2012〜2016年のわずか4年間に販売されていた、日産のコンパクト・セダン「ラティオ」。世界戦略車でしたが、日本での販売台数は低迷。しかし、基本性能はしっかりとしたモデルです。ラティオの中古車が気になった方へ、選び方のポイントをお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の日産「ラティオ」は「G」グレード
- モデルライフが短く、モデルラインナップも少ない不人気車だがお買い得感は強い
中古車ラティオ、おすすめモデルはズバリこれ。「G」グレード
ラティオは、2012年にコンパクト・セダン「ティーダ ラティオ」の後継車としてデビューしました。ティーダは今のノートの前のモデルで、言わばノートのセダン版ともいえる位置付けです。ラティオは、直列3気筒1.2Lガソリンエンジンを搭載したコンパクトな5ナンバーセダンで、2016年まで販売されました。
ちなみに、ラティオが2016年の販売を終了したときは、国産コンパクトセダン全滅のときでもありました。かねて日本市場ではセダンが絶滅危惧種、あのクラウンでさえも姿を消すことになってしまいました。ラティオに近いボディサイズのセダンでは、ホンダ フィットのセダン版「グレイス」がありましたが、2020年7月に販売終了しています。トヨタ カローラ セダンは1世代前のモデルが、3ナンバーとなった現行モデルと併売され、5ナンバーセダン最後の砦となってしまっていますが、コンパクトセダンよりひと回りボディサイズが大きめです。
ラティオの販売台数は低迷が続き、たった4年でラインナップから落ちてしまった不人気車。新車販売は残念な結果でしたが、中古車市場では狙い目モデルです。走行距離がいい感じに少なく、状態のいいタマが、買いやすいプライスをつけた上、しっかりと保証もつけて販売されています。ただ、新車販売台数が少ないため、いいタマはすぐに売り切れてしまうので要注意。
ラティオは、ヤリスやフィット、ノートといった人気コンパクトカーより、中古車相場価格が安めの傾向です。5ドア・ハッチバックにこだわらなければ、4ドアセダンでも問題なく十分に使えます。日常生活の足として乗るのなら、ラティオでも十分です。先進安全装備はありませんが、価格重視なら目をつぶることができるでしょう。
ラティオのラインナップはとてもシンプルです。パワートレインは、直列3気筒1.2Lガソリンエンジン+CVT(無段変速機)+2WD(前輪駆動)の組み合わせの1種類のみ。モデルライフ途中でのマイナーチェンジは1度だけ、一部改良はありません。そのマイナーチェンジも内外装の小変更や少しの装備追加にとどまり、マイナーチェンジ前後の性能差、装備差が小さい範囲にとどまっています。モデルの選択肢は、グレードしかありません。
そのグレード構成もとてもシンプルで4つしかありません。そのうち、ベースグレード「B」はマイナーチェンジで一つ上の「S」に吸収されています。中古車市場を横断してみると、上級グレードの「X」と最上級グレードの「G」で過半数が占められています。
このタマ数の面と、装備の充実度、購入後の幸福度のすべてを加味すると、最上級グレード「G」が最もおすすめとなります。
各グレードの中古車相場価格と流通台数については、次項をご覧ください。
★お買い得で魅力的な中古車ラティオ
この項では、ラティオの誕生から販売終了までの歴史と、グレード別中古車相場価格と流通台数をまとめてお伝えします。
ラティオの歴史
2012年10月5日「ラティオ」発売
5ドア・ハッチバックのコンパクトカー「ティーダ」の派生モデルでセダンの「ティーダ ラティオ」の後継車としてデビュー。ティーダは、ノートが後継車となったため、ティーダ ラティオからティーダの車名が外れ、サブネームだったラティオが車名となった。プラットフォーム(車の骨格部分などの主要構造物)は、4代目マーチにも採用された、新開発Vプラットフォームが使用された。
ラティオは、日本、アメリカをはじめ、中国、タイ、インド、ブラジルなどの新興市場にも向け、世界150ヵ国以上で販売されるコンパクト・セダンとして開発された。中国では「サニー」、北米では「ヴァーサ セダン」、オーストラリアでは「アルメーラ」と地域別に車名が異なる。なお、日本への導入は、中国、北米、オーストラリアの後となった。
生産は、ティーダ ラティオが追浜工場であったが、ラティオはマーチと同じタイ工場での生産となり、日本へ輸入されての販売となった。
▽エクステリア・ボディサイズ
フロントフェイスは大型のヘッドライトが特徴的な存在感あるデザインで、サイドビューは水平基調で伸びやかで堂々としたフォルムとなっている。ボディサイズは、全長4,425mm、全幅1,695mm、全高1,495mmの5ナンバーサイズ。
▽インテリア
エンジンルームを最小化し、燃料タンクの位置を最適化することで、1クラス上のセダンと同等の室内空間を確保した。後席の広さもしっかりととられ、シルバー加飾と美しいイルミネーションのファインビジョンメーター(一部グレードを除く)を採用するなど、高級感も演出した。
▽パワートレイン・燃費
最高出力79PS、最大トルク106N・mを発生する直列3気筒1.2Lガソリンエンジンに、副変速機付きエクストロニックCVT(無段変速機)を組み合わせた(この1種類のみ)。駆動方式は2WD(前輪駆動)。アイドリングストップの採用や、空力性能を追求したボディとあいまって、22.6km/L(JC08モード)を達成した。
