2016〜2020年に販売された、ヨーロッパで鍛えられインドで生産されるグローバル戦略車でコンパクトカーの「バレーノ」。この中古車が気になった方への選び方のポイントや注意点、おすすめモデルなどをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のスズキ「バレーノ」は1.2L車
- 1.0L車の改良前モデルはハイオク仕様なので注意
中古車バレーノ、おすすめモデルはズバリこれ。1.2L車
「バレーノ」と聞いて、すぐにスズキのコンパクトカーと思い浮かべた方は、かなりのクルマツウですね。バレーノは、2016年に日本市場に導入されますが、2020年に撤退。たった4年の販売期間で終わってしまいました。
日本での販売は失敗ではありましたが、インドでは大人気。2020年度インド国内新車販売台数トップがスイフト、第2位がバレーノ。ちなみに、第3位がワゴンR、第4位がアルト、第5位がスイフトのセダン、ディザイアと上位5車種をスズキが独占したとのこと(スズキのインド現地法人、マルチ・スズキの発表による)。その販売台数は、スイフトで17万台超、バレーノとワゴンが16万台超、アルトで15万台超、ディザイアが12万台超という数値。2020年度で最も売れた新車は、トヨタ ヤリス(ヤリスクロス、GRヤリスを含む)で20万台(4年連続首位だったN-BOXの4連覇を阻止した)、市場規模は日本と似た部分があるのがインド。
インドでは大人気のバレーノは、ヨーロッパでも評価が高く、大人気とまではいきませんが、商業的に失敗にはいたっていません。日本では惨敗しただけで、グローバルでは成功した車です。
スズキのコンパクトカーは、バレーノより前にスイフトがラインナップされています。日本では、スズキのラインナップのうちでスイフトとバレーノがコンパクトカーセグメントでかぶってしまった上、日本では見慣れないフロントデザインの雰囲気などが国内の消費者はなじめなかったこと、さらに、電動化の波が日本市場からの早期撤退を決めた理由となっていると推測しています。
しかし、不人気車でも実はイイクルマはたくさんあります。バレーノもその一台。
バレーノは、1.0Lダウンサイジングターボと、1.2L自然吸気エンジンの2タイプをラインナップしています。パワーがあるのが1.0Lターボ車で、自然吸気1.6Lエンジンと同等の出力、トルクがありますが、燃費が良いのは1.2L車のほう。コンパクトカーは燃費が良いほうがいいという理由でおすすめしていますが、燃費より走りに余裕が欲しい方は、1.0Lターボ車を選んだほうがいいでしょう。ただ、1.0Lはデビューから2018年の仕様変更までは、プレミアムガソリン(ハイオク)仕様です。これは、ガソリンのオクタン価が高いヨーロッパ市場向けモデルであるがゆえです(欧州車はみんな、基本、プレミアムガソリン仕様です)。レギュラーガソリン仕様への変更は、最高出力、最大トルク、燃費ともにスペックダウン。致命的なダウン幅ではなく、普通に運転するなら気づきにくい範囲ですが、ちょっとマイナスポイントです。このあたりの変遷とスペック詳細、グレード別の中古車相場価格については、次項をご覧ください。
★ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車バレーノ
この項では、バレーノ誕生から国内販売終了までの歴史とモデル詳細、グレード別中古車相場価格と流通台数をまとめてお伝えします。
バレーノの歴史
2015年9月15日 フランクフルトモーターショーで初公開
新型コンパクト・5ドアハッチバック「Baleno(バレーノ)」を初公開、2016年春より欧州での販売を開始することを発表。生産はインド。欧州仕様では、新開発1.0L直噴ターボガソリン「BOOSTERJET(ブースタージェット)」と1.2L「デュアルジェット エンジン」、マイルドハイブリッドシステム「SHVS」を搭載した1.2L「デュアルジェット エンジン」の3種類のパワートレインをラインナップし、ボディサイズは全長3,995mm・全幅1,745mm・全高1,470mmでBセグメント。
2015年10月26日 インドで発売
スズキのインド子会社マルチ・スズキ社が、バレーノをインド国内向けに販売開始すると同時に、世界各国へ輸出することを発表した。インド市場向けには1.2Lガソリンエンジンと1.3Lディーゼルエンジンを搭載、バレーノはプレミアムハッチバックとして、インド国内の新しいプレミアム車販売網「NEXA」で販売された。「NEXA」のプレミアム車は、SUV「S-CROSS(エスクロス)」に次ぐ2番目となった。
2016年3月9日 日本国内発売(1.0L車)
エンジンは、1.0Lターボと1.2L自然吸気(ノンターボ)エンジンの2タイプをラインナップ。ターボ車は遅れて5月13日からの発売となった。スズキはバレーノの国内発売に際し、「スズキの小型乗用車づくりのノウハウを駆使し、スズキが考える理想のコンパクトハッチバックを追求したモデル」と伝えた。また、バレーノのおもな特長については、「流麗でエレガントなスタイリング」「Bセグメントのコンパクトなボディに、ゆとりある居住空間と荷室スペース」「新開発のエンジンとプラットフォームによる、高い走行性能と優れた燃費性能」「先進安全技術とロングドライブをサポートする機能」の4点を挙げた。
▽エクステリア・ボディサイズ
ワイドなフロントグリルと、特徴的な縦型のヘッドライトで、先進性と上質さを演出。リアコンビネーションランプも先進的なイメージでデザインされた。ボディサイズは、全長3,995mm・全幅1,745mm・全高1,470mmと欧州仕様車と変わらず。
▽インテリア
曲線と曲面で構成されたインパネが特徴的。インテリアカラーはブラックを基調とし、随所にメッキやピアノブラック、シルバーの加飾を施して上質感を演出。シートはファブリックシート、オプションで本革も設定された。
▽パワートレイン・足回り
新開発の1.0Lターボガソリンエンジン「K10C型ブースタージェット」は、最高出力111PS、最大トルク160N・mと、1Lの排気量ながら1.6L自然吸気エンジンクラスのパワーを発生、JC08モード燃費20.0km/Lという低燃費も実現した。なお、ターボ車はプレミアムガソリン仕様であった。1.2L車は、最高出力91PS、最大トルク118N・m、JC08モード燃費24.6km/L。駆動方式2WD(前輪駆動)のみのラインナップ。トランスミッションは1.2L車に副変速機付きCVT(無段変速機)、1.0Lターボ車に6速ATを組み合わせた。また、フロントサスペンションとリアサスペンションには、スタビライザーを採用、欧州で走り込み磨き上げられた操縦安定性の高いセッティングが施された。
