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2019年、本当に良かった新型車はコレだ!

2019年、本当に良かった新型車はコレだ!
2019年、本当に良かった新型車はコレだ!

2019年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)はトヨタRAV4が選ばれた。輸入車の3連覇を阻んだRAV4以外にも、今年はトヨタカローラ/カローラツーリング、マツダ3/CX-30、日産デイズ/三菱eK、ダイハツタントなど、久しぶりに国産車への注目が高まった1年だった。そんな2019年の新型車の中から、カルモマガジン執筆者たちが選んだイヤーカーを紹介しよう。

日本車の復活を実感させたカローラ、これは事件だ!

日本車の復活を実感させたカローラ、これは事件だ!

右から萩原文博さん、岡崎五朗さん、そして編集長の馬弓。今回も座談会会場は六本木のこだわり自動車雑貨のお店「ル・ガラージュ」の一角をお借りした。ジャケットを忘れた馬弓が着用しているのは、お店おすすめの「ヴィンテージラバーズ」のブルゾンだ。

馬弓(以下馬):さて、2019年は最も知名度が高い「日本カー・オブ・ザ・イヤー」のイヤーカーにトヨタRAV4が輝き、3代目プリウス以来となる10年ぶりの栄冠をトヨタにもたらしました。いっぽう手堅いことで知られる「RJCカーオブザイヤー」では日産デイズ/三菱eKワゴン・eKクロスがイヤーカーとなりました。

今年はこの2台のほかにも、トヨタスープラ、マツダ3、ホンダインサイト、ホンダN-WGN、ダイハツタント、輸入車もBMW3シリーズ、ジャガーI-PACEなど、主力モデルから新しい提案性のあるモデルまで様々な新型車が登場しました。そんな2019年を振り返ってみると自動車業界的にはどんな1年だったのでしょう。

岡崎(以下岡):きっと10年後に振り返った時、2019年は日本車が復活ののろしを上げた年だったと思うんじゃないかな。トヨタセルシオ、日産スカイラインGT-R、ユーノスロードスター、スバルレガシィといった国産の名車が登場したのが1989年で、もう30年前のこと。日本車のヴィンテージイヤーと呼ばれるその年を頂点に、いろいろな意味で日本車はずっと右肩下がりだった。ちょっと復活の気配が見えた2008年、リーマンショックで再び奈落の底に落とされた。そのどん底から約10年、ようやくなんか日本車っていいな、という空気になってきた。

その良くなってきたという象徴がトヨタカローラだと思っている。グローバルスタンダードと言われるVWゴルフに、足回り、乗り味などの点でカローラが並んだ。これは大事件だ。だから僕はカローラを結構高く評価したのだけれどもCOTYの10ベストにすら入れない人も多かった。それがすごく不思議だった。

カローラはトヨタの基準を引き上げた

カローラはトヨタの基準を引き上げた

先に登場したハッチバックのスポーツと異なり、セダンとツーリングには全幅を抑えた日本専用ボディが与えられたカローラ

萩原(以下萩):私も2019年に乗ったクルマの中で最もインパクトを受けたのがカローラセダン。カローラは、カメラのレンズに例えると色とかボケ味とか、そのメーカーの基準となる標準レンズだと思うのです。新型のカローラセダンに乗ってトヨタ車の基準が一気に高まった気がしました。

岡:そう、カローラは標準レンズという言い方もできるし、メートル原器という言い方もできる。とにかくカローラはクラウンと並んでトヨタの中でビッグネーム。そのビッグネームの先代モデルがあんなに悪かったというのも酷い話だけど、新型はVWゴルフに肩を並べるほど良くなったというのはもの凄い日本人にとってハッピーな話ですよ。

馬:カローラのプラットフォームはグローバルモデルと同じですが、日本仕様は全幅を1745mmに抑えたボディとなっているのも好感が持てます。岡崎さんの日本車復調の予感はカローラに乗ってからですか。

