リアが左右非対称のデザインという強い個性が特徴的な日産のコンパクト・トールワゴン「キューブ」。この中古車をお探しの方に、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の日産「キューブ」は3代目後期型(2012〜2020年式)
- 「ライダー パフォーマンススペック」と「e・4WD」もおすすめ
中古車キューブ、おすすめモデルはズバリこれ。3代目後期型(2012〜2020年式)
キューブは、1998〜2002年式の初代と、2002〜2008年式の2代目、2008〜2020年式の3代目と全3世代のモデルがあります。この中で日常の足として使うのなら、3代目から選びましょう。初代と2代目は年式が古く、経年劣化や故障リスクの心配があります。
なお、3代目は2008年から販売終了となった2020年までの12年という長い期間販売されたモデルとなります。途中、2012年10月にはマイナーチェンジが行われていますが、外観上の変更は行われていません。しかし、このマイナーチェンジでは、エンジンが改良され燃費や環境性能を向上、トランスミッションは副変速機付きのCVT(無段変速機)へ載せ替えられた、中身を大きく変えたものとなっています。
そのマイナーチェンジは、中古車市場において3代目キューブのターニングポイントとなった、おすすめモデルとなっています。
この後期型なら、年式的には最も古くても2012年と比較的、安心圏内となります。中古車価格帯は、13万〜142万円(2021年6月29日時点)と幅がありますが、年式にも幅がありますので、これぐらいの差が出てしまいます。なお、2012年式は、マイナーチェンジ前と後のモデルが混在しますので、選ぶときにはどちらのモデルなのか、中古車販売店に確認(車両型式で確認はできますが)するように注意しましょう。
★ほかにも!魅力的な中古車キューブ
この項では、前項のモデルのほかにおすすめしたい「ライダー パフォーマンススペック」と「e・4WD」を紹介します。
その前に、キューブの歴史を年表形式でまとめましたので、どうぞご覧ください。
キューブの歴史
1998年 初代デビュー
車名の由来は「立方体」を意味する「キューブ」から。マーチをベースにトールワゴンタイプに仕立て、独特のエクステリアデザインをもつコンパクトカーとしてデビュー。
2002年 2代目へフルモデルチェンジ
初代のコンパクト・トールワゴンタイプは継承されたが、リアは左右非対称の個性的なデザインとし、世間を驚かせた。
2008年11月19日 3代目へフルモデルチェンジ
2代目の個性の強いデザインイメージを継承してフルモデルチェンジされた。リアの左右非対称デザインも継承。パワートレインは1.5LガソリンエンジンにCVT(無段変速機)を組み合わせ、2WD(前輪駆動)と4WDを設定した。4WDは後輪をモーターで駆動とし、2WDと4WDを手動でモードを切り替えられ、4WDモードのときは発進時は4輪駆動に、一定速度までは前輪がスリップしたときに、モーターが作動して後輪に駆動力がかかり、一定速度を超えると後輪に駆動力がかからない方式の「e・4WD」という名称のものが採用された。
グレードは3タイプで構成され、ベースグレードから上級グレードに向かって「S」「X」「X Vセレクション」となり、ベースグレードと最上級グレードは約25万円の差となっている。なお、「S」「X」グレードに「e・4WD」が設定され(グレード名には「Four」が付与される)、車両価格は145万〜192万円で販売された。
また、日産車の架装を担当する関連子会社、オーテックジャパン社が手を加えた「ライダー」も同時に発売、188万〜210万円で販売された。
2012年10月30日 マイナーチェンジ
特にエクステリアデザインが変更されることなく、エンジンを改良し副変速機付きのCVTを採用するといったパワートレインの改良がメインとなったマイナーチェンジ。グレード体系が見直され、「S」グレードを廃止
「X Vセレクション」は「Vセレクション」のみのグレード名へ変更された。e・4WDは継続して設定、車両価格は153〜193万円で販売された。
オーテックジャパンからは、「アクシス」と「ライダー パフォーマンススペック」の2モデルを新たに設定された。ライダー パフォーマンススペックでは、足回りにチューンドサスペンションを採用しボディ剛性を高めてスポーティーな走りの仕様に仕立てた。車両価格は、180万〜222万円で販売。
2020年3月 販売終了
キューブ全3世代、22年の歴史に幕を下ろした。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車キューブ
●走りの質を求めるなら「ライダー パフォーマンススペック」ル 中古車市場の相場17万〜54万円
2017年10月に実施された3代目のマイナーチェンジのとき、オーテックジャパンがカスタムを加えた「ライダー パフォーマンススペック」が発売されました。このモデルは、エクステリアデザインが明らかに標準モデルとは異なるものに変更されていますが、見掛け倒しではありません。チューンドサスペンションを採用し、ボディ剛性を高め、走りの質感を大きく向上させ、走行安定性も向上させています。走りの質を求めるなら、おすすめの1台です。
●「冬場にはスタッドレスタイヤに履き替える」というなら「e・4WD」4代目後期型 中古車市場の相場20万〜95万円
キューブの4WDは、後輪をモーターで駆動させるハイブリッド式「e・4WD」が採用されています。この4WDは、前輪がスリップしたときだけに後輪を駆動させる(一定速度以下の走行時)賢い四輪駆動システム。後輪の駆動が不要なときは、効率のよい2WDで走行するものです。また、2WDと4WDは手動でモード切り替えもできます。本当に必要なときだけ、後輪が電気の力で駆動するという賢い4WDは、「冬場はスタッドレスタイヤに履き替えるよ!」という積雪地帯にお住まいの方や、ウィンタースポーツを趣味とされている方におすすめです。
