日本のみならず、世界中で大人気の「トヨタ車」。人気の理由は、まずは「圧倒的に高い信頼性」というのがあるわけですが、近年は「クルマ好きにもアピールするモデルが増えてきた」という理由もあります。今回はそんなトヨタ車の中から、販売ランキング上位の人気車種に加え、「使い方別」のおすすめトヨタ車ベスト3をチョイスしてみます。
この記事のPOINT
- トヨタの「販売力」と「信頼性の高さ」はやはり圧倒的
- 今年の販売台数ランキングでもトヨタ車がTOP10をほぼ独占
- 「使い方別」のおすすめトヨタ車ベスト3を発表!
トヨタ車ばかりがなぜ売れるのか?その理由とは
世の中では「なぜか知らないがよく売れる」という謎現象がたまに発生しますが、多くの場合、そういったブームは長続きしません。しかし昔からずっと売れ続けている「トヨタ車」には、なんらかの確固たる理由があるはず。その“理由”とはなんなのか?明らかにしてみましょう。
キモは「圧倒的な販売力」と「熟成のハイブリッドシステム」
「トヨタ」と聞いたときに多くの人がイメージするのは、「圧倒的な販売力」と「信頼性の高さ」、そして「プリウスに代表される優れた省燃費技術」といったところでしょうか。
「圧倒的な販売力」についてはまさにそのとおりで、そもそもディーラー(販売店)の数が、トヨタと他メーカーではまったく異なります。
2022年7月現在、トヨタの正規販売店は全国に約5000店が存在しており、この数は、2位であるホンダの2倍以上であり、マツダの約5倍にも相当します。クルマの販売店やサービス工場というのは、自宅の近くにあったほうが何かと便利であることは間違いありません。そのため、この時点でそもそも多くの人が「……買うならトヨタ車だな」と思うわけです。
そして「プリウスに代表される優れた省燃費技術」も、概ねそのとおりといえるでしょう。
ひと昔前と違い、最近はトヨタのプリウスだけでなく各社が、さまざまなハイブリッド車を製造しています。それらはもちろん素敵なクルマではあるのですが、やはり省燃費性能に関しては、トヨタのTHS IIというハイブリッドシステムに一日の長があります。
無難であることから卒業し、「個性的であること」を追求するようになった
しかし最近のトヨタ車は、決して「燃費がいいだけのクルマ」ではありません。デザインも走りも、実はかなりいい感じなのです。
昔のトヨタ車は無難にまとめられた車種も多かったため、「トヨタ車はつまらない」という声もありました。しかし現社長である豊田章男氏の「もっといいクルマを作ろう!」という掛け声により、ここ数年のトヨタ車はいわゆる操縦性や走行フィールに優れ、なおかつエモーショナルなデザインを採用したモデルが増えています。「無難な存在」から「積極的に選びたくなる存在」へとシフトしているのです。
その上で、世界中の人々が日々実感している「機械としての信頼性の高さ=壊れにくい」という特徴があるわけですから、これはもう「売れない理由がない」とすら言えるでしょう。
2022年の販売ランキングも上位はトヨタ車ばかり
世界的な半導体不足などが大きく響き、2021年と比べると、さすがのトヨタも2022年は販売台数の数字を落としています。とはいえ「販売台数ランキングの上位はトヨタの各モデルで独占されている」という基本的な状況はほぼ変わっていません。そして2022年はどんなトヨタ車が売れたのでしょうか?具体的なランキングを見てまいりましょう。
■2022年度上半期(4~9月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 84251 | 79.5 |
2 | カローラ | トヨタ | 57850 | 118.3 |
3 | ノート | 日産 | 49492 | 125.6 |
4 | ルーミー | トヨタ | 46456 | 69.5 |
5 | フリード | ホンダ | 37475 | 116.4 |
6 | ライズ | トヨタ | 36050 | 96.5 |
7 | ノア | トヨタ | 29265 | 142.2 |