岡:復調の予感というのはクラウンやカムリあたりから感じていたのだけれど、カローラがこんなに良くなっていたことで確信したね。

萩:これまでアナログだったクルマが、デジタル化されものすごく精度が上がった。まさにカローラはそういう感じでした。

もっといいクルマを!10年掛かったトヨタのマツダ化

もっとイイクルマを!10年掛かったトヨタのマツダ化

先代のアクシオとはインテリアの質感も別次元となったカローラ

馬:それは豊田章男社長がよく話す「もっといいクルマを作ろうよ」が具現化されたということでしょうかね。

岡:そう、それは間違いないでしょう。元々エンジニアは良いモノを作りたかったです。しかしコストとか、作りやすさなどの制約が立ちはだかる。それが章男社長になったことによって「もっといいクルマを作らないとだめじゃないか」という鶴の一声がすべてを変えました。ラインでの作業を効率化するために簡単に作れるようにしてほしい、と言っていた工場の人たちにまで「いいクルマをつくろう!」という意識を浸透させた。これはいわゆるトヨタのマツダ化ですよ。

馬:クルマ作りに携わる全員が同じ方向を向くようになって、この困難をどう乗り越えたらいいのか。という意識改革に繋がったわけですね。

岡:社長が言っているから仕方ないなという人もいると思うし、本当にそう思う人もいるでしょう。ただいずれにしてもみんな同じ方向を向いたことがプロダクト(販売する車)に良い影響を与え始めたのは間違いないでしょう。

馬:リーマンショック後に豊田章男社長になったわけですから、トップが変わって組織が変わってプロダクトが変わるまで10年掛かるということですね。

岡:そういうことですね。でもトヨタのように約37万人という従業員がいる大企業でも、トップ次第でこんなに変わるのだというのがわかった。そうなると他の自動車メーカー、日産やホンダとかはどうなの?ということになってくる。

トヨタのマツダ化と言ったけれど、実はマツダの前社長の小飼さんはわりと大人しい人なんだよね。トップダウンで「ウチはこうする!」とは言わない人だったけれど、その下に口うるさい連中がいっぱいいる。小飼さんにインタビューしたとき、あの連中の暴走を止めるのが私の役目だと思っていますと話してくれた。しかしそういった人たちを受け入れ、上手にまとめていた。そのあたりがマツダのクルマ作りの強さとなっているわけです。

萩:普通は自分のイエスマンとかで固めたくなりますよね。

岡:そう思う。現在の日産とホンダはそこが弱くて、ちゃんとプロダクトにも表れていますよね。

胸を張って乗れるRAV4のスタイル

胸を張って乗れるRAV4のスタイル1

走りの良さ、パッケージの絶妙さが評価されカー・オブ・ザ・イヤーに輝いたRAV4

萩:僕はトヨタがすごく変わったなと思うのが、試乗会で乗った時に改善してもらいたいなと思っていた部分が、しばらくすると修正されている点です。

岡:欧州車みたいにね。

萩:すごく修正力が早くなって、しかも良くなっています。

岡:そういうのもマツダをお手本にしてやっていることだと思う。マツダは年次改良の度合いがスゴイでしょう。何度マイナーチェンジするの!と思うくらいだったけど、それをトヨタも取り入れたということだと思う。

馬:そういった意味で、トヨタはいいクルマを作る土壌ができたということですね。

岡:そう。これほど、欧州車に日本車の水準が近づいたということはなかった。

馬:そういった意味ではカローラ、RAV4といったあたりがCOTYの上位に来ているというのは納得の結果ですか?

岡:カローラはもっと上でも良かったという気もするけど、RAV4も良くできたクルマですからね。ただRAV4のマイナスポイントは、ハイブリッドでアドベンチャーが選べないということ。普通よりアドベンチャーのほうがカッコイイでしょう。

