日産が誇る名車、セドリックやグロリアの流れをくむフーガ。プレミアムセダンとして根強い支持を得ています。ロングセラーモデルだけに中古車の流通量も多く、自分に合った1台を選ぶのはなかなかたいへんです。今回は中古車のフーガならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の日産「フーガ」は2015年式 HYBRID
- オプション装備の内容を要チェック!
中古車のフーガ、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら2015年式 HYBRIDを140万円で買う!
フーガのグレード体系はパワートレインによって細かく区分けされているのが特徴。ガソリン車では2.5Lエンジン車と3.7Lエンジン車、そしてハイブリッド車のそれぞれが「250GT」、「370GT」、「HYBRID」というベーシックグレードを持ち、その上にあるグレードはGTからVIPに変わり、さらに3.7L車には足回りに手を加えた「370GT Type S」もあります。ちなみに4WDは3.7L車のみの設定で「370GT FOUR」というグレード名に変わります。
フーガの中で私がオススメしたいのはHYBRID。というのもプレミアムセダンという立ち位置のフーガはベーシックグレードの時点で装備が充実しているからです。
例えばエアコンはアロマディフューザー、自然のそよ風を感じさせてくれるゆらぎ風制御、湿度制御機能、プラズマクラスター搭載のフルオートエアコン、高性能フィルターで心地よくきれいな空気を作り出すフォレストエアコンを標準装備。ガラスはプレミアムセダンらしく遮音ガラスをフロントウィンドウ、前後のドアガラスに採用しています。
さらにエンジンを始動した際にシートやステアリング、ドアミラーの位置を登録されたドライバーに合わせたポジションに自動でセットしたり、前回車を使用した際のエアコン設定やナビ・オーディオ設定を再現してくれたりするパーソナルドライビングポジションメモリーシステムを標準装備と、ベーシックグレードとは思えないほど装備が充実しています。
1つ上のVIPになると、これらの装備のほかに、後席がシートバック中折れ機構・オートリターン機構・ヒーター付きのパワーリクライニングシートに変わり、前席も座面と背面から冷風もしくは温風を送風するエアコンディショニングシートに変わりますが、変化といえばそれくらいなもの。中古車市場でVIPの台数は全体の5分の1もないくらい少ない上に価格も少々跳ね上がります。それならばベーシックグレードでもまったく問題なさそうです。
ただ、フーガは排気量の大きい車なのでどうしても燃費がいまひとつ。それを解消してくれるハイブリッド車であれば、燃費の悪さを軽減してくれるはず。HYBRIDには日産独自の「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」が搭載され、一定速度での巡航時には積極的にEV走行を行うことで静粛性を高めるなどの工夫もあります。
ちなみに中古車市場で見ると現行型のフーガは650台ほど流通していて、その中でHYBRIDは80台前後とやや少なめ。マイナーチェンジ直後の2015年式であれば140万円前後から購入できるのでお値打ち価格でゲットするには最適といえそうです。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のフーガ
イチオシグレードとして紹介したHYBRIDだけでなく、フーガはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。例えばエクステリアの面ではベーシックグレードのGT、HYBRIDと上級グレードのVIPでの違いはないので、外から見たらグレードの違いはほとんどわかりません。
ちなみに2015年のマイナーチェンジから2019年に仕様向上されるまでの期間に販売されたフーガは北米などで展開される日産の高級車ブランド・インフィニティのエンブレムを装着していました。レクサスの日産版ですが、これをどう受け取るかはお好みで。
フーガの中で370GT Type Sは全くの別物。他のグレードでは18インチのタイヤですが、このグレードでは20インチに変更され、それに合わせてサスペンションも専用チューンされるなど、走行性能が格段に向上しています。走りにもこだわりたいならこちらを選んでみるのもいいでしょう。
フーガのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
フーガの登場は2004年10月。40年以上の歴史を誇る日本の自動車史に残る名車であるセドリック・グロリアの後継モデルとして大いに期待されてデビューを飾りました。
パワートレインはV6気筒の2.5Lと3.5Lに加え、V8気筒の4.5Lも設定。エクステリアはフロント部にダブルアーチフロントグリルを採用して、GTグレードのテールランプをスカイラインと同じ丸形2連に配列するなどスポーティーな走りを予感させるデザインに。またホイールベースを長くとったため、室内空間はクラス最大の広さを誇り、まさに高級感あふれる仕上がりになりました。
グレード設定はラグジュアリーなXV系とスポーティーなGT系の2つに分けられます。
XVは250XV、350XVの2種類をベースに4WD版の250XV FOUR、350XV FOUR、そして後席リクライニングシート、オーディオ・エアコン・シートコントロールスイッチ付き専用リアアームレストなどが装備されるVIPが設定されました。
