ヨーロッパ生まれのミドルクラスセダン(初代)、ワゴン(2代目)で2003〜2018年に国内販売されたアベンシス。この中古車が気になっている方へ、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「アベンシス」は2代目 後期型
- 初代は基本設計の古さ、チープな安全装備が気になる
中古車アベンシス、おすすめモデルはズバリこれ。2代目 後期型
アベンシスの販売期間は、2009〜2018年ですが、欧州では1997年から初代が発売され、2代目から日本国内市場へ導入されました。日本市場では初代でも、モデルとしては2代目となります。
アベンシスは欧州ではライバルが、フォルクスワーゲン パサート、ルノー メガーヌ ワゴンなどのDセグメントのセダン、ステーションワゴンとなります。メルセデス・ベンツ Cクラス、BMW 3シリーズも同じDセグメントのライバルとなりますが、プレミアム・ブランドのDセグメントがライバルとは少し言い難いところがあります。Cクラス、3シリーズのベーシックグレードあたりはライバルとなるイメージでしょうか。欧州トヨタでは、アベンシスがフラッグシップモデルとなっています、とお伝えしても、日本市場とは構図が異なりますので、わかりづらいですね。なんとなく、そのあたりの、ちょっとイイクルマと思っていただければ。
日本の中古車市場においては、アベンシスはトヨタ車では珍しい不人気車です。タマ数も少なく、新車価格からの値崩れも比較的大きく、お買い得感はありますが、乗り味は日本のトヨタ車のそれとは少し異なるところが、好き嫌いが分かれるところとなるでしょう。
アベンシスは、欧州市場をターゲットに企画・開発されました。ヨーロッパで鍛えられたモデルです。初代の走りの質はヨーロッパ基準、日本市場向けのモデルより硬めの乗り心地です。しかし、引き締まった硬めの乗り味は、ヨーロッパ車よりヨーロッパ車っぽい、とクルマ好きからは高い評価を受けていました。2代目は、ソフト路線へ変更、乗り心地が重視されました。また、時代の流れもありますが、安全装備の数も増え、安全性能も向上しています。
そんなわけで、おすすめは2代目後期型(マイナーチェンジ後モデル)。2代目は1度マイナーチェンジが行われていますが、外観は「同じクルマ?」と思うほど大改編。歴代のクルマでも、ここまでマイナーチェンジで大きく顔が変わったモデルはなかなかありません。また、安全装備はプリクラッシュセーフティとレーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームを搭載した衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)」を全車に標準装備、現在の安全性能レベルにようやく手が届く感じです。
2代目後期型をはじめ、世代別・タイプ別の中古車価格帯は、次項をご覧ください。
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この項では、アベンシスの初代デビューから、販売終了までの歴史と、世代別・タイプ別の中古車価格帯をまとめてお伝えします。
アベンシスの歴史
初代(1997〜2003年)※日本未導入
1997年に欧州専売車種として発表。ボディタイプは、セダン、ステーションワゴン、5ドアハッチバックの3タイプがラインナップした。いずれも全長が約4.5mのミドルクラスで、先代はコロナの欧州仕様、カリーナEだった。生産はイギリスの欧州市場向けモデルで、日本市場には導入されていない。なお。2001年に、派生モデルでミニバンの「ヴァーソ」が日本市場に「イプサム」の車名で導入された。
2代目・日本国内では初代(2003〜2009年)
▽2003年10月 国内発売(前期型)
2003年3月からフルモデルチェンジを受けた2代目が欧州で発売された。先代同様のミドルクラス・セダン、ステーションワゴン、5ドアハッチバックをラインナップ。生産はイギリス。同年10月、セダンとステーションワゴンが逆輸入され日本市場でも発売。ビスタの後継車としてラインナップした。日本国内仕様は、セダンとステーションワゴンのみ、2.0Lガソリン+ATのみのパワートレイン、駆動方式は2WDと4WDが設定された。車両価格はセダンが220万〜275万円、ステーションワゴンが237万〜290万円で販売された。
▽2006年7月31日 マイナーチェンジ(後期型)
エクステリア、インテリアデザインの一部変更と、室内の質感向上、快適装備の追加などが実施された。車両価格はセダンが231万〜332万円、ステーションワゴンが250万〜348万円で販売された。
▽2009年1月 販売終了
2009年1月にフルモデルチェンジされるが、欧州市場のみで発売。日本市場導入は見送られた。
3代目・日本国内では3代目(2009〜2018年)
▽2011年6月24日 発売(前期型)
3代目アベンシスの日本導入は見送られていたが、2011年にステーションワゴンのみが日本国内市場で発売されることになった。その背景に、それまでのトヨタにラインナップしていたカルディナ、マークIIブリット、クラウンエステートといったミドル〜アッパーミドルクラスのステーションワゴンの後継車が不在のままで、それらのユーザーを獲得するためにアベンシスワゴンが導入されたことがあるようである。日本に導入されたのは、2.0Lガソリン+CVTの2WD、モノグレードで、車両価格は250万円で販売された。
全長は4,765mm、全幅1,810mmと大型化され、室内空間は大人5人がゆったりと乗れるように設計された。また、インテリアの質感は高く設計され、トヨタブランドの欧州市場ラインナップでは、フラッグシップとなるモデルにふさわしい装備が用意された。