萩:スタイリッシュなSUVが増えてきたなかで、角張っている無骨なデザインが逆に新鮮に感じる人が多いのでしょう。

岡:そうそう。ジムニーとかラングラーとかね。しかもそのさじ加減が絶妙。

胸を張って乗れるRAV4のスタイル2

実用的なデザインながら上質さを感じるRAV4のインテリア。写真のようにアドベンチャーは随所にオレンジ色が配されポップな印象

馬:エレガント系SUVはカイエンとか輸入車が強いので、国産車だとそのヒエラルキーで下の方にしか見えないけれど、RAV4はそうじゃないから胸を張って乗ることができる。乗り味もかつてのトヨタ車のイメージを良い意味で裏切るし、内装もハリアーのようなこれ見よがしな豪華さではなく、実用的だけど手に触れるところの質感がすごく良い。いろいろこれまでのトヨタとは違いますね。

ライズ/ロッキーの登場はSUVブームの終わりの始まりか

ライズ/ロッキーの登場はSUVブームの終わりの始まりか

正統派SUVのスタイルをもつコンパクトSUVのライズ。ライバルがいるようでいない、うまい位置どりでスマッシュヒット

萩:コンパクトSUVでライズとロッキーも登場して売れています。RAV4に似ているという声も良く聞きますね。実物はそんなに似ているとは思わないのですが。

岡:ネットやフェイスブックやSNSなどの意見を見ていると、日本人の「似ている」というのはライトのカタチが似ているとか、フロントグリルのカタチが似ているとか、テールランプのカタチが似ているということで、そういった「意匠」のどこかが自分の記憶にある何かと似ていると言っていることが多い。でもクルマのデザインってフォルムでしょう。見たら全然違うのに似ているというのはまだ、日本人のデザインリテラシーがまだ高くない証拠じゃないかな。

正統派SUVのスタイルをもつコンパクトSUVのライズ。ライバルがいるようでいない、うまい位置どりでスマッシュヒット

左がRAV4、右がライズ。フロントマスクの意匠は似ているが、実物を並べてみるとサイズもフォルムも大きく異なる

馬:それにしてもSUVブームはまだ続くのでしょうか。

岡:SUV人気もライズ/ロッキーが登場して、ついにSUVもマーケティング用語でいうとレイトマジョリティが乗り始めた段階だと感じた。台数的には現在がピークで、アーリーアダプターとしてSUVを購入した人たちはどこか違うカテゴリーに逃げ始めるだろうと思っている。その逃げ先はまだ僕らにはわからないけれど。

馬:いわゆる普及品が出てきてしまったということですね。

岡:これはもう歴史が繰り返していることなので仕方ないことでしょう。

実用車でここまでデザインにこだわったマツダ3の凄さ

実用車でここまでデザインにこだわったマツダ3の凄さ

実用車のど真ん中のクラスにあって、ひときわ個性的なマツダ3のデザイン

馬:ずいぶんとトヨタの話題で盛り上がってしまいましたが、岡崎さんはCOTYでの今年のNo.1カーはマツダ3ですが、コレは何を高く評価したのですか。

岡:僕がマツダ3で最も評価しているのはデザインの良さ。COTYにはデザイン賞がないので、その分を加点してマツダ3を10点にしました。マツダ3が属するCセグメントというのはVWゴルフが中心にとなる実用車のジャンル。その実用的なジャンルのクルマながら、エモーショナルな価値を付けたことを評価しての10点。このセグメントでデザインにこだわったのはこれまでアルファロメオぐらいでしょう。

馬:VWゴルフという世界的なメートル原器があって、でも走りとか操縦安定性といったハード面はマツダ3だけでなく、カローラスポーツも近いレベルに達している。さらにマツダ3は先鋭的なデザインを採用し、ゴルフとは違う手法を表現したということですね。

萩:マツダ3、特にファストバックは街で見かけても浮き出てしますよね。全然溶け込まない。それだけ強いデザインということだと思います。そして映り込みもスゴイですし。

岡:オーラがある。映り込みについてもきっと考えていますよ。街を走るマツダ3が増えていくとさらに人気になる可能性がある。よくデザインは好みだというのだけれど、マツダ3を格好良いと思うか悪いかと思うかはまさにデザインリテラシーの問題。それを何かかっこ悪いと思うようなら、自分のセンスを見直す機会だとすら思うな。実際、僕らだけなく世界中のデザイン専門家がすごく評価しているわけだし。

