軽自動車で人気のスズキジムニーをベースとしたコンパクトSUVがジムニーシエラです。道具感あふれる内外装とタフな走りはジムニー譲り。2018年のフルチェンジ以来、いまだに長い納車待ちの列が続くジムニーシエラを徹底レビューしてみましょう。
販売開始から3年過ぎても衰えないジムニーシエラの人気
2018年7月に20年ぶりのフルモデルチェンジを行い、3代目となる現行型スズキジムニーシエラが登場しました。ジムニーシエラは1977年に発売された0.8Lエンジンを搭載したジムニー8がルーツ。同日にフルモデルチェンジを行った軽自動車のジムニーをベースにオーバーフェンダーを装着し小型車規格のボディを採用。搭載するエンジンは1.5L直列4気筒に変更され、海外市場を中心にコンパクトサイズの本格的な4WD車として人気を博しています。その人気の高さは販売開始から3年が経過しましたが、納車までの期間が約1年と長期にわたっていることに如実に表れています。コンパクトSUVの中で、どうして、ジムニーシエラがここまで高い人気なのかを紹介しましょう。
伝統と最新のテクノロジーを融合
現行型ジムニーシエラは、これまでの伝統を受け継ぎつつ最新のテクノロジーを融合させ、走行性能だけでなく安全性能も大幅にアップデートしています。
ジムニーシエラの骨格には、ジムニー伝統の頑強な梯子型のラダーフレーム構造を採用。先代モデルで採用されていたラダーフレームに、前後のクロスメンバーに加えて中央部にXメンバーも追加しています。これにより先代に比べてねじり剛性は約1.5倍を実現。一方でラダーフレームと車体を接続するボディマウントゴムを大型化、防振性能を高めてフレームから車体に伝わる振動を低減しています。さらにゴムの特性を変更することで乗り心地の良さと優れた操縦安定性を両立させています。
悪路走破性の高さを裏付ける確かな構造
ジムニーシエラはエンジンを縦置きしたFRレイアウトを採用しています。この方式だとエンジンをフロントタイヤ前端より後方に配置でき、厳しい凹凸を越えていくために必要なアプローチアングルを大きく確保することが可能となります。また、210mmという最低地上高を確保していることも悪路走破性の高さに寄与しています。これが群雄割拠のコンパクトSUVの中で、ジムニーシエラが高く支持される理由のひとつといえるでしょう。
プロの道具の機能美に満ちあふれた内外装
ジムニーシエラのデザインコンセプトは「合理的で無駄のない機能美の実現」です。プロの道具として、機能に徹し飾らない潔さをもったカタチを追求。内外装、ボディカラーまですべて合理的で無駄のない機能美を実現しているのが特長です。
外観では車両の姿勢・状況を把握しやすいスクエアボディに過酷な環境に負けないタフなパネル断面、走破性・積載性を高める細部の工夫を盛り込みました。
一方、インテリアは車両姿勢を把握しやすく、力強い基本骨格、過酷な環境での運転に配慮したデザインを採用しています。さらにグローブをしたままでも正確な操作が可能なスイッチの形状や防汚タイプのラゲッジフロア、使い勝手を高めるナットなどプロユースにも応えるユーティリティの高さを実現しています。
今や希少な副変速機付きパートタイム4WDシステム
ジムニーシエラに搭載されるエンジンは新開発された1.5L直列4気筒DOHCです。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATで、駆動方式はパートタイム式の4WDです。燃費性能はWTLCモードで、ジムニーシエラは13.6~15.0km/Lを実現しています。
ジムニーシエラの駆動方式は路面状況などに応じて、ドライバーが2WDと4WDを任意に切り替えて走行可能な副変速機付きパートタイム4WDを採用しています。現在は多くのSUVが存在していますが、走破性に優れるこの方式を採用しているクルマは非常に少なくなっており、これもジムニーシエラの人気のポイントといえます。
その駆動方式の切り替え操作を行うのが副変速機で、4Hと4Lモードから選べます。4Lモードでは急な登坂路や悪路の走破性を高めるために通常の約2倍の駆動力を発揮できます。また、前輪と後輪が直結したパートタイム4WDであっても、左右輪のどちらかがぬかるみなどで空転した場合、もう一方の車輪の駆動力も失ってしまいます。そこでジムニーシエラでは4Lモード選択時にのみ作動する電子制御のLSDトラクションコントロールを標準装備。エンジントルクを落とすことなく、空転した車輪にのみブレーキをかけることでもう一方の車輪の駆動力を確実に確保して、滑りやすい路面などから素早く脱出します。
さらに、坂道発進時に車両の後退を防ぐヒルホールドコントロールや急な下り坂でブレーキを自動制御し、定速走行を可能とするヒルディセントコントロールも装備しています。
先進の運転支援技術も設定あり
最新のモデルらしく、運転支援技術は衝突被害軽減ブレーキや車逸脱警報機能など7つの機能がセットになったスズキセーフティサポートを最上級グレードに標準装備、その他のグレードではオプション設定としています。
他の車種にない装備が満載の唯我独尊モデル
国産コンパクトSUVは各自動車メーカーから数多く販売されていますが、ジムニーシエラはラダーフレームやFRレイアウト、そして副変速機付きパートタイム4WDなど他の車種にはない装備が満載されていることが、納車までの期間が長期になっても多くの人が支持する理由でしょう。まさに唯我独尊のモデルということなのです。
■ジムニーシエラ価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
JL(5MT) | 4WD | 15.0 | 179万3000円 |
JL(4AT) | 13.6 | 189万2000円 | |
JC(5MT) | 15.0 | 195万8000円 | |
JC(4AT) | 13.6 | 205万7000円 |
※記事の内容は2021年8月時点の情報で制作しています。