「21世紀に間に合いました。」という名コピーで初代トヨタ「プリウス」が登場したのが1997年12月。世界初の量産ハイブリッドカーは、世界に衝撃を与えました。現在は2015年に登場した4代目が販売されています。2009年に販売開始された3代目を含め、ハイブリッドカーの代名詞とも言える存在だけに中古車は数多く流通。今回は中古車のプリウスならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「プリウス」は2016年式Sツーリングセレクション
- 肩肘張らず、気楽に日常使いできる価格帯の中古車がおすすめ
中古車プリウス、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら「2016年式Sツーリングセレクション」を130万円で買う!!
中古車市場には、初代と2代目のプリウスもまだ残っています。しかしプリウスは旧型(3代目)で人気が爆発したこともあり、旧型と現行型の流通量が際立って多いのが特徴。これからプリウスの中古車を買おうとしているなら、初代と2代目は無視していいでしょう。
中古車相場は現行型が80万〜380万円、旧型が20万〜200万円となっています。現行型と旧型を合わせると中古車流通量は1万台近くもあります。その中から私が1台選ぶとしたら、現行型前期モデルのSツーリングセレクションをチョイスします(上の写真はAツーリングセレクション)。
プリウスは中古車の流通量が多いこともあり、ほかのトヨタ車に比べると中古車になったときの値落ちが大きめ。特に現行型前期モデルは、登場から5年で100万円以下で買える中古車も出現。新車時の半額ほどの価格で販売される中古車も見つけやすくなっています。
その恩恵を最大限享受するために、新車価格がそれほど高くなく、かつ装備も納得できるものをと考えてSツーリングセレクションを選択しました。
現行型前期モデルのカタログモデルのグレード構成は燃費重視グレードのE、量販グレードのS、上級グレードのA 、Aプレミアムの4種類。E以外のグレードにはスポーティーな外観のツーリングセレクションも設定されました。
Sツーリングセレクションは専用のアルミホイールやリアバンパーでスポーティーな外観に。インテリアにも合成皮革シートが奢られます。フロントコンソールは上級グレードのAがホワイト加飾なのに対し、Sツーリングセレクションはベーシックなグレーのものになりますが、ここは目をつぶりましょう。
フロントのLEDフォグランプもA以上のグレードに標準装備となっていました(SとSツーリングセレクションはオプション)。でも日常生活でフォグランプを使うことはほぼないので問題ありません。
Sツーリングセレクションの現行前期モデルの価格帯は100万〜250万円。高価格帯はカスタム車がほとんどで、ノーマル車の高価格帯は220万円前後になります。車両本体価格130万円(総額150万円)でも走行7万km前後の中古車を見つけることが可能。5年落ちの中古車が新車の半額程度で乗れるのはお買い得感が高いもの。これくらいの予算なら気軽に日常使いできますね。
ひとつ注意しないといけないのは、Sツーリングセレクションは先進安全装備パッケージであるToyota Safety Sense Pがメーカーオプションであること(A以上は標準装備)。ただ、このオプションは、流通している約850台の中古車のうち、550台以上に備わっています。Sツーリングセレクションの中古車を探すときは購入前にToyota Safety Sense Pが装備されているかをしっかり確認してください。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車プリウス
一押しモデルとして紹介した現行型プリウス前期モデルSツーリングセレクション以外にも、プリウスはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。特に現行型プリウスは前期モデルと2018年12月以降の後期モデルでエクステリアデザインが大きく異なります。後期モデルの顔のほうが好みなら予算に縛られて無理して前期モデルを買うのではなく、少し予算を増やしてでも後期モデルを探しましょう。
プリウスのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
世界初の量産ハイブリッドカーとして1997年12月に登場した初代プリウスは、多くの人に選んでもらいたいという思いもあり、コンパクトセダンというスタイルを選びました。初代の前期モデルは山道などでバッテリーに蓄えた電気がなくなりメーター内に「亀さんマーク」が表示されることもしばしばありましたが、2000年5月に登場した後期モデルはこの点が改善されました。
2003年9月、プリウスは2代目へとモデルチェンジ。コンパクトセダンから、トライアングルシルエットと呼ばれるおにぎりのような三角形の5ドアハッチバックに生まれ変わりました。
この形により空力性能が大幅に向上。さらにハイブリッドシステムもTHS-IIへと進化。10・15モードで35.5km/hという当時世界最高の低燃費を達成しました。
2009年5月、プリウスは3代目に進化。スタイルは2代目のトライアングルシルエットを踏襲。ハイブリッドシステムは新開発のリダクション機構付きTHS-IIを搭載しています。大きく違うのは2代目まで1.5Lエンジンだったのに対し、3代目では1.8Lエンジンが採用されたこと。また、モーターも2代目から変更されています。
ルーフに搭載した太陽電池で発電した電力で停車中の車内の換気を行うソーラーベンチレーションシステムがオプション設定されたことも話題になりました。排気量がアップしたにもかかわらず燃費性能は2代目よりも大幅に良くなり、10・15モードで38.0km/Lを達成しています。