馬:きっと目が肥えている人ほど、マツダ3のデザインはすごいな、実用車のCセグメントでここまでやるのか、と思うのですね。

最初は苦いコーヒーもそのうち美味しいと思う。マツダ3のデザインも同じだ

最初は苦いコーヒーもそのうち美味しいと思う。マツダ3のデザインも同じだ

マツダ3のデザインのなかでも特に特徴的なリアサイドビュー

岡:そう。良いデザインだけど好きじゃないというのならわかるけれど、なんかダサイ、ほかのマツダ車と見分けがつかないというのは、ライトのカタチとかしか見ていないからじゃないかな。誰もが好きな完璧な美女ではなく、個性派女優を目指したとチーフエンジニアが言っていました。ある意味100人にいたら、60〜70人は好きじゃない、という覚悟の上のデザインということですよね。

馬:デザインということで言うと、マツダ3はレトロフューチャーではない。ゴルフの方向でもない。新しいデザインはコレだよと主張しているのがマツダ3のスゴイところだと思います。

岡:マツダ3のリアフェンダーというかCピラーって変じゃない?という人が多い。でもあの変なのが良くて、それが味だと思います。昔のアルファロメオが好きな人ならその理屈がわかるけど、たぶんずっとデザインを意識していない人は「変」で終わるんだろうね。しかしコーヒーだって、最初飲むと苦い。しかし舌が肥えてくるとオイシイと感じるようになる。そういうデザインをCセグでやったのは大丈夫かと思うけれど、反面スゴイとも思う。そしてマツダ3が売れていないと良く言われているけれども、SUVのCX-30は同じグループなのだから合算した数字で見た方が良いと思う。

萩:デザイナーの話を聞いているとCX-30が国内市場で売れるのは織り込み済みですからね。国内はCX-30、グローバルはマツダ3で攻める。だからスカイアクティブXもこの両モデルから搭載するということです。

タントもデイズもカスタム系は品の良さで女性にアピール

タントもデイズもカスタム系は品の良さで女性にアピール1

ライト位置が高くなったことでファミリーカー色が薄まったタントのデザイン。手前のカスタムはN-BOXカスタム同様にずいぶん品が良くなった

馬:マツダ3に続いては、COTYの10ベストに3車種も入った軽自動車です。フルモデルチェンジ前、そして現行型になっても販売台数NO.1を続けていたホンダN-BOXがとうとう11月にダイハツタントに逆転されました。

岡:まあ新車の販売台数は株価と同じで、単月で一喜一憂すると間違ってしまう可能性は高い。

馬:商品としてはどうなのでしょうか。N-BOXという絶対王者がいて、それに対して万全の構えで出てきた感じがするタント。あの運転席のロングスライドは目からウロコでした。

岡:まぁ僕はお好きなほうをどうぞ、という感じかな。機能性という面では大きな差はないと思う。でもタントだけでなく、ダイハツのデザインは厳しいね。

タントもデイズもカスタム系は品の良さで女性にアピール2

インパネデザインにもダイハツらしさが垣間見えるタント

萩:特にインテリアの細かい部分に「なぜ?」と感じます。

岡:例えば、ムーヴに関して歴史的に見て行くと、スズキからワゴンRが出てムーヴが出たワケじゃないですか。ワゴンRは初代から最新型まで継続性があります。でもムーヴは外観デザインが丸くなったり、四角くなったり、支離滅裂なんですよ。そういったチグハグな面がダイハツ車のデザインに出ていると思うのです。だからタントってどんなデザインだったかなと考えると四角いデザインとしか思い出せない。僕らクルマ好きにはちょっと印象が弱いです。

馬:これまでのタントは上物の高さに比べてヘッドライトの位置が低く、それがファミリーカーらしさを強調していました。ところが今回はライトの位置が高い。ずいぶん印象は変わりました。その点を新型タントのデザインを関係者と話しましたが、今回のデザインはカスタムを優先したそうです。N-BOXはちょっとしか意識していないと言い張っていました。新型のカスタムはメインターゲットで女性も狙いたい。さらにダウンサイザーを狙って、結果的にN-BOXカスタムに似たフロントマスクのテイストになったようです。

