2025年10月8日、日産自動車は3代目となる電気自動車(以下BEV)の日産リーフの日本仕様「B7」を発表しました。2010年に初代モデル、2017年には2代目モデルを発売し、15年間積み重ねた知見と経験を最大限に活かした3代目リーフ。2025年6月にグローバルでは発表されていたものの、その日本仕様である「B7」の詳細について自動車評論家の萩原文博さんが速報します。
B7は航続距離702km! B5は350万円の驚愕プライス!

3代目となる新型リーフのフロント

こちらは先代のリーフ(NISMO)
乗る人すべてが気持ち良くドライブでき、誰もが安心して乗れるBEVとして開発された3代目リーフB7。満充電時の走行可能距離はWLTCモードで最大702kmを達成するなど大きな進化を遂げています。車両本体価格は78kWhのバッテリーを搭載したB7 Xは航続距離700km超えながらお値段518万8700円~B7Gの599万4000円という魅力的なライスタグを下げて10月17日から注文開始、デリバリーは2026年1月からとなる見込みです。また55kWhというバッテリー容量が小さいリーフB5は2026年2月発表の予定で、こちらの車両本体価格は350万円からという驚きのプライスとなっています。思えば先代の2代目リーフは廉価で提供するために初代のコンポーネンツをさまざま流用した結果として、EVであること以外の魅力が薄いクルマでした。しかし今回の新型は価格もさることながら中身も日産渾身の力作です。
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SUV風ながら全高は1,550mmに収まる

SUVライクな外観だが全高は1,550mmに収まる新型リーフ

2代目リーフの内外装は初代リーフをベースに大幅な手直しを加えたのが実態だった
3代目リーフのスタイリングはクロスオーバースタイルに一新しつつも、ボディサイズは全長4,360mm×全幅1,810mm×全高1,550mmという都市部に多い立体駐車場に対応した優れたパッケージングとなっています。先代モデルと比べると全長は−120mm、全幅は+20mmそして全高は+10mmと全長が大幅に短くなったのが特徴です。

リアも未来的な新型リーフ

旧型リーフ(NISMO)もリアビューはやや未来を感じさせた
また、電費性能に影響が大きい空力性能を向上させるため、ファストバックスタイルのシルエットをはじめ、アルミホイール、電動格納式アウトサイドドアハンドル、そしてフラットな床下を採用。

空力に有利なようフラットに仕上げられたシャシー底面
徹底的に空力性能を磨き上げることでクラストップレベルの空気抵抗係数(Cd値)0.26を達成しています。
Google搭載でインフォテイメントも超進化

最新の日産デザインを取り入れたインテリアも新型リーフの魅力だ

EVとは思えないアナログさが不評だった旧型リーフのインパネ

新型リーフのフロントシート

新型リーフのリアシート

新型リーフのラゲッジルーム(通常時)

新型リーフのラゲッジルーム(リアシート折り畳み時)
インテリアはCMF-EVプラットフォームの採用により、フラットなフロアと開放感のある足元空間、そして使い勝手の良いラゲッジルームを実現。インストルメントパネルは横方向に広がるフローティングデザインを採用し、落ち着いたミニマルな雰囲気を演出しています。
12.3インチの大型デュアルディスプレイは先進感にあふれ、Google搭載の「NissanConnectインフォテイメントシステム」を搭載。このシステムは「Googleマップ」をはじめ「Googleアシスタント」、「Google play」の各機能に対応し、多彩な情報とエンターテインメントにシームレスに接続できるようになりました。
ナビゲーションが「Googleマップ」となったことで、Googleアカウントを同期すれば、充電スポットを予測したルート検索やお気に入りの場所や保存したルートをスムースに表示できるなど利便性が向上しています。
インテリアでは他にも日産車として初の調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)を搭載。開放感溢れるガラスルーフは、電子調光技術によってボタン操作ひとつでガラスの透明度を変えるだけなく、遮熱機能も持たせることにより年間を通じて快適な室内空間を実現しています。
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長い航続距離、短い充電時間

新型リーフ

旧型リーフ(NISMO)
3代目リーフに搭載される新開発のパワートレインは、モーター、インバーター、減速機という主要な3つのコンポーネントを一体化した3-in1構造を採用。従来比でユニット容量を10%削減しながら、モーターの最大トルクを4%向上させています。さらにローターを複数に分割し、それを斜めにずらして配置した分割スキュローターの採用やハウジングやモーターマウントブラケットを高剛性化することで、モーターの振動を大幅に低減させるだけでなく、より滑らかで気持ちの良い走りと静粛性が高い快適な室内空間を両立しました。
78kWhのバッテリーを搭載したリーフB7は、最大702kmという満充電時の走行可能距離を実現するとともに、最近増加している最大150kWの急速充電器に対応。この急速充電器を利用すると35分で充電量10%から80%までリカバリーすることができます。

新型リーフ

旧型リーフ(NISMO)
3代目リーフではクルマ全体で冷熱システムを一括制御するエネルギーマネージメントを採用し、クルマの中で発生する熱を最大限有効活用します。さらに、ナビゲーションシステムと連動した「ナビリンクバッテリーコンディショニング」機能も採用。走行ルートに応じてバッテリー昇温や冷却を自動で制御することで、エネルギー消費を最適化するとともに、充電速度の向上にも貢献します。このあたりの工夫は日産のEVの経験の長さを感じさせます。
アリア並みにアップグレードした足回り
サスペンションシステムは、フロントはストラット式ですが、リアは従来のトーションビーム式から上級車のアリアと同じマルチリンク式にアップグレードされました。ブッシュの向きと形状が最適化され横剛性が66%向上、街中から高速道路まであらゆるシーンにおいてフラットで快適な乗り心地を提供します。またステアリングがコラムアシスト式パワーステアリングからラックアシスト式に変更され、ステアリング系の剛性が45%向上、スッキリとしたハンドリングの良さも実現したとしています。
運転支援も最新バージョンに
3代目リーフの運転支援機能はドライバーの安全を全方位からサポートしてロングドライブの負担を軽減する「360°セーフティアシスト」を搭載。高速道路などでハンズオフドライブを可能とし、ロングドライブ時の疲労を低減する「プロパイロット2.0」をはじめ、スムースな駐車を支援する「プロパイロットパーキング」と「プロパイロットリモートパーキング」、そして後方視界を確保する「インテリジェントミラー」を設定しています。
さらに頻繁に加減速を繰り返すようなシーンでも車間距離を一定に保ち、先行車両に合わせて減速し停止までサポートする「インテリジェントディスタンスコントロール」を採用し、一般道でもドライバーの負担を軽減し、快適なドライブを提供してくれます。他にも万が一の交通事故などの際の映像も記録できる「ドライブレコーダー(前後セット)」も採用するなど、安心・安全についても最新バージョンです。
また充電ポートに接続する「AC外部給電コネクター」を使えば、ドアをロックした状態でも1,500Wの電力を使うことができ、アウトドアアクティビティに加え、災害時の非常用電源としても活用することができるなどBEVならではの機能も強化されています。
間違いなく力作、失地回復なるか?
韓国のヒョンデや中国のBYDが日本市場に参入し、価格競争が激化する中で登場する3代目新型日産リーフ。長い航続走行距離や戦略的な価格設定は国産BEVのパイオニアとしてのプライドを強く感じました。いつの間にか存在感が薄れていた日産のEVですが、このリーフで失地回復となるか注目です。
※記事の内容は2025年10月時点の情報で制作しています。
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