2019年の東京モーターショーで、電気自動車として衝撃のデビューを果たしたマツダMX-30、まずはマイルドハイブリッド仕様のモデルが正式に発売となりました。観音開きドアやスタイリッシュな内外装デザインなど、そのこだわりの詳細をお届けしましょう。
SUVなのにCXではない理由
2019年に開催された東京モーターショーに、コンセプトカーとしてブースでお披露目されたのがコンパクトSUVのMX-30でした。展示されたMX-30は電気自動車(EV)でしたが、2020年10月8に発表された市販モデルのMX-30はマイルドハイブリッド車となり、日本でのEVモデル発売は2021年1月の予定です。
マツダのSUVはCXというネーミングですが、MX-30はSUVの新モデルでありながら、MXというマツダのスポーツカーに使用されているネーミングを採用しています。これは、クーペルックのスタイルやフリースタイルドアというスポーティさだけでなく、マイルドハイブリッド、そしてEVをはじめ、定番モデルとなったSUVの新たな価値観の創造や既存概念を打破するチャレンジングなモデルという意味合いがあります。
立体駐車場に対応した使いやすいボディには観音開きドアを採用
MX-30は全長4395mm×全幅1795mm全高1550mmというボディサイズで都市部に多くある立体駐車場に対応した優れたパッケージングとなっています。ベースとなっているのは名前の30という数字からの想像どおり、2019年に登場したCX-30ですが、MX-30はかつて発売されていた4ドアクーペRX-8に採用されていたフリースタイルドアを採用しているのが特徴です。
このフリースタイルドアは専用設計のヒンジによってフロントドアが82°、リアドアは80°まで大きく開く観音開き式のドア構造を採用しています。開口部が広くなるため、乗降性はもちろん、荷物の積み降ろしなどでも優れた利便性を発揮します。
芸術点を高めた新鮮な外観スタイル
外観デザインはマツダのデザインテーマ「魂動-Soul of MOTION」をフェーズ2と進化させ、「Car as Art」というテーマのもとさらに芸術性を高めています。MX-30のデザインは「Human Modern」をコンセプトに「要素をそぎ落とすことの美しさ」にフォーカスし、シンプルな立体構成に徹しています。
フロントエンドから始まる強い塊はその断面をためらうことなく、ボディサイドからリアエンドまで通すという極めてシンプルな構成です。キャビンは強く傾斜したDピラーによってリアエンドでボディサイドの塊と一体となります。そのDピラーのジャブサイドの一部とリアゲートサイド部分をメタリックカラーとすることで、キャビンのスピード感と一体感のあるリアエンドを強調。さらに、Dピラーとボディの境目にサテンクロムメッキのプレートを配置し、ブランドネームの「MAZDA」を刻印しています。
開放感と包まれ感を両立したこだわりのインテリア
MX-30のインテリアは、「開放感に包まれる」空間を実現させるために、フローティングテーマによる構成で統一されています。フロントはドライバー中心としたレイアウトによる一体感のあるドライビングの基礎は変えずに、空間の構成の水平基調を強めることで、インテリアをよりシンプルかつワイドに表現しています。さらにエアコン操作パネルにタッチパネルディスプレイを採用することで、インテリアの構成要素をシンプルにしています。
また、コルク素材を使用したフローティングさせたセンターコンソール、インストルメントパネルのアッパー部、メーターフードなどにより空間の軽さを引き立てています。
リアの空間は後席のサイドトリム構造を活用し、サラウンドしたラウンジソファ調の後席デザインを造り上げ、後席に座ると包み込まれた心地良い空間が広がります。
ラゲージルームの容量は400Lを確保し、60:40の分割可倒式のリアシートを倒すとさらに拡大します。インテリアパッケージを選ぶとホワイトコンフィデンスと呼ぶホワイト内装とインダストリアルクラシックというブラウン内装を選ぶことができます。
マイルドハイブリッドのみだが4WDモデルも設定
搭載されるパワートレインは最高出力156ps、最大トルク199Nmを発生する2L直列4気筒DOHCガソリンエンジンに最高出力6.9ps、最大トルク49Nmを発生するモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを搭載。組み合わされるミッションは6速ATのみで、駆動方式は2WD(FF)と4WDを用意し、燃費性能はWLTCモードで15.1~15.6km/Lを実現しています。
このハイブリッドシステムはエンジンがメインでモーターのみの走行はできず、あくまでもモーターはエンジンをアシストするタイプのものです。4WDシステムはi-ACTIV 4WDと呼ぶるもので、タイヤの動きやGセンサーなどの情報から車両の走行状態をリアルタイムに検知し、路面状況やタイヤの荷重状態の変化を素早く予測し、最適に配分する最新のシステム。これにより4WDによる燃費の悪化を最小限に抑えているのが特徴です。
先進安全装備も強化された最新タイプ
安全性能は、マツダの安全思想である「MAZDA PROACTIVE SAFETY」に基づき、先進安全技術「i-ACTIIVSENSE」をさらに強化しています。被害軽減ブレーキの「スマート・ブレーキ・サポート」は交差点での衝突事故回避・被害軽減サポートする機能をオプションとして設定したのをはじめ、ステアリング操作をアシストして、白線が引かれていない道路での逸脱回避をサポートする機能や後側方から接近する車両との衝突を回避または被害軽減をはかる新機能を導入しています。
パッケージオプションで自分好みの仕様に
MX-30に設定されているグレードは1つだけで、その他は特別仕様車の100周年記念車が用意されているだけです。グレードは1つですが、ベースモデルにパッケージオプションを組み合わせて自分にピッタリの仕様を作ることができます。MX-30の車両本体価格は242万円~339万3500円。従来のCXというネーミングのSUVは男性的なイメージが強かったですが、シンプルなデザインのMX-30は男性より女性にマッチするクルマと言えるかもしれません。
■マツダMX-30価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格(円) |
---|---|---|---|
MX-30 | 2WD(FF) | 15.6 | 2,420,000 |
4WD | 15.1 | 2,656,500 | |
MX-30 100周年記年特別仕様車 | 2WD(FF) | 15.6 | 3,157,000 |
4WD | 15.1 | 3,393,500 |
※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。