トヨタはピックアップトラックのハイラックスを含めると8モデルという充実したSUVラインナップを展開しています。そのトヨタのSUVだけでなく、国産SUVの中で最も高い悪路走破性の実力を備えたモデルがランドクルーザーシリーズです。ランドクルーザーシリーズの優れた悪路走破性と高い耐久性、信頼性は世界中の国や地域で高く評価されています。このランドクルーザーシリーズの中で多くの販売台数を稼いでいるのが、ポルトガル語で平原を意味するプラドというネーミングが付いたランドクルーザープラドです。ここではロングセラーモデルとなっている現行型ランドクルーザープラドについて解説しましょう。
2009年デビューの現行型は5ドア車のみ
4代目にあたる現行型ランドクルーザープラドは2009年9月に登場しました。先代までは3ドアショートボディと5ドアロングボディという2つの仕様でしたが、ハイラックスサーフとシャシーを統合したことで、現行型は日本市場では全長4825mm×全幅1885mm×全高1850mmというボディサイズの5ドア車のみとなりました。
伝統のフルフレーム構造ボディに改良を加えて、ボディ剛性をさらに向上。ランドクルーザープラドの魅力であるオンロード・オフロード問わない快適な走行性能をより進化させた上「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を追求しています。
2度目のマイナーチェンジでスマートなデザインに
外観デザインはトヨタ車のデザイン哲学である「VIBRANT CLARITY(いきいき・明快)」に基づき、都会の街角にもアウトドアシーンにも映える、モダンでたくましいフォルムがコンセプト。その上4WD車らしい躍動感を追求しています。また、助手席側フロントフェンダーに設置される補助ミラーを不要とするマルチテレインモニターや、ワイドビューフロント&サイドモニターを採用することで、スッキリとしたスタイリングを実現しました。乗車定員はTZ-Gグレードを除く全グレードで5人乗りと7人乗りを選べるのが特徴です。2013年のマイナーチェンジで迫力を増した外観は2017年の2度目のマイナーチェンジでよりスマートな方向のデザインとなりました。
現在は2.7Lガソリンと2.8Lクリーンディーゼルの2種類
搭載されるパワーユニットはデビュー時2.7L直4ガソリンと4LのV6ガソリンエンジンでしたが、2015年6月の一部改良時に4LV6エンジンが廃止され、約7年振りのディーゼル復活となる2.8L直4クリーンディーゼルターボエンジンを搭載。さらに組み合わされるミッションも6速ATと多段化され、燃費性能も向上しています。
この2.8L直4ディーゼルターボエンジンは現在、最高出力204ps、最大トルク500Nmを誇ります。また最大トルクの500Nmを1600~2800回転というワイドバンドで発生するため、2トンを超える車両重量のランドクルーザープラドをスムーズに加速させるのが特徴です。また、クリーンディーゼルエンジンと呼ばれているように高い環境性能も特徴。コモンレール式の燃料噴射システムや水冷式のインタークーラー、DPFと呼ばれる排出ガス浄化装置、そして、尿素SCRシステムを搭載することで、パワフルな動力性能と高い環境性能を両立し、WLTCモード燃費で11.2km/Lを実現しています。
熟成を重ねた信頼の4WDシステム
駆動方式は全車トルセンLSD付トランスファーを採用したフルタイム4WDを採用。センターデフにトルセンLSDを採用し、路面状況や走行状態に反応して、前後のトルク配分を最適にコントロールする信頼性の高いシステムとなっています。通常時のトルク配分はフロント40:リア60ですが、旋回加速時にはリアに駆動力を配分することで、優れたコーナリング性能を発揮。また前後輪のいずれかがスリップした際にも瞬時に他方にトルクを配分することにより、車両の安定性を素早く回復させます。
安全性能も着実にアップデート
安全性能は、走行性能の安定に寄与するVSC&TRCをはじめ、合計7個のSRSエアバッグ、アクティブヘッドレスト(運転席・助手席)を標準装備し、さらにミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムを新設定するなどクラストップレベルの安全性能を実現。さらに、2017年9月のマイナーチェンジの際に、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」(現在はトヨタセーフティセンス)を全車に標準装備するなど、先進運転支援という点ではやや物足りなさが残るものの、着実な安全性の向上が図られています。
ヘビー級ながらスムーズな加速、おおらかな乗り心地
試乗したクルマはディーゼルエンジンを搭載した最上級グレードのTZ-Gでしたが、車両重量2330kgというヘビー級のランドクルーザープラドの加速は非常にスムーズ。また組み合わされた6速ATのおかげでスムーズなだけでなく高い静粛性も併せ持っています。舗装路での乗り味は非常にソフトでおおらかな味付けとなっていますが、これくらいサスペンションが動かないとオフロードを走行した際には揺れが激しくなってしまうことが理由でしょう。
最低地上高220mmを確保し高い悪路走破性を確保したランドクルーザープラドの視線の高さは、一般的なSUVとは大きく異なります。アイポイントが高く、視界が広く確保されていることに加えて、ボディの四隅が確認しやすくなっています。また、インストルメントパネルも水平基調のデザインを採用。これはクルマが悪路を走行している際にどれだけ傾いているのかが、ドライバーがすぐに認識できるようになっている機能性を考慮したデザインとなっています。
いまだ色あせないロングセラー
デビューからすでに12年が経過したロングセラーモデルですが、人気面だけでなく走行性能にもまったく陰りが見えない本格的オフローダーです。このランドクルーザープラドの高い実力が三菱パジェロなどのライバル車を撤退させてしまったのかもしれません。
■ランドクルーザープラド価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
2.7TX 5人乗り | 4WD | 8.3 | 362万1000円 |
2.7TX 7人乗り | 377万9000円 | ||
2.7TX Lパッケージ5人乗り | 414万円 | ||
2.7TX Lパッケージ7人乗り | 429万8000円 | ||
2.8DT TX 5人乗り | 11.2 | 428万5000円 | |
2.8DT TX 7人乗り | 444万3000円 | ||
2.8DT TX Lパッケージ5人乗り | 481万円 | ||
2.8DT TX Lパッケージ7人乗り | 496万8000円 | ||
2.8DT TZ-G 7人乗り | 553万円 |
※記事の内容は2021年4月時点の情報で制作しています。