2019年の年間販売台数ランキング(軽自動車を除く)はトヨタプリウスが首位に返り咲き、2位以下もトヨタ車が多くを占める結果となった。そしてランキング上位のボディタイプはミニバンやコンパクトカーばかり。そんな売れているクルマは、本当にいいクルマだから売れているのだろうか。3人のプロが激論を交わす!
上位10台のうち7台がトヨタ車、売れているクルマはトヨタばかり!?
2019年 国産乗用車販売台数(軽自動車除く)
順位 | 車名 | メーカー | ボディタイプ | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|---|
1 | プリウス | トヨタ | ハッチバック | 125587 | 108.8 |
2 | ノート | 日産 | コンパクト | 118472 | 86.9 |
3 | シエンタ | トヨタ | ミニバン | 110880 | 117.9 |
4 | カローラ | トヨタ | ハッチバックほか | 104406 | 116.1 |
5 | アクア | トヨタ | コンパクト | 103803 | 82 |
6 | セレナ | 日産 | ミニバン | 92956 | 93.1 |
7 | ルーミー | トヨタ | コンパクト | 91650 | 106.2 |
8 | ヴォクシー | トヨタ | ミニバン | 88012 | 97 |
9 | フリード | ホンダ | ミニバン | 85596 | 101.8 |
10 | ヴィッツ | トヨタ | コンパクト | 81554 | 93.4 |
11 | タンク | トヨタ | コンパクト | 74518 | 101 |
12 | フィット | ホンダ | コンパクト | 74410 | 82 |
13 | アルファード | トヨタ | ミニバン | 68705 | 116.8 |
14 | ヴェゼル | ホンダ | SUV | 55886 | 93.7 |
15 | C-HR | トヨタ | SUV | 55677 | 72.5 |
16 | RAV4 | トヨタ | SUV | 53965 | (19年4月発売) |
17 | ノア | トヨタ | 52684 | 92.9 | |
18 | ステップワゴン | ホンダ | 52676 | 92.6 | |
19 | ソリオ | スズキ | 44488 | 99.1 | |
20 | インプレッサ | SUBARU | 43780 | 80.8 | |
21 | エスクァイア | トヨタ | 42489 | 105.6 | |
22 | パッソ | トヨタ | 40980 | 85.6 | |
23 | ヴェルファイア | トヨタ | 36649 | 85 | |
24 | エクストレイル | 日産 | 36505 | 72.6 | |
25 | ハリアー | トヨタ | 36249 | 80.6 | |
26 | クラウン | トヨタ | 36125 | 71.8 | |
27 | スイフト | スズキ | 33238 | 90.7 | |
28 | フォレスター | SUBARU | 32384 | 112.6 | |
29 | CX-5 | マツダ | 31538 | 82.4 | |
30 | シャトル | ホンダ | 30856 | 107.2 | |
31 | ランドクルーザーW | トヨタ | 28475 | 96.8 | |
32 | トール | ダイハツ | 26736 | 102.9 | |
33 | デミオ | マツダ | 26657 | 55.3 | |
34 | MAZDA3 | マツダ | 24667 | (19年5月発売) | |
35 | クロスビー | スズキ | 24108 | 78.7 | |
36 | CX-8 | マツダ | 23294 | 75.9 | |
37 | デリカD5 | 三菱 | 20085 | 148.8 | |
38 | リーフ | 日産 | 19789 | 76.9 | |
39 | カムリ | トヨタ | 19221 | 90.3 | |
40 | ライズ | トヨタ | 16601 | (19年11月発売) | |
41 | オデッセイ | ホンダ | 14614 | 87.7 | |
42 | UX250H | トヨタ | 14409 | 1400.3 | |
43 | CR-V | ホンダ | 13041 | 199.6 | |
44 | レヴォーグ | SUBARU | 12718 | 81.1 | |
45 | MAZDA2 | マツダ | 11172 | (19年9月発売) | |
46 | ES300H | トヨタ | 11140 | 1495.3 | |
47 | ジムニーワゴン | スズキ | 10827 | 263.2 | |
