1989年の発売以来、日本のみならず世界中にそのファンを抱えるマツダロードスター。現行型は2015年に発売された4代目、手動で開閉するソフトトップ車に加えて、ボタン一つでルーフが開閉するリトラクタブルファストバック車が2016年11月に設定されています。その走りから安全性能まで徹底レビューしてみましょう。
ギネスブックに登録されたスポーツカー
マツダロードスター(当時はユーノスロードスター)は1989年(平成元年)に販売開始された2シーターオープンスポーツカーです。現在発売されているのは、2015年に登場した4代目モデル。手動で開閉するソフトトップ車に加えて、ボタン一つでルーフが開閉するリトラクタブルファストバック(以下RF)車が2016年11月に追加されています(今回の記事の写真はすべてRF)。
マツダロードスターが世界の自動車業界に与えた功績は非常に大きく、当時下火になっていたライトウェイトスポーツというカテゴリーの復権はマツダロードスターなしには語れません。ロードスターの成功によってトヨタがMR-S、ホンダがS2000、BMWがZ3、メルセデス・ベンツがSLKと、次々と2シーターオープンスポーツカーが登場し、2シーターオープンカーバブルが起こりました。ロードスターは「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネスブックに認定されるほど日本をはじめ世界中にファンがいる車なのです。
軽量化され原点回帰した4代目
ND型と呼ばれる現行型ロードスターはマツダ車共通のデザインテーマである「魂動-ソールオブモーション」とマツダの新世代技術群「スカイアクティブテクノロジー」を採用したモデルとして登場しました。
先代ロードスターはロータリーエンジンを搭載した4ドアクーペのRX-8とボディの骨格が共通だったため、ロードスター本来のエンジンパワーに頼らない軽快な走りのライトウェイトスポーツ感が希薄になってしまいました。その反省から、現行モデルはボディに使用する素材にもこだわりアルミニウムや超高張力鋼板などを積極的に使用し、高いボディ剛性と軽量化を両立。その結果、ソフトトップのベーシックグレードSの車両重量は1トンを切る990kgを実現し、マツダが掲げる「人馬一体」のドライブフィールを達成しています。
走りに徹した内装だが意外に実用的な一面も
贅肉がそぎ落とされたアスリートのようなボディは実用性もしっかりと確保され、トランクは機内持ち込み可能なスーツケースが2個詰める容量を確保。電動開閉式ルーフを採用したRFは約13秒で開閉でき、オープン時でもトランク容量が変わらないように収納できるなど徹底的に実用性にこだわって開発されているのが特徴です。
インテリアはドライバーが運転集中できるように計器類の配置やペダルの位置まで細部にわたって設計されています。ドライバーがシートに座ると自然な位置にペダルやハンドルそしてシフトがレイアウトされ、ドライバーと車が一体化できるコクピットが形成されています。
ルーフタイプで異なるエンジン
搭載されているエンジンはソフトトップ車が最高出力132ps、最大トルク152Nmを発生する1.5L直列4気筒DOHC、一方のRFには当初、最高出力158ps、最大トルク200Nmを発生する2L直列4気筒DOHCエンジンと異なっています。RFに搭載されている2Lエンジンは2018年6月に変更されており、最高回転を7500rpmに引き上げた高回転タイプとなり、最高出力は184ps、最大トルクは205Nmに向上されました。
MTとAT、いずれも実用的な燃費性能を誇る
組み合わされているトランスミッションは両エンジンともに6速MTと6速ATで、駆動方式はFR(後輪駆動)のみ。燃費性能は新方式のWLTCモードでソフトトップ車が16.8〜17.2km/L、RF車は15.2〜15.8km/Lと、軽量化の効果もあって実用的です。ソフトトップ車の一部グレードにはアイドリングストップ機構「i-stop」と減速エネルギー回生システムの「i-ELOOP」が設定され、このシステムを装着すると燃費性能がさらに向上します。
パワーを使いきるソフトトップ、ラグジュアリーなRF
搭載されているエンジンが異なっているとおり、ソフトトップ車とRF車の走りの性格はかなり違います。1.5Lエンジンを搭載したソフトトップ車は限られたエンジンパワーを使いきる楽しさを味合わせてくれます。峠などでは常に低いギアをキープしエンジンの回転数を落とさず走るということを心がけることが必要で、ロードスター本来のライトウェイトスポーツが具現化されています。
一方のRFは排気量が500ccも大きいこともあり、パワフルさが前面に押し出されています。MTはもちろんですがATでも十分に楽しめるラグジュアリースポーツに仕立てられています。RFはソフトトップ車より車両重量が重いため、パワーのある2Lエンジンが搭載されていますが、カーブを曲がる際の軽快な動きはロードスターそのものといえるでしょう。ソフトトップ車はドライバーに車の挙動がダイレクトに伝わってきますので、自分のドライビングテクニックを磨く車にうってつけです。一方のRFはもちろんソフトトップ同様に車の挙動はわかりやすいですが、もっと余裕をもってオープンエアを楽しみたいという大人のためのオープンカーです。
マツダらしく先進安全装備も十分
マツダの先進安全装備は車種・グレードを問わずサポカーSワイドをクリアしています。スポーツカーのロードスターも例外ではありません。被害軽減ブレーキやAT車のペダル踏み間違い時加速抑制装置、先進ライトなど、十分な先進安全装備が用意されています。
装備と走りへのこだわりで選べるグレード
グレード構成はソフトトップ車がMT車のみのベーシックグレードSをはじめ、装備が充実したSスペシャルパッケージ、本革シートを装着した Sレザーパッケージ、そして専用チューンを施したサスペンションなどにより走りに磨きを掛けたMT車のみのRSの4グレード。
RFはベーシックなS、装備が充実したVS、走りに磨きを掛けたMT車のみのRSという3グレードが用意されています。
ソフトトップ車ならばRS、RF車ならばMT、ATどちらも選べて装備が充実したVSがオススメのグレードです。ロードスターの車両本体価格はソフトトップ車が255万4200円〜325万6200円、RF車は336万9600円〜381万2400円となっています。
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
S (6MT) | 2WD(FR) | 16.8 | 255万4200円 |
S スペシャルパッケージ(6MT) | 16.8 | 275万9400円 | |
S スペシャルパッケージ(6AT) | 17.2 | 287万2800円 | |
S レザーパッケージ(6MT) | 16.8 | 309万4200円 | |
S レザーパッケージ(6AT) | 17.2 | 320万7600円 | |
RS (6MT) | 16.8 | 325万6200円 | |
RF S (6MT) | 15,8 | 336万9600円 | |
RF S (6AT) | 15,2 | 339万6600円 | |
RF VS (6MT) | 15,8 | 365万400円 | |
RF VS (6AT) | 15,2 | 367万7400円 | |
RS (6MT) | 15.8 | 381万2400円 |
※記事の内容は2019年9月時点の情報で執筆しています。