日本を代表する高級セダン・トヨタクラウンが2018年6月26日にフルモデルチェンジを受けた。走行性能や安全性能など大幅な進化を遂げているが、なによりもスタイルの変化が大きい。レクサスと違って日本国内を重視し続けているクラウンの新型は要注目だ。
新しい歴史は15代目から始まるのか?
日本の高級車の代名詞といえるモデルがトヨタ・クラウン。1955年の誕生以来、様々な先進技術を搭載し、日本を代表する高級セダンとして君臨してきました。そのクラウンが2018年6月26日にフルモデルチェンジ、15代目となる新型が登場しました。
今回の新型クラウンの一番のニュースは大きく変わったスタイルや、全車に車載通信機DCMを搭載しつながる機能を強化した「コネクテッドカー」であること、そして現行プリウスから搭載が始まった新しいプラットフォーム技術の「TNGA」によって走行性能に磨きを掛けたことです。 もちろん、それ以外にも注目ポイントは多数。さっそく紹介していきましょう。
マジェスタ、ロイヤル、アスリートを1モデルに統合
これまでのクラウンは後席重視のショーファーモデルとして「クラウンマジェスタ」、従来からの高級車イメージに沿った「クラウンロイヤル」、スポーティな仕立ての「クラウンアスリート」と3タイプを用意していました。しかし、新型クラウンは1モデルに集約し、同じスタイリングの中で異なる味付けによるグレード構成に変更されました。スタンダードなBそしてS。ランアバウトスポーツの頭文字を取ったスポーティなRS。そしてラグジュアリー仕様のGというモデル体系となっています。
走りと乗り心地の両立のために刷新されたプラットフォーム
クルマの基礎にあたるプラットフォームは「TNGA」に基づく新プラットフォームを採用。パワートレインを従来モデルより低い位置に配置し低重心化しています。加えてボンネットやフェンダーなどに軽量なアルミニウムの採用、そして前後重量配分の最適化によって優れた走行性能を実現したとしています。サスペンションはフロント、リアともにマルチリンクサスペンションを採用。構造用接着剤の塗布量を大幅に増やすなどボディ剛性を大幅に強化することで、意のままのハンドリングと目線がぶれないフラットな乗り心地の両立を図っています。
さらにスポーティグレードのRSには18インチアルミホイールをはじめ、専用のフロントスタビライザーや「リニアソレノイド式AVS」という電子デバイスを搭載。路面からの大きな入力に対して適切な減衰力を瞬時に発揮させ、無駄な動きを抑えることで走行性能の向上させています。2Lターボエンジン搭載車には「リアパフォーマンスダンパー」や「リアフロアブレース」といった走行安定性を高めるパーツも追加しています。
挑戦的なフロントグリルと6ライト採用のサイドビューで若返ったスタイル
しかし従来のクラウンと最も大きく変わった点は外観のデザインでしょう。コンセプトは凝縮された強さと洗練されたエレガンスを両立させたスポーティセダン。ロングノーズのFR車らしいプロポーション、そしてクラウン初の6ライトウィンドウによる伸びやかなルーフラインなど、流麗なサイドシルエットを持つクルマに生まれ変わりました。
囲まれ感と開放感の両立を図った運転席
インテリアは適度に囲まれたコクピット感と開放感を両立させることで運転に集中できる居心地の良い空間を目指したそうです。
運転中でも見やすい遠方配置の8インチディスプレイと操作性を考慮し手前に配置された7インチディスプレイの2つを連携させた新開発ダブルディスプレイも先進的です。また2画面化のおかげでインストルメントパネル上面を低く抑えることが可能となり、これも圧迫感の少ないインテリアデザインに寄与しています。
長くなったボディサイズは後席のために
ボディサイズは全長4910mm×全幅1800mm×全高1455mm、そしてホイールベースは2920mm。全長とホイールベースは従来モデルに比べて大幅に拡大されています。この延長分は高級セダンらしくリアシートの居住性向上に使われています。
後席についてはフロントシート下の足入れスペースを拡大したり、GエグゼクティブにはドアLED照明や3席独立したエアコンを採用するなど、さすがの充実ぶりです。 一方、最近の欧州車のようにむやみに幅を広げなかったのは、やはり日本国内向けのクラウンならではでしょう。