▽グレード・価格
1.0L車はモノグレードで「XT」のみ。車両価格は162万円で、1.2L車もモノグレードで「XG」のみ、車両価格は141万円。
2016年11月17日 新グレード「XS」追加
「XS」は1.2Lノンターボ車「XG」をベースとした上級仕様。ディスチャージヘッドランプやアルミホイール、インテリアではフルオートエアコン、助手席シートヒーターなどが採用された。車両価格は154万円。
2018年5月16日 仕様変更
ターボ車「XT」の使用燃料が、それまでのプレミアムガソリンからレギュラーガソリンへ変更された。最高出力は、111PSから102PSへ、最大トルクは169N・mから150N・mへ、JC08モード燃費は20.0km/Lから19.6km/Lにそれぞれスペックダウンした。また、セットオプションの装備品がすべて標準装備化され、車両価格は、173万円となった。
2020年7月 販売終了
こちらもおすすめ! <グレード別>中古車バレーノ
エンジン | グレード | 中古車相場価格 | 流通台数 |
---|---|---|---|
1.0Lターボ | XT | 75万〜145万円 | 約30台 |
1.2L自然吸気 | XG | 50万〜105万円 | 約30台 |
XS | 70万〜130万円 | 約30台 |
※2021年7月23日時点
バレーノならではのチェックポイント
バレーノに限ったアドバイスではありませんが、保証の有無は重要なチェックポイントです。目安として、保証期間が1年以上、保証走行距離が無制限のものがおすすめです。保証が付いていないものや、付いていても期間が短いものは、購入後に修理や部品交換の発生リスクが高くなります。
比べて検討!バレーノのライバル車種
三菱「ミラージュ」
三菱のコンパクトカー、ミラージュもグローバル戦略車。バレーノと同じく、日本では人気がイマイチなのも似ています。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は10万〜140万円、平均価格は約53万円、流通台数は300台ほどとなっています。
スズキ「スイフト」
同じスズキの5ドア・ハッチバックコンパクトカー。スイフトは国内生産。バレーノと被ったラインナップに思えますが、スイフトにはハイブリッドの設定があり、全体的にやや上のクラスです。中古車市場では、比較検討の対象車となります。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は1万〜200万円、平均価格は約80万円、流通台数は2,800台ほどとなっています。
トヨタ「ヴィッツ」
2020年にフルモデルチェンジして「ヤリス」になる前のモデル。定番コンパクトカー。人気が高い分、中古車相場価格もバレーノよりも高めです。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は4万〜369万円、平均価格は約67万円、流通台数は3,450台ほどとなっています。
ホンダ「フィット」
前述のヴィッツの最大のライバル、ホンダ「フィット」。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は0.1万〜270万円、平均価格は約90万円、流通台数は5,300台ほどとなっています。
日産「ノート」
ノートもヴィッツのライバル。シリーズハイブリッド「e-POWER」は中古車相場価格が高めです。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は2万〜290万円、平均価格は約97万円、流通台数は7,800台ほどとなっています。
中古車バレーノはここで探せ!
では、中古車バレーノをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月23日時点、グーネットでは、バレーノの掲載件数は83件、価格帯は49万~143万円、平均価格は約92万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月23日時点、カーセンサーでは、バレーノの掲載件数は79件、価格帯は58万~140万円、平均価格は約87万円となっています。
ヨーロッパで鍛え上げられ、インドで生産されるグローバル・コンパクトカー
2016〜2020年のたった4年という短い販売期間だったバレーノ。日本市場では、販売台数が伸びませんでしたが、ヨーロッパ市場、アジア市場をターゲットにしたグローバル戦略車で、基本性能はとてもしっかりとしています。中古車相場価格はライバル車に比べて安めですので、狙い目モデルです。
よくある質問
Q1:中古車のバレーノ、どれを買うべき?
A:バレーノは2016〜2020年が販売期間という、新しいモデルです。グレード構成は少なく、選択肢の大きな分かれ目は、1.0Lターボか、1.2L自然吸気のどちらを選ぶか、のみとなるでしょう。どちらも良いエンジンです。しいて言えば、ターボ車の改良前モデルはプレミアムガソリン(ハイオク)仕様となるため、改良後がおすすめとなりますが、最高出力、最大トルク、燃費ともスペックダウンしていることが気になります。実際の走行ではそこまで低下したことは感じにくい範囲ですが、これも一長一短。
Q2:中古車バレーノを買うときに気を付けたいポイントは?
A:バレーノに限った「気を付けたいポイント」ではありませんが、しっかりと保証が付いているかどうかに注意しましょう。詳しくは、「バレーノならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q3:中古車バレーノはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車バレーノに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月23日時点のものです。