世界的に人気の高いSUV（スポーツ・ユーティリティ・ビークル）ですが、日本国内市場で最も熱いカテゴリーはコンパクトSUVです。スズキはこのコンパクトSUVにエスクードを導入しています。初代エスクードはライトクロカンと呼ばれ、現在のSUVのルーツの1台となったモデルです。4代目の現行型エスクードは2015年に登場しました。ここでは販売開始から約6年が経過するスズキのコンパクトSUV、エスクードについて徹底解説しましょう。

クロカン四駆から乗用車ベースの現代的なSUVに路線変更

４代目となる現行型エスクードは、2015年10月に登場。3代目までのラダーフレーム＋後輪駆動ベースの副変速機付き4WDというクロカン四駆的な成り立ちから、乗用車ベースのものへと切り替わり一気に現代的なSUVへと路線変更を行いました。生産国は日本国内からハンガリーにあるマジャールスズキへと変わり、欧州などではビターラの名前で販売されているグローバルモデルとなったのです。そんな現行型エスクードは伝統のスズキSUVスタイルを継承したデザイン、取り回しの良いボディー サイズながらゆとりある前席空間と十分な荷室スペースを確保したパッケージング、力強い加速性能と燃費性能を両立したパワートレイン、欧州で徹底して走り込み実現した安定感のある足まわりが特徴です。

現行型エスクードの外観デザインはスズキのSUVらしく直線的なデザインを採用。歴代モデルのデザインを継承したクラムシェル（貝殻）フード、フェンダーガーニッシュを採用。前後のバンパーで安定感を表現し、シャープなベルトラインと、躍動感を演出する車体側面のキャラクターラインでスポーティーな走りを主張しています。

全長4.2mで取り回しの良さと室内空間の余裕を両立

インテリアは「SUVとしての力強さと高品質設計」をデザインテーマに、力強いSUVを表現したスポーティーで上質なインテリアを追求。インパネ中央部のデザインで力強さを強調し、金属調のインパネガーニッシュやエアコンルーバーでスポーティーさを表現しています。視認性と機能性を兼ね備えたメーターは、中央部に平均燃費や平均車速などを表現するマルチインフォメーションディスプレイを配置しています。

ホールド性が高くスポーティーな形状の本革＆スエード調のコンビシートには、シートヒーター機能（4WD車・フロントのみ）を採用し、高い快適性も特長 です。全長約4.2mという取り回しが良いボディー サイズに抑えながらも、長時間の運転でも疲れにくいゆとりある前席空間と、5 人乗車時でも375Ｌの荷室容量の十分な荷室スペースを確保。さらに、6：4 分割可倒式のリアシートを倒せばラゲッジスペースのアレンジも可能です。

1.6Lエンジン＋6ATと電子制御4WDで近代化

搭載されているエンジンは、最高出力117ps、最大トルク151Nmを発生する1.6L直列4気筒DOHCの1種類で、組み合わされるトランスミッションは6速ATとなります。駆動方式は2WD（FF）と4WDを用意し、燃費性能はJC08モード燃費で17.4〜18.2km/Lとなっています。

4WD車には「電子制御4WDシステム」「4 モード走行切替機能」「車両運動協調制御システム」の、3 つのテクノロジーからなるスズキ独自の四輪制御システム「ALLGRIP」に新型エスクード専用制御を採用。ロックモード時の悪路走破性を向上させる機能を追加しオフロードに多い前後2輪（対角輪）がスリップする路面状況での走破性を向上させています。

発売当初から先進運転支援装備は充実

安全装備では、ミリ波レーダー方式による衝突被害軽減システム「レーダーブレーキサポートⅡ（RBSⅡ）」を標準装備。前方衝突警報ブレーキ機能を追加するとともに、自動ブレーキ機能の作動速度域を拡大し安全機能をさらに充実。先行車との速度差や車間距離を測定し、あらかじめ設定した速度（約40～約100km/h）で先行車との車間距離を保ちながら自動的に加速、減速し追従走行する、アダプティブクルーズコントロール（ACC）を標準装備しています。

2017年に追加された1.4L直噴ターボが主役に

2017年7月に2L自然吸気エンジン並 の最高出力136ps、最大トルク210Nmを発生する1.4L直列４気筒直噴ガソリンターボエンジン＋6速ATというパワートレインを搭載したモデルを追加。駆動方式は4WDのみです。外観は新しいデザインのメッキフロントグリル、専用色アルミホイール、ルーフレールを装備。黒を基調にした内装は赤のアクセントカラーを施し、専用ステアリングホイールと専用ペダルプレートを採用してスポーティーな印象を強めています。その後、2018年10月に1.6Lエンジン搭載車は廃止となりました。

2018年の一部改良で内外装刷新、先進運転支援装備もアップデート

2018年12月には一部改良を行い、内外装と運転支援システムの変更を行っています。外観はメッキフロントグリル、フロント・リアバンパー、アルミホイール、リアコンビネーションランプのデザインを一新し、より上質で 力強さを追求しています。

インテリアはシート表皮、インパネガーニッシュ、センタークロックの意匠変更や、カラー液晶マルチインフォメーションディスプレイ、ソフトパッドを採用するなど、質感や先進性を向上させています。

運転支援システムでは衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」を搭載したほか、隣接車線の後方から接近する車両を検知する「ブラインドスポットモニター［車線変更サポート付 ］」、駐車場などで自車の後方左右から接近する車両を検知する「リアクロストラフィックアラート」、全車速での追従機能を備えた「アダプティブクルーズコントロール［全車速追従機能付 ］」を標準装備して、予防安全性能を向上させています。

欧州仕込みの足回りの良さも魅力

ライバルの多い国産コンパクトSUVにあって、パワフルな加速を味わえるターボエンジン、そして全車速での追従機能を備えた運転支援システムを搭載するなど、エスクードは総合能力の非常に高い1台です。さらに欧州で鍛えた足回りは走りにこだわる人でも満足できる仕上がりとなっています。

※記事の内容は2021年9月時点の情報で制作しています。