年々排ガスに関する規制や燃費基準は厳しくなり、それに対応するように各自動車メーカーも環境性能・燃費性能の向上に力を入れています。近年の新型車は一昔前の車とは比較にならないほどの優れた燃費性能を持つ車も多くなっていますが、それでも車種によって燃費には差があるのが現状です。そのため車選びの際にはしっかりと燃費の確認を行うことが重要だといえるでしょう。
ここではホンダ「フィット」の燃費についてご紹介します。
フィットの燃費の特徴
現行モデルのフィットは2013年9月に登場した3代目モデルですが、2017年のマイナーチェンジ時に前後バンパーを一新して先進性やスポーティさを感じさせるスタイルに進化しました。
元々燃費性能に定評のあったフィットですが、そのマイナーチェンジの際にはパワートレインにも手が加えられました。
フィットの基本となる低燃費運転と高出力運転を両立した1.3L アトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジン、ホンダ独自の直噴技術を採用し圧倒的なパワーで力強い走りと爽快なドライビングフィールを実現する1.5L直噴DOHC i-VTECエンジン、走行状況に応じて3つの走行モードから最も効率の良いモードを選択して走行するハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」の3種類のパワートレインすべてにおいて改めてきめ細かなチューニングを施し、さらなる低燃費やスムーズな加速など走る楽しさを進化させました。
さらにパワートレインに関する改良だけではなく、フロントピラーやフロントバンパースポイラーの形状の最適化など空力抵抗を考慮した形状変更を行うことによっても燃費性能の向上を図っています。
フィットのカタログ燃費
フィットでは1.3Lガソリン車、1.5Lガソリン車、そして1.5Lハイブリッド車の3つのパワートレインがあり、そのすべてに2WDと4WDの2つの駆動方式が設定されています。
フィットのJC08モードカタログ燃費は以下のとおりです。
・1.3Lガソリン車
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | 燃費 |
---|---|---|---|
13G・F | 2WD | CVT | 24.6km/L |
5MT | 21.8km/L | ||
4WD | CVT | 20.2km/L | |
13G・L Honda SENSING | 2WD | CVT | 24.6km/L |
4WD | CVT | 20.2km/L | |
13G・S Honda SENSING | 2WD | CVT | 24.2km/L |
4WD | CVT | 20.2km/L |
・1.5Lガソリン車
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | 燃費 |
---|---|---|---|
15XL・Honda SENSING | 2WD | CVT | 22.2km/L |
4WD | CVT | 19.4km/L | |
RS・Honda SENSING | 2WD | 6MT | 21.0km/L |
CVT | 19.2km/L |
・ハイブリッド車
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | 燃費 |
---|---|---|---|
HYBRID | 2WD | 7DCT | 37.2km/L |
4WD | 7DCT | 29.4km/L | |
HYBRID・F | 2WD | 7DCT | 34.0km/L |
4WD | 7DCT | 28.6km/L | |
HYBRID・L Honda SENSING | 2WD | 7DCT | 34.0km/L |
4WD | 7DCT | 28.6km/L | |
HYBRID・S Honda SENSING | 2WD | 7DCT | 31.8km/L |
4WD | 7DCT | 28.0km/L |
フィットとライバル車のカタログ燃費を比較
燃費性能を確認するには同クラスのライバル車と比較してみるのもひとつの方法です。ここではトヨタ「アクア」と日産「ノート」のカタログ燃費と比較してみましょう。
トヨタ「アクア」
出典:トヨタ「アクア」外観
アクアは世界的に大ヒットした2代目プリウスのハイブリッドシステムを搭載し、ハイブリッド専用のコンパクトカーとして登場しました。燃費性能を高めるための空力特性に配慮したプリウスと共通の流れるようなエクステリアのデザインが特徴的なモデルです。
アクアのJC08モードカタログ燃費は34.4~38.0km/L。2WDのみで4WDのラインナップはありません。
アクアは、フィットのハイブリッド車とほぼ同等の燃費性能だといえるでしょう。
日産「ノート」
現行型のノートは2012年に登場した2代目モデルです。2016年に行われた4度目のマイナーチェンジの際にラインナップに追加された100%モーター走行が可能なe-POWERモデルの優れた燃費性能とスムーズな走行性能が高く評価され、一躍ノートは日産の人気モデルとなりました。
ノートのJC08モードカタログ燃費はe-POWERの2WD車が34.0~37.2km/L、4WD車が28.8km/L、1.2Lガソリン2WD車が23.4~26.2km/L、4WD車が18.2km/Lです。
フィットのハイブリッド車とノートのe-POWER車の燃費は同等といえるでしょう。ガソリン車においては2WD車でわずかにフィットがノートに後れを取っていますが、4WD車においてはフィットにメリットがあるようです。
フィットの実燃費
オーナーの実燃費データを収集しているe燃費によると、フィットの実燃費は1.3Lガソリン2WD車が15.31~16.32km/L、4WD車が15.26km/L、1.5Lガソリン2WD車が14.93~16.16km/L、ハイブリッド2WD車が21.80~23.60km/L、4WD車が22.66km/Lです。
1.5Lガソリン4WD車に関してはデータが確認できませんでした。
燃費性能をチェックする際には、カタログ燃費だけではなく実燃費もチェックすることが大切です。そもそも、カタログ燃費とは平坦でまっすぐな道でライトやエアコンなどを使わずに一定の条件下で計測されているもので、指標に使われる数値といえます。しかし、日常生活ではさまざまな場所を走行することから、どの車でもカタログ燃費と実燃費とのあいだで差があるのが一般的なのです。
路面の状態や運転の方法によって実燃費は変わりますが、JC08モード燃費の場合だいたい平均3割程度はカタログ燃費よりも実燃費が低くなるといわれているため、フィットのカタログ燃費と実燃費の差はいずれのパワートレインでも2WD車において若干平均値よりも大きいようですが、4WD車においては平均値の範囲内だといえるでしょう。
フィットの乗り心地
車にはやはり快適な乗り心地を求めたいものです。車選びの際には乗り心地に関する部分も確認しておきましょう。
静粛性がもたらす快適な車内空間
HYBRID・S Honda SENSINGは紫外線防止機能や赤外線防止機能に加えて遮音機能が付いたフロントウィンドウガラスや吸音タイプのフロアアンダーカバーなどを採用しています。ロードノイズや風切音などの外部からの音の侵入を抑制することによって優れた静粛性を実現し、静かで快適な車内空間となっています。
ボディの高剛性化やサスペンションの最適化によって快適な乗り心地を実現
従来よりもボディ剛性をアップし、さらにサスペンションダンパーの減衰特性を最適化することにより優れた操縦安定性と揺れが少ない快適な乗り心地を両立させています。
ハイブリッド車・ガソリン車ともに優れた燃費性能を持つフィット
ハイブリッド車はもちろん、ガソリン車においても優れた燃費性能を有していることがフィットの魅力のひとつといえるでしょう。
現在は一定の基準を満たす燃費性能を持つ車は、車に関する税金の軽減措置が受けられる時代です。車を選ぶ際にはデザインや走行性能、安全性能などとともに燃費性能も必ずチェックするようにしましょう。
※記事の内容は2019年9月時点の情報で執筆しています。