近年の車はシートベルトやエアバッグ、衝突に強いボディ構造などの衝突安全性に関する装備に加えて、事故の危険を察知してシステムが車を制御することで衝突事故の回避や被害軽減に貢献する先進安全技術を採用していることがほとんどです。しかし、車種によって搭載している先進安全技術のレベルや充実度は大きく異なるため、車選びの際にはその車がどのような先進安全技術を採用しているのかを確認することが大切です。
ここでは、トヨタ「ポルテ」の安全性能について紹介します。
この記事のPOINT
- 「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備
- 単眼カメラ+レーザーレーダーを使用する検知システムを採用
- ペダル踏み間違い時急発進抑制装置に該当する装備は全車でメーカーオプション
ポルテの安全性能の特徴
2代目となる現行型のポルテは2012年7月に登場しました。登場からかなり年数が経過しており、その間一部改良は何度か行われたものの、マイナーチェンジは行われていません。
衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術は2016年6月の一部改良によって搭載されました。トヨタの予防安全技術「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備していますが、それ以降ポルテは先進安全技術に関しては手を加えられていません。採用している検知システムは単眼カメラとレーザーレーダーを使用する古い世代のものとなっており、今となっては若干もの足りないといわざるをえないでしょう。
ポルテに搭載される先進安全技術
ここからは、ポルテに搭載される「Toyota Safety Sense」にはどのような先進安全技術が搭載されているのか、見ていきましょう。
プリクラッシュセーフティ
2種類のセンサーで先行車や歩行者を検知
レーザーレーダーと単眼カメラで先行車や歩行者を検知して、衝突する危険があると判断すればブザー音とディスプレイ表示でドライバーに注意喚起します。
自動ブレーキを作動させて衝突の回避・被害軽減をサポート
警告を受けてドライバーがブレーキペダルを踏んだ場合はシステムがブレーキ踏力を強力にアシストし、ブレーキ制動力をアップ。それでも衝突が避けられないとシステムが判断すると強い自動ブレーキを作動させ、衝突の回避・被害軽減をサポートする機能です。
前方の車両と昼間の歩行者の検知が可能で、夜間歩行者や二輪車の検知はできません。
レーンディパーチャーアラート
車線からはみ出す危険をお知らせ
走行中に車線を検知して、ドライバーのウィンカー操作なしに車両が車線をはみ出す危険があるとシステムが判断した場合には、ブザー音とディスプレイ表示で車線逸脱の危険をドライバーに知らせる機能です。
ステアリング操作の支援など、回避操作をサポートする機能は搭載されていません。
オートマチックハイビーム
先行車・対向車のライトや周囲の明るさをシステムが検知し、必要に応じて自動でハイビームとロービームを切り替える機能です。
切替え忘れや手動切替えの負担をなくしてドライバーの安全運転維持に貢献するほか、ハイビームの使用頻度を上げることで夜間視認性を向上させ、歩行者などの早期発見もサポートします。
「Toyota Safety Sense」に含まれる先進安全技術は以上の3つですが、「Toyota Safety Sense」に付帯する機能として「先行車発進告知機能」が搭載されています。
「先行車発進告知機能」は、信号待ちや渋滞などで停止し、先行車が発進しても自車が停止を続けた際にブザー音とディスプレイ表示でドライバーに先行車の発進を知らせ、出遅れを防ぐ機能です。
「Toyota Safety Sense」以外の安全装備
ポルテには、「Toyota Safety Sense」以外にもさまざまな安全装備が搭載されています。
インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)](全車にメーカーオプション)
クリアランスソナーが静止物を検知
車両に設置されたクリアランスソナーが車庫入れなどの際にガラスや壁などの静止物を検知し、静止物への接近をブザー音やディスプレイ表示でドライバーに知らせます。
さらに約15km/h以下の低速走行時に進行方向にガラスや壁などを検知している場合には、エンジン出力を抑制。より静止物との距離が近付くと自動ブレーキを作動させ、低速時の衝突の回避・被害軽減に貢献する機能です。
ヒルスタートアシストコントロール
急な坂道での発進時、ペダルを踏み変える際のブレーキ油圧を一時的に維持することによって車両のずり落ちを防止し、安全な坂道発進をサポートする機能です。
ドライブスタートコントロール
シフト操作ミスによる急発進を抑制する機能です。ドライバーがシフトを「R」に入れ、アクセルを踏んだまま「D」にシフトを変更した際などにブザー音とディスプレイ表示でドライバーに注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制します。
緊急ブレーキシグナル
急ブレーキを踏んだ場合、ブレーキランプの点灯に加えてハザードランプを通常よりも高速で点滅させることによって後続車に急ブレーキを知らせ、追突防止に貢献する機能です。
安全性能のアップデートが待たれるポルテ
ポルテではトヨタの予防安全技術「Toyota Safety Sense」が全車に搭載されてはいますが、2016年からアップデートされていないため近年の新型車と比較すると心許ないといえます。加えて経済産業省や国土交通省が普及を推進している先進安全技術を搭載した車「サポカー」の中でも、最も上位の分類である「サポカーSワイド」の認定に必要なペダル踏み間違い時急発進抑制装置にあたる「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]」が標準装備されていないため、「サポカーSワイド」ではなく衝突被害軽減ブレーキの搭載のみが条件の「サポカー」にとどまります。
「サポカーSワイド」は誰もが安心して使用できる車のひとつの基準といえるものなので、ポルテに乗るのであれば「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]」を追加するのが望ましいでしょう。
よくある質問
Q1:ポルテには先進安全技術は全車に標準装備されているの?
A:はい、ポルテにはレーザーレーダーと単眼カメラを用いる検知システムを採用したトヨタの予防安全技術「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備されています。
Q2:ポルテに搭載される先進安全技術にはどんなものがあるの?
A:車両と歩行者を検知して、衝突の危険があれば自動ブレーキを作動させる「プリクラッシュセーフティ」、ウィンカー操作なしに車両が車線からはみ出しそうになるとドライバーに注意喚起する「レーンディパーチャーアラート」、周囲の状況に応じてハイビームとロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」が採用されています。
Q3:ポルテに追加できる先進安全技術はある?
A:はい、あります。ポルテでは全車にペダル踏み間違い時急発進抑制装置にあたる「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]」の追加が可能です。
Q4:ポルテはどの「サポカー」に該当するの?
A:ポルテは全車が「サポカー」の認定となっています。ただし、オプションの「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]」を追加した場合は「サポカーSワイド」の認定となります。
※記事の内容は2021年1月時点の情報で執筆しています。