2011年12月のマイナーチェンジでは、ボディ剛性を高めて専用チューニングされたサスペンションなどが奢られたSツーリングセレクションG‘sが設定されました。
2015年12月、プリウスは4代目へと進化。これが現在発売されているモデルになります。
現行型はトヨタの新たな車づくりの指針であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を初採用したモデル。特徴はスポーティーな低重心スタイルで、フロントエンブレムの位置はトヨタのスポーツモデルである初代86と変わらないほど低くなっています。
ハイブリッドシステム用のバッテリーはSおよびSツーリングセレクションがニッケル水素バッテリーで、それ以外のグレードでリチウムイオンバッテリーが採用されました。また、このモデルから4WD車も設定されています。
TNGAに基づいて開発されたプラットフォームの剛性感は走り出した瞬間に旧型との違いがわかるほど。
現行型プリウスのエクステリアデザインはかなりアバンギャルドなイメージになりましたが、ユーザーから「派手すぎる」という声もあったため、2018年12月のマイナーチェンジでコンサバティブなイメージに変更されています。
また、前期モデルはA以上のグレードで標準装備(Sはオプション)だったToyota Safety Sense Pが、昼間の歩行者も検知できるプリクラッシュセーフティなどを搭載したToyota Safety Senseへと進化し、全グレード標準装備となっています。
2020年7月にはプリクラッシュセーフティが夜間の歩行者や昼間の自転車運転者も検知できるように。レーダークルーズコントロール使用時に同一車線内中央をキープすることをサポートするレーントレーシングアシストも搭載されました。
こちらもおすすめ! タイプ別にプリウスの中古車を選ぶなら
●とにかくコスパ重視なら「2010年式Sツーリングセレクション」 中古市場の相場20万〜100万円
とにかく安くハイブリッドカーを買いたい!そう思うなら旧型プリウスに注目。旧型は前期モデルなら50万円以下の中古車もたくさんあります。ガソリン車は初度登録から13年経過すると毎年納める自動車税が重課されます。2010年式だともうすぐこの対象になりますが、ハイブリッドカーはその対象から外されています。なので、しばらく乗っていても維持費が安く済むのも魅力。
SツーリングセレクションならヘッドライトがLEDタイプで、足回りも専用のものに。2010年式だけでまだ250台以上の中古車が流通しているので予算と条件に応じて選びやすくなっています。
LEDライトにこだわるなら特別仕様車のS LEDエディションもおすすめです。
●最新の安全装備が欲しいなら「2019年式のA」 中古市場の相場170万〜270万円
現行型プリウスは2020年7月に夜間の歩行者と昼間の自転車に対応したプリクラッシュセーフティが搭載されました。ただ、この最新の年式の中古車はまだ台数が少ないため探すのは困難。2018年12月にマイナーチェンジした後期モデルまで視野を広げれば、流通台数は豊富にあります。
この年式からToyota Safety Senseは全グレード標準装備になっているので安全装備の実力は十分です。ただ、SおよびSツーリングセレクションだとブラインドスポットモニターやパーキングアシストは非設定に。これらはA以上のグレードで標準装備になります。
快適温熱シート、シートベンチレーションなどの快適装備にもこだわりたいなら、Aプレミアムを。
●現行型最上級グレードをお得に買うなら「2016年式のAプレミアムツーリングセレクション」 中古市場の相場130万〜300万円
プリウスの最上級グレードであるAプレミアムツーリングセレクション。2度目の車検時期になる2016年式は乗り換えを考える人が多いため台数が豊富。新車の半額ほどの価格で走行6万km前後の中古車が見つけやすくなっています。
スポーティーな専用リアバンパーとアルミホイールが付き、インテリアには電動の本革シートが奢られます。また、エアコンにナノイーが備わるのも女性には嬉しいポイント。
プリウスの中古車ならではのチェックポイントはココ
年式・グレードで異なる安全装備は要チェック
前述したとおり、現行型の前期モデルはToyota Safety Sense PがA以上のグレードで標準装備に。S、Sツーリングセレクション、Eではメーカーオプションだったので、購入時に装備されているかを必ずチェックしてください。
また、ブラインドスポットモニター、シンプルインテリジェントパーキングアシストはA以上のグレードでないと装備されません。インテリジェントクリアランスソナーも前期モデルはA以上での装備になります(後期モデルは全グレード標準装備)。その意味でも安全装備にこだわる方はA以上のグレードを選びましょう。
その他快適装備、豪華装備にこだわるなら上級グレードを選びたいところ。中でも本革シートはAプレミアムとAプレミアムツーリングセレクションにしか装備されないので、高級感のある車に乗りたいならこの2つを選びましょう。
現行型はデザインの好き嫌いで選んでいい
現行型は前期モデルと後期モデルでエクステリアデザインが大きく異なります。顔つきはもちろんリアのデザインも異なるので、どちらのデザインが好きか、両方を見てから購入した方がいいでしょう。
特に、本当は後期モデルのアクが薄いデザインが好きだけれど予算の関係で前期モデルを選ぼうとしている方は要注意。購入後にデザインがどうしても好きになれず愛情を持って乗れないという状態になるのははっきりいって不幸です。後期モデルのデザインが好きなら少し予算を上乗せしてでも後期モデルを買ったほうが、結果的に安い買い物になるはずです。
長い歴史を持つトヨタのハイブリッドシステムは信頼性が高い
