかりと確かめたりしてください。
修復歴はどこを修理しているかをチェック
スポーツカーの中古車に多く存在するのが、修復歴有りのクルマです。修復歴有り=大きな事故を起こしたクルマというわけではありません。決められた部位を交換すると修復歴有りとなってしまいます。修復歴有りの中古車で気をつけなければならないのは、駆動系まで修理が及んでいる時です。したがってどんな部位を修復しているのかをチェックして、駆動系に及んでいなければ、そしてあなたがクルマにある程度詳しいのであれば、候補の一台に加えてもいいでしょう。
整備記録簿のチェックは欠かせない
S660のようなスポーツカータイプの中古車のコンディションは前オーナーの使い方に大きく左右されます。一般的には走行距離が少ないほうが良コンディションと言われます。しかし走行距離が伸びていても、ディーラーなどでしっかりとメンテナンスを行っている履歴が整備記録簿に残っていれば、安心して購入することができます。したがってS660の中古車を購入する際には、必ず、整備記録簿でこれまでの履歴を確認してください。もし、この整備記録簿がないというのであれば、購入は避けた方がいいでしょう。
S660の中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
軽自動車のオープンカーというよく似たコンセプトの「ダイハツコペン」
軽オープンカーのS660のガチンコのライバルとなるのが、ダイハツコペンです。コペンの駆動方式はFFですが、2シーターオープンカーで、こちらは電動開閉式のルーフを採用しています。S660をストイックなアスリート系スポーツカーとすると、コペンはラグジュアリースポーツ色が強いモデルです。しかし、GR-SPORTは走りに磨きをかけるため、チューニングを施しています。
ライトウェイトスポーツカーの「マツダロードスター」
マツダロードスターは軽自動車ではありませんが、軽快な走りが魅力のライトウェイトスポーツカーとして、S660のライバルといえるスポーツカーです。ソフトトップ車は1.5L直列4気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動させるFRという駆動方式を採用。限られたパワーを使い切って、「人馬一体」のクルマを操る楽しさを味わえるモデルです。ストイックなS660と比べると、トランクスペースも確保され実用性はかなり高くなります。
中古車のS660を賢く探すのなら
では、中古車のS660をどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのS660の掲載件数は354件、価格帯は148.8万円~569.9万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月30日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のS660の掲載台数は330件、価格帯は176.8万円~569.9万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月30日時点の情報です。
流通台数が豊富な上級グレードのαを狙いたい
生産終了が発表され、わずか数ヵ月で100万円近く中古車の平均価格が上昇したS660。今後値落ちすることは考えにくいので、流通台数が増加している時にじっくりと選ぶのが得策です。6速MT、CVTのトランスミッションに関わらず、流通台数が豊富でボディカラーのバリエーションも充実した上級グレードのαを狙うのがいいでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のS660、どれを買うべき?
A:基本のグレード構成はαとβだけで、トランスミッションも6速MTとCVTのみというシンプルなS660。グレードを絞り込まずに予算に合わせて探すのが購入成功の近道でしょう。S660の中古車を購入する際には、他のクルマ以上に何にこだわるのかで探し方が変わります。
Q2:中古車のS660を買うときに気を付けたいポイントは?
A:スポーツカーということもあり、前オーナーの使い方とメンテナンスの頻度には最も注意したいところです。また修復歴にも注意したいですが、駆動系まで修理していないことがわかるのであれば、選択肢として入れておくのもいいでしょう。
Q3:中古車のS660はどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のS660に乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。