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「日産キックス」4年前のクルマでありながら中身は最新(岡崎五朗レポート)

「日産キックス」4年前のクルマでありながら中身は最新(岡崎五朗レポート)
「日産キックス」4年前のクルマでありながら中身は最新(岡崎五朗レポート)

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日産のコンパクトSUV、ジュークの実質的な後継車となるキックス。デビューから4年経ってようやく日本に導入されました。岡崎さんがその生い立ちからして期待をしてなかったというキックスですが、しかし、いい意味で期待を裏切ったようです。

 

海外では4年前にデビューしていた

海外では4年前にデビューしていた1

「失礼ながらまったく期待していませんでした。でも、乗ったらいい意味で期待を裏切ってくれましたよ、こいつは」。

キックスの試乗会で開発担当者に真っ先に伝えた言葉だ。なぜ期待していなかったのかといえば、それはキックスの生い立ちに理由がある。ゴーン〜西川体制下の日産は、日本の自動車メーカーでありながら日本市場を軽視し、モデル数の削減やモデルチェンジサイクルの長期化など徹底したコスト削減を推し進めた。その結果が現在の販売低迷だ。典型的な「今日よければ明日はどうでもいい」という経営である。

海外では4年前にデビューしていた2

そういう意味で、軽自動車を除けば10年ぶりとなるブランニューモデルの投入は歓迎すべきニュースだ。しかし実はこのクルマがデビューしたのは4年前。ブラジルを皮切りに、中国、カナダ、北米、台湾、インド、タイと続き、4年経ってようやく日本に入ってきた。4年前のクルマを新車と言われてもね…という僕の心の引っかかり。それが冒頭の言葉につながった。

日本導入にあたって改良を重ねたキックス、最大のポイントはe-POWER

日本導入にあたって改良を重ねたキックス、最大のポイントはe-POWER

しかし、乗ってみたら実にいい仕上がりだったというのも前述したとおり。聞けば、日本に導入するにあたってありとあらゆる部分に改良を加えたという。そう、海外のお古をそのまま日本にもってきたわけじゃない。なかでも最大のポイントがe-POWERの搭載だ。e-POWERとはエンジンで発電した電力を使ってモーターを駆動する「シリーズ式」と呼ばれるハイブリッドの一種。燃費ではトヨタのシリーズパラレル式ハイブリッドに勝てないが、エンジンと駆動輪が機械的につながっていない(モーターの動力のみで走る)ため、上手く制御すればEVに近い滑らかなドライブフィールを得られる。

実際、ヤリスクロスやヴェゼルにもハイブリッドモデルがあるが、滑らかさと静かでキックスはライバルたちを明らかにリードする。さすがにアクセル全開で加速をするようなシーンでは1.2Lエンジンが大量の電力を供給するため唸り音を上げるものの、少なくとも日常領域での静粛性にはかなりの高得点が付く。街中で軽くアクセルを踏み込んだ直後の、遅れなくスッとクルマが前に押し出される感覚も気持ちがいい。このあたりは電動駆動ならではのメリットだ。同形式のe-POWERを積むノートより約100kg重いウェイトに対応すべくーター出力を20%近く引き上げたことや、低速域ではエンジンをなるべく始動させない制御を採り入れたのもフィーリング向上に貢献している。

足回りの固さは気になるがボディ剛性は高い

足回りの固さは気になるがボディ剛性は高い

フットワークはちょっと固め。良路では悪くないが、荒れた路面にさしかかると突き上げが気になることがあった。とはいえノートと比べるとボディはかなりガッチリしているし、直進安定性も高い。海外で売っているキックスよりもボディ剛性を高めているのがしっかりしたドライブフィールを生みだしている大きな理由だろう。加えて高速道路では日産お得意のプロパイロットが快適なクルージングを約束してくれる。

十分な広さのインテリア

十分な広さのインテリア1

十分な広さのインテリア2

十分な広さのインテリア3

ボディサイズは全長4290㎜、全幅1760㎜、全高1610mm。4.3mを切る全長でありながら後席も荷室もきちんと確保している。外観デザインに新鮮な驚きがあるとか、インテリアの質感が優れているとか、そういった特筆すべきポイントはないものの、実用車としてきっちり作り込まれてはいる。

エンジニアの現場力が発揮されている

エンジニアの現場力が発揮されている

4年前のクルマでありながら中身は最新。そこには開発を担当したエンジニアたちの「現場力」が遺憾なく発揮されている。昔からそうだが、一流の実力をもつ現場の足を、クルマに興味のない経営者が引っ張るという傾向が日産には目立つ。昨年12月に社長に就任した内田新社長は自分で愛車(MT車)を整備するほどのクルマ好き。Zの復活も決断した。内田社長率いる今後の日産は要注目だ。

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※記事の内容は2020年9月時点の情報で制作しています。

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