プリウスをはじめとするハイブリッドカーを中古車で購入する場合、駆動用バッテリーやハイブリッドシステムのトラブルを気にする方もいるはず。
トヨタのハイブリッドカーは歴史が長くハイブリッドシステムの信頼性も高いため、そこまで心配しなくてもいいでしょう。ちなみにトヨタの認定中古車を購入して中古車ハイブリッド保証をプラスした場合、保証期間は初度登録年月から10年(または購入から3年)、累積走行距離は20万kmが保証対象となります。このことからもシステムに対する信頼性がわかるはず。
ただ、前ユーザーの使い方が荒かった、事故などでダメージを受けたなど、メーカーが想定していない状態で使われていた可能性もあります。万が一トラブルが発生すると高額の修理費用がかかるので、特に低年式の旧型プリウスを買う場合はシステムの状態などをお店によく確認してください。
プリウスの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
モーターならではの強烈な走りを楽しみたいなら「旧型日産ノートe-POWER」
プリウスは走行状態に応じてエンジンとモーターを使い分け、さらにエンジンとモーター両方の力で走るハイブリッドシステムです。日産のe-POWERはシリーズハイブリッドと呼ばれるシステムで、エンジンは発電に徹し、走行はモーターのみの力で行います。つまりみずから発電しながら走る電気自動車といえなくもありません。
モーターは停止状態からアクセルを踏み込んだ瞬間に最大限のパワーを発揮するので、ガソリンモデルでは味わえない加速性能を体験できます。これはe-POPWERならでは。さらにアクセルから足を離すだけで減速するe-POWERドライブ(ワンペダル機能)も搭載。これもモーターで走行するノートe-POWERならではの機能といえるでしょう。
プリウスよりは小柄ですが室内空間はハッチバックとは思えないほど広く、中でも後席の広さには目を見張るものがあります。使い勝手のいいハイブリッドを探している方にもおすすめです。
街中でも使いやすい5ナンバーサイズも捨てがたいなら「トヨタアクア」
プリウスの弟分的な存在であるアクア。1.5Lエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたコンパクトなハイブリッド専用モデルで、最新モデルの燃費はWLTCモードで29.8km/hに。
デビューが2011年12月ということもありハイブリッドシステムなどはやや古さを感じますが、燃費はもちろん走りの面でも今でも十分通用するモデルです。総額50万円以内で買える中古車が見つけやすいのも魅力の一つでしょう。
スポーティーなGRスポーツ、アウトドアテイストを盛り込んだクロスオーバーなどもラインナップされています。
流行のSUVにも興味があるなら「トヨタC-HR」
着座位置の高いSUVは見晴らしがよく、高速道路などを走っているときに遠くまで見えるので運転が楽という特徴があります。そして何より力強いルックスに憧れる方も多いでしょう。
C-HRはプリウスに続くTNGA採用モデル第二弾として登場したモデル。ラインナップにはハイブリッドも用意されています。プリウス同様ハイブリッドカーはしっとりした上質な走りが特徴。
2016年12月にデビューした前期モデルは2度目の車検を迎えたことで流通量もかなり増えています。ハイブリッドモデルの中古車相場も150万円〜とかなり買いやすくなってきました。
中古車のプリウスを賢く探すなら
では、中古車プリウスをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を車選びの目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証され、保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのプリウスの掲載件数は9,974件、価格帯は10万~400万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月16日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のプリウス掲載台数は11,286件、価格帯は1万~400万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月16日時点の情報です。
デザインが気にならないのであれば現行モデルの前期モデルがおすすめ
プリウスの中古車は流通量が多い分、比較的買いやすい相場になっているのが魅力。特に現行型前期モデルはかなり割安感があります。あえてネガティブなことを挙げるとしたらデザインでしょう。
プリウスユーザーには保守的なものを好む人が多いともいわれており、それが後期モデルでデザインを大きく変更することになった要因になっています。
でも、現行型前期モデルのデザインに違和感がないならお得な買い物ができるはず!どのグレードも流通量が多いので、どの装備が欲しいかじっくり考えて選んでみてください。
よくある質問
Q1:中古車のプリウス、どれを買うべき?
A:おすすめは現行型前期モデルのSツーリングセレクション。ただし、購入時にはオプションの先進安全装備が備わっているかが要チェック!
Q2:中古車のプリウスを買うときに気を付けたいポイントは?
A:前期モデルと後期モデルでエクステリアデザインが大きく異なるので、どちらが自分好みかをしっかり考えてから買うようにしましょう。
Q3:中古車のプリウスはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のプリウスに乗ることができます。
※記事の内容は2021年5月16日時点の情報で制作しています。