8 | アルファード | トヨタ | 27308 | 59.9 |
9 | フィット | ホンダ | 27159 | 123.8 |
10 | ヴォクシー | トヨタ | 26716 | 86 |
2022年度上半期の販売台数ランキングでは、なんと上位10傑のうち7車種をトヨタ車が占めるという、圧倒的な強さを見せています。
一番売れている「ヤリス」(※ヤリスクロスを含む)の販売台数は、類似するコンパクトカーである日産「ノート」(※ノート オーラを含む)の約1.7倍。ヤリスに続いて2位となった「カローラ」(※シリーズ全体)も相変わらず盤石で、手頃なサイズ&価格のハイトワゴンである「ルーミー」も、競合するスズキ「ソリオ」(ランキング16位)の約2.5倍の数が売れまくっています。
ミニバンにおいても、トヨタの強さが目立ちます。ラージサイズミニバンである「アルファード」がモデル末期であるにもかかわらず全体の8位になっているというのもすごい話ですが、「ノア」と「ヴォクシー」というデザイン違いの兄弟車を合計してカウントしてみると、なんとカローラに次ぐ全体の3位という結果になるのです。
日産「ノート」やホンダ「フリード」も大健闘はしているのですが、やはり市場は「トヨタのひとり勝ち」とすらいえる状況になっているようです。
■2022年11月乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 12944 | 108.4 |
2 | ノート | 日産 | 10973 | 116.6 |
3 | カローラ | トヨタ | 10178 | 74.7 |
4 | シエンタ | トヨタ | 10167 | 267 |
5 | アクア | トヨタ | 8808 | 121.5 |
6 | ルーミー | トヨタ | 8390 | 72 |
7 | ヴェゼル | ホンダ | 5653 | 105.1 |
8 | ライズ | トヨタ | 5589 | 89.9 |
9 | フィット | ホンダ | 5471 | 90.1 |
10 | アルファード | トヨタ | 5358 | 98.8 |
半導体などの供給不足により、クルマの登録台数自体が全体的に減少しているため接戦にはなっていますが、「トヨタのひとり勝ち」という基本的な構図は、2022年11月単月の販売台数ランキングにおいても変わりはありません。
ヤリスおよびカローラシリーズは依然として盤石で、8月に発売された5ナンバーサイズの新型ミニバン「シエンタ」のデリバリーが始まったようで、さっそく4位に躍り出ています。このシエンタは、半導体などの供給不足さえなければさらに上位となった可能性もあるでしょう。
そんなシエンタとハイブリッドコンパクトカーの「アクア」が上位に入ってきた関係でルーミーや「ライズ」、アルファードは2022年度上半期のランキングと比べれば順位を落としましたが、それでも「相変わらずよく売れている」という事実に変わりはありません。
4つの使い方別にトヨタ車のおすすめベスト3を紹介
「おすすめ」と一口に言っても、例えば4人家族の送迎やキャンプなどにクルマを使いたい人と、「おもには1人か2人だけで乗り、全国各地をスポーティーに走り回りたい!」と考えている人では、おすすめとなる車種やカテゴリーはまったく異なるのが当然です。そこでここでは「クルマのおもな使われ方」を4パターンに分け、それぞれのパターン別のおすすめトヨタ車ベスト3を考えてみたいと思います。
ファミリーで使うのにおすすめのトヨタ車
なんだかんだで数的には一番多いのがこちらのパターンでしょう。3人から5人ほどの家族で、なんらかのクルマ1台を使う――というものです。その場合、当然ながら車内空間はある程度広くなければなりませんし、さまざまなシートアレンジも簡単に行えたほうが間違いなく便利です。そして遠出をすることも多いでしょうから、「燃費」も正直気になるところ。そんな場合のおすすめトヨタ車は、いったい“どれ”になるのでしょうか?