一方のGTには4.5L車も設定。4WD版のGT FOUR、スポーティーグレードのGT SPORTS PACKAGEが追加されます。
4.5L車には18インチの特製ホイールに助手席パワーオットマン機構や本革シートと前席エアコンディショニングシートが標準装備され、マフラーにデュアルテールパイプフィニッシャーが装備されることにより4本出しになるなど、走りの爽快感を追求したモデルとなりました。
フーガが初のマイナーチェンジを行ったのは2007年。この時にXVシリーズは廃止されて、GTに統一。
これに合わせて装備も格段に向上。例を挙げると、一部グレードでオプションとなっていたナビゲーションシステムが、DVD方式からHDD方式にアップグレードして全車に標準装備。前期型では全車でオプション設定となっていたインテリジェントクルーズコントロールは、4.5L車と「350GT Type P」に標準装備となりました。さらに助手席パワーオットマン機構も一部グレードを除いて全車標準装備となりました。
2009年、フーガは初のフルモデルチェンジを受けます。外観としては全高を下げ、その分全幅を広げ、曲面を多く取り入れたものに。エンジンはV型6気筒の2.5L、3.7Lの2種類のみに変わりましたが、翌年には3.5Lのハイブリッドモデルも登場。日産のFR乗用車としては初となるハイブリッドカーになりました。
フルモデルチェンジから5年経った2015年にフーガはビッグマイナーチェンジを実施。エクステリアが大きく刷新され、フロントグリルはウェーブメッシュパターンを新たに採用し、バンパーやトランクリッドの形状を変更。ヘッドライトとリアコンビネーションランプはLED化されました。フロントバンパーにはクロームのふち取りをあしらったLEDターンランプとLEDフォグランプを組み込ませ、さらにこの時にエンブレムも日産の高級車ブランドであるインフィニティのものになるなど、高級感あふれるデザインに大きく変わりました。
そして4年後の2019年に仕様変更。インテリジェント エマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、ハイビームアシスト、インテリジェント クルーズコントロールを全車に標準装備させ、インテリジェント FCW、ECOペダルも追加。そしてこの時に日産のエンブレムに戻し、今日に至ります。
こちらもおすすめ! タイプ別にフーガの中古車を選ぶなら
●100万円以下で狙うなら「2013年式250GT」中古市場の相場60万~390万円
フーガの中古車平均価格は150万円前後ですが、さらに踏み込んで100万円以内で狙おうとすると、250GTが狙い目。ベーシックグレードでありながら、上質な空気が生成されるフォレストエアコンに遮音ガラス、さらにパーソナルドライビングポジションメモリーシステムも標準装備と、プレミアムセダンならではの装備が充実。これで100万円以下でも狙えるとあればお得な買い物ができるでしょう。
ただし、100万円という予算内で狙うとなるとビッグマイナーチェンジ前の2013年までが精一杯。以降はエクステリアが大きく変わっているだけにちょっと古くさく見えてしまうかもしれません。エクステリアのデザインにこだわるのであれば、ビッグマイナーチェンジ後のフーガを狙ったほうが賢明です。
●走りにとことんこだわるならば「2015年式 370GT Type S」中古市場の相場70万~340万円
プレミアムセダンだけにゆったりとした走りに定評のあるフーガですが、スポーティーな走りを楽しみたいという方にピッタリなのが370GT Type S。
ハイグリップな20インチのタイヤを採用しているだけでなく、サスペンションは専用のスポーツチューンドサスペンションに、ブレーキは強力な制動力を発生させる高性能ブレーキシステムの4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ、そしてタイヤの切れ角を状況に応じて最適制御することで高いハンドリング性能を実現する4WASも搭載するなど、走りに特化したグレードとなっています。
ただし、中古車として購入する場合はコンディションが1台1台異なるので、購入する際にはそれぞれの状態や整備状況などをチェックする必要がありそうです。
●快適装備を求めるなら「2015年式 HYBRID VIP」中古市場の相場70万~420万円
快適な性能を求めるのであれば、やはり外せないのが上級グレードのVIP。中でもHYBRID VIPであれば、燃費が悪くなりがちなフーガのウィークポイントをカバーできる上、後席がシートバック中折れ機構・オートリターン機構・ヒーター付きのパワーリクライニングシートに変わります。
さらに前席のシートも座面と背面から冷風もしくは温風を送風するエアコンディショニングシートに変更されて快適性がアップ。より快適なドライブが楽しめることでしょう。
フーガの中古車ならではのチェックポイントはココ
エクステリアは2015年式以降と以前で変わる
フーガを購入する際、最初に確認したいのがエクステリアの違い。現行モデルは2009年のフルモデルチェンジの時から曲線を多く使ったデザインになっていましたが、フロントマスクの雰囲気は2015年のビッグマイナーチェンジ前と後とでは大違い。特にフロントグリルはマイナーチェンジ後、ウェーブメッシュパターンに変わり高級感あふれるデザインになっています。
中古車選びの際は自身の好みのエクステリアのデザインかどうかをしっかり確認しましょう。
年式が古い場合はフォレストエアコンの状態を確認!
