軽自動車のみならず、国産車としても貴重なミッドシップレイアウトの2シーターオープンスポーツカーがホンダS660です。かつて一世を風靡したビートの後継車として、登場当初は納車まで1年以上という人気を誇りました。そのS660が登場から約4年10ヵ月経過した2020年1月に初のマイナーチェンジを行いました。その内容をさっそく紹介しましょう。
ミッドシップエンジン、ソフトトップのこだわり軽オープンスポーツカー
ホンダS660は「Heart Beat Sport」をキーワードに開発された2シーター軽オープンカーで、2015年3月30日発表されました。ホンダが以前販売していた軽オープンカー、ビートと同じミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)の専用レイアウトを採用。高剛性と軽量化を両立した専用ボディは低重心と理想的な前後重量配分である45:55を実現することで、高いハンドリング性能を実現しています。軽量・低重心を実現するために、電動開閉式のルーフは採用せず、手動で取り外しするソフトトップを採用するというこだわりが感じられます。
S660はオープンエアという非日常環境を手軽に味わえるだけでなく、コンパクトでタイトな空間によって人とクルマの一体感を楽しめるクルマに仕立てられているのが特徴で、ラゲージスペースもないという徹底ぶりです。搭載されているエンジンは最高出力64psを発生する660cc直列3気筒ターボを搭載。組み合わされるミッションは、当時軽自動車初だった6速MTとパドルシフト付きの7速変速機能付CVTの2種類を用意。2018年には純正ナビシステムが装着可能なナビ装着用スペシャルパッケージが設定され利便性が向上しました。
好評のデザインは「深化」
そして、2020年1月にS660は初のマイナーチェンジを行いました。今回のマイナーチェンジは「デザインの深化」がコンセプト。好評のスタイルはそれほど大きく変わっていません。外観ではヘッドライト/サブリフレクターの色の変更をはじめ、リアコンビネーションランプ/インナーレンズの色の変更、そしてフロントグリルとアルミホイールのデザイン変更が行われました。
上級グレードのαではアクセサリーライトが追加されています。ホンダとして国内初となる新色アクティブグリーン・パールも設定されるなど、デザインには一層の磨きを掛けました。
シートヒーターの追加で快適性を向上
インテリアでは、シート表皮のアクセントの変更と同時にシートヒーター機能が追加され、より快適性を向上させています。上級グレードのαにはステアリングホイール/シフトノブの表皮にアルカンターラを採用、レーシーな雰囲気を高めています。
コンプリートカー「Modulo X」も内外装を刷新
S660には通常のカタログモデルに加えて、純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセスが手掛けたコンプリートカー「Modulo X」が設定されています。このModulo Xも標準車同様にマイナーチェンジを受けています。変更点は外観ではブラックスパッタリング仕上げの新色アルミホイールや、ナイトホークブラック・パールを採用したドアミラーカバーの採用といったところ。
インテリアは専用アルカンターラ×本革ステアリングをはじめ、サイドブレーキカバー、シフトブーツなどアルカンターラ採用部位の拡充、そして専用スポーツレザーシートのデザイン変更となっています。
走りには変更なし
標準車、Modulo Xともに、内外装のデザイン変更が中心で走行性能には変更はありません。マイナーチェンジし、リフレッシュしたS660の車両本体価格は203万1700円〜232万1000円。そしてコンプリートカーのModulo Xは304万2600円と軽自動車では破格の価格となっています。しかし、スーパースポーツカーと同じMRの駆動方式の高性能スポーツカーがこの価格で手に入ると考えると決して高くはないのかもしれません。
■ホンダ S660価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
660α 6速MT | 2WD(MR) | 20.6 | 2,321,000円 |
660α CVT | 20 | ||
660β 6速MT | 20.6 | 2,031,700円 | |
660β CVT | 20 | ||
660 Modulo X 6速MT | ー | 3,042,600円 | |
660 Modulo X CVT | ー |
※記事の内容は2020年4月時点の情報で制作しています。