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ハリアーではコストの制約でできなかったことができている「レクサスRX」(岡崎五朗レポート)

ハリアーではコストの制約でできなかったことができている「レクサスRX」(岡崎五朗レポート)
ハリアーではコストの制約でできなかったことができている「レクサスRX」(岡崎五朗レポート)

乗用車ベースのプレミアムSUVの元祖、トヨタハリアーから枝分かれしたレクサスRXが5代目へとスイッチしました。3種類のパワーユニットを搭載する新型RXはどれが買いなのか、岡崎五朗さんがレポートします。

プレミアムSUVの元祖も5代目に

プレミアムSUVの元祖も5代目に

写真はすべてRX500h Fスポーツパフォーマンス

プレミアムSUVの元祖といえば、1970年にデビューした初代レンジローバーだろう。現在のプレミアムSUVと比べると悪路走破性に重点を置いていたが、同時に、充実した装備や質感の高い内装、優雅な外観などによって「砂漠のロールスロイス」という異名をとった。優れた悪路走破性能と、セレブに支持される高級感を兼ね備えたモデル、というコンセプトは間違いなく現在のプレミアムSUVと共通している。

プレミアムSUVの元祖も5代目に

とはいえ、現在のプレミアムSUVの多くは乗用車のプラットフォームをベースにつくられている。メルセデスもBMWもアウディも例外ではない。そういう意味では、98年に登場した初代レクサスRX=日本名ハリアーこそが、プレミアムSUVのハシリという解釈も成り立つ。当時のテレビCMでは、タキシードを着たライオンが登場して「Wild but Formal」なんて言ってたっけ。いま思うと小っ恥ずかしいぐらいベタな広告表現だが、この種のクルマが存在しなかった当時は、そのぐらいわかりやすい表現でなければコンセプトを理解してもらえなかったのだ。

プレミアムSUVの元祖も5代目に
プレミアムSUVの元祖も5代目に

プレミアムSUVの元祖も5代目に

プレミアムSUVの元祖も5代目に

今回紹介するレクサスRXは初代から数えて5代目。初代と2代目は日本ではハリアーとして販売されていたが、レクサスの日本開業後に登場した3代目からはレクサスRXとなり、それに伴いハリアーは廃止の方向へと向かった。しかしその後日本専用車としてハリアー3代目が登場し、以降はRXとハリアーが別車種となっているのはご存じの通りだ。

3種類のパワーユニット、お値段はハリアーの2倍!

3種類のパワーユニット、お値段はハリアーの2倍!

パワーユニットは3種類。安い順に、2.4L直4ターボの「350」、2.5L直4に前後2つのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドの「450h+」、2.4L直4ターボに前後2つのモーターを組み合わせたハイブリッドの「500h」、となる。価格は664〜900万円。ハリアーの299〜454万円と比べるとほぼ2倍という価格設定はさすがレクサスである。とはいえ、この価格差はブランド代だけじゃない。超超高張力鋼板やアルミといった高価な部材の使用による軽量化、レーザースクリューウェルディング、構造用接着剤によるボディ剛性の強化、新設計のリアマルチリンクサスペンションなど、ハリアーではコストの制約でできなかったことがRXではできている。

カジュアルにRXを楽しみたいなら「350」で十分

エントリーグレードのRX350は軽快な身のこなしが魅力だ。エンジンは常用域でちょっとザラつき感があるものの、動力性能的には必要にして十分プラスαをしっかりと確保。カジュアルにRXを楽しみたい人にはいちばんのオススメグレードとなる。

プレミアムカーに乗っているんだという実感が「450h+」にはある

次に乗ったのはプラグインハイブリッドのRX450h+。18.1kWhという余裕のバッテリーサイズを活かし、満充電からのEV走行距離は86㎞に達する。実際には7掛けの60km/h程度としても、片道30㎞であれば基本的にエンジンを掛けずに走れる計算になる。EVと違って、バッテリーを使い切っても電欠で止まってしまうことはないため、バッテリーを安心して使い切れるのもプラグインハイブリッドの魅力だ。走行フィールは極めて上質。とくにモーター走行時の卓越した静粛性と、上手に躾けられた足回りによるしなやかな乗り心地は、プレミアムカーに乗っているんだという実感を強く伝えてくる。モーターだけでも余裕で交通の流れに乗ることができるが、追い越しや高速道路への進入時など、ここぞというときはエンジンが始動してけっこうな勢いで加速してくれる。ただしプラグインハイブリッドの魅力を余すところなく引き出すには自宅充電の環境が必要だ。逆にいうと、自宅充電環境がある人にはこのRX450h+が一番のオススメということになる。

「500h」はRXにスポーティーさを求める人にはベストの選択だが

「500h」はRXにスポーティーさを求める人にはベストの選択だが

最後に乗ったのがRX500h Fスポーツパフォーマンス。高出力ターボエンジンと前後モーターを合わせたシステム最高出力は371psで、そのあり余るパワーを高度な電子制御式四輪駆動システムで路面に伝える。たしかに踏み込んだ際の加速はとんでもなく速い。また、電気モーターならではの鋭いレスポンスや、6速ATによるメリハリのある変速感も爽快だ。応答性を高めたサスペンションセッティングと併せ、RXにスポーティーさを求める人にはベストの選択と言える。一方で、快適なプレミアムSUVとして眺めると、エンジンのザラついた回転フィールや官能的とは言えないサウンドが気になってくる。さすがに最近はほとんどいないとは思うが、いちばん高いやつもってこい的な価値観でこいつを選ぶと、いざ乗ってみると思っていたのと違うぞと思うかもしれない。

RXらしいラグジュアリー感覚を求める人が選ぶべきなのは450h+

RXらしいラグジュアリー感覚を求める人が選ぶべきなのは450h+

RX500hFスポーツパフォーマンスは、その名のとおり高性能なスポーティーグレードであり、ラグジュアリー感覚を求める人が選ぶべきなのは450h+である。え、マンション住まいで自宅充電ができないって?それは問題ではあるが、EVと違って最悪充電しなくてもプラグインハイブリッドは運用可能。効率は落ちるが、そこをグッと飲み込めば素晴らしく贅沢な乗り味を楽しめる。と書いてはみたが、ユーザーに選択を強いるのはやはりいいことではない。できることなら500hFスポーツの乗り味をもう1ランク上質なものにする方向での進化を期待したいところだ。

※記事の内容は2023年1月時点の情報で執筆しています。

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