48 | ハイエースワゴン | トヨタ | 10277 | 113.6 | |
49 | CX-3 | マツダ | 9889 | 58 | |
50 | CX-30 | マツダ | 9068 | (19年10月発売) |
2020年1月 国産乗用車販売台数(軽自動車除く)
順位 | 車名 | メーカー | ボディタイプ | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ライズ | トヨタ | SUV | 10220 | (19年11月発売) |
2 | カローラ | トヨタ | ハッチバックほか | 8480 | 129.2 |
3 | ノート | 日産 | コンパクト | 7529 | 65.8 |
4 | シエンタ | トヨタ | ミニバン | 6831 | 79.4 |
5 | セレナ | 日産 | ミニバン | 6781 | 67.1 |
6 | フリード | ホンダ | ミニバン | 6759 | 100.9 |
7 | プリウス | トヨタ | ハッチバック | 6659 | 76.4 |
8 | アクア | トヨタ | コンパクト | 6622 | 74.6 |
9 | ルーミー | トヨタ | コンパクト | 6193 | 95.4 |
10 | ヴォクシー | トヨタ | ミニバン | 5557 | 76.8 |
11 | RAV4 | トヨタ | SUV | 5549 | (19年4月発売) |
12 | アルファード | トヨタ | ミニバン | 5147 | 87.1 |
13 | タンク | トヨタ | コンパクト | 4893 | 90.4 |
14 | インプレッサ | SUBARU | ハッチバックほか | 4160 | 211.7 |
15 | ソリオ | スズキ | コンパクト | 3642 | 94.8 |
16 | ヴィッツ | トヨタ | 3579 | 67.7 | |
17 | C-HR | トヨタ | 3543 | 81.9 | |
18 | ヴェゼル | ホンダ | 3508 | 77 | |
19 | ステップワゴン | ホンダ | 3254 | 68.3 | |
20 | ノア | トヨタ | 3190 | 78 | |
21 | ロッキー | ダイハツ | 3153 | (19年11月発売) | |
22 | CX-30 | マツダ | 2955 | (19年10月発売) | |
23 | エスクァイア | トヨタ | 2878 | 106.1 | |
24 | CX-5 | マツダ | 2742 | 82.9 | |
25 | エクストレイル | 日産 | 2740 | 81 | |
26 | スイフト | スズキ | 2539 | 93.6 | |
27 | フォレスター | SUBARU | 2172 | 136.3 | |
28 | MAZDA2 | マツダ | 2124 | (19年9月発売) | |
29 | パッソ | トヨタ | 2119 | 65.7 | |
30 | ヴェルファイア | トヨタ | 2001 | 55.3 | |
31 | クラウン | トヨタ | 1764 | 37.9 | |
32 | ハリアー | トヨタ | 1748 | 59.1 | |
33 | シャトル | ホンダ | 1736 | 73.6 | |
34 | フィット | ホンダ | 1735 | 30.8 | |
35 | ランドクルーザーW | トヨタ | 1672 | 61.5 | |
36 | クロスビー | スズキ | 1599 | 75.2 | |
37 | CX-8 | マツダ | 1539 | 49.6 | |
38 | トール | ダイハツ | 1511 | 46 | |
39 | MAZDA3 | マツダ | 1472 | (19年5月発売) | |
40 | デリカD5 | 三菱 | 1365 | 144.8 | |
41 | ジムニーワゴン | スズキ | 1206 | 89.7 | |
42 | カムリ | トヨタ | 1102 | 69.2 | |
43 | オデッセイ | ホンダ | 920 | 68.9 | |
44 | RX450H | レクサス | 869 | 215.1 | |
45 | UX250H | レクサス | 837 | 72.4 | |
46 | WRX | SUBARU | 823 | 176.6 | |
47 | リーフ | 日産 | 753 | 26.6 | |
48 | レヴォーグ | SUBARU | 710 | 108.7 | |
49 | RX300 | レクサス | 708 | 240 | |
50 | マーチ | 日産 | 649 | 64 |