第1位 「シエンタ」
コンパクトミニバンのおしゃれなベストバイ
家族で便利に、なおかつ経済的にクルマを使いたいのであれば、これ以上のチョイスはそう多くない――と言いたくなるほど、便利で素敵なファミリーカーです。
トヨタ「シエンタ」は、その初代モデルは2003年に登場した5ナンバーサイズ(全幅1700mm以下)のコンパクトミニバン。現在は2022年8月に発売となった3代目のシエンタが販売されていて、3列シート/7人乗り仕様のほか、2列シート/5人乗りの仕様もラインナップされています。
パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンのほか、トヨタ得意の「THS II」というシステムを使ったハイブリッド車も用意。特におすすめとなるのは、WLTCモードで28.2~28.8km/Lという抜群の省燃費性能を誇るハイブリッド車です。
3代目のシエンタは見てのとおりの素敵なデザインがまずは特徴となります。ボディはコンパクトですが車内は非常に広く、なおかつシートアレンジの多彩さと容易さに関しては圧倒的なものがあります。それでいて車両価格は非常にお手頃というか現実的ですので、ファミリーカーに「大きさ」を求めないのであれば、かなりナイスなお買い物になるでしょう。
第2位 「ノア」
最新設計に生まれ変わったミニバンの超定番
5ナンバーサイズのミニバンであるシエンタでも、基本的には家族の用事を普通に済ませることはできるはず。とはいえ家族構成や週末の過ごし方などによっては「もう少し大きなクルマのほうが……」と感じるご家族も多いでしょう。
そんな場合には、2022年1月にフルモデルチェンジを受けて4代目となった、シエンタよりもいくぶん大きな「ノア」の最新世代がおすすめです。
もともとは5ナンバーサイズだったノアですが、最新型では5ナンバー枠を少しだけ超えるサイズとなり、その分だけ室内は快適な広さを獲得しています。そしてプラットフォームという基本構造も最新世代のものに変わり、旧型では正直やや弱かった先進安全装備のたぐいも最新のそれを全車に標準装備。安全かつ快適に高速道路などを巡航できるミニバンに生まれ変わりました。
それでいてシートアレンジなどのミニバンならではの使い勝手に関する部分は従来型同様というか、従来型以上に磨きがかかっているのが現行型ノアの特徴です。
こちらもパワーユニットは2Lガソリンエンジンのほかにハイブリッドがあり、7人乗りと8人乗りの仕様がそれぞれに用意されています。
第3位 「ルーミー」
3列目シートが不要ならコレが本当に便利
ファミリーで使うというと、最近は自動的に「3列シートのミニバン」が連想されるものです。しかしミニバンの3列目シートを常に使っている人というのは少なく、3列目シートは床下などに格納してしまい、その分だけ荷室を広く使っているご家族も多いものです。つまり「シートは3列なくても構わない」ということです。
もしも3列目シートが不要なのであれば、コンパクトなハイトワゴンである「ルーミー」も、ファミリーカーとしては大いにおすすめとなります。
5人乗りのコンパクトなクルマではありますが車内は十分以上に広く、特に後席の足元と頭上はかなりの開放感があります。そしてシートアレンジは多彩で収納スペースも至る所に用意されていますので、3~4人のご家族であれば、このボディサイズであってもほとんど問題はないと思われます。
パワーユニットは1Lガソリンエンジンのターボ付きまたはノンターボで、WLTCモード燃費は16.8~18.4km/L。もうそろそろフルモデルチェンジを受けそうなのが気になるところではありますが、価格的にも手頃な、かなり便利なクルマです。
2人でカッコよく使うのにおすすめのトヨタ車
カップルや一人暮らしの人たちならではのおすすめモデル――というのもあるはずです。2人用であれば、基本的にはさほど大きな室内空間はいりませんので、その分だけ自由な選択ができるはず。また例えば人気が高いSUVでも、2人で乗るのであれば、コンパクトなものやスタイル重視のモデルを選んでも問題ありません。もちろん、スタイリッシュなクーペモデルだっていいでしょう。家族が増えるとなかなか選びにくくなるこれらのトヨタ車は、機会があるうちに乗っておきたいモデルだといえます。
第1位 「カローラ スポーツ」
いかようにも使えるスポーティーな万能選手
30年ぐらい前までは、カローラというと「ザ・大衆実用車!」というイメージがありましたが、現在のカローラは、トヨタの最新プラットフォームとデザインを用いた「実用的だがスタイリッシュでもあるセダン/ステーションワゴン/5ドアハッチバック」という“カローラシリーズ”に変貌しています。
その中でも「2人でカッコよく使いたい」というのであれば、5ドアハッチバックの「カローラ スポーツ」が特におすすめとなるでしょう。
ボディサイズや形状はドイツのフォルクスワーゲンゴルフと概ね似たような感じで、2人で使うのに最適な「邪魔にならないサイズ感」であると同時に、ハッチバックですので結構な量の荷物を積むこともでき、それでいて存在と走りには軽快感もあります。
パワーユニットは2Lガソリンエンジンとハイブリッドの2種類がありますが、モーターの力も使って走ることになるハイブリッドのほうが、よりおすすめではあります。3種類または5種類の設定を適宜選択できる「ドライブモードセレクト」を駆使すれば、ゆったり快適に走ることも、スポーティーにビシッと走ることも可能です。
第2位 「GR86」
交差点を曲がるだけでも楽しめる低重心クーペ
2ドアクーペというのは、今やあまり流行っていないジャンルではあります。しかし逆に「2人の時間を楽しむことができる時期」にこそ、一度は乗っておきたいジャンルであるともいえるでしょう。
2021年10月に発売されたトヨタ「GR86」は、スバルとトヨタが共同開発した4人乗りの2ドアクーペ。2012年に登場した先代モデルトヨタ「86」以上に大人びた内外装デザインに変わったため、「ちょっと上質なスポーツ性」のようなものを日々の生活の中で感じることができる一台です。
搭載されるエンジンは2.4Lの水平対向4気筒。そもそも低重心である水平対向エンジンを低い位置に搭載しているGR86は、低重心であるがゆえに動きの質が絶妙です。峠道などでは当然として、そのへんの交差点をゆっくり安全に曲がるだけでも「おおっ、気持ちいい!」と感じることでしょう。
2ドアクーペですので後席は当然ながらあまり広くはないのですが、それでも「狭すぎる!」ということはないので、人も荷物もわりと普通に収容可能です。
第3位 「ライズ」
2人なら、SUVだってこのサイズで十分かも!