萩:郊外へ行くと多くの女性がカスタム系のターボに乗っていますからね。そういった女性にターゲットにしたという理由はわかりますね。

タントもデイズもカスタム系は品の良さで女性にアピール3

手前が日産デイズハイウェイスター。個性的な2―トンカラーなどで他社のカスタムとは違う路線を歩む

岡:僕が日産デイズ/三菱eKワゴン・クロスを高く評価しているのは、ハイウェイスターというとんでもない名前(笑)を付けたデイズのカスタム系が他社と比べるとカッコイイから。

馬:デイズは品が良いですね。

タントもデイズもカスタム系は品の良さで女性にアピール4

デイズの兄弟車eKもカスタムをやめてSUVテイストのeKクロスへ路線変更

萩:2019年はまずデイズ/eKが登場し、タント、N-WGNと続いたわけですけれど、最初にデイズに乗った時は良くできていると感じましたが、N-WGNとかタントに乗るとアレッと思いました。

岡:そう、特に快適性についてはN-WGN、タントのほうがいいね。デイズ/ekはエンジン音がうるさかったり、ちょっと足が硬かったりするので、そこは改善ポイントだね。

軽自動車だからこそ大きいことはいいこと

軽自動車だからこそ大きいことはいいこと

クラスを超越した走りの良さでアピールするホンダN-WGNだが電動パーキングブレーキの不具合でつまづいた

馬:N-WGNの乗り味は軽自動車とは思えないレベルだと感じましたが、リコール問題の影響もあって台数的には止まっています。ざっくり見ていると軽自動車のボディタイプはスーパーハイトワゴンがまだ新しいカタチとして支持されているのだと感じます。どうせ新車を買うのならば目新しいカタチのクルマに乗りたいという人が多いことも、ハイトワゴンのN-WGNの販売がイマイチな理由かもしれません。

萩:ジムニーが欲しい人を除けば、軽自動車は室内空間が広いことが第一なのですよ。大きく見える、軽でも立派に見えることも大切で、だからカスタムや白いナンバープレートをわざわざ選ぶんです。軽のスーパーハイトワゴンは室内空間の広さや運転支援システムの充実振りでコンパクトカーを凌駕していますが、やはり軽自動車ということは隠したい人は多いんでしょうね。

スカイラインのプロパイロットは驚きのレベルだが、気になるのは今後の展開

スカイラインのプロパイロットは驚きのレベルだが、気になるのは今後の展開1

日産マークと丸型テールライトが帰って来たスカイラインのマイナーチェンジ

馬:運転支援システムの話が出ましたので、COTYでも賞を獲得した日産スカイラインのプロパイロット2.0についてどう感じているか教えてください。

岡:あれはスゴイ、驚きました。何がいいかというと、3D高詳細地図が入っていること。そしてステアリングバイワイヤー(DAS)が組み合わされることにより、従来モデルより一気に2レベルぐらい上がった。

馬:これまでは何かバラバラだったピースがようやくつながって、1+1が3になったような感じですね。

スカイラインのプロパイロットは驚きのレベルだが、気になるのは今後の展開2

3D高詳細地図とステアリングバイワイヤ、さらに多数のカメラとセンサーで実現したスカイラインのプロパイロット2.0。その素晴らしい技術は高価格車以外にも展開されるのか?

岡:地図データは買ってくればいいとしても、DASを採用しているのは日産だけだから、これはなかなかライバルが追いつけないと思う。

馬:しかしハイブリッドは肝心の乗り心地がイマイチです。

萩:スカイラインはターボ車とハイブリッド車で味付けが違っていて、ターボ車の乗り味は昔の日産的で好きですね。ターボ車にプロパイロット2.0は採用されていないですけれど、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の性能は高いです。

岡:しかしプロパイロット2.0がハイブリッドにしか付かないというのはいかがなものかな。

馬:来年、2020年に日産はノート、エクストレイル、キックス、デイズルークスが出ますが、どれくらいプロパイロット2.0が搭載されるかは気になりますね。

萩:技術はあっても、なかなか商品化されないのが残念です。

コネクテッドについては日本車は遅れている!