馬弓(以下馬):2019年の年間新車販売台数(軽自動車除く)はトヨタプリウスがナンバー1に返り咲きました。そのプリウスをはじめ、2019年後半の10月から12月まで首位に立ったカローラ、8月にトップとなり業界を震撼させたシエンタ、さらにアクア、ルーミー、ヴォクシー、ヴィッツまで、2019年の年間ベスト10にトヨタ車が7台もランクインしました。ちなみに直近の2020年1月は発売からわずか3ヵ月のライズがナンバーワンの座を獲得しています。
トヨタ以外で年間ランキングトップ10に食い込んだのは日産ノート、日産セレナ、ホンダフリードの3車種だけです。15位まで広げても12位にホンダフィット、14位に同じくホンダヴェゼルが入るだけ。トヨタ車が圧倒的な人気です。
昨年は10月に消費税の増税という大きな節目があり、増税前の9月は、モデルライフが長い車種を除いて前年実績を軒並み超えました。駆け込み需要が相当あったのでしょう。その反動で10月は約25%、11〜1月は10%ちょっと、前年を割る状況が続いています。しかしトヨタの落ち込みは非常に少なく、ライズのヒットもあって12月が約1%、1月も約4%の前年マイナスにとどまっています。
そんな最近の販売台数ランキングの状況を踏まえ、売れているクルマはいいクルマなのか、というテーマで話をお願いします。トヨタ車はいいクルマか、というお題ではありませんよ(笑)。
カローラとプリウス以外に「いいクルマ」が見当たらない
岡崎(以下岡):このランキングはとにかくトヨタの販売力の凄さを表しているということだね。国内に販売拠点が約6000店舗あることが大きいけれど、それにしてもコンパクトカーからミニバンまでさまざまなボディタイプが売れているのは凄いという言葉しか見つからない。
僕がこのベスト10で「いいクルマ」と思うのは、カローラとプリウスだけ。ただ、カローラにハイブリッドが設定された現在では、プリウスにどれくらいの価値があるのかは少々疑問だけど。10位には入らなかったけれどもRAV4もいいクルマとして挙げておきたい。
萩原(以下萩):私も1位のカローラ、中でもカローラセダン。そしてマイナーチェンジ後のプリウス。価格面でも魅力があるのはライズですね。
馬:カローラはカルモマガジンの2019年のイヤーカーにも選出されました。
ライズはボディサイズとかデザインとか価格とかの「狙い」はいいクルマですが、出来としてはほどほどかなと感じます。クラスも値段が違うのは承知ですがRAV4の足元にも及びません。
トヨタシエンタもホンダフリードも「ほどほどいいクルマ」
馬:シエンタあたりはいかがでしょう。昨年8月はなんと販売ランキング1位に輝き、くどいようですが業界に激震が走りました。年間ランキングも3位です。
岡:トヨタは現在でもこれだけ売れているのに、何で「もっといいクルマを作ろう」と言うのかね。シエンタがこれだけ売れていて、あれでいいとユーザーは言っている気がする(笑)。
馬:それはシエンタの走りは同じトヨタでもカローラと比べると凡庸だよ、という意味ですね(笑)。でもスタイルはいまだに新鮮です。ライバルのホンダフリードはコンサバ、いっぽうシエンタは攻めています。それが多くのユーザーに受け入れられているのかもしれません。
ただ、10月にマイナーチェンジしたフリードの追い上げはなかなかのもので1月の販売台数は再び拮抗してきました。このコンパクトミニバンというマーケットはこの2台以外に代えがないので、コンサバか斬新さかで選ぶしかありませんね。
萩:シエンタは昔のエスティマ、今のハリアーと同じで、ブランドになっているのだと思います。少し前ですが、タレントさんがTVCFしているクルマをください、とタントを買いに来るユーザーがとても多かったという話を聞いたことがあります。どれだけ印象に残るかが売れるクルマには必要なんです。
この2台だと走りはややフリード有利ですが、大きな差があるわけではありません。室内の使い勝手はどちらもよくできています。どちらを選んでも「ほどほどいいクルマ」ですね。
岡:そんな話を聞いていると、カローラは別としてベスト10にランクインしているクルマを購入している人は自動車メディアなんて読まない人が多いんじゃないかな。販売台数が順調なクルマは「ほどほどいいクルマ」ばかりだし、そんな車種を我々が論じても聞いてもらえるのかな、という気持ちになるなぁ。
馬:この目的で、この予算で、そのクルマを購入するなら、こっちのクルマのほうが購入後ハッピーになれるよ、という提案ですかね、我々が送り続けるべきメッセージは。コンパクトミニバンは2台しかないので最初からつまずきました(笑)。いずれにしても上から目線のおせっかいと受け取られないように細心の注意を払う必要があります(笑)。
岡:それはそのとおりだね(笑)。
隠れベストセラーのトヨタルーミーは「広さ」と「利便性」がキーワード
