エクステリアやインテリアのデザイン、安全性能など車を選ぶ際に確認しておきたいポイントはたくさんありますが、燃料費の多寡を左右する燃費も忘れてはならない重要なチェックポイントといえるでしょう。一般的に長期間使用することになる車の燃費の差は積もり積もると大きな燃料費の差にもつながる上、一定の燃費性能や環境性能を持つ車は税制面においても優遇措置があるからです。
ここではトヨタのコンパクトハイトワゴン、タンクの燃費についてご紹介します。
タンクの特徴
広い室内空間と多彩なシートアレンジという、近年人気のハイトワゴンの持つ魅力をコンパクトボディで実現したトヨタ「タンク」は2016年11月に登場したモデルで、ダイハツ「トール」のOEM供給を受けて誕生しました。
タンクには1.5Lクラス相当のトルクを幅広い回転域で発揮させる1.0L直列3気筒ターボガソリンエンジンモデルがラインナップされています。このターボガソリンエンジンは高速道路でもストレスフリーな加速性能と低燃費を両立させた新開発のエンジンです。
このほかに坂道でもスムーズに登れる馬力を有し、街中での快適な走りと優れた燃費性能を実現した1.0L直列3気筒NAエンジンモデルがあります。
タンクのカタログ燃費
タンクには先述したとおり、1.0Lターボガソリンエンジンと1.0LNAエンジンの2種類のパワートレインがラインナップされています。ハイブリッド車はありません。
駆動方式はターボガソリン車が2WDのみ、NAガソリンエンジン車は2WDと4WDの2種類です。
タンクのJC08モードカタログ燃費は以下のとおりです。グレードによる燃費の差はありません。
1.0LNAガソリンエンジン(2WD) | 24.6km/L |
1.0LNAガソリンエンジン(4WD) | 22.0km/L |
1.0Lターボガソリンエンジン(2WD) | 21.8km/L |
タンクとライバル車の燃費を比較
タンクのライバル車としてはスズキ「ソリオ」が筆頭として挙げられるでしょう。ここではソリオと、タンクと同じダイハツ「トール」のOEMであり、兄弟車ともいえる存在のスバルの「ジャスティ」、この2車種とタンクの燃費を比較してみます。
スズキ「ソリオ」
出典:スズキ「ソリオ」
現行型であるソリオの3代目モデルは2015年8月に登場し、5人が乗車可能な広い室内空間や両側スライドドアの採用で大人気を博したモデルです。使いやすいパッケージングや“箱を箱として見せたスタイリング”は専門家からの高い評価を受け、2015年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
ソリオには1.2Lガソリンエンジン車とマイルドハイブリッド車、さらにモーターのみの走行が可能なハイブリッド車がラインナップされています。
ソリオのJC08モードカタログ燃費は1.2Lガソリンエンジン車の2WDが24.8km/L、4WDが22.0km/L、マイルドハイブリッド車の2WDが27.8km/L、4WDが23.8km/L、ハイブリッド車は2WDのみで32.0km/Lです。
マイルドハイブリッド車やハイブリッド車がある分、ソリオの燃費は非常に優秀です。一方ガソリン車の燃費はタンクとほぼ同等であることがわかります。
スバル「ジャスティ」
タンクと兄弟車の関係にあるジャスティはタンクと同じダイハツ製の2種類のエンジンを採用しており、ハイブリッド車やマイルドハイブリッド車の設定はありません。
全グレードに先進予防安全機能パッケージの「スマートアシストⅢ」を搭載し、時代に合わせた安全性を持つモデルとなっています。
ジャスティのJC08モードカタログ燃費は1.0LNAガソリンエンジン車の2WDが24.6km/L、4WDが22.0km/L、1.0Lターボガソリンエンジン車の2WDが21.8km/Lです。
ジャスティはタンクと兄弟車ということもあり、燃費はまったく同じ数値という結果になりました。
タンクの実燃費
タンクの実燃費は、オーナーの実燃費データを収集しているe燃費の数値を参考にすると1.0LNAガソリンエンジン車の2WDが14.95km/L、4WDが17.54km/L、1.0Lターボガソリンエンジン車が12.67km/L
となっています。
タンクで使用されているJC08モードカタログ燃費とは平坦でまっすぐな道でライトやエアコンなどを使わずに一定の条件下で計測されているもので、指標に使われる数値です。しかし、日常生活ではさまざまな場所で走行したり重い荷物を積んだり、ライトやエアコンなどを使用することから、カタログ燃費と実燃費との差が生まれることがほとんどです。
路面の状態や運転の方法によって実燃費は変わりますが、JC08モードカタログ燃費の場合だいたい平均3割程度は実燃費が低くなるといわれています。タンクのカタログ燃費と実燃費の差は1.0LNAガソリンエンジン車の4WDは2割程度と優秀ですが、そのほかでは3割以上の差が開いているので、残念ですがカタログ燃費と実燃費の差が平均値以上あるというのが現状です。
タンクの乗り心地を確認
出典:トヨタ「タンク」外観
コンパクトなボディながら余裕のある室内空間が自慢のタンクの乗り心地の特徴を見ていきましょう。
高速走行でも会話が楽しめる静粛性を確保
快適なドライブを楽しむためには車内の静粛性も大切です。タンクでは随所に吸音材や遮音材を配置してエンジンの透過音やロードノイズなどを低減し、高速道路でも車内の会話が楽しめる静粛性を確保しています。
優れた操縦安定性
車高の高いハイトワゴンではコーナリング時などの揺れが大きくなりがちですが、タンクではワイドスタンスを実現するとともにボディの高剛性化、サスペンションの剛性アップを行うことでコーナリング時や高速走行時などの操縦安定性を確保し、揺れの少ない安定した快適な乗り心地を実現しました。
車選びの際には実燃費や乗り心地をきちんとチェックしよう
車選びにおいて何を重視するかは人によって異なりますが、車を使用する上で絶対に欠かすことのできない燃費は必ずチェックしておきましょう。カタログ燃費だけでなく実燃費も把握することでより現実的な燃費事情が見えてきます。
タンクは静かで快適な乗り心地とライバル車と同等の燃費性能を備えたバランスの良さが魅力です。日常生活に寄り添い、便利で快適なカーライフを実現する車をお探しの方にはおすすめといえるでしょう。
※記事の内容は2019年8月時点の情報で執筆しています。