コネクテッドについては日本車は遅れている!

2020年2月に発売予定のヴィッツ改めヤリス。デザインや安全装備にもカローラ同様の「いいクルマを作ろう」というトヨタの姿勢が鮮明に現れている

馬:そういえば2021年に自動ブレーキが標準装備化されますが、自動運転とコネクテッドの今後についても考えを聞かせてください。

岡:コネクテッドと先進運転支援システムは分けて考えないといけないのだけれど、コネクテッドに関して日本は遅れています。まぁおそらくホンダとかはがんばろうとしているけれども、2019年に出たカローラのディスプレイオーディオ見れば、遅れ具合は明白。あれだったら2DINオーディオで良いじゃないと思う。

馬:新型VWゴルフの登場で大波が来るということですか。

岡:そう、来ますね。なぜゴルフに載せたのかというと販売台数が多いクルマだから。多く売れるクルマでVWの電子プラットフォーム、デジタルネットワークを一気に普及させようというのが狙い。そこまで攻撃的にやっているメーカーは日本にはない。

萩:日本は高額なクルマから新しい機能を装着していくから、普及しないし遅れてしまう。安全装備もその典型です。

岡:しかし次のヤリスはレクサスにまだ装着されていない新機能が付いている。交差点の右直事故防止とか、運転支援系に関しては間違いなく進んでいる。なぜかというとユーザーのデマンドが強いから。自動ブレーキを日本はどうして標準装備にするのと海外メーカーは驚いている。

萩:コネクテッドに関しては5Gになってからが勝負だと思います。

岡:そう、現在のところあまりメリットを感じられない。スマホがあればいいじゃんという感じになる。ゴルフは5G対応です。世界観、そして機能性はまったく変わりますね。

 

日本車の復活を実感させたトヨタカローラに栄冠、2020年は新たな日本車ヴィンテージイヤーになるか?

日本車の復活を実感させたトヨタカローラに栄冠、2020年は新たな日本車ヴィンテージイヤーになるか?1

馬:そんな2019年でしたが、カルモマガジンとしてのイヤーカーはカローラでしょうか、それともマツダ3でしょうか。マツダ3の攻めたスタイルは印象に残りますが、あのトヨタが、あのカローラが、という意味でカローラな気がしますがいかがでしょう。

岡:COTYはデザイン賞がないからそのぶんマツダ3に加点したけど、日本車復活の予感を実感に変えさせてくれたカローラだろうね。

萩:トヨタ車の基準を引き上げたカローラでいいと思います。

馬:では2019年のカルモマガジンのイヤーカーはトヨタカローラに決定ですね。昨年のクラウンに続いて2連覇です。トヨタ車を「いいクルマだ」と心から言える時代が来たことに感慨があります。2020年も楽しみですね。
日本車の復活を実感させたトヨタカローラに栄冠、2020年は新たな日本車ヴィンテージイヤーになるか?2
岡:東京モーターショーの出展車を見ても、2020年の胎動は始まっていて、EVの走行距離とか、パワーとかそういったスペックでクルマを作る時代は終わっています。トヨタの人だってハンドリングとか乗り心地とかスッキリしたステアリングとか、スペックじゃない話ばかりしている。そこに気がついたメーカーは良いクルマを作っている。そういった考えで作られたクルマが続々と出てくると思います。
日本車の復活を実感させたトヨタカローラに栄冠、2020年は新たな日本車ヴィンテージイヤーになるか?3
萩:日産リーフオンリーだったEV市場にホンダeやマツダMX-30といった新しい提案のEVが登場します。まさに走行距離の縛りから解かれたEV2.0というべき新世代のEVが非常に楽しみですね。

馬:2020年が1989年に次ぐ国産車ヴィンテージイヤーと言える年になることを期待しましょう!

 

※記事の内容は2020年1月時点の情報で制作しています。

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