スーパーハイトワゴンの歴史はタント抜きに語れない
現在、軽自動車の主力モデルとなっているが、軽最大級の広い室内空間とリアスライドドアを採用することで高い利便性を持つスーパーハイトワゴン。最近はホンダN-BOXが販売台数No.1を続けていますが、このスーパーハイトワゴンというカテゴリーを作ったのはダイハツタントです。そのスーパーハイトワゴンのパイオニアであるタントが2019年7月9日にフルモデルチェンジを行い、4代目へと進化しました。
タントは初代モデルで軽スーパーハイトワゴンという市場を開拓し、小さいお子さんのいるファミリー層から支持され「ママワゴン」とも呼ばれました。2代目ではピラーをドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」を採用。助手席側に大開口幅のスペースを実現することで、画期的な乗降性を実現しました。
そして2013年に登場した3代目は両側パワースライドドアを採用し、子育て世代から、介助が必要なシルバー世代のいる家族まで幅広い世代から支持されるようになりました。
すべて新開発、しかしお値段据え置き!
新型タントは、「新世代のライフパートナー」をキーワードにすべての世代のユーザーのニーズに応えられる「良品廉価の商品」を目指して開発されました。それを最も表しているのが価格。車両本体価格は122万400円〜187万3,800円と先代モデルとまったく同じ価格帯となっているのが特徴です。
新型タントはダイハツ新世代のクルマづくり「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を採用した第1弾モデルです。サスペンションなどの部品配置をゼロベースで再構築したプラットフォームを新開発。さらに世界初となるスプリットギアを用いた新しいCVT、そして大幅改良したエンジンなどのパワートレインを含め、すべての機構を一新したことで、クルマの基本性能である「走る」「曲がる」「止まる」を大幅に向上させています。
新プラットフォームは約40kgの軽量化
DNGAによって新開発された軽量高剛性のプラットフォームは、操縦安定性、乗り心地の性能を最大限引き出すため、サスペンションの位置を最優先で設計、その上でボディ骨格を最適配置し、衝突安全性や静粛性、ボディ強度などを大幅に向上しています。また、曲げ剛性を従来モデルに較べて約30%強化するとともに、超高張力鋼板といったハイテク素材の活用や構造の合理化によって、ボディ骨格全体で約40kgの軽量化を実現しました。
標準車とカスタムの2本立ては変わらず
新型タントは従来モデル同様にベーシックなタントと上質さを追求したタントカスタムの2モデルを用意。タントは「すっぴん美人」をコンセプトに、シンプルで愛着を感じさせるフロントフェイスをはじめ、包み込まれるような安心感のある外観デザインとなっています。
一方のタントカスタムは厚みを持たせたメリハリのあるフロントフェイスやサイドボディ形状などで、明快で存在感あるスタイルを表現しています。フルLEDヘッドランプには新機能のアダプティブドライビングビーム(ADB)を、リアには特徴的なクリアランプを採用し先進機能と形をリンクさせています。
広さに使い勝手の良さを最大限盛り込んだインテリア
インテリアは、広い空間に機能的な収納スペースなど使い勝手の良さも盛り込んでいます。運転席も極細のAピラーによる視界の良さに加えて、大型表示のデジタルメーターを採用することで安全運転を支援します。運転の状況に合わせて、照明色が変化するエコドライブアシストを左右に設置。燃費の良い運転をドライバーに促してくれます。
タントの最大のセールスポイントは、やはり革新的な「使い勝手の良さ」を実現したという室内空間です。特徴的なピラーインドア「ミラクルオープンドア」に加えて、最大で540mmスライド可能な世界初の「運転席ロングスライドシート」を採用、運転席と後席間の移動や、ピラーインドアから運転席へのアクセスのしやすさを改善しています。
さらに運転席に座ったまま子供の世話をしたり、後席の荷物を取ったりすることが可能となった「ミラクルウォークスルーパッケージ」、助手席が半ドア時に自動でドアを全閉する「助手席イージークローザー」、パワースライドドアが閉まりきる前にドアロックを事前に予約することが可能な「タッチ&ゴーロック機能」、降車の際にインパネに設置したスイッチを押すことで、クルマに戻ったときのパワースライドドアの自動オープンを予約することができる「ウェルカムオープン機能」など、驚くほど多くの軽自動車初の機能を採用しています。
自然吸気とターボの2種類のエンジンに組み合わされる新しいCVT
タントが搭載するエンジンは最高出力52ps、最大トルク60Nmを発生する660cc直列3気筒DOHCと最高出力64ps、最大トルク100Nmを発生する660cc直列3気筒DOHCターボの2種類。両エンジンに組み合わされるトランスミッションは世界初スプリットギアを採用した新開発のCVTで駆動方式は全車2WDと4WDを設定。燃費性能はJC08モード燃費で23.8〜27.2km/Lを実現しています。
次世代スマートアシストは驚きの多機能
タントは先進安全装備として「次世代スマートアシスト」を搭載しました。従来の「衝突警報機能」「衝突回避支援ブレーキ機能」「車線逸脱警報機能」「先行車発進お知らせ機能」「オートハイビーム」に加えて、「車線逸脱抑制制御機能」、軽自動車初となるハイビームで走行中に対向車を検知すると、対向車部分のみ自動で遮光する「ADB(アダプティブドライビングビーム)」、「標識認識機能」「ブレーキ制御付き誤発進抑制機能(前方・後方)」、「全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」、「レーンキープコントロール」などの機能をもち、軽自動車のみならず国産車としてもっとも充実した内容となっています。
N-BOXに押されていたタントですが、今回のモデルチェンジは実に気合が入っています。スーパーハイトワゴンのパイオニアとして、これから巻き返しが始まりそうです。
ダイハツタント価格表
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
L(スマートアシスト非装着車) | 2WD(FF) | 27.2 | 122万400円 |
4WD | 25.4 | 134万4600円 | |
L | 2WD(FF) | 27.2 | 130万6800円 |
4WD | 25.4 | 143万1000円 | |
X | 2WD(FF) | 27.2 | 146万3400円 |
4WD | 25.4 | 158万7600円 | |
Xターボ | 2WD(FF) | 25.2 | 156万600円 |
4WD | 23.8 | 168万4800円 | |
カスタム L | 2WD(FF) | 27.2 | 154万9800円 |
4WD | 25.4 | 167万4000円 | |
カスタム X | 2WD(FF) | 27.2 | 166万8600円 |
4WD | 25.4 | 179万2800円 | |
カスタム RS | 2WD(FF) | 25.2 | 174万9600円 |
4WD | 23.8 | 187万3800円 |
※記事の内容は2019年7月時点の情報で執筆しています。