車検は車の所有者の義務ですが、まとまった費用が必要になるため、手持資金がないと支払いに困窮してしまいます。車検費用にローンを利用できるのか、どうすれば分割で払えるのかなど、車検費用の支払い方法についてご紹介します。
まずは車検費用の内訳を理解しよう
車検の支払い方法を検討するには、車検は何にどのくらいの費用がかかるのかを把握しておくことが大切です。車検費用は大きく分けて、税金などの「法定費用」と、車検業者に支払う「車検基本料」があります。それぞれの内訳を、金額や相場と併せて見ていきましょう。
法定費用
法定費用には、自動車重量税や自賠責保険料、印紙代(手数料)が該当します。
〈法定費用一覧〉
軽自動車 | 小型車 (重量:~1t) | 中型車 (重量:~1.5t) | 大型車 (重量:~2t) |
|
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自動車重量税 | 6,600円 | 16,400円 | 24,600円 | 32,800円 |
自賠責保険料*¹ | 21,140円 | 21,550円 | 21,550円 | 21,550円 |
印紙代*² | 1,100円 | 1,200円 | 1,200円 | 1,200円 |
合計 | 28,840円 | 39,150円 | 47,350円 | 55,550円 |
*² 認定工場で車検を受けた場合の金額
・自動車重量税
自動車重量税は、軽自動車は一律で6,600円、普通車は車の重量に応じて16,400円~課税されます。新車登録から13年目と18年目で税額が上がります。
・自賠責保険料
事故の際に被害者を救済する目的で、加入が義務付けられている保険です。ひと月ごとの加入もできますが、車検の際に継続するケースが多いため、次の車検までの24ヵ月加入が一般的です。なお、自賠責保険料は毎年見直しが行われており、必要に応じて改定されます。2020年4月1日以降の保険料は、軽自動車は21,140円、普通車は21,550円です。
・印紙代
印紙代は車検を受ける際の手数料です。車検の通し方で金額が若干異なりますが、軽自動車は1,100~1,400円、普通自動車は1,200~1,800円ほどになります。
車検基本料
車検基本料には、点検費用や整備費用、代行手数料などが該当します。車検基本料は依頼先によって異なります。なお、整備内容に応じて交換部品の実費も加算されます。
〈車検基本料の相場〉
軽自動車 | 普通車 | |
---|---|---|
ディーラー | 30,000~60,000円 | 35,000~100,000円 |
民間の整備工場 | 20,000~30,000円 | 20,000~65,000円 |
ガソリンスタンド | 15,000~30,000円 | 15,000~35,000円 |
・ディーラー
ディーラー車検では、自社の車に熟知した整備士が整備をしてくれるため、高い品質の整備が受けられます。一方で、純正パーツを使用したり消耗品などを早めに交換したりするため、ほかの方法よりも値段が高めになる傾向があります。
相場は軽自動車で30,000~60,000円、普通車で35,000円~10万円ほどです。
・民間の整備工場
自宅近隣の整備工場では、ディーラーよりも安く車検を受けられます。その反面、工場ごとに技術や料金形態も異なるので、しっかり見極めることが大切です。
相場は軽自動車で20,000~30,000円、普通車で20,000~65,000円ほどです。
・ガソリンスタンド
普段利用するガソリンスタンドで車検に出すという方法もあります。大きなメリットとして、料金が安いことや簡単に出せることが挙げられます。給油や洗車などのサービスがつくこともあり、上手に利用すれば維持費の節約にもつながります。
相場は軽自動車で15,000~30,000円、普通車で15,000~35,000円ほどです。
車検費用を分割で支払う方法と注意点
車検費用の支払いは現金一括払いが一般的ですが、次の方法であれば、車検費用を分割で支払うことも可能になります。
・カーローン
銀行などのカーローンは、新車の購入時だけでなく、車検費用の支払いにも利用できるものがあります。利用には審査をクリアする必要がありますが、借入額や借入年数によっては、月々の負担を軽くすることができます。
・クレジットカード
カード決済に対応している車検業者であれば、クレジットカードで支払うこともできます。支払い回数を指定できるので、希望に合わせた分割払いが可能になります。なお、クレジット決済ができない場合も、クレジットカード付帯のキャッシング機能を利用すれば、その場で現金を支払って、後々分割で返済していけます。クレジットカードを使用するときは、限度額に注意しましょう。
・消費者金融のカードローン
カーローンやクレジットカードでの支払いが難しいときは、消費者金融のカードローンを利用するのもひとつの方法です。カードローンは銀行などより審査基準が低いため、カーローンの審査に通らなかった場合でも利用できることがあります。その反面、金利は高めなので、慎重に検討しましょう。
分割払いを行う際の注意点
いずれの方法でも分割払いが可能なので、メリットとデメリットをよく理解した上で、最適な方法を選びましょう。ただし、車検費用を分割で支払う場合には、いくつか注意しなければならないことがあります。
・法定費用は分割できないことが多い