キューブならではのチェックポイント
チェックポイント【1】 年式
キューブの年式は1998〜2020年式と実に22年にわたる多種多様な中古車が流通しています。性能面でみた場合のおすすめは、3代目のマイナーチェンジが実施された2012年式以降となります。このマイナーチェンジでは、エンジンやトランスミッションが改良され、キューブ史上、最も性能が高いモデルとなりました。
チェックポイント【2】 保証
キューブに限らず、保証はマストです。なお、保証の期間はさまざまですので、目安として1年以上の期間が設定されていれば、安心度が高い車となります。保証がない車やあっても短い期間しか保証がきかない車は、故障リスクが高いと考えて間違いではありません。また、保証の範囲、条件もしっかりと確認して、納得してから買うようにしましょう。
チェックポイント【3】 内装の状態
中古車を選ぶとき、外装の傷や塗装の状態ばかり気になっていませんか?内装こそ、しっかりとチェックしたいところです。車を所有すると、外装を見ている時間より、内装を見ている時間のほうが圧倒的に長くなります。また、シート表皮は、常に体がふれるところです。汚れや傷みがあると精神衛生上もよろしくありません。
チェックポイント【4】 走行距離
今は、中古車査定の基準などが昔よりはっきりと細かくなり、相場価格もネットですぐにわかる時代になっていますので、走行距離をシビアに確認しなくても、車種と予算で絞り込みすると、大きな走行距離の差が発生することが少なくなってきました(中古車ですから、差がなくなるわけではありませんが)。また、しっかりとした保証がついた車を選べば、だいたいは適正な走行距離の範囲内となるようになってきています。なお、目安の走行距離としては、平均年間走行距離は4,000〜8,000kmがおすすめとなります。
比べて検討!キューブのライバル車種
トヨタ「ポルテ」
運転席側がヒンジドア、助手席側は大型スライドドア1枚という左右非対称のコンパクト・トールワゴン。個性の強さはリアデザインが左右非対称のキューブに負けますが、ユーティリティ面の個性はポルテのほうが上回っています。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は0.6万〜160万円、平均価格は約54万円、流通台数は1,360台ほどとなっています。
トヨタ「スペイド」
前項ポルテの姉妹車。フロントフェイスが異なるモデルです。ポルテもスペイドも2020年9月に販売終了してしまっているという点も似ています。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は16万〜165万円、平均価格は約67万円、流通台数は1,300台ほどとなっています。
スズキ「ソリオ」
こちらは、ベーシックなコンパクト・トールワゴンです。2020年12月にフルモデルチェンジした、トールワゴンの元祖です。OEM供給先に三菱 デリカ D:2があります。ソリオを比較検討するなら、D:2もチェックしてみてください。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は9万〜266万円、平均価格は約97万円、流通台数は1,800台ほどとなっています。
ダイハツ「トール」
2016年にデビューした、リッターカー(排気量1.0L)のコンパクト・トールワゴン。1.5Lエンジン並みのパワーを持つターボモデルもあります。こちらもキューブに比較すると、平凡なモデルですが、実力と安全性能は基本設計が新しい分、トールのほうが勝ります。OEM供給先は多く、トヨタ ルーミー、タンク(2020年販売終了)、スバル ジャスティと計4モデルが兄弟車となります。トールを比較検討するなら、OEM3モデルもあわせてチェックしてみてください。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は55万〜242万円、平均価格は約154万円、流通台数は1,400台ほどとなっています。
乗る人の個性も主張できる、ちょっと風変わりなコンパクト・トールワゴン
初代キューブは、強い個性を放つデザインではありませんでしたが、ボンネットが目立つミニバンのようなパッケージデザインは、当時としては目立ちました。2代目、3代目は、リアを完全に左右非対称にするという、それまでの車のデザインではあり得なかった手法が取られました。
そういえば、個性が強すぎる車は売れないという常識を打ち壊してきたのは日産でした。過去には、パイクカーと呼ばれる、パオ、エスカルゴは大人気になりましたし、フィガロも売れています。ラシーンという変わったクロスオーバー的なワゴンもありました。
キューブは残念ながら、歴史に幕を下ろしてしまいましたが、フルモデルチェンジ復活を願うファンはたくさんいます。がんばれ!日産!
よくある質問
Q1:中古車のキューブ、どれを買うべき?
A:キューブの歴史は1998年から始まっており、中古車市場でも1998年式からが流通しています。おすすめモデルとしては、最終モデルとなった3代目の2012年マイナーチェンジ後の後期型となりますが、保証がしっかりとついていれば、どれを買っても安心でしょう。特に、これを買うべき、とおすすめするモデルはありませんが、装備や状態はしっかりチェックして購入してください。
Q2:中古車キューブを買うときに気を付けたいポイントは?
A:保証がしっかりとついた車を選びましょう。保証がついていても、期間がさまざまですので、目安として1年以上の保証がついているものが安心です。あとは、内外装の状態は注意したいポイント。特にシート表皮の状態はよくチェックしてみてください。
Q3:中古車キューブはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車キューブに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月29日時点のものです。