助手席側のみ電動スライドドアを採用し、乗降性を向上させファミリーカーや福祉車両として人気を博したポルテが2代目へとモデルチェンジすると同時に、兄弟車としてデビューしたのがスペイドです。発売は2012年7月。
当時4チャンネルあったトヨタの販売店全店でポルテのようなプチバンを展開するために追加され、カローラ店とネッツ店にて販売されました(ポルテはトヨタ店とトヨペット店)。
車名はスペース(Space=空間)とワイド(Wide=広い)を組み合わせた造語。トランプのスペードが持つクールなイメージを表現し、柔らかいイメージのポルテとは対照的なキャラクターを持っていました。
この記事では、中古車のスペイドならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「スペイド」は2016年式 G(FF)
- 先進安全装備に裏ワザのアップデートあり
中古車のスペイド、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら2016年式 G(FF)を90万円で買う!
スペイドは改良の度に先進安全装備を向上させていますので、モデル末期に近づくほど先進安全装備も充実していきます。歩行者検知機能付きの緊急自動ブレーキを備えたToyota Safety Senseが付いた、2019年7月以降のモデルがおそらくベストな選択肢でしょう。
しかし、中古車ではこの年式はまだまだ少なく、見つけることが難しくなっています。中古車市場に出回っているのは、12〜16年式が大半なのです。しかしToyota Safety Senseには、思わぬ裏ワザがあります。
それは、緊急自動ブレーキ機能のアップデートプログラム。既存の歩行者検知機能のないToyota Safety Sense Cを歩行者検知機能付きに書き換えることが可能なのです。これはディーラーで行えるプログラムで、費用も4,180円とリーズナブル。となると、おすすめ車両の年式の幅が広がります。
スペイドのおすすめは、Toyota Safety Sense Cが導入された16年6月末の改良以降のモデルです。具体的には、初年度登録が16年7月登録以降のモデルとなります。グレードは、オートエアコンが標準装備となる最上級グレードのGがいいでしょう。Gで気に入った個体が見つからなければ、オートエアコンのオプションが付いている他グレードでも問題ありません。もちろん、納車前点検ではToyota Safety Sense Cのバージョンアップをお忘れなく。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車スペイド
その乗り降りのしやすさから、福祉車両としても人気が高いスペイド。積雪のある地域では必須となる4WD車もしっかりと用意されています。
FFモデルに比べると完全なフラットのフロアではなくなりますが、基本的にFFも4WDも室内の広さには変わりありません。
初期モデルにあった1.3Lエンジンが、4WDモデルには搭載されておらず、余裕のある1.5Lエンジン車のみということもポイントです。中古車の個体数はそんなに多くありませんが、4WD車を狙う人にとってもおすすめできるクルマでもあります。
スペイドのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
ポルテが2代目へとモデルチェンジすると同時にデビューした、スペイド。2012年7月に登場し、カローラ店とネッツ店での専売車として販売されました。
アルファードの開口部幅を優にしのぐ電動スライドドアの乗降性の良さ、セルシオクラスのラージセダン並みの前後シート距離を確保した広さなど、コンパクトカーとは思えない使い勝手の良さを実現。
ミニバン的な要素をもったコンパクトカー「プチバン」人気が高まり始めた時期でもあり、発売1ヵ月でポルテとスペイドを合わせた販売台数は24,000台にまで達しました。
スペイドはポルテと比べると、水平基調で鋭いデザインのフロントマスクを採用し、クールなイメージを演出。ボディ側面には前後を水平につなぐキャラクターラインも入り、ポルテと明確な差別化がされていました。ヴィッツのプラットフォームをベースにし、エンジンは1.5Lと1.3Lのガソリンエンジンをラインナップ。1.5Lには4WDも用意されています。
登場から3年後の15年7月、初の一部改良を実施。FF車の1.5Lエンジンを新開発の高効率アトキンソンサイクルエンジンへ刷新し、JC08モード燃費22.2km/Lを実現しました。同時にエコカー減税対象にもなったこともあり、1.3Lエンジンは廃止されています。外観ではシルバー塗装のフロントグリルを採用。シートやセンターパネルの柄や色も変更されました。
