いまや絶滅寸前の国産2ドアクーペにあってレクサスはLCとRCの2車種をラインナップし続けている。フラッグシップのLCと違って、RCは実用性も兼ね備えたセダンのISベースの2ドアクーペとして貴重な存在だ。そんなRCが初めてのマイナーチェンジを実施した。さっそく試乗レポートをお届けしよう。
レクサスには絶滅寸前の国産2ドアクーペが2つもある!
メルセデス・ベンツやBMWといった欧州のプレミアムブランドは、いくつかのボディサイズで2ドアクーペを設定していますが、国産メーカーは残念ながらその数を減らしています。しかしトヨタのプレミアムブランド、レクサスにはフラッグシップモデルのLC、ミドルサイズのRCと2つのクーペモデルがあります。
今回はBMW4シリーズやメルセデス・ベンツCクラスクーペがライバルとなるレクサスRCがマイナーチェンジを行いました。その走りはどう変わったのか、試乗レポートを交えて紹介しましょう。
セダンベースだけに実用性の高さはピカイチ
レクサスRCは2014年10月に登場したスポーツクーペです。BMW4シリーズクーペが3シリーズセダンをベースとしているのとの同様に、RCはスポーティセダンのISをベースとしています。そのおかげで流麗なスタイリングながらゴルフバッグ2個を積載できる374Lのトランク容量を確保するなど、高い実用性を兼ね備えています。
そんなレクサスRCが2014年の販売開始以来、初のマイナーチェンジを行いました。マイナーチェンジのポイントは3点。まずはレクサスクーペらしいスポーティかつエレガントな外観デザイン、高い質感に加えて「運転する愉しさ」を際立たせるインテリア、そして空力性能の向上やタイヤ、サスペンションの設定変更などによる優れた運動性能の実現です。
最新のレクサスらしい外観デザイン
まずレクサスクーペらしいスポーティかつエレガントな外観デザインです。「アヴァンギャルド・クーペ」をテーマとしたRC。その特徴ともいえるレクサスクーペらしいダイナミックなプロポーションを活かすとともに、エレガントさを継承することを目指しています。
ポイントはヘッドライト下に伸びるバンパーコーナーの造形や、上下で開口比率を徐々に変化させたメッシュパターンのスピンドルグリルの採用です。
また超小型三眼LEDヘッドランプユニットを縦方向に配置し、レクサスのアイコンであるLEDクリアランスランプと組み合わすことにより、精悍さとエレガントさを両立させています。
リアはバンパーの両端にエアダクトを設置し、優れた操縦安定性を実現するとともに、タイヤの踏ん張り感を強調することで、走行性能の高さを表現。
またリアコンビネーションランプをL字がより際立つデザインに変更することで、レクサスクーペであることを強調しています。さらにFスポーツモデルはブランド統一の新しいFメッシュパターンをはじめとする専用の内外装アイテムのほか、LS・LCなどのデザインを継承した力強いデザインの19インチアルミホイールを採用しました。
質感の向上著しいインテリア
インテリアはヒーターコントロールパネルとオーディオパネルを質感の高いヘアライン調に変更。大型化したニーパッドで挟み込むことによって上質さを演出しています。インストルメントパネルの中央に、フラッグシップモデルのLCと同じアナログ時計を採用することで、モダンで落ち着いた雰囲気も漂わせています。
内装色は新色のオーカーをはじめ、ブラックの表皮に落ち着いたイエローをアクセントカラーとして組み合わせた新色のブラック&アクセントマスタードイエローなど全7色。オーナメントパネルはFスポーツ遠洋の本アルミやダークグレーヘアラインなど全5種類を用意。グレードによって設定は異なりますが、ユーザーの好みに合わせて組み合わせることができます。
走りにはLC譲りの鋭さと優雅さを
そして今回のマイナーチェンジの目玉ともいえる運動性能の向上です。
レクサスRCはレクサスLCの「より鋭く、より優雅に」を継承し、運転の愉しさを感じられる車両特性を追求。そのためにボディの空力性能やサスペンションの改良、パワートレーンの改良、最適化を進めて、ドライバーの運転操作に忠実なハンドリング。そしてフラットで滑らかな乗り味を実現させたとしています。
そんなレクサスRCですが 今回試乗したモデルは最も日本市場で販売台数の多いRC300hバージョンL。車両本体価格は647万円となっています。ボディカラーは今回のマイナーチェンジで追加されたスパークリングメテオメタリックで、非常にクリアーな青色。スタイリッシュなクーペであるレクサスRCにはピッタリのボディカラーです。
インテリアはオーカーと呼ばれるインテリアカラーで、ブラックとブラウンのコーディネイトがスポーティな印象と同時に落ち着いた空間を演出しています。インパネのセンターに設置されたディスプレイも大型化され、ステアリングに設置されたスイッチで、様々な操作が可能になるなど利便性が向上しているのも見逃せません。
圧倒的な静粛性
RC300hに搭載されているのは2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステム。レギュラーガソリン仕様ながら、エンジンが最高出力178ps、モーターが143psというハイパワーを発揮。それでいて、JC08モード燃費は23.2km/Lという優れた燃費性能を実現しています。
今回の試乗は東京から高速で御殿場へ行き、富士吉田まで一般道を走行し、中央道で東京へ戻るというルートを走行しました。
走り始めて、まず感じたのが圧倒的な静粛性の高さです。今回のマイナーチェンジでは外観デザインの変更に加えて、サイドウィンドウモールのフィン形状化を行うことなどで徹底的な空力性能にこだわったこともあり、車内への騒音の侵入を抑えています。走行中にエンジンが始動してもほとんど気がつかないほどです。
秀逸な乗り心地、路面と会話できる足回り
試乗していて最も印象に残ったのはフラットで揺れの少ない乗り心地。クーペらしいドライバーの操作に忠実な操作はもちろんですが、19インチという大径タイヤを装着しているにも関わらず、路面からの衝撃を吸収し、乗員に優れた乗り心地を提供してくれます。
また、乗り心地だけでなくリアのタイヤの接地感が向上し、ドライバーはタイヤとハンドルを通じて路面との対話を楽しめるようになりました。フラットで極上の乗り味とスポーティな走り。一見相反するように感じますが、新型レクサスRCは見事に両立させることに成功しています。
燃費の良さはさすが!
しかもこのハイブリッドシステムはパワフルなだけでなく、燃費性能も高く、今回のルートで18km/L以上という好燃費を残しました。クーペというと実用性が低いと思われ敬遠されがちですが、レクサスRCはどんなシーンでも抜群の乗り心地を実現し、十分な積載量を確保したトランクがありますので、これまでクーペを食わず嫌いだった人も1度乗ってもらえれば、これまでの常識が間違っていたと感じるはずです。
■レクサスRC価格表(2019年1月現在)
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
RC 300 | 2WD(FR) | 12.2 | 556万円 |
RC 300 バージョンL | 603万円 | ||
RC 300 Fスポーツ | 608万円 | ||
RC 300h | 23.2 | 600万円 | |
RC 300h バージョンL | 647万円 | ||
RC 300h Fスポーツ | 652万円 | ||
RC 350 | 10.2 | 636万円 | |
RC 350 バージョンL | 683万円 | ||
RC 350 Fスポーツ | 707万円 |
※記事の内容は2019年2月時点の情報で執筆しています。