2ドアクーペも素敵ですが、「さすがにもう少し車内は広いほうが……」という考え方もあるでしょうし、2人でしか乗らないとしても、何かと便利な“SUVスタイル”を選びたいという人は多いかもしれません。
そんな場合には、5ナンバーサイズのSUVである「ライズ」が適任かもしれません。
3人以上、あるいは4人以上で使う場合には、同じSUVでももう少し大きなモデルのほうがいいのですが、2人であれば、全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmのライズでもなんら不便はありません。そして小ささと軽さは、「軽快さ」「邪魔にならなさ」「燃費の良さ」「乗員と乗員との親密感」などの良きものを生み出す場合が多いものです。
パワーユニットは1Lガソリンターボエンジンと1.2Lのノンターボエンジン、そしてハイブリッドの3種類が用意されていますが、イチ押しは1Lターボエンジン。このクラスとしてはかなり活発な動力性能を、日々の普通の暮らしの中で楽しむことができます。
アウトドアで遊ぶことの多い人におすすめのトヨタ車
アウトドア向きのクルマとして真っ先に思い浮かぶのは「SUV」でしょう。荷室の広さや天井高が十分で、なおかつ最低地上高も一般的なクルマより高い場合が多いSUVは、スポーツ用品やキャンプ用品を積み込みながら、ちょっとした悪路でもガンガン入っていくことができます。また車種にもよりますが、かなり本格的な4WDシステムを採用している場合もあるのがSUVというもの。そしてSUV以外では「ピックアップトラック」も、アウトドア向きの一台だといえるでしょう。他メーカーではなかなか見ることがない「ピックアップ」がラインナップされているというのも、トヨタ車の特徴のひとつです。
第1位 「RAV4」
本格的な4WDシステムを備える王道SUV
RAV4は、トヨタのSUVを代表する存在にふさわしい充実した内容を備える実力派のモデル。SUVで重要なラゲッジスペースは、クラストップレベルとなる580Lを確保しています。また、その名もズバリな「アドベンチャー」というグレードは見た目的にもオフロード感が強いため、気分も盛り上がることでしょう。
パワーユニットは2Lガソリンエンジンと2.5Lハイブリッドを基本に、プラグインハイブリッドもラインナップ。駆動方式は4WDが基本ですが、ガソリン車とハイブリッド車の一部にFFも用意されています。
RAV4の4WDシステムはなんと3種類もあります。ガソリン車には前後駆動配分50:50の「ダイナミックトルクコントロール4WD」が標準ですが、アドベンチャーおよびG“Zパッケージ”にはより高性能な新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を用意。ハイブリッド車の4WDには、前後輪のトルク配分を100:0から最大20:80まで変更可能な新型の「E-Four」というシステムが採用されています。
第2位 「ランドクルーザー」
圧倒的な性能と人気を誇るSUV界の王者
かなり高価なクルマであり、なおかつ納期もかなり長いという問題はあるのですが、「アウトドアで遊ぶことの多い人におすすめのトヨタ車」といえば、コレを外すことはできません。
ラグジュアリーな雰囲気もありますが、実際はラダーフレーム構造という本格オフローダー特有の構造を持つ一台で、世界中の悪路や険しい局面でもシビアに使われています。
その悪路走破性がきわめて高いことは言うまでもないのですが、アウトドアで使う際に重宝することのひとつは「車内の広さ」です。
普通のSUVですと、4人ぐらいでキャンプなどに行こうとすると(要するに後席にも人が乗ると)、荷室はどうしてもあまり広く使うことができません。しかしランドクルーザーのサイズであれば、後席に人が乗っても十分な量の道具類を荷室に余裕で積載できるのです。
5人乗りと7人乗りがあり、パワーユニットは3.5Lガソリンまたは3.3Lディーゼルのターボエンジン。駆動方式は当然ながら全車フルタイム4WDです。
第3位 「ハイラックス」
日本ではなかなか見かけない個性的スタイルが◎
やや特殊なボディ形状ではありますが、これもまたアウトドアを楽しむ上では十分な働きをするトヨタ車です。