あわせてこのタイミングで特別仕様車のFクイーンが設定されています。
翌年16年6月の一部改良では、先進安全装備の「Toyota Safety Sense C」を全車標準装備化。レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせた運転支援機能であり、プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームなどの先進安全装備が与えられました。
さらに17年12月にも一部改良が行われ、スマートエントリーパッケージ(スマートエントリー&スタートシステム、盗難防止システム、オート電動格納式リモコンドアミラーのセットオプション)を全車に標準装備化。ボディカラーも新規でブルーメタリックなどが追加され、全9色から選べるようになっています。
19年7月には、国のサポカー補助金に対応するために一部改良。Toyota Safety Senseのバージョンアップが行われ、昼間の歩行者を検知する緊急自動ブレーキが備わりました。ペダルの踏み間違い軽減機能も追加されています。
また、このタイミングで特別仕様車のFノーブルコレクションが設定されています。
そして20年12月、生産終了となりました。
こちらもおすすめ!タイプ別にスペイドの中古車を選ぶなら
●安全装備も、便利な機能もすべて付いていてほしい人には 2017年式 G(FF) 中古市場の相場110万〜120万円
本来なら最後の改良があった2019年式をおすすめしたいところですが、現状は流通数が少なすぎます。ある程度選択肢があって年式が新しいとなると、スマートエントリーパックのセットオプションが標準化した17年式のG(FF)をおすすめします。
スマートエントリー&スタートシステムやオート自動格納式ドアミラーなどの装備は、購入時に付いていなくても特別不便な機能でもないので、逆に付いてくると得した気分になります。
グレードはやはり最上級のGを狙いましょう。オートエアコンは、夏の暑い日本では必須です。Toyota Safety Senseの書き換えも忘れずにチェックしましょう。
●とにかくコストパフォーマンスが最優先! という人には 2012年式 G(FF)中古市場の相場20万〜70万円
最上級のグレードでも、年式が古くなれば価格は安くなります。修復歴なしで走行距離がそんなに増えていない個体であれば、初期のモデルのコスパの良さはなかなかのもの。
スペイドの場合は、これに加えモデルを通してマイナーチェンジが一回もなかったこともプラスに働きます。
通常国産車では前期型と後期型で見栄えが変わってしまう場合が多いのですが、スペイドは最初から最後までほとんど外観が変わることはありませんでした。それならば、条件の良い初期型をお得に探すという手も、十分魅力的だといえるでしょう。
●先進安全装備が付いている4WDモデルを探しているのなら 2016年式 G(4WD) 中古市場の相場70万〜130万円
おすすめできる年式は、駆動方式が違っても関係なしです。スペイドの場合はToyota Safety Senseのアップデートがかなり有利に働きます。FFと比べるとかなり流通数は減りますが、2016年式なら100万円前後で条件の良い個体が見つかるでしょう。
中古車のスペイドならではのチェックポイントはココ
最低でもToyota Safety Sense C付きを選びたい
ここまで何度も出てきていますが、トヨタはディーラーでのアップデート作業で、Toyota Safety Sense Cの機能を歩行者検知機能付きに性能向上させることができます。しかも費用は4,180円と、とても良心的なサービスと言えます。中古車市場では、Toyota Safety Senseが付いた個体よりも、Toyota Safety Sense Cが付いた個体の方が圧倒的に流通数は多くなっています。もともと全グレードに標準装備されているものですので、この機能を重視するのであればグレードは二の次でも構わないと思います。納車前にアップデートされているかは、必ず確認しましょう。
ラゲッジ周りドア周りの傷チェック
福祉車両としての需要も多い、スペイド。ラゲッジルームの開口部や、フロア部、スライドドアのサイドシル部に大きな傷がないかは、案外チェックを忘れがちです。販売店によっては、ウェブサイト上に傷の情報を載せないところもまだ少なくありません。車椅子を載せる機会が多いクルマでもあるので、傷が気になる人は必ず店頭で現車を見てチェックしましょう。
