軽自動車のオープンカーとして不動の地位を築いているダイハツコペン。オープンカーならではの爽快な走りと取り回しのしやすい軽自動車という組み合わせが根強いファンを生んだ人気車種ですが、コアなファンが多いためか中古車流通量は1,000台程度と決して多くはありません。今回は中古車のコペンならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のダイハツ「コペン」は2018年式Sグレード
- デザインは好み次第。予算次第では初代モデルの検討も
中古車コペン、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら2018年式Sグレードを160万円で買う!!
初代モデルが2002年デビュー、2代目となる現行モデルが2014年デビューとやや開きがあるコペン。それだけに流通量は初代、現行型を合わせても1,000台程度と決して多くはありません。さらに現行型はローブ、エクスプレイ、セロ、GR SPORTと外観のデザインがまったく違うモデルが用意され、それぞれにベーシックグレードと上級グレードのSグレードの2種類しか設定されていないというシンプルなもの。
デザインの好みは人それぞれなので、どれがいいとは一概には言い切れないですが、私が1台選ぶとしたら、ベーシックグレードよりも上級グレードのSグレード。160万円台の予算では流通量は100台あるかないかという少なさですが、ベーシックグレードの流通量が最も多いのも160万円台。つまり、探すのが若干手間なものの、同じ予算で上級グレードが狙えるということです。
「SPORT」の頭文字から取った上級グレードのSグレードはその名のとおり、スポーティーな走りに重きを置いた仕様になっていて、ダンパーはサスペンションのスプリングの揺れをより抑えてくれるビルシュタイン製ダンパーに変更され、さらにシートは「疲れにくいシート」として世界中から高い支持を受けているレカロ社製のスエード調シートを採用。座り心地はもちろん、そのデザインからも上質な印象を受けます。
ほかにもステアリングホイールはスポーティーな印象を与えるMOMO製の革巻きタイプに変更され、CVT車の場合はパドルシフトを追加。ステアリングから手を離さずに変速できるように工夫されています。さらにインナードアハンドル、パーキングレバーボタン、エアコンレジスターノブなどインテリアの細部はすべてメッキで加飾。よりラグジュアリーな印象になります。
新車で購入した場合、ベーシックグレードとの価格差は20万円ほどありますが、中古車になるとその差があまりないため、同じ金額でとてもお得な思いをすることができます。ちなみに2018年式を選んだ理由は新車で購入された車が最初の車検を迎え、手放すオーナーが多いのでは?と予想してのもの。流通量が増えるのは確実なので、選びやすさを考えこの年式を選びました。
とはいえ、難点はやはりその流通量の少なさ。ただでさえ100台あるかないかという少なさで、さらにコペンは先述したとおりデザインの違いが大きいので、気に入ったデザインでなおかつSグレードの車を探すとなるとかなりの根気が求められます。なお、Sグレードが用意されているのはローブ、エクスプレイ、セロの3モデルのみでGR SPORTはSグレードの設定はありません。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車コペン
一押しモデルとして紹介した現行型コペンのSグレード以外にも、コペンはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。前述のように現行型コペンはコンセプトに合わせてデザインが大きく異なる4モデルが用意されているので、好みのデザインの車を探しましょう。
また、設定されたグレードがベーシックグレードと上級グレードの2種類しかないので、予算と照らし合わせながらそれぞれの装備をしっかりチェックして最適な1台を選ぶのも大切です。
コペンのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
軽自動車のオープンカーとして2002年、華々しくデビューした初代コペン。軽自動車初となる電動油圧ポンプで開閉するルーフのアクティブトップ仕様を持つことでも話題になりました。見た目こそキュートな印象を与えるデザインでしたが、64馬力を発生する直列4気筒DOHCツインスクロールターボJB-DETエンジンを搭載していたため、そのスポーティーな走りは多くのファンの心をつかみました。
発売当時のグレード設定はベースグレードのアクティブトップとデビューから3ヵ月後に登場したディタッチャブルトップの2種類のみ。装備等は特に変わりありませんが、違いはハードトップ。アクティブトップは電動格納式でしたが、ディタッチャブルトップは脱着式だったため、アクティブトップと比べると20kgほど軽量になっています。
デビュー以来、フルモデルチェンジどころかマイナーチェンジすらしたことはなく、一部改良も生産終了目前の2010年に1度行ったきりと、デビューからほとんど変わらずにいたコペンですが、その代わりに特別仕様車のバリエーションが豊富。デビューから1年後にはシートにタンレザーを採用したファーストアニバーサリーエディションが発売され、その翌年にはレカロシートを採用したセカンドアニバーサリーエディションが登場しました。