北米で人気の「ピックアップ」と呼ばれるスタイルのボディは全長がなんと5m超えの5340mm。全幅1855mm×全高1800mmで、キャビンは2列シートの定員5人。その後方に長さ1520mm×幅1535mm×高さ480mmの荷台が設けられています。荷台には、オプションでベッドライナー(ポリ塩化ビニール製の中敷き)やトノカバーをセットすることも可能です。
パワーユニットは2.4L直4ディーゼルターボエンジンのみ。駆動方式はパートタイム式の4WDで、ダイヤル操作で2輪駆動または4輪駆動を選択します。無骨なイメージのクルマではありますが、2019年の一部改良で先進安全装備が充実し、2020年のマイナーチェンジでは乗り心地を改善。直近の2021年10月には「Z“GRスポーツ”」というスポーティーなグレードも追加されています。
毎日の足として使うのにおすすめのトヨタ車
「毎日の足」として使うクルマには、過剰なスポーツ性やゴージャス感などは不要です。しかし「安全性」や「省燃費性能」は絶対に必要ですし、サイズ的にも、あまり大きいものではないほうが気楽でいいでしょう。とはいえ「小さくて低燃費なコンパクトカーならなんでもいい」というわけでは決してありません。毎日のように使うものだからこそ、過剰な性能ではなく「基本的な性能」が高い、ストレスなく快適に、そして安全に運転できるクルマが求められるのです。そんなニュアンスのトヨタ車をピックアップしてみましょう。
第1位 「ヤリス」
ハイブリッドは超低燃費。スポーティーな基本性能も◎
2020年2月に発売されたヤリスは、従来型である「ヴィッツ」の後を受けて登場したコンパクトカー。ヴィッツは海外ではヤリスとして以前から販売されていたこともあって、この世代から日本でも車名が統一されました。
ヤリスの特徴は、コンパクトカー向けの最新プラットフォーム(GA-B)を採用したことにより、遮音性や乗り心地などの走りの質が大幅に向上したことです。それに加えてハイブリッド車は35.4~36.0km/Lという、空恐ろしいほどのWLTCモード燃費を誇ります。また先進安全装備も、最新のToyota Safety Senseやトヨタ初となる高度駐車支援システムなどを採用。このクラスとしては大いに充実しています。
パワーユニットは1Lと1.5Lのガソリンエンジン、そして1.5Lエンジンにモーターを加えたハイブリッドの3種類を用意。後席がやや狭いのが玉にキズではあるのですが、「毎日の足」として使うのであれば大きな問題にはならないでしょう。軽量な車体としっかりした足回りにより、なんとも小気味の良い「日々の移動」を行うことができる一台です。
第2位 「アクア」
ヤリスより若干大人っぽくて車内が広いハイブリッド車
トヨタ「アクア」は、その初代モデルは2011年に登場したハイブリッド専用のコンパクトカー。現在は2021年7月にデビューした2代目のアクアが販売されています。
おすすめ1位となったヤリスと似た部分も多いクルマですが、こちらアクアのほうは「室内や荷室がヤリスより広く、全体の雰囲気もヤリスより大人っぽい」というのが特徴となります。
コンパクトカーといえどもヤリスよりは少々大きなアクアは後席と荷室の広さに比較的余裕があり、内外装のデザインや乗り味も、ややスポーティーなヤリスと比べると落ち着いたニュアンスになっています。このあたりは優劣というよりも「好みの問題」ですが、落ち着いたイメージのクルマを好む人であれば、アクアのほうが気にいるかもしれません。
パワーユニットは新開発された1.5Lエンジン+モーターで、WLTCモード燃費は33.6~35.8km/L(※GRスポーツを除く)。ヤリスよりもほんの少々劣っていますが、実際に使う分には「誤差の範囲程度」と言っていいでしょう。
第3位 「ヤリス クロス」
毎日をカラフルにしてくれるコンパクトSUV
ヤリスもアクアも「毎日の足」としてはかなり優秀な存在ですが、ヤリスには「後席や荷室がやや狭い」という弱点があり、アクアには「いいクルマだけど、雰囲気的にちょっと地味」というネックがあります。
そのあたりがもしも気になるようであれば、ヤリスの派生モデルであるコンパクトSUV「ヤリス クロス」がハマるはずです。