2種類用意されたハイブリッドシステム
搭載されるパワートレインは最高出力を245psにパワーアップした2L直列4気筒直噴ターボエンジン、高い熱効率と高出力を両立したTNGAエンジンの2.5Lダイナミックフォースエンジンを採用したハイブリッド、そして3.5LV6エンジンを採用したマルチステージハイブリッドの3種類。組み合わされるトランスミッションは2Lターボが8速AT。2.5LハイブリッドがCVT。3.5Lハイブリッドが10速ATです。駆動方式はFRが中心ですが2.5Lハイブリッド車には4WDを設定。JC08モード燃費は12.8〜24.0km/Lとなっています。
最先端を手に入れた先進安全運転支援装置
先進の運転支援システムは第2世代へと進化した「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備。夜間の歩行者や昼間の自転車を検知し、衝突回避または被害軽減を図る「プリプラッシュセーフティ」をはじめ、カメラで認識した道路標識をディスプレイに表示する「ロードサインアシスト」、先行車両の追従走行を支援する「全車速追従機能付レーダークルーズコントロール」、そのレーダークルーズコントロール使用時に同一車線内の中央を走行できるようにハンドル操作を支援する「レーントレーシングアシスト」など様々な新機能が追加されています。また、トヨタブランド初となる対後方歩行者ブレーキサポートブレーキを採用。リアカメラで歩行者を検知し衝突の危険があると判断した場合は、警報およびブレーキ制御で被害軽減を行います。
Tコネクトが実現する「つながるクルマ」
最後にクラウンの新機能として採用されたコネクテッドサービスを紹介しましょう。新型クラウンオーナーにはドライバー、街そして社会がつながることで新しいサービスが受けられる「Tコネクト」が3年間無料で提供されます。Tコネクトの中には「ヘルプネット」や「eケア」といった安全・安心をサポートするサービスに加えて、オペレーションサービスなどカーライフを快適にするサービスもあります。さらにスマホの連携も強化しスマホアプリから目的地登録ができる「LINEマイカーアカウント」や安全・エコな運転のレベルをスマホで確認できる「マイトヨタフォーTコネクトドライブ診断」など、「つながるクルマ」として新サービスが盛りだくさん用意されています。
トヨタクラウン価格表(2018年6月現在)
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
2.0B | FR | 12.8 | 460万6200円 |
2.0S | 474万6600円 | ||
2.0S Cパッケージ | 494万1000円 | ||
2.0G | 541万6200円 | ||
2.0RS-B | 500万400円 | ||
2.0RS | 518万4000円 | ||
2.0RS アドバンス | 559万4400円 | ||
2.5S | 24 | 497万8800円 | |
2.5S Cパッケージ | 515万7000円 | ||
2.5G | 562万1400円 | ||
2.5RS | 23.4 | 541万6200円 | |
2.5RS アドバンス | 579万9600円 | ||
2.5S Four | 4WD | 21 | 519万4800円 |
2.5S Four Cパッケージ | 537万3000円 | ||
2.5G Four | 583万7400円 | ||
2.5Gエグゼクティブ Four | 20.8 | 632万3400円 | |
2.5RS Four | 21 | 563万2200円 | |
2.5RS アドバンス Four | 601万5600円 | ||
3.5S | FR | 18 | 623万7000円 |
3.5Gエグゼクティブ | 17.8 | 718万7400円 | |
3.5RS アドバンス | 18 | 690万6600円 |
ご紹介したようにスタイル・走り・先進性で大きく進化した日本の高級セダン・クラウン。これまでとは異なる新しい価値を提供するクルマになったと言えるのではないでしょうか。
※記事の内容は2018年6月時点の情報で執筆しています。