近年では、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全技術を搭載している車もかなり普及してきました。とはいえ、メーカーや車種によって搭載される先進安全技術には差があるのが現状です。そのため車選びの際にはその車がどのような安全性能を有しているのかを確認することが大切です。
ここでは、トヨタ「パッソ」の安全性能について紹介します。
この記事のPOINT
- パッソはダイハツのOEM車両のため、「Toyota Safety Sense」ではなく、ダイハツの「スマートアシストIII」を搭載
- エントリーグレードの「X」を含む全車に「スマートアシストIII」を標準装備
- パッソは全車が「サポカーSワイド」の認定を受けている
パッソの安全性能の特徴
トヨタ車には、通常トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が搭載されます。しかし、パッソはダイハツ「ブーン」のOEM車種であり、ダイハツが開発から生産までを担当しています。そのためパッソには「Toyota Safety Sense」ではなく、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストIII」が搭載されているという特徴があります。
パッソに搭載される「スマートアシストIII」は、ステレオカメラやソナーセンサーを使用して周囲の情報を把握し、状況に応じてブレーキ制御やドライバーへの注意喚起を行うことによって安全運転をサポートするシステムです。
パッソでは、最も安いエントリーグレードである「X」にはこれまで「スマートアシストIII」が搭載されていませんでしたが、2021年4月の一部改良のタイミングで「X」にも「スマートアシストIII」が標準装備されたため、現在では全車標準装備となっています。
パッソに搭載される「スマートアシストIII」の内容
ここからは、パッソの「スマートアシストIII」にはどのような先進安全技術が含まれているのかを見ていきましょう。
衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)
出典:トヨタ「パッソ」特長
走行中にステレオカメラが自車の前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険性があると判断した場合にはまずメーター内表示とブザー音でドライバーに危険を知らせます。これが衝突警報機能です。自車の速度が対車両で約4~100km/h走行時、対歩行者で約4~50km/hで走行時に作動します。
さらに衝突の危険性が高まると、システムが自動で弱いブレーキ(事前ブレーキ)をかけます。この状態でドライバーがブレーキを踏むと、ブレーキアシストが作動しブレーキの制動力を高めて衝突回避を図ります。
それでも衝突が避けられないとシステムが判断した場合には、強力な緊急ブレーキを作動させ衝突の回避、被害軽減をサポートする機能です。
事前ブレーキと緊急ブレーキは自車の速度が対車両で約4~80km/hで走行時、対歩行者で約4~50km/h走行時に、ブレーキアシストは対車両で約30~80km/h走行時、対歩行者で約30~50km/hで走行時に作動します。
車両に加えて昼間の歩行者の検知が可能ですが、夜間の歩行者検知はできません。
誤発進抑制制御機能(前方・後方)
出典:トヨタ「パッソ」特長
アクセルとブレーキの踏み間違えや、シフト操作ミスによる飛び出しを防ぐ機能です。
前方約4m以内、後方は約2~3m以内にある壁などの障害物を検知している状態でアクセルを一定以上の力で強く踏み込んだ場合、エンジン出力を制御して急発進・急加速を抑制します。
車線逸脱警報機能
約60km/h以上でシステムが車線を検知し、自車が車線からはみ出しそうになるとメーター内表示とブザー音で警告を発し、ドライバーに注意喚起を行います。
ウィンカーを使用している場合には作動を中止します。
オートハイビーム
近年、夜間走行においてはハイビームを基本的に使用するように警察などが指導していますが、ハイビームのままだと対向車や先行車のドライバーの目を眩ませてしまう可能性があるため、その度ロービームに切り替える必要があります。
オートハイビームは前方の明るさを検知して自動でハイビームとロービームを切り替えるシステムで、切替え忘れを防ぐとともに手動切替えの手間をなくし、安全運転に貢献するほか、視認性の良いハイビームの使用頻度を上げて夜間の明るい視界の確保をサポートしてくれるメリットもあります。
先行車発進お知らせ機能
渋滞や信号待ちなどでプレーキペダルを踏んで停止している際、先行車が約3m以上進んでも自車が発進しない場合にブザー音とメーター内表示で先行車の発進をドライバーに知らせる機能です。
前方約10m以内の先行車を認識します。
パッソの「スマートアシストIII」に搭載されている先進安全技術は以上です。
パッソの「スマートアシストIII」搭載車は「サポカーSワイド」に認定
日本はすでに超高齢社会に突入しているため、今後はさらに高齢のドライバーが増えていくことを受け、政府は高齢ドライバーの交通事故防止対策の一環として衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を搭載した車に「セーフティ・サポートカー」、通称「サポカー」の愛称をつけ、普及に取り組んでいます。
サポカーは先進安全技術の充実度によって分類されており、サポカーの中でも最上級の区分である「サポカーSワイド」の認定には、車両と歩行者の検知が可能な衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトの4つの機能の搭載が必要です。
パッソの「スマートアシストIII」はこれらの先進安全技術をすべて搭載しているため、全車が「サポカーSワイド」の認定を受けています。
安全運転を心掛けて、カーライフを楽しもう
パッソは全車が「サポカーSワイド」の認定を受けており、安心・安全にカーライフを楽しめる安全性能を備えたモデルだといえるでしょう。
衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術は心強い存在ではありますが、安全運転はあくまでもドライバーが主体になって行うものです。車の安全性能に頼りすぎることなく、普段から危険な状態にならないよう安全運転を心掛け、安全で快適なカーライフを楽しんでください。
よくある質問
Q1:パッソには先進安全技術が搭載されているの?
A:はい、パッソにはエントリーグレードの「X」を含む全車に衝突回避支援システム「スマートアシストIII」が搭載されています。
Q2:パッソにはなぜトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」ではなく「スマートアシストIII」が搭載されているの?
A:パッソは、ダイハツのコンパクトカー「ブーン」のOEM車両です。開発や生産をダイハツが手掛けているため、先進安全技術のパッケージもトヨタのものではなく、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシストIII」を搭載しているという理由があります。
Q3:パッソにはどのような先進安全技術が搭載されているの?
A:車両と歩行者を検知し、必要があれば警告を発したりブレーキ制御を行ったりする「衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能」、車線から逸脱する危険を警告する「車線逸脱警報機能」、ペダルやシフト操作ミス時の事故防止をサポートする「誤発進抑制制御機能(前方・後方)」、自動でハイビームとロービームを切り替える「オートハイビーム」などがあります。
Q4:パッソはどの「サポカー」に該当するの?
A:パッソは、全車が「サポカーSワイド」の認定を受けています。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で執筆しています。