日本国内仕様の安全装備は、運転席・助手席SRSエアバッグとSRSサイドエアバッグ、カーテンシールドエアバッグ、運転席ニーエアバッグや、車両後部への追突時に乗員の頸部への衝撃を軽減するアクティブヘッドレストを標準装備。また、ステアリング、ブレーキ、駆動力を制御して操縦安定性を保つ「S-VSC」、走行状態に応じて個別に四輪を制動力を分配し、急ブレーキ時には自動でブレーキ踏力を高める「EBD付きABS&ブレーキアシスト」も標準装備された。加えて、急ブレーキ時にストップランプが点滅して後続車への注意を促す「緊急ブレーキシグナル」や、夜間のコーナリング時には、進行方向へヘッドライトの光軸を自動で向ける「インテリジェントAFS」なども装備した。
▽2015年10月5日 マイナーチェンジ(後期型)
フロントフェイスを大幅に変更、リアエンドデザインも変更された。当時、流行りだった、LEDクリアランスランプ(車幅灯)と組み合わせた「Bi-Beam LEDヘッドランプ」が採用され、顔つきはスポーティーなトヨタの共通デザインテーマ「キーンルック」になった。インテリアも大きく変更、インパネ上部からフロントドアの上部へ流れるような一体型のデザインでワイド感が強調された。また、センタークラスターのデザインも変更し、先進性とシャープな印象をもたせた。メーターは、2つの円筒形のシリンダータイプの立体的なデザインを採用しプレミアム感を演出した。シートも形状を変更して、ホールド性を向上。インテリアカラーは、ベースグレードの「Li」ではグレーを基調とし、シート表皮は高級素材アルカンターラとファブリックのコンビシート、上級グレード「Xi」では、新色のテラコッタをインテリアカラーに設定、シート表皮はアルカンターラと本革のコンビシートが奢られた。
グレード構成は前述の「Li」と「Xi」、全車2.0LガソリンエンジンにCVTの組み合わせ、2WDのパワートレインのみを設定、車両価格は274万〜293万円で販売された。
▽2018年4月 販売終了
こちらも! <世代・タイプ別>中古車アベンシス
▽2021年7月22日時点の中古車相場価格と流通台数
世代 | 中古車価格 | 流通台数 | |
---|---|---|---|
セダン | 初代 | 9万〜48万円 | 約10台 |
ワゴン | 初代 | 20万〜73万円 | 約10台 |
2代目前期型 | 30万〜130万円 | 約60台 | |
2代目後期型 | 100万〜166万円 | 約20台 |
アベンシスならではのチェックポイント
アベンシスだけにいえることではありませんが、年式が古いモデルが多いため、保証の有無は重要なチェックポイントとなります。保証が付いていないものや、付いていても保証期間が短いものは、購入後の故障リスクや、部品交換発生リスクが高いタマと考えて問題ないでしょう。目安として、保証期間1年以上、走行距離無制限のものが安心です。
比べて検討!アベンシスのライバル車種
マツダ「アテンザ」
現行モデル、マツダ6の前車名が「アテンザ」。車名変更は、2019年ですからアベンシスと比較検討するならこちらです。アテンザも、セダンとステーションワゴンがラインナップされ、欧州市場、北米市場での販売を見据えた世界戦略車です。
2021年7月22日時点の中古車価格帯はセダンが18万〜309万円、平均価格は約138万円、流通台数は350台ほど、ワゴンが43万〜315万円、平均価格は約150万円、流通台数は360台ほどとなっています。
ホンダ「ジェイド」
ホンダのミドルクラス・ステーションワゴン。アベンシスと同様、新車販売台数が伸びず、中古車市場では不人気車扱いとなっています。2021年7月22日時点の中古車価格帯は74万〜280万円、平均価格は167万円、流通台数は250台ほどとなっています。
中古車アベンシスはここで探せ!
では、中古車アベンシスをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月22日時点、グーネットでは、アベンシス セダンの掲載件数は10件、価格帯は9万~48万円、平均価格は約30万円、ワゴンの掲載件数は84件、価格帯は20万~166万円、平均価格は約87万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月22日時点、カーセンサーでは、アベンシス セダンの掲載件数は10件、価格帯は9万~38万円、平均価格は約22万円、ワゴンの掲載件数は74件、価格帯は30万~166万円、平均価格は約81万円となっています。
イギリス生まれのヨーロピアンテイストあふれるアベンシス
アベンシスは、欧州市場向けに企画・開発されたモデルでイギリスの工場で生産されたモデルです。このため、トヨタ車にしてはヨーロピアンテイストあふれる乗り味、乗り心地となっています。日本国内市場での人気はいまひとつでしたが、欧州ではトヨタのフラッグシップモデルとして販売されていたモデル、高いパフォーマンスは折り紙付きです。
よくある質問
Q1:中古車のアベンシス、どれを買うべき?
A:年式と安全性能を考えると、2代目(2011〜2018年式)がおすすめです。初代は2003〜2009年式となり、基本設計は20年ほど前の古いモデルです。安全性能は初代と2代目で非常に大きな隔たりがあります(詳しくは「アベンシスの歴史」の項をご覧ください)。また、故障リスクも考慮して、日常の足として安心して乗ることができる2代目を選びましょう。
Q2:中古車アベンシスを買うときに気を付けたいポイントは?
A:アベンシスは年式が古いタマが多くあります。状態の程度も差に開きがありますので、保証の有無は気を付けたいポイントです。保証期間は1年以上、走行距離は無制限のものが安心です。それ以下の保証期間では、故障リスク、部品交換発生リスクが高いと考えたほうが良さそうです。
Q3:中古車アベンシスはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車アベンシスに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月22日時点のものです。