萩:販売ランキングベスト10で岡崎さんが「いいクルマ」と思うカローラ、プリウスを除くと、室内の広いクルマが多いですね。アルファードをはじめ、シエンタ、ルーミー/タンクなど、広い室内空間を確保してリアにスライドドアを採用したモデルばかり。
軽自動車もN-BOX、タント、スペーシア、デイズルークス/eKスペースといったスーパーハイトワゴンが人気です。「広い室内空間」と「高い利便性」が今の売れるクルマのキーワードといえるのではないでしょうか。
岡:販売台数でルーミーとタンクを合わせるとカローラを上回るベストセラーカーになるわけね。あ、ダイハツのトールとスバルのジャスティも兄弟車か。おそるべき台数だね(笑)。
馬:クルマ好きの人と話していると一番驚かれるのがルーミー一族の販売台数です。もっとも、クルマ好きなのに写真を見せないとルーミーがどんなクルマかわからない人も多い。背が高くてスライドドアの小さなクルマはすべてN-BOXかタントに見えるみたいですね、クルマ好きは。
そんなルーミー一族に対抗するのはスズキソリオ一族です。燃費についてはハイブリッドを2種類用意するソリオのほうが明確に良いです。リアシートを2人乗りに割り切って想定しているソリオのほうが使い勝手もやや良いかなと思います。
萩:ソリオのほうがフットワークも若干良いです。
岡:つまり大きな差はないということだよね、こちらも「ほどほどいいクルマ」だと。2列シートのトールワゴンなら、いっそルノーカングーやプジョーリフター/シトロエンベルランゴあたりをすすめたい。一回り大きいけれど走りの良さは別次元だよ。
馬:今年は国産しばりです。来年は輸入車を含めるか検討します(笑)。
売れているノア/ヴォクシーはおすすめしにくい
馬:いまだに販売台数の多い2Lミニバンクラスはいかがでしょう。日産セレナが車名別ではトップですが、トヨタノア/ヴォクシー、さらにエスクァイアも加えるとセレナの2倍の販売台数となります。
岡:セレナはプロパイロット&e-POWERという独自性が評価できる。
萩:ノア/ヴォクシーならば、セレナのほうが利便性や安全性能は高いし、ステップワゴンのハイブリッドなら燃費も走行性能も安全性能もすべてノア/ヴォクシーより高いと思います。
馬:ノア/ヴォクシーはシエンタと違って同じトヨタなのに作り手の愛を感じないクルマですよね。使い勝手、特に大きなリアハッチゲートになんの工夫もない。リアガラスだけ開くセレナやわくわくゲートのあるステップワゴンと決定的に使い勝手の差が大きい。
セレナは現行型になってから足回りもレベルアップしましたし、マイナーチェンジで安全装備もさらに引き上げられました。ステップワゴンはスタイリングがイマイチなのが販売不振の原因のひとつでしょう。ホンダはスタイル、特に顔つきで損していますね。新型フィットは少し方向性が変わったのでホンダの今後に期待です。
萩:ノア/ヴォクシーは売れているけれど、先進安全装備もきびしいですね。小刻みにアップデートしていますがフルモデルチェンジまではおすすめしにくいです。ステップワゴンやセレナのほうが「いいクルマ」です。
最大級のミニバン・グランエースはアルファード/ヴェルファイアをしのぐか?
岡:しかしホント、話題はミニバンばかりだよね。
萩:やはり安くて、広くて、便利なクルマが求められています。この先も新車ランキング上位がミニバンとハイトワゴンばかりになる可能性が高いと思います。
岡:そんな日本は悲しすぎるなぁ。やはりカローラのようなクルマがトップになってもらわないと。
馬:そんな岡崎さんに聞くのも野暮かもしれませんが、ミニバンついでに、発売されたばかりのフルサイズミニバン、トヨタグランエースはいかがでしょうか。売れている同じトヨタのアルファード/ヴェルファイアよりおすすめできる「いいクルマ」になりそうでしょうか?
萩:いいクルマかどうかは疑問ですが、売れるでしょうね。アルファード/ヴェルファイアより大きいですから。大型免許が必要なマイクロバスのドライバーが不足していて、ロケ車は普通免許で乗れるハイエースロングになっています。そう考えると、個人ユーザーだけでなく、法人需要も高いと考えられますね。グランエースは売れるでしょう。
岡:グランエースはまさにマイクロバスみたいなものでしょ。まだ乗っていないけれど運転して楽しいクルマである可能性は低いかな。
馬:そうですね、クルマとしての基本が「高級車」として作られたアルファード/ヴェルファイアとは異なります。アルファード/ヴェルファイアはずいぶん良くなりました。まあ高級車かと言われたら、足回りを中心にやや「?」がつきますが、たぶんグランエースの走りはアルファード/ヴェルファイアに及ばなさそうですね。
売れているクルマに足りないのは走りの楽しさ
岡:広くて便利なボディタイプがいい、というのはわかるけど、売れている日本車ってパワートレインが退屈なんだよね。特にCVTね。さらにデザインとインテリア、コネクティビティも評価できない。