ヤリス クロスは、ヤリスと同じGA-Bというプラットフォームを使っていますが、ボディサイズを全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mmとひと回り大きくし、最低地上高を170mmにアップ。その上で、クロスオーバーSUVらしいさまざまなデザイン処理を施しています。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンまたはハイブリッドです。
ボディサイズがやや大きくなったことで車内空間には余裕ができましたし、最低地上高が高いため、街なかでの段差や車止めなどをあまり気にしないで走らせることができます。そしてSUVらしいさまざまなデザインは、日々の暮らしをちょっとカラフルにするはずです。
大きくなった分だけ燃費性能はさすがにヤリスよりも少し劣りますが、それでも、毎日の足としてはナイスな選択肢といえます。
ほかにもある!専門家がおすすめする現在・過去・未来のトヨタ車
ここまで、おもには「経済的かつ実用的に使える現行世代のトヨタ車」からおすすめモデルをピックアップしてまいりました。しかし、そこから若干外れるモデルの中にも、つまり「超ハイパフォーマンス!」や「超斬新なデザイン!」だったり、現在は新車としては販売されていない「絶版車」の中にも、ぜひ注目してほしいトヨタ車は数多くあるものです。紙幅の関係でそのすべてをピックアップすることはできませんが、筆者が考える「その他のおすすめトヨタ車3選」をご紹介します。
第1位 「クラウン クロスオーバー」
霞が関の風景を一変させる(?)超斬新デザイン
「官公庁御用達のおっさん’sセダン」というイメージが強かったというか、まさにそのとおりであった歴代トヨタ「クラウン」ですが、最新世代の「クラウン クロスオーバー」はかなり素敵な一台に生まれ変わりました。
まずは何よりも「デザイン」が印象的です。写真で見てもなかなか悪くないデザインに見える新型クラウン クロスオーバーですが、実際に生で見るそれは写真で見る以上に魅力的。この斬新で美しいデザインの車が、霞が関などのお堅いオフィス街を埋め尽くすことを想像すると、ちょっとうれしくなってしまいます。
もちろん走らせてみても、トップグレードであるRS系に搭載される2.4Lターボエンジン+ツインモーターの力は相当強烈で、それがクラウンならではの比較的コンフォートな乗り味と組み合わされたときのフィーリングは、なんとも絶妙です。このアバンギャルドなデザインがどこまで受け入れられるかはわかりませんが、新型クラウンが行った「ニッポンの新しい高級車像」への挑戦は、称賛されてしかるべきです。
第2位 「GRカローラ」
免許を返納するまでに一度は乗りたい超スポーツ4WD
通常のカローラシリーズ(セダン/ハッチバック/ステーションワゴン)も、以前のカローラと比べれば随分スポーティーかつ上質になりましたが、この「GRカローラ」はさらに別格です。
パワーユニットは「GRヤリス」にも搭載された最高出力304psの1.6L直3インタークーラー付きターボエンジンで、変速機は6MT。駆動方式は電子式多板クラッチによる前後駆動力可変式のスポーツ4WD「GR-FOUR」です。
ボディのフォルムとしては「カローラスポーツ」のフロントを60mm、リアを85mmワイドトレッド化し、ボディ自体の幅も片側あたり約30mm拡大。さらに冷却性能と空力性能を追求するため、フロントバンパーにはエアインテークを、フロントフェンダーとフードバルジにはエアアウトレットが設けられました。
新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足の影響により、まずは500台限定の抽選販売となったGRカローラですが、「今後は生産状況を見ながら追加販売を検討していく」とのこと。気軽に普段使いするようなタイプのクルマではありませんが、「スポーティーなクルマ」を好む人であれば、GRカローラの追加販売情報にはぜひとも注意を払っておきたいところです。
第3位 「86」
これぞ「スポーツカー入門」に最適な一台!