分割払いに対応している車検業者でも、法定費用は対象外となることがほとんどです。そのため、精算時に法定費用を現金で支払う必要があります。ただ、中には法定費用も分割払いに含められる車検業者もあるため、全額分割払いで支払いたい場合は、対応している車検業者を探してみましょう。
・分割払いには利息がかかる
分割で支払う方法はいくつかありますが、どれも借入れとなるため、返済時には利息が発生します。無理なく返済していけるか、利息も含めた総額に納得できるかなど、事前にしっかり検討しましょう。銀行などのホームページに掲載されているシミュレーションで、月々の返済額と総額を確認するのもおすすめです。
・審査に通らなければ利用できない
カーローンやカードローンの申込み時や、クレジットカードを新たに発行するときなどは、審査を受けなければなりません。クリアできないと利用できないため、分割で支払うこともできなくなります。
原因別、車検のローン審査に通らないときの対処法
車検のローン審査に通るためには、さまざまな条件をクリアしなければいけません。しかし、すでに借入れが複数あったり申込み金額が大きかったりすると、審査通過が難しくなります。ローン審査に通らない理由を把握し、原因に合わせて対処することが必要です。
ローン審査に通らない理由その1. 収入が不安定
ローン審査では、借りた金額をしっかり返済できる能力があるかをチェックします。そのため、パートやアルバイト、自営業など収入が不安定な就業形態や、正社員でも勤続年数が1年未満など短い場合は、審査通過が厳しくなる傾向があります。
〈この場合の対処法〉
収入が不安定で審査に通りにくい場合には、収入の安定した連帯保証人をたてることで審査に通る可能性が高くなります。
ローン審査に通らない理由その2. 複数の借入れをしている
銀行などでは、無理なく返済できる金額の目安として、年間の返済総額の割合を年収の30〜40%以下とする「返済比率」を設けています。すでに借入れをしている場合、返済比率によっては審査通過が難しくなります。
〈この場合の対処法〉
ほかの借入れを返済して負債総額を減らす、借入希望額を少なくするなどして、年間の返済総額を返済比率内に収めると、審査に通る可能性が高まります。
ローン審査に通らない理由その3. 過去に延滞経験などがある
過去のキャッシングや借入れなどの支払い状況は、CICやJICCのような個人信用情報機関に情報が記録されています。延滞などの履歴は事故情報の解消から1〜5年ほど保持されるため、その間に審査申込みをすると通らない可能性が高くなります。
〈この場合の対処法〉
これらの記録はそれぞれの情報機関に開示請求できる場合があるので、心配なときは自身の情報を確認してみましょう。
車検費用を用意できなかったらどうすればいい?
どうしても車検費用を用意できない場合には、車検業者に分割払いの相談をしてみてはいかがでしょうか。業者によって対応の可否はさまざまですが、相談に応じてくれる業者もあるので、そのような所に車検を依頼するといいでしょう。
なお、この場合も法定費用は現金での支払いを求められることが多いので、法定費用分だけは用意しておくと安心です。
車検費用も定額になるカーリースもおすすめ
車検費用の支払いが厳しいと感じるなら、月々定額で車に乗れて、法定費用も定額にできるカーリースを検討してみてはいかがでしょうか?
カーリースは車両本体代金や法定費用などが定額料金に含まれているため、車検の際の費用負担を軽減することができます。月々10,000円台から新車に乗れる「おトクにマイカー 定額カルモくん」なら、車検費用や法定点検費用、消耗品代なども定額にできる「メンテプラン」があるため、車検費用はもちろん、普段の維持費も心配することなくカーライフを楽しめます。
ローンや分割払いの負担を減らすコツ
車検はまとまった費用が必要になる上、期限の決まっている点検制度で時期をずらせないので、あらかじめ車検にかかる費用を算出して準備しておくことが大切です。どうしても資金が用意できず、ローンや分割で支払いたい場合も、日頃からこまめに点検や整備を行ったり、複数の業者から見積りを取って必要な整備を見極めたりして車検費用を抑えるなど、ローンの借入額を減らす工夫を意識しましょう。
よくある質問
Q1:車検費用を分割で払う方法は?
A:銀行などのカーローン、クレジット決済やクレジットカード付帯のキャッシング、消費者金融のカードローンなどを利用することで、車検費用を分割で支払えます。なお、いずれの方法も審査をクリアしなければ利用できません。
Q2:ローン審査はどうすれば通りやすくなる?
A:アルバイトや入社1年未満など収入が不安定なときは保証人をたてる、すでにほかの借入れがあるときは、返済で負債総額を減らしたり希望する借入額を下げたりする、過去のキャッシングや借入れで延滞した経験がある場合は、CICやJICCのような個人信用情報機関の記録を確認するなど、原因に合わせた対処を行うことです。
Q3:車検費用をローンや分割で払うときの注意点は?
A:車検費用を分割で払う場合、ほとんどの車検業者が法定費用は対象外としています。ただ、中には法定費用も含めて分割に対応している業者もあるので、そのような所を探しましょう。また、分割払いは返済時に利息がかかります。利息を含めた総額を確認し、無理なく返済できる金額を借りることも大切です。
※記事の内容は2020年7月時点の情報で制作しています。