フーガのベーシックグレードにも標準装備されているフォレストエアコン。室内で快適に過ごすには欠かせない装備ですが、中古車の場合は要チェック。というのも年式の古い車だとエアコンの機能が劣化していたり、中には故障して一部機能が使えなくなっていたりする可能性もあるからです。
中古車でフーガを購入する際は、車内の各機能もしっかりチェックしておくといいでしょう。
370BT Type Sは足回りも詳しくチェック
これは370GT Type Sに関していえば、フーガの中でも走行性能を高めたグレードで走りの爽快感を味わえますが、その一方で気になるのがコンディション。
走りのグレードだけに前のオーナーによっては激しい運転を行っていた可能性がなくはないので、タイヤのすり減りやサスペンションやブレーキの状態、さらに整備状況などを詳しく見ておくと、購入後の故障等のトラブルに見舞われる可能性が減るはずです。
フーガの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
伝統のライバルといえば「トヨタクラウン」
フーガの前身にあたるセドリック・グロリアの時代からライバルといえばクラウン。ともに国産高級セダンとして日本の自動車史を牽引してきた存在で、内装の充実度はほぼ互角といっていいでしょう。
ただし、2012年、2018年とフルモデルチェンジを行い、進化を続けるクラウンに比べると、2度のマイナーチェンジを実施したとはいえ、2009年デビューの現行型フーガでは、先進運転支援やコネクティッド機能、そして走行性能に少なからず差ができてしまったのも事実。
ハイブリッド同士を比較しても、特に燃費面ではクラウンの圧勝です。中古車価格ではフーガの割安感が光りますが、安い理由があるのも間違いありません。
車内のオーディオを重視するなら「ホンダレジェンド」
ホンダのフラッグシップモデルであるレジェンドもまた、フーガの直接のライバル。室内の広さそのものはフーガのほうが若干広めですが、レジェンドのウリはオーディオシステム。フーガはメーカーオプションでBOSE製に変えられますが、レジェンドはKrellのオーディオシステムが標準装備。臨場感あるサウンドでまるで映画館にいるような気分を味わえます。
このほかにもメーカーオプションでより上質なサウンドに変えることもできるというのも大きなポイントです。
レジェンドも現行型国内デビューが2014年、2018年にマイナーチェンジを受けるなど、フーガよりも新しい設計が魅力です。ただし人気薄のため2021年での国内販売終了がアナウンスされており、中古車の流通量も少なくなっています。
走りをトコトン楽しむのなら「日産スカイライン」
プレミアムスポーディーセダンとして不動の地位を築いているフーガですが、一方で走っても楽しいモデルでもあります。走りの楽しさという点でライバルになるのが同じ日産のスカイラインではないでしょうか。
スカイラインにもフーガと同じく3.5Lのハイブリッドモデルが用意されます。ハイブリッドだけに静粛性も抜群。さらに世界初となるダイレクト・アダプティブ・ステアリングを装備していることであらゆる路面状況においてもステアリングをとられることが少なく直進安定性は抜群。ロングドライブでも疲れにくいという利点もあります。
さらにマイナーチェンジ後の後期型であれば、ハイブリッド車には運転支援システムのプロパイロット2.0が搭載され、またスポーツセダンらしくパワフルな400Rも設定されているのもポイントです。
中古車のフーガを賢く探すなら
では、中古車のフーガをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証され、保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合った保証をつけることができます。
カーセンサーnetのフーガ(フーガハイブリッド含む)の掲載件数は660件、価格帯は40万~520万円となっています。
※いずれも2021年6月25日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証がつく「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のフーガ(フーガハイブリッド含む)の掲載台数は659件、価格帯は10万~520万円となっています(※)。
※いずれも2021年6月25日時点の情報です。
ベーシックグレードでも充実の車内装備。エクステリアはマイナーチェンジ前後で要注意
フーガはベーシックグレードのGTと上級グレードのVIPとの差がさほどなく、GTの室内装備も十分上質。後席の快適性をあまり重視しないのであれば、ベーシックグレードで十分満足のいく中古車に出会えることでしょう。注意点としては、エクステリア。特にフロントグリルは2015年を境に大きく変わるので好みのデザインのものを選ぶようにしましょう。
よくある質問
Q1:中古車のフーガ、どれを買うべき?
A:排気量の大きな車なので、おすすめはHYBRID。室内の装備等を見るとベーシックグレードでも十分高級なので、上級グレードにまで食指を動かさなくても十分満足のいく車が手に入ることでしょう。
Q2:中古車のフーガを買うときに気を付けたいポイントは?
A:ビッグマイナーチェンジが施された2015年式以前と以降とでは、エクステリアのデザインが大幅に変わるため、年式等を確認して好みのデザインを選ぶようにしましょう。その他、370GT Type Sは走行性能を向上させたモデルだけに、中古車として購入する際は足回りの状態をしっかりチェックしておいたほうがいいでしょう。
Q3:中古車のフーガはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のフーガに乗ることができます。
※記事の内容は2021年6月25日時点の情報で制作しています。