現在販売されている「GR86」の前身にあたる2ドアクーペで、2012年4月から2021年10月まで販売されていました。こちらもGR86と同様、スバルとトヨタが共同開発したモデルで、エンジンはスバル製の水平対向4気筒です。
クルマとしての総合的な性能は、当然ながらより新しい世代である現行型GR86のほうが優れています。また水平対向4気筒エンジンの排気量も、現行型GR86が2.4Lであるのに対して先代の86は2Lですから、やや線の細い部分はあります。さらに言えばデザインもGR86のほうが洗練されていると、個人的には思います。
しかし前身の86は「スポーツカー入門」には最適な一台です。
排気量2Lですのであまり速くはないのですが、やや速くなりすぎた現行型の2.4Lエンジンと違って「存分にアクセルペダルを踏める」という歓びが、2Lエンジンにはあります。また今となっては中古車価格もそれほど高くはありませんので、スポーツカーというものに興味を持つ多くの人が、躊躇なく購入できるという美点もあります。
それら86ならではの美点は、スポーツカーというものに触れる機会があまりなくなってしまった現代社会においては、非常に貴重なものなのです。
トヨタ車の選び方
ほぼ鉄壁ともいえる製品品質と販売店のサービス体制、そして充実した先進安全装備や、その割には決して高くはないことも多い車両価格など、トヨタ車には美点こそあれ、「購入時に注意すべきこと」というのは特にありません。とはいえ“強いて言えば”のレベルで、下記の2点はいちおう頭に入れておくべきでしょう。
廉価グレードでは希望するオプション装備が選択不可なことも
中古車ではなく新車を購入するのであれば、ほとんどのトヨタ車に「Toyota Safety Sense」という運転支援システムのパッケージが用意されています。しかし一部モデルの最廉価グレードでは、機能の一部が省略されていたり、わりと重要なオプション装備を選ぶことができなかったりもします。グレード選びは「車両価格の安さ」だけで決めないようにしてください。
納車まで6カ月以上かかることも。注文は早めに!
現在、半導体の供給不足などのせいで新車の納期は大幅に長くなっています。具体的には、今回取り上げたヤリスやアクアは「注文から5~6カ月」というのが目安となっており、ヤリスクロスに至っては「6カ月以上」とアナウンスされています。つまり、もしも本当に欲しいトヨタ車があるならば「早めに注文する」という行動が重要となります。また、モデルやグレードによっては「注文から3~4カ月」というトヨタ車もあります。
「品質」と「エモーション」が融合してきたトヨタ車
ひと昔前までは「手堅い選択ではあるが、決して面白みのあるクルマではない」などとも言われてきたトヨタ車ですが、近年のそれは、決してそんなことはありません。エモーショナルな内外装デザインと爽快な走りを、従来同様の「鉄壁の品質とサービス」の中で実現させようとしているのが、最近のトヨタ車なのです。そしてその試みが成功しているからこそ、直近でも「販売台数ランキングの上位はトヨタ車がほぼ独占している」という状況になっているのでしょう。
よくある質問
Q1:トヨタ車が特によく売れている理由はなんでしょう?
A:まずは「機械としての信頼性が高い」「販売店網が全国的に充実している」という以前からの要因があり、近年はそれに加えてエモーション(感情)にも訴える性能やデザインが採用され、そこもユーザーから高く評価されているからです。
Q2:実際、トヨタ車ってどのくらい売れているのですか?
A:2022年度上半期の販売台数ランキングでは、上位10車種のうち7車種がトヨタ車です。また世界規模で見ても、2022年の世界新車販売は3年連続で首位となりました。
Q3:トヨタ車を選ぶ上で注意点はありますか?
A:特にありません。しかし廉価グレードでは希望するオプションが選べないこともあり、今現在は新車の納期がかなり長いという、トヨタに限った話ではない注意点はあります。
※この記事は2023年1月時点の情報で制作しています