さらに2年後にはアルティメットエディションが販売され、翌2007年にはアルティメットエディションIIメモリアル、2009年にはアルティメットレザーエディションがそれぞれ登場。特別仕様車が現れるたびに新たなボディカラーが続々と追加されていき、コペンはカラーバリエーションの豊富な車になりました。
そして2010年、特別仕様車のアルティメットエディションSが出たのと同時に最初で最後の一部改良を敢行。プロジェクター式ディスチャージヘッドランプ、イモビライザーシステム、シートヒーターらを標準装備しました。
2012年、最後の特別仕様車である10thアニバーサリーエディションを発売し、コペンは生産終了を発表。10年3ヵ月の販売期間で総生産台数6万6,444台を記録し、初代コペンはそのキャリアに幕を閉じました。
しかし2年後の2014年、コペンはフルモデルチェンジを果たして復活。最大の特徴は高い走行性能とルーフオープン時の剛性確保を実現するD-Frameという新たな骨格構造を採用したことと、ボディの脱着を可能にしたDress-Formationの採用。ボディ外板を脱着して、まるで着せ替え人形のように好みのデザインに変えられるというまったく新しい試みを取り入れて生まれ変わりました。
フルモデルチェンジとともにコペンは3つのデザインをリリース。2014年6月にスポーティーな印象のデザインが特徴的なローブがデビューすると、その半年後にはSUVのような力強さが印象に残るエクスプレイ、翌2015年6月には初代モデルを彷彿とさせるデザインのセロがそれぞれデビューします。
そして2019年にはトヨタとのコラボレーションモデルであるGR SPORTが登場。このモデルはデビューと同時にトヨタへのOEM供給を開始しました。
現行モデルとして最初の一部改良があったのは2021年。サイドミラーが拡大されて、オートライトを全車に標準装備しましたが、基本的にはデビュー当時のままのスタイルで今日に至ります。
こちらもおすすめ! タイプ別にコペンの中古車を選ぶなら
●100万円以下でも掘り出し物多数!「2008年式アクティブトップ」中古市場の相場20万~180万円
現行型を狙うとなると少なくとも150万円前後の予算が必要なコペン。セロのデザインが好みで少しでも安く手に入れたいという方は思い切って旧型に目を向けてみる手も。販売終了からすでに9年が経過してはいるものの、中古車流通量の比率を見ると6:4で若干ながら初代モデルのほうが多め。その中でも特に多いのが初年度登録から13年が経過した2008年式。
軽自動車税が増額されてしまうというデメリットはありますが、中古車流通量はコペンの中では比較的多く選びやすいことに加え、相場も100万円前後とかなりお手軽。中には100万円以下のものもあるので、予算に制限がある場合は検討してみるのもいいでしょう。
●人とちょっと違う車が欲しいなら!「2015年式エクスプレイ」中古市場の相場100万~190万円
他の3モデルと比べると少々毛色が異なる印象のエクスプレイ。前後のフェンダーと一体になった頑強な構造体がボディをつかみ上げるように配置され、さらに力強い独特のツートーンカラーはインパクト抜群。しかもホイールはローブやセロとは違い、エクスプレイだけの専用デザインを採用するなど、独自性を強めています。
軽オープンカーながらどこかSUV的なワイルドさを感じさせるなど、両者の良いところを組み合わせた印象も。街乗りはもちろんですが、キャンプや山道などアウトドアシーンにもピッタリとハマることでしょう。
●走りにとことんこだわるなら「2019年式 GR SPORT」中古市場の相場230万~270万円
他の3モデルにはSグレードという上級モデルが用意されていますが、より上質な走りを求めるのであればGR SPORTの一択でしょう。GRブランドとして初の軽自動車であり初のオープンカー、そして初のOEMモデルと何かと「初」が付くことが多い1台ですが、ボディ剛性の向上に足回りの最適化、そして独自の空力パーツの採用など、走りにとことんこだわった仕様になっています。
さらにSグレードに設定されていたMOMO製の革巻きステアリングホイール、レカロシートはGRのロゴ入りの特別仕様になり、BBS製の専用16インチアルミホイールを標準装備とデザインから特別感あふれるものに。運転する楽しさを満喫するには最適なグレードです。
コペンの中古車ならではのチェックポイントはココ
外観のデザインは好み次第でOK
中古車でコペンを探す際、気になるのはそのデザイン。モデルごとにコンセプトがまったく異なるため、まるで別の車を見ているような気になってしまうほどですが、GR SPORTを除く3モデルは中古車販売価格でも大きな開きがないので、自分の好みに合わせて選んでも大丈夫です。
ルーフの開閉は念入りにチェック
コペンの魅力といえば電動で開閉するルーフですが、毎日動かすことはあまりないため、動きが鈍ってしまっていることに気づかないケースも。室内にあるスイッチを押して問題なく開閉できるかを試してみましょう。
さらに作動するかどうかだけでなく、異音がしないか、ゴムの劣化によって雨漏りがしていないかなど念入りに見ておきましょう。
初代モデルを狙うときは整備状況の確認を!
