2018年7月、スズキが世界に誇るジムニー&ジムニーシエラが20年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。軽自動車のジムニー、それにオーバーフェンダーと1.5Lエンジンを加えたジムニーシエラ。ともに悪路走破性の高いボディとシャシーはさらに磨きを掛けつつ、オンロード性能や安全性能を大幅にアップデートしている。すでに予約リストには長い列ができているこの2台の見どころを紹介しょう。
日本の狭い山道最強王者、20年ぶりのフルモデルチェンジ
2018年7月5日、本格オフローダーのスズキジムニー/ジムニーシエラが20年振りにフルモデルチェンジを行いました。軽自動車のジムニーは4代目、小型乗用車のジムニーシエラは3代目となります。
ジムニーは1970年に軽自動車で唯一の4WD車として発売されて以降、悪路走破性とコンパクトな車体による取り回しの良さにより、様々な作業現場や山間部、積雪地の重要な交通手段として活躍してきました。
また、世界トップレベルの4WDの性能と魅力的な価格設定によりレジャーを目的とした需要を開拓し、国内市場におけるコンパクト4WDブームの基礎を作りました。
一方のジムニーシエラは1977年に発売された0.8Lエンジンを搭載したジムニー8がルーツ。
軽自動車のジムニーをベースにオーバーフェンダーを装着した小型車規格のボディを採用し、海外市場を中心にコンパクトサイズの本格的な4WD車として人気を博しています。
ジムニー/ジムニーシエラを合わせたジムニーシリーズは世界194の国と地域で販売され、世界累計販売台数285万台というスズキを代表する車種であると同時に、日本が世界に誇るコンパクト4WDと言えます。それでは、新型ジムニー/ジムニーシエラの特徴について紹介しましょう。
最新のテクノロジーが投入された伝統のシャシー
フルモデルチェンジを行ったジムニー/ジムニーシエラですが、これまでのジムニーの伝統を受け継ぎつつ最新のテクノロジーを融合させることで、更なる進化を遂げています。新型ジムニー/ジムニーシエラの骨格には、ジムニー伝統の頑固な梯子型のラダーフレーム構造を採用。先代で採用されていたラダーフレームに、前後のクロスメンバーと中央部のXメンバーを追加。その結果、先代に比べてねじり剛性は約1.5倍を実現しています。
さらに、ラダーフレームと車体を接続するボディマウントゴムを大型化することで、防振性能を高めてフレームから車体に伝わる振動を低減。加えて、ゴムの特性を変更することで乗り心地の良さと優れた操縦安定性を図っています。
コンパクトかつ優れた3アングルこそジムニー最強の理由
本格オフローダーらしくエンジンは相変わらず縦置き。厳しい凹凸を超えていくために必要なアプローチアングルを大きく確保することが可能です。
コンパクトな車体と優れた3アングル(アプローチ、ランプブレーク、デパーチャー)、そして205mm(ジムニーシエラは210mm)という豊かな最低地上高により、狭く厳しい道を走行できるというジムニーらしい伝統を新型も引き継いでいます。これこそジムニーは世界で唯一無二の存在と評価される理由です。
プロの道具感あふれる内外装デザイン
ジムニー/ジムニーシエラのデザインコンセプトは「合理的で無駄のない機能美の実現」です。プロの道具として、機能に徹した飾らない潔さをもったカタチを追求。内外装はもちろん、ボディカラーにいたるまでそれは徹底しています。
外観デザインは車両の姿勢・状況を把握しやすいスクエアボディのなかに、過酷な環境に負けないタフなパネル断面と走破性・積載性を高める細部の工夫が盛り込まれています。
一方、インテリアも車両姿勢が把握しやすく、過酷な環境での運転に配慮したデザインを採用しています。グローブをしたままでも正確な操作が可能なスイッチの形状や、防汚タイプのラゲッジフロア、使い勝手を高めるナットなど、プロユースに応えるユーティリティの高さがいかにもジムニーです。
さらに磨きが掛かった悪路走破性
搭載されるエンジンはジムニー専用にチューニングされた660cc直列3気筒ターボ。
一方のジムニーシエラは新開発された1.5L直列4気筒です。両エンジンに組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATで、駆動方式はパートタイム式の4WDです。
ジムニー/ジムニーシエラの駆動方式は路面状況などに応じて、ドライバーが2WDと4WDを任意に切り替えるパートタイム4WDを採用。4Lモードでは急な登坂路や悪路の走破性を高めるために通常の約2倍の駆動力を発揮できます。また、前輪と後輪が直結したパートタイム4WDであっても、左右輪のどちらかがぬかるみなどで空転した場合、もう一方の車輪の駆動力も失ってしまいますが、新型ジムニー/ジムニーシエラでは4Lモード選択時にのみ作動する電子制御のLSDトラクションコントロールを標準装備。エンジントルクを落とすことなく、空転した車輪にのみブレーキをかけることでもう一方の車輪の駆動力を確実に確保し、高い脱出性能を発揮します。さらに、坂道発進時に車両の後退を防ぐヒルホールドコントロールや急な下り坂でブレーキを自動制御し、定速走行を可能とするヒルディセントコントロールも装備しています。
運転支援技術は衝突被害軽減ブレーキや車逸脱警報機能など7つの機能がセットになったスズキセーフティサポートをジムニー/ジムニーシエラともに最上級グレードに標準装備し、その他のグレードではオプション設定しています。
スズキジムニー/ジムニーシエラ価格表(2018年7月現在)
グレード | 駆動方式 | WTLCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
XG 5MT | パートタイム4WD | 16.2 | 145万8000円 |
XG 4AT | 13.2 | 155万5200円 | |
XL 5MT | 16.2 | 158万2200円 | |
XL 4AT | 13.2 | 167万9400円 | |
XC 5MT | 16.2 | 174万4200円 | |
XC 4AT | 13.2 | 184万1400円 | |
シエラ JL 5MT | 15 | 176万400円 | |
シエラ JL 4AT | 13.6 | 185万7600円 | |
シエラ JC 5MT | 15 | 192万2400円 | |
シエラ JC 4AT | 13.6 | 201万9600円 |
グレード構成はジムニーが価格の高い順にXC、XL、XGの3種類。ジムニーシエラはJC、JLの2種類です。車両本体価格はジムニーが145万8000円〜184万1400円。ジムニーシエラは176万400円〜201万9600円。 燃費性能はWTLCモードで、ジムニーが13.2〜16.2km/L。ジムニーシエラが13.6〜15.0km/Lとなっています。
ジムニーらしさは残しつつ、最新の走りと安全を手に入れた
日本の山道を走らせたらジムニーに勝るものなし、と言われてきました。20年ぶりのモデルチェンジでは、そんなジムニーらしさはきっちり残しつつ、オンロードでの性能や安全性能を飛躍的にアップしています。唯一無二の存在のジムニー、すでに予約リストは相当先まで埋まっているようです。
※記事の内容は2018年7月時点の情報で執筆しています。