2019年のランキングだと年間販売台数が35,000台前後、20位台後半あたりからおもしろいクルマが増えてくる。特にランドクルーザー、それもランドクルーザープラドは好きだな。リセールバリューも高いので、熟成の進んだモデル末期でも購入する価値は十分あると思う。
そしてスズキスイフトスポーツ。国産コンパクトカーの中ならばベストバイなモデルだね。ランキングは27位と振るわないけど、スポーツじゃなくてもスイフトはいいクルマだよ。国産のコンパクトカーの中ではトップレベルです。
萩:スイフトの走りはすばらしいと思いますが、登場してから限定車が出るだけで何もアップデートされていないんですよね。マイナーチェンジに期待です。
馬:ほかに販売台数は少ないけれど走って楽しいクルマを挙げるとしたらどのへんでしょう。かたくなにCVTではなくトルコンATを採用しがんばっているマツダはランキング24位のCX-30、35位のマツダ3に搭載されている新エンジン「スカイアクティブX」も注目です。
マツダ期待のスカイアクティブXは価格が難点
岡:スカイアクティブXはウルトラフラットトルクでパワー感自体は薄い。高性能エンジンなのに燃費がいいというよりは、燃費のいいエンジンなのによく走ると訴求した方がしっくりくるね。そういう意味で、長く乗って燃費がどうなるか調べてみたい。元気に走っても、のんびり走っても変わらないかもしれないけれども、実際に買うとなるとやっぱり価格がネックだと感じる人が多いだろうね。僕もマツダ3を買うなら1.5L車にして、浮いた分をエアロパーツに回すかもって思う。
萩:スカイアクティブXは高価なのでマツダ好きでないとなかなかアピールしないですね。
馬:マツダの言っていることはとても正しいと思うのですが、乗ると「言うほどでもないかな」と思うことが最近増えてきましたね。「口だけ番長」にならないか少し心配です(笑)。
意外な掘り出し物はデリカD:5とエクリプスクロスが搭載する三菱のディーゼル
馬:走りでいうならTOP50にも入りませんが三菱エクリプスクロスのディーゼル8ATは個人的に非常に気に入っています。いろいろウンチクの多いマツダのディーゼルよりフィーリングが良いと感じました。社外品ですがATもマツダよりダイレクト感があって好ましい。あのクルマの走り味の良さと走行性能の高さはもっと多くの人に知ってもらいたいですね。
岡:同じパワートレインを搭載したデリカD:5は37位。三菱の販売力を考えると売れているよね。マイナーチェンジで顔つきが変わって、アウトドア派の魅力が薄まってどうかなと思ったけど予想外に売れている。
萩:走りが近代化されたのもありますが、やはり大きい、広い、豪華という要素がデリカの販売台数につながっていると思います。特に豪華というあたりでこれまでデリカD:5を購入している人とは違う層が買っているということでしょう。
セダンは売れているクルマがいいクルマ
馬:ここまでカローラ以外、セダンの話題が出ませんね。売れているセダンがカローラ以外だとクラウンぐらいしか見当たらないのもありますが。
萩:でも今の若い人はミニバンで育っているせいか、セダンに対して意識が以前と変わってきているようですよ。それはスカイライン400Rが40代以下の人に人気ということにも表れています。
岡:セダンはオヤジくさいという感覚がないということだ。
萩:ランサーエボリューションやインプレッサWRXというスポーティセダンをゲームで体験している若い人には、新型カローラは新鮮に映るかもしれません。
岡:売れているクラウンはいいクルマになったと思うし、カローラもいい。もう少しまともなセダンがほかのメーカーから増えてくるといいんだけどね。
萩:スバルインプレッサにもセダンがありますが、パワートレインの古さ、もっというと燃費の面の遅れが隠しきれなくなってきました。足回りはすばらしいだけに残念です。
馬:シーマ、フーガ、ティアナ、シルフィ…、昨年末にシーマとフーガは安全装備のアップデートが入りましたが、基本的に日産はみんな放置プレーですね。まあスカイラインに手を加えたのが救いです。
今年は走りの良いモデルが販売ランキングを塗り替える、はず
岡:今年はフィット、ヤリス、さらにもうひとつ、今は言えないけれど走りの良いサプライズモデルが出ます。現在の室内広さ重視のクルマが上位を占める販売台数ランキングを塗り替えてほしいと思う。
馬:そうなることを期待しましょう。結論として、売れているクルマすべてが良いクルマではないということでよろしいでしょうか。
岡:残念ながら、それが現実だね。ユーザーによっていいクルマの条件は変わる。だけどその条件のひとつに運転する楽しさが加わってほしい。カローラは多くの人にそれを知らしめたと思うな。ランキング2位以下のクルマに乗っている人は、新型カローラ乗ってみるとクルマ本来の楽しさを感じることができるでしょう。
※記事の内容は2020年3月時点の情報で制作しています。