▽安全性能
高強度安全ボディを採用、VDC(ビークルダイナミクスコントロール:横滑り防止装置)は、TCS(トラクションコントロール)付きとし(一部グレードはメーカーオプション)、バックビューモニターをディーラーオプションで設定した。
▽グレード・価格
ベースグレードから上級グレードに向かって「B」「S」「X」「G」の4種類、車両価格は139万〜170万円。
2014年10月22日 マイナーチェンジ
デザインの一部変更、ボディカラーラインナップ、グレード体系、装備と全面的な見直しが入った。
▽エクステリア
フロントグリル、フロント/リアバンパー、ヘッドライト、フードのデザインを変更。マイナーチェンジ以前より、シャープでダイナミックな印象をもたせた。
▽インテリア
センタークラスター、助手席側インパネ、ステアリングのデザインを変更。シート生地も変更され全体的な質感向上が図られた。最上級グレード「G」では、センタークラスターフィニッシャーとエアコン操作パネルをピアノブラックとし、高級感が演出された。
▽ボディカラー
ホワイトパールを廃止して、ブリリアントホワイトパールへ変更、バーニングレッドも廃止し、ラディアンレッドに変更、さらに新たにディープアイリスグレーを追加した合計7色のボディカラーラインナップとした。
▽グレード・価格
ベースグレードの「B」を「S」グレードと統合。「X」「G」とあわせて3グレード構成に整理された。車両価格は、146万〜179万円となった。
2016年12月 販売終了
日本市場では販売が低迷、日産のラインナップから消滅すると同時に、国産5ナンバーセダンも消滅した。
<グレード別>中古車ラティオ
グレード | 中古車価格 | 流通台数 |
---|---|---|
B | - | - |
S | 34万〜60万円 | 10台未満 |
X | 20万〜80万円 | 約20台 |
G | 20万〜70万円 | 約20台 |
※2021年7月25日時点。「B」は中古車価格が付いた物件なし。
ラティオならではのチェックポイント
ラティオ固有のチェックポイントは特に見当たりませんでしたが、保証がしっかりとついたものを選ぶことをおすすめします。これはラティオに限ったアドバイスではありませんが、今では、品質に問題がない中古車は基本的に何らかの保証が付けられています。中古車市場全体では、保証が付いているタマの割合のほうが多い状況です。
目安として、保証期間が1年以上、保証走行距離が無制限のものが安心です。保証期間が短いものは購入後の故障リスク、消耗部品・油脂類の交換費用発生の心配があると思って構いません。
比べて検討!ラティオのライバル車種
ホンダ「グレイス」
ホンダの人気コンパクトカー、フィットのセダンがグレイス。2014年にデビューしています。こちらは、ハイブリッド車も設定されています。
2021年7月25日時点の中古車価格帯は40万〜280万円、平均価格は約123万円、流通台数は200台ほどとなっています。
トヨタ「カローラ アクシオ」
ラティオより1段階上のクラスとなりますが、1世代前のカローラ アクシオも比較検討対象車に入れてみてください。
2021年7月25日時点の中古車価格帯は18万〜222万円、平均価格は約82万円、流通台数は700台ほどとなっています。
中古車ラティオはここで探せ!
では、中古車ラティオをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月25日時点、グーネットでは、ラティオの掲載件数は49件、価格帯は20万~80万円、平均価格は約44万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月25日時点、カーセンサーでは、ラティオの掲載件数は57件、価格帯は20万~80万円、平均価格は約42万円となっています。
不人気車だが、お買い得感は強い
ラティオは日本市場では人気を得ることなく、販売台数が低迷、不人気車となってしまいました。ベーシックなコンパクト・セダンとしての出来はいいので、お買い得感ある中古車が買えるでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のラティオ、どれを買うべき?
A:ラティオは販売期間が短く、パワートレインが1種類、グレード構成は前期型で4タイプ、後期型で3タイプと選択肢が少ないモデルです。このため、特に「このモデルを買うべき」と強くおすすめするものがありません。後述していますが、しっかりと保証が付いているものを購入することをおすすめします。
Q2:中古車ラティオを買うときに気を付けたいポイントは?
A:ラティオに限ったアドバイスではありませんが、保証がしっかりと付いているかどうかがチェックポイントとなります。目安として、保証期間1年以上、保証走行距離無制限のものが安心です。保証が付いていても期間が短かったり、走行距離が数千キロだったりしたら、購入後の故障リスクが高いと判断しましょう。
Q3:中古車ラティオはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ラティオに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月25日時点のものです。