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【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート「クラウンで車中泊?“昭和のオジサンセダン”の名残はもはやどこにもない」

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート「クラウンで車中泊?“昭和のオジサンセダン”の名残はもはやどこにもない」
【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート「クラウンで車中泊?“昭和のオジサンセダン”の名残はもはやどこにもない」

クロスオーバー、スポーツ、セダンに続いて、トヨタクラウンに2025年3月、「エステート」(635万〜810万円)が追加されました。エステートらしい広大な荷室、純正で用意された車中泊キットなど、保守の代名詞だったクラウンが大きく変わることを受け入れたという岡崎五朗さんの試乗リポートです。

クラウンシリーズの最後のピース、なのか?

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート 前7:3

クラウンシリーズの「最後のピース」として、ついにエステートが登場した。クロスオーバー、スポーツ、セダンという三者三様の個性派たちに続く四男坊である。これでクラウンの“新しい家系図”がいったん完成を見たわけだが、正直に言えば、まだ何か出てきそうな気配がある。たとえば、美しくエレガントなステーションワゴン、あるいはソアラの再来を感じさせる贅沢な2ドアクーペ・・・とはいいえ、そこは今後のお楽しみということで、今回はエステートの試乗レポートをお届けしていく。

荷室長は約2m!純正で車中泊マットも用意

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート 後7:3

名前こそ「エステート」だが、その正体は大きな荷室とラグジュアリー性を両立したスタイリッシュなSUV。まず目を引くのは大柄なボディサイズだ。全長4,930mm、ホイールベースは2,850mmとクロスオーバーと同寸ながら、全幅は40mmワイドで、全高は85mm高く取られている。

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート インパネ

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート フロントシート

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート リアシート

これにより、室内空間、とくに荷室の広さが際立っている。具体的には、通常時で570L、後席を倒すと最大1470Lの荷室容量を確保。荷室長は約2mにも達し、リアシート背面のラゲッジルーム拡張ボードを引き起こせば、大人が余裕で横になれる空間が出現する。アウトドア好きには間違いなく響く要素だろう。

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート リアラゲッジ

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート リアラゲッジシート格納

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート リアラゲッジカバー

とはいえ、「クラウンで車中泊なんて」と思う向きも多いはずだ。かくいう僕もそうだった。が、トヨタはそんな先入観を見事に打ち破って見せた。なんと、純正アクセサリーに専用車中泊マットなるものが用意されているのだ。いやはや、“昭和のオジサンセダン”の名残は、もはやどこにもない。もちろん、ホテル宿泊派にとっても、自転車やサーフボードをも飲み込む巨大な荷室空間は大きな魅力である。

走行フィールに着目すればPHEVに軍配

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート シフト周り

パワートレインは2.5Lハイブリッドと2.5Lプラグインハイブリッド(PHEV)の2種。どちらにも試乗したが、個人的にはPHEVに軍配を上げたい。大容量バッテリーによって実現された静かでスムーズなEV走行は、街中はもちろん、高速巡航でも有効だ。同じPHEVでもアルファードと比べると車重が軽く、重心も低いため、操縦感覚にはよりスポーティな味付けがなされている。EV走行距離は約89km、EV時最高速度は135km/hと、日常使いには十分だ。さらにEVモードでの最高速度は135km/hに達し、高速道路の巡航も可能。CHAdeMOによる急速充電にも対応するため、まったく現実的ではないが、SAごとに充電すれば、理論的にはガソリンを一滴も使わずに都市間移動をこなせる可能性もあるわけだ。まあ、そこは冗談としても、第三京浜を使って東京から横浜まで、という使い方であればEVオンリー走行も可能である。

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート ハイブリッドエンジン

ハイブリッドモデルのエンジンルーム

もちろんPHEVには175万円の価格差(東京都の場合国から最大60万円、都から最大45万円、合計105万円の補助金が出る)や、性能を存分に使い切るには自宅か職場に充電環境が必須というハードルもある。一方で、ハイブリッドは燃費20.3km/Lを超える高効率が魅力で、振動や音にある程度寛容であれば、日々の移動においては非常に理にかなった選択だ。しかし、走行フィールに着目すれば、強力なバッテリーとモーターを持つPHEVに軍配があがる。

高いアイポイントによる開放感とどっしりと落ち着いた高速直進安定性

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート 走り

フットワークは、トヨタの新世代プラットフォームらしく洗練されている。キビキビ感を重視したスポーツと違い、快適性を優先したセットアップだが、コーナーでは腰高感を感じさせず、思い通りのラインを綺麗にトレースしてくれる。乗り心地と走りのバランスポイントは相対的に低重心なクロスオーバーに軍配があがるが、エステートには高いアイポイントによる開放感とどっしりと落ち着いた高速直進安定性が備わっている。こうした特性はとくに長距離移動において真価を発揮するだろう。

きっと悪くない驚き

【試乗・岡崎五朗】トヨタクラウンエステート 後

クラウン・エステートはどんな人のためのクルマか? まず思い浮かぶのが「積めるクラウン」を必要とするファミリー。子育てを終え、アウトドア趣味に没頭している40台、50台にもピッタリだ。いずれにしても、キーワードはアクティブなライフスタイルということになるわけで、これはもう保守の代名詞だったクラウンが大きく変わることを受け入れた証である。加速も、静かなEV走行も、たっぷりの荷室も、そのすべてが「クラウン、変わったな」と思わせてくれるはず。そしてそれはきっと悪くない驚きであるはずだ。

※記事の内容は2025年4月時点の情報で制作しています。

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