初代モデルは生産終了から9年以上が経っているため、状態面の劣化具合はチェックする必要があります。スポーツモデルだけに中には乱暴に扱われた車もなくはないので、初代モデルの購入を検討する場合は普段以上に内装外装をチェックして、点検記録簿などにも目を通しておきましょう。
記録簿を見れば点検の履歴、修理箇所などが網羅されているので車の状態がはっきりとわかります。さらにボディの様子などもしっかりとチェックしておけば万全です。
コペンの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
よりスポーティーさを求めるなら「ホンダS660」
コペンも十分スポーティーな走りが楽しめますが、よりスポーティーさにこだわるのであれば、同じ軽自動車のオープンカー、ホンダ S660も当然候補に挙がります。
コペンとS660の最大の違いとなるのがエンジンの位置と駆動輪。コペンは通常の車と同じ前にエンジンを積み前輪を駆動するFFですが、S660はボディの中央にエンジンを置き後輪を駆動する、いわゆるミッドシップ。重量バランスが優れているため、回頭性が向上することでコーナリング速度が速くなるなどのメリットがあるので、よりスポーティーな走りを楽しむことができます。
ただし、注意したいのがルーフ。コペンは電動でルーフの開閉ができますが、S660は手動での開閉のみ。またトランクスペースもほとんどありません。コペンは街乗りや普段使いにも対応しているのに対し、S660はサーキットなどで走ることに特化している印象があるのでどんな場面でよく乗るかを考えてから購入を検討するといいでしょう。
キビキビとした走りを満喫するなら「スズキアルトワークス」
オープンカーではないのでコペンとは少々毛色が異なりますが、走りの楽しさを満喫したいという方ならスズキアルトワークスも注目すべき1台といえるでしょう。
コペンの車両重量が850~870kgなのに対して、アルトワークスはわずか670kgとその差はなんと200kg。出力に規制のある軽自動車なので軽ければ軽いほど性能に差が出るのは当然のこと。アルトワークスがホットハッチとして根強い人気を誇る由来がここにあると言っても過言ではないでしょう。
また、コペンが2シーターなのに対し、アルトワークスは一般的な5ドアの軽自動車の体裁なので使い勝手の良さも抜群。4WDモデルもあるので日常使いをするときには重宝します。
もっとパワーのある走りを楽しむなら「マツダロードスター」
コペンで運転の楽しさを知ったのなら、今度はもっと大きな車に乗りたくなるのが車好きの性。最後に挙げるのは国産オープンカーの雄、マツダロードスターです。
現行型はマツダ自慢のオリジナルデザインコンセプトの「魂動-Soul of Motion」を全面的に採用。フロントオーバーハングを短く、低くしたことでドライバーを中心に配置したコンパクトキャビンと合わせるとドライバーが引き立つプロポーションになり、スタイリッシュな印象を与えます。
そして走りでは直噴1.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」をフロントミッドシップに搭載して、前後の重量配分を50:50に。これによりこの車のテーマである「人馬一体」を感じられる気持ちのいいハンドリングと加速を実現しました。
コペンの走りに物足りなくなってきたら、検討してみるのもひとつの手かもしれませんね。
中古車のコペンを賢く探すなら
では、中古車のコペンをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を車選びの目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証され、保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのライズの掲載件数は705件、価格帯は140万~300万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月28日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のライズ掲載台数は722件、価格帯は140万~320万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月28日時点の情報です。
現行モデルは価格差を考えるとSグレードのほうが満足感は高い
コペンの中古車は初代モデルと現行型が6:4の比率で初代モデルのほうが若干流通量は多く、現行型は別の車かと思うほどデザインによって変わるので、ひとつに絞るのが難しいものの、現行型でおすすめするのであれば上級グレードのSグレード。新車購入時、20万円ほど価格に開きがあるものの、中古車になるとほぼ同じ予算で狙えるのでコスパ的にも抜群と断言できるほどです。
ダンパーはビルシュタイン製、シートはレカロ社製のスエード調シート、ステアリングホイールもMOMO製の革巻きステアリングにそれぞれアップグレードするだけでなく、インナードアハンドル、パーキングレバーボタン、エアコンレジスターノブなどインテリアの細部はすべてメッキで加飾されてラグジュアリーな雰囲気に。同じ予算でこれだけ変わるのであれば、断然Sグレードを狙うべきでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のコペン、どれを買うべき?
A:正直、外観の好みもあるので4モデルの中からお好きなものを選ぶべきですが、中古車として購入する際、お得なのは上級グレードのSグレード。新車購入時は20万円ほどの差がありますが、中古車流通量の関係でその差が埋まり、同価格で上級グレードが狙えます。
Q2:中古車のコペンを買うときに気を付けたいポイントは?
A:グレードの違いによる装備の差。例えばステアリングホイールはどちらも革巻きになっていますが、SグレードはMOMO製の革巻きに変わりますし、ダンパーはビルシュタイン製になります。爽快な走りを楽しみたいという場合は特に気を付けたほうがいいでしょう。また初代モデルを検討している場合は定期点検記録簿などを見て、詳細をチェックしましょう。
Q3:中古車のコペンはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のコペンに乗ることができます。
※記事の内容は2021年5月28日時点の情報で制作しています。