ペットやタバコの匂いが気になるなら必ず現車チェックを
これはスペイドに限った話ではありませんが、背の高いワゴンタイプやミニバンに最近増えてきているのが、前オーナーがペットを飼っていたケース。動物の匂いが気になる人は、必ず現車をチェックしましょう。販売店のコメントには、ペットやタバコの匂いのことを書いていないことのほうが多いです。電話やインターネットで買う方法も増えてきてはいますが、中古車の場合は必ず現車を確認してから購入することは基本です。必ず販売店に足を運んで確認しましょう。
スペイドの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
実質的な後継車種「トヨタルーミー」
スペイドやポルテほど大きくはないにしろ、同じスライドドアを持つトール型コンパクトのルーミー。スペイドが廃止されたのも、このルーミーの影響が大きかったはずです。現在でも、販売台数トップ10の常連モデルでもあります。
人気の秘密は、やはり広々とした室内空間でしょう。スペイドよりもさらに効率化が図られたスクエアなボディにより、広さと開放感は抜群です。スライドドアが左右両側に設定されることも、スペイドにはない魅力の一つです。現在の相場は60万〜230万円ほどです。
ルーミーで注意する点は、パワートレインの組み合わせです。エンジンがNAとターボの2種類から選べるルーミーですが、4WDを選ぶとターボ車が用意されていません。4WDでもっとパワーが欲しい人にとっては、ベストな選択肢にならないかもしれません。
デザインはあんまり気にしないのであれば「トヨタポルテ」
当然といえば当然なのですが、まるっきり同じ設計の兄弟車ですから、条件次第ではどちらでもという人は多いでしょう。ポルテの方が市場での数も多く、豊富な選択肢から好きな個体を探せるでしょう。現在の相場は20万〜160万円ほどです。
クールな印象のスペイドか、温かみのある丸みを帯びたポルテかは、完全に好みの問題です。条件が良い、お好きな方を選びましょう。ちなみにToyota Safety Senseの件はポルテももちろん有効です。
ルーミーよりも軽やかな走り「スズキソリオ」
正直もっと売れてもいいのにと思うほど、出来のいいクルマでもあるソリオ。先代モデルから採用されている軽量・高剛性プラットフォームの恩恵は絶大で、あきらかにライバルのルーミーよりも走りの質は高いです。現在の相場は130万〜260万円ほどです。
このクラスでは珍しい、ハイブリッドを用意していることも大きな魅力です。現行モデルはマイルドハイブリッドのみですが、先代にはスズキ独自のストロングハイブリッドも設定されていました。こういった新車時には少々高かったモデルを狙えるのは、中古車ならではの魅力と言えるでしょう。
中古車のスペイドはここで探せ!
では、中古車のスペイドをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのスペイドの掲載件数は1,369件、価格帯は20万~170万円となっています(※)。
※いずれも2021年6月30日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のスペイド掲載台数は6,837件、価格帯は10万~180万円となっています(※)。
※いずれも2021年6月30日時点の情報です。
Toyota Safety Sense C付きを狙おう
今どきのクルマ選びは、先進安全装備の有無も重要な性能のひとつです。歩行者検知機能がついた緊急自動ブレーキは、もはや当たり前になりつつある装備です。スペイドのToyota Safety Sense Cは、購入後もディーラーでアップデートが可能なタイプのもの。納車前までにアップデートを必ず確認しましょう。
よくある質問
Q1:中古車のスペイド、どれを買うべき?
A:2016年式のG(FF)。Toyota Safety Sense Cのアップデート作業は、必ずチェックしましょう。
Q2:中古車スペイドを買うときに気を付けたいポイントは?
A:福祉車両で使われることも多いクルマですので、車椅子の積み下ろし等でついたであろう傷の有無は確認しましょう。ラゲッジルーム開口部やスライドドアのサイドシル付近は、必ず現車を見て確認するようにしましょう。
Q3:中古車のスペイドはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のスペイドに乗ることができます。
※記事の内容は2021年6月30日時点の情報で制作しています。